出会いから出航まで
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それから1週間ほど経ち、少年たちの体力もかなり回復した。
ペンギン帽の少年のリハビリにはベポとヴォルフが積極的に協力し、 恋歌はキャスケット帽の少年が食べられるようにおかゆを作ったり、ローの特別な栄養剤を使って料理を作ったりしていた。
ヴォルフはここまで人数が増えたというのに、一度も嫌な顔も、追い出そうともしなかった。
二人の容体が安定したところで、なぜ二人があんな大怪我を負ったのか、なぜ二人であんな場所にいたのかなどを聞く事にした。
「ガキども!まずは改めて自己紹介をせい!
今さらだが、わしはヴォルフ
天才発明家・ヴォルフ様じゃ!敬意をこめて呼ぶように!」
「あー、お前ら、このじいさんのいう事は適当に流しとけ
実際はただのガラクタ屋だ」
「やかましいわ、ロー!
話の腰を折るんじゃない!」
「わーったよ」
ローはヴォルフに怒鳴られているが、全く気にしている様子はない。
二人の少年は顔を見合わせて頷き合うと、自己紹介を始めた。
名前はペンギン帽の少年がペンギン、キャスケット帽の少年がシャチと名乗った。
ヴォルフが促してまずは怪我をした経緯を話し始めた。
二人の少年、ペンギンとシャチは森の奥に小屋を建てて、2ヶ月ほど前から暮らしているらしい。
あの大怪我を負った日、二人は狩りをしており捕らえた鳥を焼いていると、その匂いにつられたイノシシが飛び出してきたとのこと。
そしてそのイノシシの突進で、シャチのお腹が抉られた。
ペンギンはシャチを助けるために町から何かあった時の為にと盗んでおいた爆弾をイノシシに当てようとしたが、手元で暴発し右腕がちぎれてしまった。
幼い少年が銛で自給自足の生活を続けているのは、二人の両親が半年ほど前に亡くなってしまったから。
それから親族で話し合いがあり、ペンギンとシャチはシャチの叔父と叔母の家に預けられることに決まった。
そこでの生活は人間としてではなく“道具”としてのものだった。
食事はパンと水のみ、違法な武器の密輸、宝石店での窃盗など無理やりやらされていた。
「おれたちは、まともな人間として扱われなかった
あいつらにとって、俺とシャチはただの奴隷だった!
だから、家を出たんだ
だけど俺たちに行き場はなくて、金を稼ぐあてもないから森に小屋を建てて、そこでもまともな暮らしは送れなくて…
おれはもう!生きてる意味がわからないっ!!」
声を押し殺すように泣くペンギンの横にシャチが座り、がばっと頭を下げた。
「あんたたちが助けてくれなかったら、おれたちはあのまま死んでた
助けてくれて、ありがとう!それと…」
シャチは気まずそうな顔をあげてベポと恋歌を交互に見た。
「白クマ…その…女の子も…俺たちが動けない間、ずっと世話してくれたよな
おかゆ作って食べさせてくれたり、リハビリ手伝ってくれたり…
どれだけ、感謝の言葉を並べても足りねぇっ!!」
「い、いいよ、そんなの
怪我してるやつがいたら、助けるの、当たり前じゃんか」
ぼろぼろと泣きながら謝ってくるシャチにベポがわたわたと困惑しながら気にするなと手を振っている。
それに同意した恋歌もベポの横でうんうんと頷いている。
「当たり前なんかじゃ、ないっ!
おれは、おれたちは、お前をいじめた人間だ
蹴ったり、殴ったりした
そんな奴らに優しくできるなんて、当たり前の事じゃない!!」
また頭を下げるシャチにならうようにペンギンもがばっと頭を下げた。
「白クマ…いや、ベポ
助けてくれてありがとう
それから、勝手な八つ当たりで、酷いことして、本当に悪がった!ごめんっ!!
恋歌も!怖がらせて…悪かった」
ベポと恋歌に酷い事をしたと謝る二人に、ベポは気にしないでくれよと言うが、ペンギンとシャチは頭を下げたまま涙を流している。
「なぁ、お前ら
行くとこねぇんだよな
親戚の家に戻るつもりもないんだろ」
静かに話を聞いていたローが泣き続ける二人に話しかける。
「うん、あそこに戻るのだけは、絶対に、嫌だ…」
「よし、じゃあお前ら、おれの子分になれ
そうしたら、とりあえずはここに住まわせてやる」
その言葉を聞いた瞬間、二人は顔をあげて晴れやかな表情に変わった。
「だからここはわしの家じゃっつーのに!」
家主であるヴォルフがまたローに怒鳴っているが、無視されている。
「ちなみに、このベポはすでにおれの子分で、恋歌は…おれの妹分だ」
『(え!?)』
「初めて聞いたよ!そうだったのかよ!アイアーイ!!」
恋歌とベポは何も聞いていなかったので、驚いてローの顔を見るが、ローは何か文句でもあるのかと言いたそうな顔だ。
『(妹…)』
その言葉が嬉しかった恋歌は、ローに笑いかけると、ふい、と顔を逸らされた。
「「ここに、置いてください!お願いします!!」」
シャチとペンギンが声を合わせて頭を下げた。
ヴォルフがため息をついて、またクソガキが増えるのかと、小さく愚痴をこぼしている。
「えーい!ガキども!しょうがないから、貴様ら5人まとめてこの家に置いてやる!
だが勘違いするなよ!わしはお前たちの保護者になる気はない!家族や友達なんてのもまっぴらごめんじゃ!
あくまでわしらの関係はギブ&テイク!お前たちは生きていくための場所が欲しい!わしは発明と生活の為の労働力が欲しい!等価交換という事じゃ!
怪我人の体調が戻り次第、全員町でも働いてもらう!わしの手伝いだけじゃなく、きちんとした労働をしてもらう!それでいいなっ!?」
このヴォルフの言葉に誰も異を唱える者はいなかった。
ペンギン帽の少年のリハビリにはベポとヴォルフが積極的に協力し、 恋歌はキャスケット帽の少年が食べられるようにおかゆを作ったり、ローの特別な栄養剤を使って料理を作ったりしていた。
ヴォルフはここまで人数が増えたというのに、一度も嫌な顔も、追い出そうともしなかった。
二人の容体が安定したところで、なぜ二人があんな大怪我を負ったのか、なぜ二人であんな場所にいたのかなどを聞く事にした。
「ガキども!まずは改めて自己紹介をせい!
今さらだが、わしはヴォルフ
天才発明家・ヴォルフ様じゃ!敬意をこめて呼ぶように!」
「あー、お前ら、このじいさんのいう事は適当に流しとけ
実際はただのガラクタ屋だ」
「やかましいわ、ロー!
話の腰を折るんじゃない!」
「わーったよ」
ローはヴォルフに怒鳴られているが、全く気にしている様子はない。
二人の少年は顔を見合わせて頷き合うと、自己紹介を始めた。
名前はペンギン帽の少年がペンギン、キャスケット帽の少年がシャチと名乗った。
ヴォルフが促してまずは怪我をした経緯を話し始めた。
二人の少年、ペンギンとシャチは森の奥に小屋を建てて、2ヶ月ほど前から暮らしているらしい。
あの大怪我を負った日、二人は狩りをしており捕らえた鳥を焼いていると、その匂いにつられたイノシシが飛び出してきたとのこと。
そしてそのイノシシの突進で、シャチのお腹が抉られた。
ペンギンはシャチを助けるために町から何かあった時の為にと盗んでおいた爆弾をイノシシに当てようとしたが、手元で暴発し右腕がちぎれてしまった。
幼い少年が銛で自給自足の生活を続けているのは、二人の両親が半年ほど前に亡くなってしまったから。
それから親族で話し合いがあり、ペンギンとシャチはシャチの叔父と叔母の家に預けられることに決まった。
そこでの生活は人間としてではなく“道具”としてのものだった。
食事はパンと水のみ、違法な武器の密輸、宝石店での窃盗など無理やりやらされていた。
「おれたちは、まともな人間として扱われなかった
あいつらにとって、俺とシャチはただの奴隷だった!
だから、家を出たんだ
だけど俺たちに行き場はなくて、金を稼ぐあてもないから森に小屋を建てて、そこでもまともな暮らしは送れなくて…
おれはもう!生きてる意味がわからないっ!!」
声を押し殺すように泣くペンギンの横にシャチが座り、がばっと頭を下げた。
「あんたたちが助けてくれなかったら、おれたちはあのまま死んでた
助けてくれて、ありがとう!それと…」
シャチは気まずそうな顔をあげてベポと恋歌を交互に見た。
「白クマ…その…女の子も…俺たちが動けない間、ずっと世話してくれたよな
おかゆ作って食べさせてくれたり、リハビリ手伝ってくれたり…
どれだけ、感謝の言葉を並べても足りねぇっ!!」
「い、いいよ、そんなの
怪我してるやつがいたら、助けるの、当たり前じゃんか」
ぼろぼろと泣きながら謝ってくるシャチにベポがわたわたと困惑しながら気にするなと手を振っている。
それに同意した恋歌もベポの横でうんうんと頷いている。
「当たり前なんかじゃ、ないっ!
おれは、おれたちは、お前をいじめた人間だ
蹴ったり、殴ったりした
そんな奴らに優しくできるなんて、当たり前の事じゃない!!」
また頭を下げるシャチにならうようにペンギンもがばっと頭を下げた。
「白クマ…いや、ベポ
助けてくれてありがとう
それから、勝手な八つ当たりで、酷いことして、本当に悪がった!ごめんっ!!
恋歌も!怖がらせて…悪かった」
ベポと恋歌に酷い事をしたと謝る二人に、ベポは気にしないでくれよと言うが、ペンギンとシャチは頭を下げたまま涙を流している。
「なぁ、お前ら
行くとこねぇんだよな
親戚の家に戻るつもりもないんだろ」
静かに話を聞いていたローが泣き続ける二人に話しかける。
「うん、あそこに戻るのだけは、絶対に、嫌だ…」
「よし、じゃあお前ら、おれの子分になれ
そうしたら、とりあえずはここに住まわせてやる」
その言葉を聞いた瞬間、二人は顔をあげて晴れやかな表情に変わった。
「だからここはわしの家じゃっつーのに!」
家主であるヴォルフがまたローに怒鳴っているが、無視されている。
「ちなみに、このベポはすでにおれの子分で、恋歌は…おれの妹分だ」
『(え!?)』
「初めて聞いたよ!そうだったのかよ!アイアーイ!!」
恋歌とベポは何も聞いていなかったので、驚いてローの顔を見るが、ローは何か文句でもあるのかと言いたそうな顔だ。
『(妹…)』
その言葉が嬉しかった恋歌は、ローに笑いかけると、ふい、と顔を逸らされた。
「「ここに、置いてください!お願いします!!」」
シャチとペンギンが声を合わせて頭を下げた。
ヴォルフがため息をついて、またクソガキが増えるのかと、小さく愚痴をこぼしている。
「えーい!ガキども!しょうがないから、貴様ら5人まとめてこの家に置いてやる!
だが勘違いするなよ!わしはお前たちの保護者になる気はない!家族や友達なんてのもまっぴらごめんじゃ!
あくまでわしらの関係はギブ&テイク!お前たちは生きていくための場所が欲しい!わしは発明と生活の為の労働力が欲しい!等価交換という事じゃ!
怪我人の体調が戻り次第、全員町でも働いてもらう!わしの手伝いだけじゃなく、きちんとした労働をしてもらう!それでいいなっ!?」
このヴォルフの言葉に誰も異を唱える者はいなかった。