生きる世界の違い
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「おれが知ってる世界は…人間と魔女が共存してて…一つの島に絶対と言っていいほど魔女はいた
その中でも星の魔女は昔から希少な存在で…美しい容姿と美しい声に、人間は魅了されてた
そんな星の魔女の刀であることが、おれの誇り…だった…」
「……」
ぽたぽたとシリウスの涙が絵本にシミを作っていく。
「なのにっ…今の人間はあんな綺麗な存在をっ…!
それに…他の魔女もいないって…!」
「…恋歌のような星の魔女は、奴隷として高く売れるらしい
髪も目も、あの声も、悪い方向に人間を魅了してる
他の魔女も今では人数が少ないから奴隷として取引されることもあるそうだ」
「そんな腐った世の中で…あの子は生きてるのか…」
綺麗なものをただ綺麗なものとして共存するのではなく、力ずくで自分だけのものにしようとする世界で、見るものが見れば星の魔女とわかってしまう世界で、声も満足に出せない様な窮屈な世界で。
「あいつが海に出たのは俺が誘ったってのもあるが、自分と同じ魔女や、他の人間たちが奴隷にされているのを救いたいからだ
その志を手助けしてやれ
恋歌の武器になったんだろう
どんなに腐った世界でも、今を生きてるおれたちもあいつも生きて行かなきゃいけねぇ
だから、お前の生きてきた時代とは違うってのを理解しろ」
「…わかった
お前は…恋歌の事が、大事なんだな?」
「…ああ
海賊に誘うと決めた時に、必ず守ると誓った…大事な女だ」
「そうか…」
お互いに話したい事が終わり、部屋の中に沈黙が流れる。
シリウスが何も話さないのであれば、医学書の続きでも読もうと、机にある本に手を伸ばした。
「…休戦だ」
「は?」
だが、本に触れる前に、本をとろうとしていた手の上にシリウスが乗っかった。
子犬の姿なので重くはないが、今まで噛みつかれたことしかないローは、言われた意味がわからず眉間に皺を寄せた。
「不本意だが、星の魔女を…恋歌を守りたいっていう想いはおれも同じだ
おれはおれのやり方で恋歌を守る
お前はお前のやり方で恋歌を守れ」
「…はっ」
どういう風の吹き回しかと思わず笑みが漏れたが、言われるまでもないとシリウスを手から落とした。
「躾のなってねぇ駄犬にひとつ言っとくが…」
「あ?」
うまく着地したシリウスを置いて、すたすたと部屋から出て行こうとする背中をシリウスの視線が追う。
「おれに命令するな」
「はぁ!?
ガキのくせに何言ってやがる!!」
「この船の船長はおれだ
今度おれに命令したら…船から下ろす」
「おれは恋歌の武器だぞ!!
そんなの恋歌が許すはずない!!」
「恋歌はお前の主人である前におれの船のクルーだ
せいぜい捨てられねぇようにしろ」
「この…!言わせておけば…!!」
「…結局、仲良くなったってことかな?」
「たぶんな」
言い合いをしながら歩いている船長と子犬を見て、どういう状況なのかわからなかったが、ローの表情が緩くなっており、シリウスも吠えてはいるが噛み付いていない。
「シリウスが何言ってるかわかんないけど、キャプテン楽しそうだ」
『うん
仲良くなれたなら、よかった』
なぜ仲良くなったのかわからないが、この日からシリウスが恋歌とローが話す時に噛み付く事はなくなった。
その中でも星の魔女は昔から希少な存在で…美しい容姿と美しい声に、人間は魅了されてた
そんな星の魔女の刀であることが、おれの誇り…だった…」
「……」
ぽたぽたとシリウスの涙が絵本にシミを作っていく。
「なのにっ…今の人間はあんな綺麗な存在をっ…!
それに…他の魔女もいないって…!」
「…恋歌のような星の魔女は、奴隷として高く売れるらしい
髪も目も、あの声も、悪い方向に人間を魅了してる
他の魔女も今では人数が少ないから奴隷として取引されることもあるそうだ」
「そんな腐った世の中で…あの子は生きてるのか…」
綺麗なものをただ綺麗なものとして共存するのではなく、力ずくで自分だけのものにしようとする世界で、見るものが見れば星の魔女とわかってしまう世界で、声も満足に出せない様な窮屈な世界で。
「あいつが海に出たのは俺が誘ったってのもあるが、自分と同じ魔女や、他の人間たちが奴隷にされているのを救いたいからだ
その志を手助けしてやれ
恋歌の武器になったんだろう
どんなに腐った世界でも、今を生きてるおれたちもあいつも生きて行かなきゃいけねぇ
だから、お前の生きてきた時代とは違うってのを理解しろ」
「…わかった
お前は…恋歌の事が、大事なんだな?」
「…ああ
海賊に誘うと決めた時に、必ず守ると誓った…大事な女だ」
「そうか…」
お互いに話したい事が終わり、部屋の中に沈黙が流れる。
シリウスが何も話さないのであれば、医学書の続きでも読もうと、机にある本に手を伸ばした。
「…休戦だ」
「は?」
だが、本に触れる前に、本をとろうとしていた手の上にシリウスが乗っかった。
子犬の姿なので重くはないが、今まで噛みつかれたことしかないローは、言われた意味がわからず眉間に皺を寄せた。
「不本意だが、星の魔女を…恋歌を守りたいっていう想いはおれも同じだ
おれはおれのやり方で恋歌を守る
お前はお前のやり方で恋歌を守れ」
「…はっ」
どういう風の吹き回しかと思わず笑みが漏れたが、言われるまでもないとシリウスを手から落とした。
「躾のなってねぇ駄犬にひとつ言っとくが…」
「あ?」
うまく着地したシリウスを置いて、すたすたと部屋から出て行こうとする背中をシリウスの視線が追う。
「おれに命令するな」
「はぁ!?
ガキのくせに何言ってやがる!!」
「この船の船長はおれだ
今度おれに命令したら…船から下ろす」
「おれは恋歌の武器だぞ!!
そんなの恋歌が許すはずない!!」
「恋歌はお前の主人である前におれの船のクルーだ
せいぜい捨てられねぇようにしろ」
「この…!言わせておけば…!!」
「…結局、仲良くなったってことかな?」
「たぶんな」
言い合いをしながら歩いている船長と子犬を見て、どういう状況なのかわからなかったが、ローの表情が緩くなっており、シリウスも吠えてはいるが噛み付いていない。
「シリウスが何言ってるかわかんないけど、キャプテン楽しそうだ」
『うん
仲良くなれたなら、よかった』
なぜ仲良くなったのかわからないが、この日からシリウスが恋歌とローが話す時に噛み付く事はなくなった。