弔いの島
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恋歌がローに連れてこられたのは診察室兼ローの自室。
「座れ」
椅子を指さされたのでおとなしく座ると、ローが薬品の棚から消毒液を取り出し、包帯を傍に置いた。
「手、痛いだろ」
そう言われて自分の掌を見れば、豆がつぶれて血が少し滲んでいる。
≪これぐらいなら大丈夫だよ≫
「そこから菌が入る事だってある
ちゃんと処置してやるから手出せ」
ローの手を煩わせるまでもないと、治療はいいと断ろうと腰を上げようとすると、ぎろっと睨まれた為、おとなしくもう一度腰を下ろした。
「ん」
向けられた大きな手に手を乗せると、消毒をしてくれるがそれが少し滲みてピリッとした痛みが走る。
静かな室内でわずかに包帯を巻く音が響き、両手に包帯を巻かれた。
『ありがとう』
「ああ
他に痛めたところとかはねぇか?」
『うん』
かちゃかちゃと使ったものをもとの位置に戻し、巻かれた包帯をぼーっと見ている恋歌の肩をぽんと叩くと、はっとしたように恋歌が顔を上げた。
「どうした」
なんでもないと首を振る恋歌に、ローの眉間のしわが増えたが、大したことではないと立ち上がって先に部屋から出て行こうとする。
「恋歌、言いたいことがあるならちゃんと言え」
言葉数の少ない恋歌は、たまにこうやって無理やりにでも聞かないとすべて抱え込んでしまう。
それを出来る限り無くそうと強い口調になってしまうが何か言いたそうにしているときは、聞くようにしている。
≪大したことじゃないよ
ローに剣術教えてもらい始めて1年が経つのに、まだ豆ができるんだなって…そう思っただけ
せっかくローに剣術教えてもらってるのに無駄なんじゃないかって…≫
そろそろ自分が占った1年が近づいて来ようとしているのに、魔法も剣術もまだまだ自信を持てるほどではない。
他の4人は確実に強くなっている上に、いつも戦闘では助けてくれることが多い。
早くみんなと肩を並べて戦えるような力が欲しいと思っているが、現実はまだまだみんなには遠く及ばない。
「恋歌、お前は女だ」
『?』
それはわかっていると頷くと、はぁとため息をつかれた。
「男と女じゃ筋肉のつきやすさが違う
おれたちも純粋な力じゃ白クマのベポには及ばねぇ
剣術も女の戦い方と男の戦い方は違う
魔法と剣術の組み合わせで戦えるのは恋歌だけだ
それにな…」
すっと、今包帯を巻いたばかりの手を取り、掌を優しく撫でてやる。
「豆ができるまで素振りして…それがつぶれても今日の鍛錬最後までやり切ったじゃねぇか
その努力を無駄だとは思わねぇよ」
『ロー…』
「お前の努力を笑う奴はここにはいねぇ
恋歌を足手まといだと思う奴も、弱いと思ってる奴もな
だから、そう落ち込むな」
ぎゅっと手を握ってやれば、嬉しそうに笑って頷きが返ってくる。
恋歌が努力をしていることはこの船の誰もが知っていること。
昼は全員で医療の勉強をし、夕飯後は魔法の勉強、空いた時間を見つけて素振りをし、魔法の練習もしている。
ローほど寝不足というわけではないが、たまにふらついているのを見た事がある。
その時はさりげなく誰かが手伝ったり、眠れるようにと紅茶を淹れたりする。
「強くなりたきゃ睡眠も食事もしっかりとれ
いいな?」
隈の消える事のない日々を送っているローだが、恋歌より体調管理はしっかりできており、ふらついたりすることも少ない。
睡眠に関してはローにも言い返したかったが、心配されているのは伝わってきたので素直にうなずいた。
その返答に満足したローに手を引かれ、いい匂いがする食堂の方へ向かった。
「座れ」
椅子を指さされたのでおとなしく座ると、ローが薬品の棚から消毒液を取り出し、包帯を傍に置いた。
「手、痛いだろ」
そう言われて自分の掌を見れば、豆がつぶれて血が少し滲んでいる。
≪これぐらいなら大丈夫だよ≫
「そこから菌が入る事だってある
ちゃんと処置してやるから手出せ」
ローの手を煩わせるまでもないと、治療はいいと断ろうと腰を上げようとすると、ぎろっと睨まれた為、おとなしくもう一度腰を下ろした。
「ん」
向けられた大きな手に手を乗せると、消毒をしてくれるがそれが少し滲みてピリッとした痛みが走る。
静かな室内でわずかに包帯を巻く音が響き、両手に包帯を巻かれた。
『ありがとう』
「ああ
他に痛めたところとかはねぇか?」
『うん』
かちゃかちゃと使ったものをもとの位置に戻し、巻かれた包帯をぼーっと見ている恋歌の肩をぽんと叩くと、はっとしたように恋歌が顔を上げた。
「どうした」
なんでもないと首を振る恋歌に、ローの眉間のしわが増えたが、大したことではないと立ち上がって先に部屋から出て行こうとする。
「恋歌、言いたいことがあるならちゃんと言え」
言葉数の少ない恋歌は、たまにこうやって無理やりにでも聞かないとすべて抱え込んでしまう。
それを出来る限り無くそうと強い口調になってしまうが何か言いたそうにしているときは、聞くようにしている。
≪大したことじゃないよ
ローに剣術教えてもらい始めて1年が経つのに、まだ豆ができるんだなって…そう思っただけ
せっかくローに剣術教えてもらってるのに無駄なんじゃないかって…≫
そろそろ自分が占った1年が近づいて来ようとしているのに、魔法も剣術もまだまだ自信を持てるほどではない。
他の4人は確実に強くなっている上に、いつも戦闘では助けてくれることが多い。
早くみんなと肩を並べて戦えるような力が欲しいと思っているが、現実はまだまだみんなには遠く及ばない。
「恋歌、お前は女だ」
『?』
それはわかっていると頷くと、はぁとため息をつかれた。
「男と女じゃ筋肉のつきやすさが違う
おれたちも純粋な力じゃ白クマのベポには及ばねぇ
剣術も女の戦い方と男の戦い方は違う
魔法と剣術の組み合わせで戦えるのは恋歌だけだ
それにな…」
すっと、今包帯を巻いたばかりの手を取り、掌を優しく撫でてやる。
「豆ができるまで素振りして…それがつぶれても今日の鍛錬最後までやり切ったじゃねぇか
その努力を無駄だとは思わねぇよ」
『ロー…』
「お前の努力を笑う奴はここにはいねぇ
恋歌を足手まといだと思う奴も、弱いと思ってる奴もな
だから、そう落ち込むな」
ぎゅっと手を握ってやれば、嬉しそうに笑って頷きが返ってくる。
恋歌が努力をしていることはこの船の誰もが知っていること。
昼は全員で医療の勉強をし、夕飯後は魔法の勉強、空いた時間を見つけて素振りをし、魔法の練習もしている。
ローほど寝不足というわけではないが、たまにふらついているのを見た事がある。
その時はさりげなく誰かが手伝ったり、眠れるようにと紅茶を淹れたりする。
「強くなりたきゃ睡眠も食事もしっかりとれ
いいな?」
隈の消える事のない日々を送っているローだが、恋歌より体調管理はしっかりできており、ふらついたりすることも少ない。
睡眠に関してはローにも言い返したかったが、心配されているのは伝わってきたので素直にうなずいた。
その返答に満足したローに手を引かれ、いい匂いがする食堂の方へ向かった。