恋歌とベポが子どもたちと遊んでいると、帰るぞとローが声をかけにきた。

「えー！もう帰っちゃうの？」

「クマさんもお姉ちゃんもお兄ちゃんもずっとここにいればいいのに！」

「ごめんよ

おれたち海賊だからここにはずっといられないんだ」

ベポに引っ付いたままの子どもたちが、ぶーぶーと言いながら離れてくれない。

「そいつらはおれの船のクルーだ

欲しけりゃお前らも海賊になって奪いに来い」

「「「ええー！！」」」

行くぞ、と子どもたちに背を向けて歩いていくローの背中を恋歌とベポは子どもたちに手を振ってから追いかける。

子どもたちは諦めて3人が見えなくなるまで手を振り続けてくれていた。





「お、戻ってきた」

「おかえり」

船の上から声をかけてくれた2人にただいまと返事をし、船に上がる。

「準備が出来次第すぐに出航だ」

「「「アイアイ、キャプテン」」」

指示だけを出してローはすたすたと船内に戻っていく。

「じゃあ出航準備するか」

シャチの言葉に頷いて4人で出航準備を整えるためにばたばたと船内を走り回る。

潜水準備も整い、全員で船内に入ってぱたんと扉を閉めた。

シャチが操縦室に向かい、しばらくするとタンクの中に水が入っていく音が船内に響き渡る。

初めて5人で上陸した島はあっという間に遠ざかっていった。

潜水したことにより、先ほどまでの騒ぎが嘘のように静かな船内。

「どうだった？初めての島は」

ぼーっ、と窓から海を眺めているベポにペンギンが声をかけると、ベポは視線を海に向けたまま少し疲れたような笑みを浮かべる。

「ちょっと怖かったけど…楽しかったよ…」

「そうか

子どもってのは体力すげーからなー

きっとこれからもあんな風に囲まれるぜ」

「そうかな…

だと…いいな…」

「大丈夫！！

ベポがいいやつなのはおれたちが一番良く知ってる

自信持てよ」

「うん、ありがとう」

ベポがペンギンの言葉に笑って返し、ハートの海賊団は次の島に向けて、進路をとった。