初めての島
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どうかしたか?という視線を向けられたので、会計をするためにカウンターに乗せられた本を見る。
≪どうして…わたしが欲しい本、わかったの?≫
ローが選んだのは数ある星関連の本の中でも、恋歌が気になっていた本ばかり。
「お前のことなんざお見通しなんだよ
何年一緒にいると思ってんだ」
ぽんぽん、と頭を撫でられ申し訳なさそうな顔をしていると、今度はぶにっと頬を軽く抓られた。
「おれたちに遠慮をするな
ほしいものはほしいと言え
わかったな?」
元々あまり我儘を言うタイプではないことは知っていたが、これからも一緒に旅をするのに我儘の一つも言えないような間柄では、仲間ともいえない。
あまり納得のいっていなさそうな顔ではあったが、確かに頷いたのを確認して頬から手を離してやる。
欲しいものを欲しいと言う、当たり前の自由を、当たり前にさせてやるために。
「お待たせしましたー
探してきたんですけど、こういうのですか?」
タイミングを見ていたかのように店員が戻ってきて、カウンターに1冊の本を置いた。
それをローが手に取ってぱらぱらと中を確認すると、”ん”と恋歌に本を渡してきた。
『(これ…)』
ローに渡された本の中を確認すれば、それは魔女の文字で書かれた魔女の本。
驚いたようにローに視線を向けると、”持ってないやつか?”と聞いてくる。
『(え、えーと…)』
正直まだ読み切れていない本がたくさんあるので、記憶を呼び起こしてこれと同じ本がなかったかを思い出そうとしている。
「へぇー、おれにはその本何が書いてるかわかんないですけど、お嬢さんは読めるんですか?」
「まぁな、ああいった本はよく入ってくるのか?」
「いえ、基本的に仕入れるのは売れそうなものばかりですしね
誰も読めないような本を仕入れることは稀ですよ」
「それもそうか」
「あれはたしか商船が来た時に、うちの店長が酔った勢いで買ったやつです」
「へぇ」
うーん、と頭に手を当てて持っている本を思い出している恋歌を見ながら、ローは先に他の本の会計を済ませる。
袋に入れられた本を受け取り、じーっと恋歌を見つめていると、恋歌の視線がローの方に向けられた。
「で?いるのか、いらねぇのか?」
『……』
ぎゅっと本を胸に抱いて、しばらくの沈黙の後に頷いた恋歌を見て、よくできたと頭を撫でてやり、恋歌の手から本を抜き取る。
「これも頼む」
「はーい、毎度あり」
売れると思っていなかった本は、無料(タダ)同然の格安の値段だった為、すぐにお金を払って袋に入れる。
「行くぞ」
本の入った袋を持ってくれ、反対の手で恋歌の手を握り軽く引く。
「ありがとうございましたー」
店員の声に見送られ、本屋を出る。
「よし、続きまわるぞ」
ローはちょっとだけ最初より軽い恋歌の足取りに気づいたが、それには特に何も言わず続きを歩き出す。
きょろきょろとする恋歌が、人に当たらないようにさりげなく手を引いたり、歩く場所を端にしたりとしていることは恋歌に気づかれていない。
「(楽しそうならそれでいいか)」
恋歌が主に目に留めるのは可愛いものが並べられている店が多い。
「(年頃の女ってのはこういうのが好きか…)」
容姿は14歳とは思えないほど綺麗で、身体つきも大人びているが、服や可愛らしい小物、ぬいぐるみなど、視線を向けるのは年相応のものばかり。
「恋歌、もっとゆっくり見てもいいぞ」
気になるものがディスプレイに並んでいると、歩く速度が少し遅くなるので、そう声をかければはっとしたように首を横に振った。
「恋歌…おれに2回同じことを言わせるつもりか?」
また頬を軽く抓られた恋歌は、視線を彷徨わせながらぎゅっと目を瞑り、ゆっくりと手をあげて指をさした。
恋歌が指をさした先は、ぬいぐるみがある店。
おそらくディスプレイに並んでいるのがクマのぬいぐるみばかりなので、気になったのだろうとわかり、ふっと笑ってその店に手を引いて連れて行ってくれる。
「いらっしゃい」
店に入れば年配の女性の店員が声をかけてくれ、他にお客もいないのですすっと近寄ってきた。
「好きに見て来い」
店員が横に来る前に手を離して、背中をぽんと押してやると、たくさんあるクマのぬいぐるみを抱き上げて手触りを確認してる。
「どんな子をお探しだい?」
「…たぶん、白クマだ
しばらくあいつの好きに見させてやってくれ」
「あいよ」
『(どの子も可愛い…)』
きらきらとした目で目の前に並ぶ色とりどりのクマたちの頭を撫でたり、手を握ったりして楽しんでいる姿をカウンターにもたれかかるようにして眺めている。
「可愛い子じゃないか
彼女かい?」
にまにまとした笑みを浮かべながらローに話しかけてくる店員に、一瞬だけ視線を向けて”いや…”と否定の言葉を口にする。
「けど…大事な、女だ」
自分に言い聞かせるようにして言ったその言葉に、店員は優しい笑みをこぼして”そうかい”と呟き、それ以上追及することはしなかった。
≪どうして…わたしが欲しい本、わかったの?≫
ローが選んだのは数ある星関連の本の中でも、恋歌が気になっていた本ばかり。
「お前のことなんざお見通しなんだよ
何年一緒にいると思ってんだ」
ぽんぽん、と頭を撫でられ申し訳なさそうな顔をしていると、今度はぶにっと頬を軽く抓られた。
「おれたちに遠慮をするな
ほしいものはほしいと言え
わかったな?」
元々あまり我儘を言うタイプではないことは知っていたが、これからも一緒に旅をするのに我儘の一つも言えないような間柄では、仲間ともいえない。
あまり納得のいっていなさそうな顔ではあったが、確かに頷いたのを確認して頬から手を離してやる。
欲しいものを欲しいと言う、当たり前の自由を、当たり前にさせてやるために。
「お待たせしましたー
探してきたんですけど、こういうのですか?」
タイミングを見ていたかのように店員が戻ってきて、カウンターに1冊の本を置いた。
それをローが手に取ってぱらぱらと中を確認すると、”ん”と恋歌に本を渡してきた。
『(これ…)』
ローに渡された本の中を確認すれば、それは魔女の文字で書かれた魔女の本。
驚いたようにローに視線を向けると、”持ってないやつか?”と聞いてくる。
『(え、えーと…)』
正直まだ読み切れていない本がたくさんあるので、記憶を呼び起こしてこれと同じ本がなかったかを思い出そうとしている。
「へぇー、おれにはその本何が書いてるかわかんないですけど、お嬢さんは読めるんですか?」
「まぁな、ああいった本はよく入ってくるのか?」
「いえ、基本的に仕入れるのは売れそうなものばかりですしね
誰も読めないような本を仕入れることは稀ですよ」
「それもそうか」
「あれはたしか商船が来た時に、うちの店長が酔った勢いで買ったやつです」
「へぇ」
うーん、と頭に手を当てて持っている本を思い出している恋歌を見ながら、ローは先に他の本の会計を済ませる。
袋に入れられた本を受け取り、じーっと恋歌を見つめていると、恋歌の視線がローの方に向けられた。
「で?いるのか、いらねぇのか?」
『……』
ぎゅっと本を胸に抱いて、しばらくの沈黙の後に頷いた恋歌を見て、よくできたと頭を撫でてやり、恋歌の手から本を抜き取る。
「これも頼む」
「はーい、毎度あり」
売れると思っていなかった本は、無料(タダ)同然の格安の値段だった為、すぐにお金を払って袋に入れる。
「行くぞ」
本の入った袋を持ってくれ、反対の手で恋歌の手を握り軽く引く。
「ありがとうございましたー」
店員の声に見送られ、本屋を出る。
「よし、続きまわるぞ」
ローはちょっとだけ最初より軽い恋歌の足取りに気づいたが、それには特に何も言わず続きを歩き出す。
きょろきょろとする恋歌が、人に当たらないようにさりげなく手を引いたり、歩く場所を端にしたりとしていることは恋歌に気づかれていない。
「(楽しそうならそれでいいか)」
恋歌が主に目に留めるのは可愛いものが並べられている店が多い。
「(年頃の女ってのはこういうのが好きか…)」
容姿は14歳とは思えないほど綺麗で、身体つきも大人びているが、服や可愛らしい小物、ぬいぐるみなど、視線を向けるのは年相応のものばかり。
「恋歌、もっとゆっくり見てもいいぞ」
気になるものがディスプレイに並んでいると、歩く速度が少し遅くなるので、そう声をかければはっとしたように首を横に振った。
「恋歌…おれに2回同じことを言わせるつもりか?」
また頬を軽く抓られた恋歌は、視線を彷徨わせながらぎゅっと目を瞑り、ゆっくりと手をあげて指をさした。
恋歌が指をさした先は、ぬいぐるみがある店。
おそらくディスプレイに並んでいるのがクマのぬいぐるみばかりなので、気になったのだろうとわかり、ふっと笑ってその店に手を引いて連れて行ってくれる。
「いらっしゃい」
店に入れば年配の女性の店員が声をかけてくれ、他にお客もいないのですすっと近寄ってきた。
「好きに見て来い」
店員が横に来る前に手を離して、背中をぽんと押してやると、たくさんあるクマのぬいぐるみを抱き上げて手触りを確認してる。
「どんな子をお探しだい?」
「…たぶん、白クマだ
しばらくあいつの好きに見させてやってくれ」
「あいよ」
『(どの子も可愛い…)』
きらきらとした目で目の前に並ぶ色とりどりのクマたちの頭を撫でたり、手を握ったりして楽しんでいる姿をカウンターにもたれかかるようにして眺めている。
「可愛い子じゃないか
彼女かい?」
にまにまとした笑みを浮かべながらローに話しかけてくる店員に、一瞬だけ視線を向けて”いや…”と否定の言葉を口にする。
「けど…大事な、女だ」
自分に言い聞かせるようにして言ったその言葉に、店員は優しい笑みをこぼして”そうかい”と呟き、それ以上追及することはしなかった。