出会いから出航まで
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ローが蹴破るような勢いで扉を開けると、既にヴォルフは帰ってきており、また人数が増えている事に驚いているが、背中にいる子供たちが血まみれな事、ローの真剣な表情を見てヴォルフはすぐにお湯を準備する為に部屋を飛び出した。
1階のリビングに二人を下ろした後、ローは部屋に戻って手術道具一式を持って帰ってきた。
「ローさん、お、おれはどうすればいい?」
おろおろしているベポにローが指示をだしててきぱきと作業を進めていく。
まずはキャスケット帽の手術から始めるようでペンギン帽の方は止血をするようにと言われた。
恋歌は持っていたペンギン帽の腕を氷で冷やしておくように言われたので、それにしたがって腕を氷で冷やした。
「おい、ペンギン帽、意識はあるか!?」
「あ、ああ…」
「こいつの血液型はわかるか!?」
輸血をしなければ危ない状況らしく意識のないキャスケット帽の少年の血液型を確認する。
「わかる…X型だ…おれと一緒だから、ちゃんと覚えてる…間違いない」
「X型か…」
ローの血液型とは違ったようで、ちらっと恋歌の方をみるが、申し訳なさそうに首を横に振られた。
恋歌の血液型も違うという事だろう。
「ロー、わしの血を使え!まごうことなきX型じゃ!」
「ガラクタ屋…」
ヴォルフが腕を差し出してローに好きなだけとれと言うが、必要な量は二人分。
一人から必要な分を取ってしまえば最悪の場合…ヴォルフが危ない。
だが、ヴォルフはそれも覚悟の上と言い、ローも悩んでいる時間はないと思ったのか急いで準備を整え、キャスケット帽の少年とペンギン帽の少年に輸血を開始した。
「じいさん!大丈夫か!」
「心配…いらん!ちょこーっと、眩暈がするくらいじゃ
軽い貧血程度のもんよ
こんなじじいに気を遣っとる暇があるなら、とっとと治療を済ませてしまえい!」
「ああ、わかった
それと、助かった」
「ふん、ギブ&テイクじゃ…
この先、一週間、家事はお前と恋歌とベポにすべてやってもらうからな…」
そういってソファーに座り込んだヴォルフはいつもより少し元気がない。
「恋歌、これをガラクタ屋にお湯に溶かして飲ませてやれ
増血剤だ」
ローから渡された薬を持って、お湯を持ってきてヴォルフに飲ませてやる。
「わしの事は気にするな
ローの奴を手伝ってやれ」
自分は大丈夫だと追い払われた恋歌は、一人目の治療を終えたローの後ろに控えておく。
「ベポ!ペンギン帽をこっちに運べ!」
「了解だ!」
輸血をしているとはいえ、血を流しすぎて元気がなくなり、ぐったりとしているペンギン帽は意識が薄れてきている。
「くそっ…時間が足りるか…」
『(時間…?)』
ペンギン帽の少年の傷口を見ながら少し焦ったように準備を始めるローの後ろ姿を見て、ローの背中にゆっくりと手を伸ばした。
「?」
服を引っ張られた感覚に振り向くと、恋歌が小さく震えながら手話ではなくノートに字を書いてローに見せた。
書かれている文字は≪どれだけの時間が必要か≫ということだった。
このタイミングで無駄な事を聞いてくるとは思えないローは、時間について少し考えた。
「オペの時間は数時間かかる
けど、それまでこいつの気力がもつかわからねぇ
だから…1時間は余分にほしい」
麻酔を効かせて、縫合を開始し、出血が止まるまでが望ましい。
1時間でオペは100パーセント終わらないが、1時間耐えてもらえればそこからは助けられる自信があった。
そう思って希望の時間を伝えると、ローの服から手を離して恋歌は小さく頷いた。
≪今から1時間この家の時間を止める
それ以上は今のわたしじゃ無理
その人を絶対に助けてあげて≫
「…おう」
恋歌が何を言っているのかわからなかったが、一刻を争う事態の為、ローは何も聞くことなく頷いた。
ふぅ、と息をはいた恋歌はローの邪魔にならない場所に下がり、自分の足元に魔方陣を展開させ、祈る様に手を組んで膝を床につけた。
恋歌を中心に時計がいくつも広がり、最初はすべての時計が別々の時間をさしていたが、ぐるぐると何度か針がまわった後、すべての時計の針が12時のところで止まった。
「これ…魔法か…!」
なんとなく恋歌の周りにある時計がタイムリミットだとわかり、早速ローはオペに取り掛かった。
そしてきっかり1時間後に自動的に魔法が切れ、家の中に広がっていた時計と魔方陣が消えた。
その直後、後ろの方でどさ、と何かが倒れる音が聞こえた。
「恋歌!!」
「!!」
倒れたのは恋歌で、手の離せないローの代わりにベポが駆け寄り、ヴォルフのいるソファーに恋歌を横たわらせた。
「…眠ってるだけの様じゃ
お前はそのまま治療に専念しろ」
「わかった」
ヴォルフの言葉を信じて、恋歌が与えてくれた1時間を無駄にしない為にオペを続ける。
後ろでは眠っている恋歌のベポが布団を持って来たり、ローに言われたことをするためにばたばたと動き回っている。
1階のリビングに二人を下ろした後、ローは部屋に戻って手術道具一式を持って帰ってきた。
「ローさん、お、おれはどうすればいい?」
おろおろしているベポにローが指示をだしててきぱきと作業を進めていく。
まずはキャスケット帽の手術から始めるようでペンギン帽の方は止血をするようにと言われた。
恋歌は持っていたペンギン帽の腕を氷で冷やしておくように言われたので、それにしたがって腕を氷で冷やした。
「おい、ペンギン帽、意識はあるか!?」
「あ、ああ…」
「こいつの血液型はわかるか!?」
輸血をしなければ危ない状況らしく意識のないキャスケット帽の少年の血液型を確認する。
「わかる…X型だ…おれと一緒だから、ちゃんと覚えてる…間違いない」
「X型か…」
ローの血液型とは違ったようで、ちらっと恋歌の方をみるが、申し訳なさそうに首を横に振られた。
恋歌の血液型も違うという事だろう。
「ロー、わしの血を使え!まごうことなきX型じゃ!」
「ガラクタ屋…」
ヴォルフが腕を差し出してローに好きなだけとれと言うが、必要な量は二人分。
一人から必要な分を取ってしまえば最悪の場合…ヴォルフが危ない。
だが、ヴォルフはそれも覚悟の上と言い、ローも悩んでいる時間はないと思ったのか急いで準備を整え、キャスケット帽の少年とペンギン帽の少年に輸血を開始した。
「じいさん!大丈夫か!」
「心配…いらん!ちょこーっと、眩暈がするくらいじゃ
軽い貧血程度のもんよ
こんなじじいに気を遣っとる暇があるなら、とっとと治療を済ませてしまえい!」
「ああ、わかった
それと、助かった」
「ふん、ギブ&テイクじゃ…
この先、一週間、家事はお前と恋歌とベポにすべてやってもらうからな…」
そういってソファーに座り込んだヴォルフはいつもより少し元気がない。
「恋歌、これをガラクタ屋にお湯に溶かして飲ませてやれ
増血剤だ」
ローから渡された薬を持って、お湯を持ってきてヴォルフに飲ませてやる。
「わしの事は気にするな
ローの奴を手伝ってやれ」
自分は大丈夫だと追い払われた恋歌は、一人目の治療を終えたローの後ろに控えておく。
「ベポ!ペンギン帽をこっちに運べ!」
「了解だ!」
輸血をしているとはいえ、血を流しすぎて元気がなくなり、ぐったりとしているペンギン帽は意識が薄れてきている。
「くそっ…時間が足りるか…」
『(時間…?)』
ペンギン帽の少年の傷口を見ながら少し焦ったように準備を始めるローの後ろ姿を見て、ローの背中にゆっくりと手を伸ばした。
「?」
服を引っ張られた感覚に振り向くと、恋歌が小さく震えながら手話ではなくノートに字を書いてローに見せた。
書かれている文字は≪どれだけの時間が必要か≫ということだった。
このタイミングで無駄な事を聞いてくるとは思えないローは、時間について少し考えた。
「オペの時間は数時間かかる
けど、それまでこいつの気力がもつかわからねぇ
だから…1時間は余分にほしい」
麻酔を効かせて、縫合を開始し、出血が止まるまでが望ましい。
1時間でオペは100パーセント終わらないが、1時間耐えてもらえればそこからは助けられる自信があった。
そう思って希望の時間を伝えると、ローの服から手を離して恋歌は小さく頷いた。
≪今から1時間この家の時間を止める
それ以上は今のわたしじゃ無理
その人を絶対に助けてあげて≫
「…おう」
恋歌が何を言っているのかわからなかったが、一刻を争う事態の為、ローは何も聞くことなく頷いた。
ふぅ、と息をはいた恋歌はローの邪魔にならない場所に下がり、自分の足元に魔方陣を展開させ、祈る様に手を組んで膝を床につけた。
恋歌を中心に時計がいくつも広がり、最初はすべての時計が別々の時間をさしていたが、ぐるぐると何度か針がまわった後、すべての時計の針が12時のところで止まった。
「これ…魔法か…!」
なんとなく恋歌の周りにある時計がタイムリミットだとわかり、早速ローはオペに取り掛かった。
そしてきっかり1時間後に自動的に魔法が切れ、家の中に広がっていた時計と魔方陣が消えた。
その直後、後ろの方でどさ、と何かが倒れる音が聞こえた。
「恋歌!!」
「!!」
倒れたのは恋歌で、手の離せないローの代わりにベポが駆け寄り、ヴォルフのいるソファーに恋歌を横たわらせた。
「…眠ってるだけの様じゃ
お前はそのまま治療に専念しろ」
「わかった」
ヴォルフの言葉を信じて、恋歌が与えてくれた1時間を無駄にしない為にオペを続ける。
後ろでは眠っている恋歌のベポが布団を持って来たり、ローに言われたことをするためにばたばたと動き回っている。