初めての島
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数分して戻ってきたベポの手には一冊の本が握られている。
「おれ、恋歌に教えてほしいことがあって…」
『?』
なんだろうと、ベポが持っている本の表紙を見れば航海術の本。
器用にぺらぺらとページをめくって、あるページを開いて恋歌に渡す。
『(えっと…ああ、星と方角の話ね)』
「星座とか星を見たらコンパスがなくても方角がわかるって書いてあるんだけど、おれ、全然頭に入らなくてさ
星のことなら恋歌から聞いた方がきっと覚えられると思うんだ!」
たしかに何かの拍子にコンパスが壊れてしまったり、手元に方角を確認する手段がない場合、太陽の位置や星の位置で方角はわかる。
これからの航海で必要になるかもと覚えようとしたらしいが、うまく覚えられないらしく、星に詳しい恋歌に聞こうと思い立ったらしい。
《わたしにわかることだったらなんでも答えるよ
わたしも航海術の勉強になるしね》
「やったー!
じゃあね…」
嬉しそうに寄り添って本を見るベポの柔らかい毛並に身体を預けて、2人で一冊の本を覗きこむ。
しばらく2人で勉強をして、お互いのお腹の音が同時に鳴り、お昼時ということに気づく。
「お昼にしよっか」
≪そうだね≫
お昼時には帰ってこれないかもしれないと言われていた為、2人で用意していたおにぎりを食べる。
おにぎりを食べ終えれば勉強の続きをし、空が曇ってきたところで慌てて洗濯物を船内に取り込む。
「みんな遅いね」
いつの間にか時刻は夕方になり、空も曇っているせいでもっと遅い時間のようにも感じる。
最初は2人で手すりにもたれかかりながら3人の帰りを待っていたが、ぽつぽつと雨が降ってきたため一先ず2人も船内に避難した。
今では土砂降りになり、甲板にも雨水がたまってきている。
ベポが外が見える窓に張り付いているが、まだ3人が帰ってくる気配はない。
「せっかく夜はペンギンとシャチのご飯が食べられると思ってたのに…」
『……』
寂しいのか、ベポがしょんぼりしだしたため、甲板に出る扉を開けて、そこにベポを座らせる。
「なにするの?」
恋歌もベポの前に座り、背中をベポの背中に預けると、深呼吸をした。
『【我は星々の支配者
雲を蹴散らし姿を見せよ】』
「え?」
恋歌の声に応えるように雲が裂け、隙間から陽の光が差し込む。
『【アクエリアス】』
「わぁ…!」
小雨になった雨を操り、虹を作り出すとベポが嬉しそうにきらきらとした視線を向けてくる。
「すごい…恋歌、すごいよ!」
ベポが笑ってくれたことにほっとし、甲板にたまった水も操って遊んでいると、ばたばたと船に上がってくる足音が聞こえてきた。
「あ!やっぱり恋歌か!!」
荷物を抱えて少し濡れている3人は、水で遊んでいる恋歌とベポを見て、シャチが声を上げた。
「いやー、帰ろうと思ったら急に雨降りだしてさ
取り敢えず少し落ち着くまで雨宿りしてたら、急に雲が裂けるんだもんなー
しかも虹まで出てたし」
「恋歌かなって思ってたけど、予想通りだったな」
≪そうかなって思ってた
みんなあんまり濡れてなくてよかったよ≫
「ありがとな
食材もあったし正直助かった」
ベポの脚の間にいる恋歌の頭を撫でて、にかっと笑うペンギンを見て、ベポが恋歌に視線を落とす。
「恋歌…もしかして、おれのために…?」
「ん?何の話?」
入口にいつまでも座っていては邪魔だろうと、恋歌が立ちあがりぽかんとしているベポに手を差し出す。
『お留守番、楽しかったね』
優しく笑ってくれる恋歌に、ベポも嬉しそうに笑って恋歌の手を握る。
「うん!!」
寂しそうにしていたベポの為に、突然の土砂降りで足止めをされているだろう3人に帰ってきてもらう為に、魔法を使った。
そのことに気づいたのはベポだけ。
「ちょっと遅くなっちまったから悪いけど手伝ってくれるか?」
「もちろん!」
食材を抱えたペンギンとシャチにベポが着いていき、服に着いた滴をはらっているローに視線を向ける。
『おかえり』
「ああ、悪かったな
初めての島で留守番させて」
『気にしないで』
ローの後ろの空を見ればまた雨が降り出しそうな雲行きが戻ってきている。
『ん!?』
降り出す前に中に入った方がいいとローの手を引けば、反対に手を引っ張られ気づけば唇が重なっていた。
「留守番と…ベポのことお疲れさん」
少ししてから離された唇と手にぽかんとしていると、頭をぽんと撫でられ、ローは何事もなかったかのように船内に入っていく。
『な、んで…』
「ん?
魔法、使ったんだろ」
空を指さしながらにやっと笑うローに、顔を赤くしながら背中を叩くが、ダメージはないらしく楽しそうに笑っているだけだった。
「おれ、恋歌に教えてほしいことがあって…」
『?』
なんだろうと、ベポが持っている本の表紙を見れば航海術の本。
器用にぺらぺらとページをめくって、あるページを開いて恋歌に渡す。
『(えっと…ああ、星と方角の話ね)』
「星座とか星を見たらコンパスがなくても方角がわかるって書いてあるんだけど、おれ、全然頭に入らなくてさ
星のことなら恋歌から聞いた方がきっと覚えられると思うんだ!」
たしかに何かの拍子にコンパスが壊れてしまったり、手元に方角を確認する手段がない場合、太陽の位置や星の位置で方角はわかる。
これからの航海で必要になるかもと覚えようとしたらしいが、うまく覚えられないらしく、星に詳しい恋歌に聞こうと思い立ったらしい。
《わたしにわかることだったらなんでも答えるよ
わたしも航海術の勉強になるしね》
「やったー!
じゃあね…」
嬉しそうに寄り添って本を見るベポの柔らかい毛並に身体を預けて、2人で一冊の本を覗きこむ。
しばらく2人で勉強をして、お互いのお腹の音が同時に鳴り、お昼時ということに気づく。
「お昼にしよっか」
≪そうだね≫
お昼時には帰ってこれないかもしれないと言われていた為、2人で用意していたおにぎりを食べる。
おにぎりを食べ終えれば勉強の続きをし、空が曇ってきたところで慌てて洗濯物を船内に取り込む。
「みんな遅いね」
いつの間にか時刻は夕方になり、空も曇っているせいでもっと遅い時間のようにも感じる。
最初は2人で手すりにもたれかかりながら3人の帰りを待っていたが、ぽつぽつと雨が降ってきたため一先ず2人も船内に避難した。
今では土砂降りになり、甲板にも雨水がたまってきている。
ベポが外が見える窓に張り付いているが、まだ3人が帰ってくる気配はない。
「せっかく夜はペンギンとシャチのご飯が食べられると思ってたのに…」
『……』
寂しいのか、ベポがしょんぼりしだしたため、甲板に出る扉を開けて、そこにベポを座らせる。
「なにするの?」
恋歌もベポの前に座り、背中をベポの背中に預けると、深呼吸をした。
『【我は星々の支配者
雲を蹴散らし姿を見せよ】』
「え?」
恋歌の声に応えるように雲が裂け、隙間から陽の光が差し込む。
『【アクエリアス】』
「わぁ…!」
小雨になった雨を操り、虹を作り出すとベポが嬉しそうにきらきらとした視線を向けてくる。
「すごい…恋歌、すごいよ!」
ベポが笑ってくれたことにほっとし、甲板にたまった水も操って遊んでいると、ばたばたと船に上がってくる足音が聞こえてきた。
「あ!やっぱり恋歌か!!」
荷物を抱えて少し濡れている3人は、水で遊んでいる恋歌とベポを見て、シャチが声を上げた。
「いやー、帰ろうと思ったら急に雨降りだしてさ
取り敢えず少し落ち着くまで雨宿りしてたら、急に雲が裂けるんだもんなー
しかも虹まで出てたし」
「恋歌かなって思ってたけど、予想通りだったな」
≪そうかなって思ってた
みんなあんまり濡れてなくてよかったよ≫
「ありがとな
食材もあったし正直助かった」
ベポの脚の間にいる恋歌の頭を撫でて、にかっと笑うペンギンを見て、ベポが恋歌に視線を落とす。
「恋歌…もしかして、おれのために…?」
「ん?何の話?」
入口にいつまでも座っていては邪魔だろうと、恋歌が立ちあがりぽかんとしているベポに手を差し出す。
『お留守番、楽しかったね』
優しく笑ってくれる恋歌に、ベポも嬉しそうに笑って恋歌の手を握る。
「うん!!」
寂しそうにしていたベポの為に、突然の土砂降りで足止めをされているだろう3人に帰ってきてもらう為に、魔法を使った。
そのことに気づいたのはベポだけ。
「ちょっと遅くなっちまったから悪いけど手伝ってくれるか?」
「もちろん!」
食材を抱えたペンギンとシャチにベポが着いていき、服に着いた滴をはらっているローに視線を向ける。
『おかえり』
「ああ、悪かったな
初めての島で留守番させて」
『気にしないで』
ローの後ろの空を見ればまた雨が降り出しそうな雲行きが戻ってきている。
『ん!?』
降り出す前に中に入った方がいいとローの手を引けば、反対に手を引っ張られ気づけば唇が重なっていた。
「留守番と…ベポのことお疲れさん」
少ししてから離された唇と手にぽかんとしていると、頭をぽんと撫でられ、ローは何事もなかったかのように船内に入っていく。
『な、んで…』
「ん?
魔法、使ったんだろ」
空を指さしながらにやっと笑うローに、顔を赤くしながら背中を叩くが、ダメージはないらしく楽しそうに笑っているだけだった。