こんこん、と?恋歌の部屋の扉をノックすると、しばらくしてから、部屋の主が扉を開けてくれた。

《どうしたの？》

「いや、あいつらが恋歌が部屋にこもることが多くなったからって心配してたんでな

顔見せに来てやれ」

《わかった

ちょっと待ってて》

見た目的には元気そうで魔力不足という状態ではなさそうなことにほっとし、ふと恋歌が戻った部屋の中を見てみると、部屋の中には見たことのない半球状のものや本や紙が床に散らばっている。

落ちている紙を何枚か拾って何が書かれているのか読もうとしたが、いつか見た自分達とは違う言語で書かれた文字のため、読むことができなかった。

散らばっている紙をひとまとめにしているのを見て、近くにある紙を拾って渡してやる。

『ありがとう』

「それ、占いの結果か？」

一度アミのところでアミの妹の言葉を聞いた後に書いていた文字と同じということに気づく。

床に散らばっていたものをすべて魔法の空間に収納し、ローの言葉に頷いた。

「魔女の本の文字とも違うよな？」

《そうだね

これは星の言葉だから星の魔女しか読めない文字なんだよ》

「へぇ…」

自分の知らない知識を持っている恋歌の話を聞くのは新しい発見が驚きがあり楽しいもの。

魔法の話をもっと聞きたいと思ったが、3人が待っていることを思い出し、食堂に向かう。

食堂の扉を開けると、3人の視線が一斉に向けられた。

「恋歌！」

ぱぁっと嬉しそうな顔をしたベポが走り寄って来て、手を引いて自分の横の椅子に座らせる。

ペンギンが紅茶を出してくれ、ローもどかっと席に深く腰掛けた。

「はぁー、やっと出てきてくれた…」

『？』

すりすりと頬ずりしてくるベポに、毎日食事の時には会っているではないかと首を傾げる。

「ベポもおれたちも恋歌と過ごす時間が少なくなって寂しかったんだよ」

ベポの心境をシャチが代弁してくれ、そういう事かとベポの背中に手を回して抱き着き返した。

『ごめんね』

「いいんだ

部屋でなにしてたんだ？」

ベポの胸を押して離れた恋歌は、ベポの質問に答える為に収納の魔方陣を出し、その中に手を入れる。

恋歌が魔方陣から出したのは、ホロスコープと数枚の紙。

「これなんだ？」

つんつん、と半球のホロスコープをつつくベポに、見てもらった方が早いと片手をホロスコープにかざす。

「「「おお！！」」」

ぐるぐるとホロスコープの中の星や天体が輝きながら動き始め、それを見ながら反対の手で紙に字を書いていく。

星空を切り取ったかのようなホロスコープにベポ、シャチ、ペンギンはくぎ付けになっている。

ローも少し身を乗り出して、じっとホロスコープを見つめている。

「ん？」

ぺらっと恋歌から紙を渡され、それを読んでいくと首を傾げた。

なにが書いてあるのかと他の３人が後ろから覗きこむ。

「今日の夜ご飯は…オムライス？」

「え！？」

ベポが書いてある内容を読み上げると、ペンギンが驚いたようにベポの手から紙をひったくった。

「な、なんで知ってるんだ？」

「ほんとに今日の夕飯はオムライスなのか？」

「あ、ああ…

卵の賞味期限が近くてな…」

主婦のような発言をするペンギンは、ぼんやりと考えていた夕飯を当てられ、どういうことなのかと恋歌に説明を求めるように視線を向ける。