初めての島に辿り着くまで
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食堂に行けばもう3人は揃っており、ローの顔を見た瞬間に寝ていないことがバレ、全員から夜はちゃんと寝るようにと小言を言われていた。
「……」
今日の不寝番であるペンギンはすでに見張りをしており、シャチとベポは一緒にお風呂。
ローと恋歌は食堂で食後のまったりとした時間を読書で過ごしている。
時折本から視線を外して、ローが恋歌になにか言いたげな視線を向けているが、恋歌が全くそれに気づいていない。
頬杖をついて本から視線を外さない恋歌に、はぁとため息をついてローが立ち上がると、やっと視線が向いた。
《寝るの?》
「…いや」
がたがたと椅子を移動させて恋歌の横に座ると、持っていた本を恋歌にも見えるように置いた。
「これなんだが…」
ローが見せてきたのは入院していた時に翻訳した魔女の身体の仕組みについての本。
開いているページには治癒魔法を使った時の魔力の流れについて記載がある。
「治癒魔法ってのが…あるのか…?」
『(そっちか)』
ローの興味を引いたのは治癒魔法だったようで、いきいきとした眼をしている。
『あるよ』
「恋歌も使えたりするのか…?」
んー、と少し考え本を取り出してぺらぺらとページをめくって、あるページで手を止める。
『でき、そうではあるけど…そんなに、大きな怪我は治せない、かな?』
「それでもいい
これ…治したりできるか?
魔力はおれから好きなだけ持っていっていいから」
これ、と言われて出された腕には鍛錬の時についた軽いかすり傷がある。
わくわくした顔をしているローの視線に、断ることなどできず、そっとその傷の上に手を乗せる。
いつもの星の魔法陣が現れ、傷のある場所があったかい感じがする。
「(あまり変化は感じねぇな…)」
温かい以外の変化は感じられず、治っている感覚はない。
『どう?』
「塞がってる…」
だが、恋歌が手を離すと、傷は消え見た目には治っているように見える。
まじまじと自分の腕を見つめ、何かを考えるような表情をしている。
「これは…どれぐらいの傷が治せる」
《わたしは治癒魔法の適性がないから、いまみたいな小さな傷とかぐらいかな…
もっと練習して、魔力量を増やせば…ローのお手伝いぐらいはできるかも》
「十分だ
これと時間を止める魔法と合わせれば…成功する手術が増える」
医療と魔法の組み合わせで、いろんな可能性が広がると少年のような顔をしているローを見て、しっかり練習しようと治癒魔法の使い方が書いてあるページに折り目をつけた。
「付き合わせて悪かったな
魔力必要な分もらってくれ」
少しだけ申し訳なさそうな顔をして手を差し出してくれたが、必要ないと首を横に振る。
《もうあとは寝るだけだし、あれぐらいなら大した魔力も使ってないから大丈夫だよ》
「そうか
必要な時はいつでも言え」
椅子を片付け、寝ると言って立ち上がり、そうだと何か思い出したようにぽんと頭に手を置かれ、恋歌の耳元に口を寄せた。
「キスなら、いつでもしてやる」
『!?』
耳元で低い声で囁かれ、ばっ、と耳を押さえてローから離れると、ローは肩を震わせて笑っている。
「おやすみ」
真っ赤な顔をしている恋歌を置いて、ひらひらと手を振りながら食堂から出て行った。
『(な、なんなの…)』
1人になって静まり返った食堂でしばらく頭を抱えた後、からかわれているだけだと、考えないように自分の部屋に戻った。
「……」
今日の不寝番であるペンギンはすでに見張りをしており、シャチとベポは一緒にお風呂。
ローと恋歌は食堂で食後のまったりとした時間を読書で過ごしている。
時折本から視線を外して、ローが恋歌になにか言いたげな視線を向けているが、恋歌が全くそれに気づいていない。
頬杖をついて本から視線を外さない恋歌に、はぁとため息をついてローが立ち上がると、やっと視線が向いた。
《寝るの?》
「…いや」
がたがたと椅子を移動させて恋歌の横に座ると、持っていた本を恋歌にも見えるように置いた。
「これなんだが…」
ローが見せてきたのは入院していた時に翻訳した魔女の身体の仕組みについての本。
開いているページには治癒魔法を使った時の魔力の流れについて記載がある。
「治癒魔法ってのが…あるのか…?」
『(そっちか)』
ローの興味を引いたのは治癒魔法だったようで、いきいきとした眼をしている。
『あるよ』
「恋歌も使えたりするのか…?」
んー、と少し考え本を取り出してぺらぺらとページをめくって、あるページで手を止める。
『でき、そうではあるけど…そんなに、大きな怪我は治せない、かな?』
「それでもいい
これ…治したりできるか?
魔力はおれから好きなだけ持っていっていいから」
これ、と言われて出された腕には鍛錬の時についた軽いかすり傷がある。
わくわくした顔をしているローの視線に、断ることなどできず、そっとその傷の上に手を乗せる。
いつもの星の魔法陣が現れ、傷のある場所があったかい感じがする。
「(あまり変化は感じねぇな…)」
温かい以外の変化は感じられず、治っている感覚はない。
『どう?』
「塞がってる…」
だが、恋歌が手を離すと、傷は消え見た目には治っているように見える。
まじまじと自分の腕を見つめ、何かを考えるような表情をしている。
「これは…どれぐらいの傷が治せる」
《わたしは治癒魔法の適性がないから、いまみたいな小さな傷とかぐらいかな…
もっと練習して、魔力量を増やせば…ローのお手伝いぐらいはできるかも》
「十分だ
これと時間を止める魔法と合わせれば…成功する手術が増える」
医療と魔法の組み合わせで、いろんな可能性が広がると少年のような顔をしているローを見て、しっかり練習しようと治癒魔法の使い方が書いてあるページに折り目をつけた。
「付き合わせて悪かったな
魔力必要な分もらってくれ」
少しだけ申し訳なさそうな顔をして手を差し出してくれたが、必要ないと首を横に振る。
《もうあとは寝るだけだし、あれぐらいなら大した魔力も使ってないから大丈夫だよ》
「そうか
必要な時はいつでも言え」
椅子を片付け、寝ると言って立ち上がり、そうだと何か思い出したようにぽんと頭に手を置かれ、恋歌の耳元に口を寄せた。
「キスなら、いつでもしてやる」
『!?』
耳元で低い声で囁かれ、ばっ、と耳を押さえてローから離れると、ローは肩を震わせて笑っている。
「おやすみ」
真っ赤な顔をしている恋歌を置いて、ひらひらと手を振りながら食堂から出て行った。
『(な、なんなの…)』
1人になって静まり返った食堂でしばらく頭を抱えた後、からかわれているだけだと、考えないように自分の部屋に戻った。