初めての島
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町に入ればがやがやと賑やかな声が聞こえてくる。
その声が大きくなればなるほど、恋歌の手に力が入っていくのが伝わってくる。
少しでも緊張がほぐれればと、ローも恋歌の手を強く握り返すと、ほっとしたように笑みを向けてくるので、何かあればすぐに対処できるように周りに意識を向けながら歩く。
「気になったもんがあれば言え」
おどおどしながらもきょろきょろと周りを見渡している恋歌に声をかけると、頷きが返ってくる。
手を繋いだままゆっくりと町を歩き、昨日一周したときに効率のいい回り方は考えていた為、恋歌がまんべんなく町の様子を見れるように先導してくれる。
『(あ…)』
「ん?」
ぴたっと恋歌が止まった事に気づいたローが、恋歌の視線の先を見ると、そこには本屋があった。
「入るか?」
本が好きな事を知っている為、本屋に目を留めるのは予想していた事だったが、恋歌は本屋から視線を逸らして首を横に振った。
「…そうか
じゃあおれが行きてぇから行くぞ」
ふぅ、と息を吐いて恋歌の手を引けば、驚いたような顔をしているが、きちんとついてくる。
『(本屋さんの匂い…)』
ローが開けてくれた扉がからんからん、と入口の鈴を鳴らし、来客を知らせる音が静かな本屋に響き、奥の方から”いらっしゃい”と男の声が聞こえてきた。
その声にびくっと反応した恋歌は、声のした方からローの背中に隠れるように身体を動かし、店内の本をぐるりと見渡す。
『(見た事ない本がたくさんある…)』
本屋で3年間働いていたが、働いていた本屋では見た事のない本がたくさんある事に気づいて、目を輝かせている。
「…おい、ちょっと聞きてぇんだが」
「はいはい、どんな本をお探しで?」
恋歌を背に隠したまま店員に声をかけると、店員がローの近くに寄ってきた。
「天体関連の本と、医学書はあるか」
「あー、それだと本棚の場所が違いますね
先に天体関連の本棚にご案内しましょうか?」
「ああ」
店員もローの後ろに女がいる事はわかっていたが、特に気にする様子もなく本棚に案内してくれる。
「ここに天体や星座などの関連本があります
医療関係の本棚にも先に案内しましょうか?」
「いや…それは」
恋歌が見た後でいいと言おうとしたが、恋歌が自分の手を引いた事に気づいて振り返る。
なにか話したそうだったので手を離してやると、≪ローも自分の好きな本を見てきて≫と言われた。
「別におれは星関連の本に興味がねぇわけじゃ…」
≪でも、医学書も気になるでしょ?≫
「…一人で平気か?」
≪うん≫
ローの言葉に嘘はないが、どちらかといえば興味を引かれるのは医学書の方。
恋歌と本屋に来るだろうと、昨日はわざと本屋に寄らなかった。
こんなことなら先に自分の買い物は済ましておくべきだったと思ったが、ここで一人になることも、リハビリになればと思い、すこしの時間離れる事にした。
店員につれられ、医学書がある棚に連れて行かれるローを見送って、星の本が並んでいる本棚を見上げる。
『(そうだ
ベポに教えられるような星と方角についての本はないかな)』
昨日ベポにある程度教えたつもりではあるが、本や挿絵があった方が覚えやすいのではと、そういった本がないかを視線を滑らせて確認する。
いくつか興味を引いたタイトルの本を手に取り、内容を少し見てから本棚に戻すというのを何度か繰り返していると、少し高い場所にベポとの勉強で使えそうな本がある事に気づいた。
『(ぎりぎり…と、どかない…)』
ぐぐっと背伸びをして手を伸ばすが、指先が本に触れるだけで本を取り出す事が出来ない。
「お客さん、とりますよ」
『!!』
いつの間にか台を持って現れた店員に驚いた恋歌だったが、仕事ととして対応してくれているのだと自分を落ち着かせ、ぺこりと頭を下げた。
「どれですか?」
これ?これ?、と恋歌が手を伸ばしていた近くの本を指さして、恋歌に確認をとって、頷いた本をとって渡してやる。
ぱらぱらと中を確認している恋歌を、店員がじっと見ているが、それに恋歌は気づいていない。
「なにか言いてぇことでもあんのか」
『(ロー…?)』
医学書をいくつか抱えたローが、恋歌の事を見つめている店員に気づいて、また背に隠すように間に入ってきた。
「あ、いえ…
綺麗な方だなと…不快にさせたならすいません」
『(え…?)』
照れくさそうに笑う店員に恋歌がぽかんとしていると、ローがそういうことかと警戒を解いた。
たしかに今日の恋歌は、シャチに髪を整えてもらい、薄く化粧までしてもらっている為、いつもより綺麗ではある。
「こんなに綺麗な方なら警戒しちゃいますよね」
「…まぁな」
はははっ、と笑う店員にローも笑みを返すと、恋歌が持っている本をローにとられた。
「他に欲しいもんは?」
首を横に振る恋歌の顔をじー、っと見て、はぁとため息をついたローは、なぜか星関連の本が並んでいる本棚をじっと見つめる。
ぐるっと見渡した後、いくつか本棚から本を抜いて医学書の上に積み上げていく。
『??』
「よし、行くぞ」
片手で軽々と本を何冊も持っているが、医学書と星関連の本は半々といったところ。
不思議そうな顔をしながら会計をしようとするローの背中を追いかける。
「そうだ
ここに別の種族の文字で書かれた本とかねぇか」
「うーん、あったような…ちょっと待っててください」
店員がどこかに行ったあと、ローの服の袖を引くと、視線を向けてくれる。
その声が大きくなればなるほど、恋歌の手に力が入っていくのが伝わってくる。
少しでも緊張がほぐれればと、ローも恋歌の手を強く握り返すと、ほっとしたように笑みを向けてくるので、何かあればすぐに対処できるように周りに意識を向けながら歩く。
「気になったもんがあれば言え」
おどおどしながらもきょろきょろと周りを見渡している恋歌に声をかけると、頷きが返ってくる。
手を繋いだままゆっくりと町を歩き、昨日一周したときに効率のいい回り方は考えていた為、恋歌がまんべんなく町の様子を見れるように先導してくれる。
『(あ…)』
「ん?」
ぴたっと恋歌が止まった事に気づいたローが、恋歌の視線の先を見ると、そこには本屋があった。
「入るか?」
本が好きな事を知っている為、本屋に目を留めるのは予想していた事だったが、恋歌は本屋から視線を逸らして首を横に振った。
「…そうか
じゃあおれが行きてぇから行くぞ」
ふぅ、と息を吐いて恋歌の手を引けば、驚いたような顔をしているが、きちんとついてくる。
『(本屋さんの匂い…)』
ローが開けてくれた扉がからんからん、と入口の鈴を鳴らし、来客を知らせる音が静かな本屋に響き、奥の方から”いらっしゃい”と男の声が聞こえてきた。
その声にびくっと反応した恋歌は、声のした方からローの背中に隠れるように身体を動かし、店内の本をぐるりと見渡す。
『(見た事ない本がたくさんある…)』
本屋で3年間働いていたが、働いていた本屋では見た事のない本がたくさんある事に気づいて、目を輝かせている。
「…おい、ちょっと聞きてぇんだが」
「はいはい、どんな本をお探しで?」
恋歌を背に隠したまま店員に声をかけると、店員がローの近くに寄ってきた。
「天体関連の本と、医学書はあるか」
「あー、それだと本棚の場所が違いますね
先に天体関連の本棚にご案内しましょうか?」
「ああ」
店員もローの後ろに女がいる事はわかっていたが、特に気にする様子もなく本棚に案内してくれる。
「ここに天体や星座などの関連本があります
医療関係の本棚にも先に案内しましょうか?」
「いや…それは」
恋歌が見た後でいいと言おうとしたが、恋歌が自分の手を引いた事に気づいて振り返る。
なにか話したそうだったので手を離してやると、≪ローも自分の好きな本を見てきて≫と言われた。
「別におれは星関連の本に興味がねぇわけじゃ…」
≪でも、医学書も気になるでしょ?≫
「…一人で平気か?」
≪うん≫
ローの言葉に嘘はないが、どちらかといえば興味を引かれるのは医学書の方。
恋歌と本屋に来るだろうと、昨日はわざと本屋に寄らなかった。
こんなことなら先に自分の買い物は済ましておくべきだったと思ったが、ここで一人になることも、リハビリになればと思い、すこしの時間離れる事にした。
店員につれられ、医学書がある棚に連れて行かれるローを見送って、星の本が並んでいる本棚を見上げる。
『(そうだ
ベポに教えられるような星と方角についての本はないかな)』
昨日ベポにある程度教えたつもりではあるが、本や挿絵があった方が覚えやすいのではと、そういった本がないかを視線を滑らせて確認する。
いくつか興味を引いたタイトルの本を手に取り、内容を少し見てから本棚に戻すというのを何度か繰り返していると、少し高い場所にベポとの勉強で使えそうな本がある事に気づいた。
『(ぎりぎり…と、どかない…)』
ぐぐっと背伸びをして手を伸ばすが、指先が本に触れるだけで本を取り出す事が出来ない。
「お客さん、とりますよ」
『!!』
いつの間にか台を持って現れた店員に驚いた恋歌だったが、仕事ととして対応してくれているのだと自分を落ち着かせ、ぺこりと頭を下げた。
「どれですか?」
これ?これ?、と恋歌が手を伸ばしていた近くの本を指さして、恋歌に確認をとって、頷いた本をとって渡してやる。
ぱらぱらと中を確認している恋歌を、店員がじっと見ているが、それに恋歌は気づいていない。
「なにか言いてぇことでもあんのか」
『(ロー…?)』
医学書をいくつか抱えたローが、恋歌の事を見つめている店員に気づいて、また背に隠すように間に入ってきた。
「あ、いえ…
綺麗な方だなと…不快にさせたならすいません」
『(え…?)』
照れくさそうに笑う店員に恋歌がぽかんとしていると、ローがそういうことかと警戒を解いた。
たしかに今日の恋歌は、シャチに髪を整えてもらい、薄く化粧までしてもらっている為、いつもより綺麗ではある。
「こんなに綺麗な方なら警戒しちゃいますよね」
「…まぁな」
はははっ、と笑う店員にローも笑みを返すと、恋歌が持っている本をローにとられた。
「他に欲しいもんは?」
首を横に振る恋歌の顔をじー、っと見て、はぁとため息をついたローは、なぜか星関連の本が並んでいる本棚をじっと見つめる。
ぐるっと見渡した後、いくつか本棚から本を抜いて医学書の上に積み上げていく。
『??』
「よし、行くぞ」
片手で軽々と本を何冊も持っているが、医学書と星関連の本は半々といったところ。
不思議そうな顔をしながら会計をしようとするローの背中を追いかける。
「そうだ
ここに別の種族の文字で書かれた本とかねぇか」
「うーん、あったような…ちょっと待っててください」
店員がどこかに行ったあと、ローの服の袖を引くと、視線を向けてくれる。