「恋歌！おれを刀に戻せ！！」

飛んでくるシリウスの前に魔方陣を出し、そこをくぐると、シリウスは刀に戻り、恋歌は柄を掴んで鞘から刀を抜いた。

「な、なんだ今の…

まさか悪魔の実の能力者…？」

子犬から刀に変化したことに驚いてはいるが、これでシリウスの方も値打ちがついたと舌なめずりをして、一斉に武器を構える。

「生け捕りにしろ！！」

「「「おお！！」」」

『(間に合わないか…)』

一斉に襲い掛かってくる男たちに、仕方ないと魔法を使うために息を吸い込んだ。




「【シャンブルズ】」

「ひゃー！ぎっりぎりじゃん！」

『(ロー…ペンギン…)』

恋歌の声が発するより先にローの能力で、場所を入れ替えられ、男たちはいきなり消えた恋歌に驚いている。

思いがけずローも来てくれた事にほっとし、男たちの視線から守るように、ローとペンギンが前に立つ。

「何もされてねぇな」

その質問に頷きで返せば、ほっとしたように息をはいた。

「心配したんだぞ！！

あんな紙一枚でわかりにくいし！！」

≪ご、ごめん≫

店で発動させた魔方陣は自分の手を入れ、ペンギンの目の前に紙を差し出しただけ。

書かれていた言葉も短く、”助けに来て”という言葉だけだった。

恋歌に何かあったとなれば、ローにばらばらにされる未来しか見えなかったが、すぐにローを見つけられたのは幸運としか言いようがない。

「なんだおまえら

おれたちはその女と犬に用がある」

「あれ？そこのペンギン帽かぶってる奴、女と一緒にいた奴じゃねぇか？」

「あんたらか

ずっと恋歌に気持ち悪い視線送ってきてたのは」

ペンギンが感じていた嫌な視線はこいつらだったのかと納得し、やれやれとため息をつく。

「この子が可愛いのはわかるが、あんな気持ち悪い視線むけてちゃ逃げられちまうぞ？」

「あ？んだと」

「ペンギン、無駄話はいい

結局お前ら恋歌に何の用だ」

興味のない話を終わらせ、リーダー格の男に視線を向ければ、嘲笑を浮かべる。

「いい女を捕まえる理由なんざ1つだろ

慰み者にして、飽きたら売り飛ばす

そいつは壊れててもいい値段で売れそうだ」

「……そうか」

「(あーあ…)」

ぺろりと舌なめずりをする男に、ペンギンは心の中でご愁傷様と呟いた。

「【ルーム】」

辺り一帯を囲うようにローのルームが発動し、鬼哭を抜く。

「くだらねぇことしか考えられねぇ脳みそならいらねぇな」

「お前も悪魔の実の能力者か！！」

「キャプテン、背中は任せてくれ！」

「ああ、恋歌も好きに暴れろ」

相手の力量、自分達の戦闘技術を比べたとき、負ける気はしなかった。

「男2人は殺せ！！

女は生け捕りだ！！」

男の声を合図に戦闘開始となった。