「あの…今お暇ですか？」

恋歌とニーナの前にパラソルとは違う影が指したかと思うと頭上から声をかけられた。

二人が顔を上げるとそこには二人の男が立っていた。

一人は声をかけてきたのであろう金髪だが優しそうな風貌の男、もう一人はそれを見守るように一歩下がって腕組みをし眉間に皺をよせながら立っている若干強面黒髪の男。

「えと、よかったら俺たちと一緒に向こうで遊びませんか？」

向こうと言われて指を指された先には一隻の海賊船。

「馬鹿かお前は！」

優しそうな男が強面の男に頭を殴られている。

「な、何が？」

「いきなり声かけられて海賊船指さして遊びませんか？って言われて誰がついていくんだよ

名前ぐらい名乗れ」

殴られた頭を痛そうに擦っていたが正論を言われ、はっとした顔になる。

「そ、それもそうだね

えっと、俺はリーシャ海賊団副船長カムイって言います

こっちは同じくリーシャ海賊団のクルーでグレイです」

ニ「はぁ…」

自身をカムイと名乗った男はそれから何を話していいのかわからなくなったのか後ろにいるグレイに助けを求める。

グ「あのなぁ…俺に助けを求めるな

あんたら悪いけど暇潰しにこいつに付き合ってやってくれねぇか？

俺たちは海賊だが別にとって食おうってわけじゃねぇ

そこは信じてほしい」

『はい』

グ「そっちの方は知らねぇけどあんたは海の麗人だろ？」

ニーナを見ながら言うグレイにニーナが視線を向ける。

グ「まぁそう睨むなって

言ったろ？とって食おうってわけじゃないってな

俺らは純粋にあんたらを誘いに来ただけ

だからさ「お断りします」って即答かよ！」

グレイが話しているのを遮ってニーナは即答で断った。

もう視線すらも向けていない。

傍でそのやり取りを聞いていたマルコは肩を震わせて声を押し殺しながら笑っている。

『(マルコさん他人のフリしてる…

ていうかマルコさんに気づいてないのかな？)』

ひとつ隣のパラソルにマルコはいるのだが有名な白ひげ海賊団の一番隊隊長の顔を知らないということはないだろう。

『(サングラスでわからないのかな)』

ニーナにあしらわれても引くつもりが無さそうなカムイとグレイに恋歌はため息をついた。

グレイが少しイライラし始めたのを横目で見ながら痺れをきらしたようにニーナに手を伸ばした。

しかしそれは届くことなくニーナに手を弾かれる。

ニ「私に触らないで」

カ「何でそんなに拒むんです？」

ニ「あなたには関係ない」

カ「…貴女の過去が原因ですか？」

ニ「!!」

カムイの言った言葉に今まで興味なさそうに視線を反らしていた目を睨み付けるように向ける。

ニ「何が言いたいの？」

カ「あ、いやあなたを怒らせたいわけじゃないんです！」

慌てて弁解し始めたカムイにニーナは怪訝そうな目をする。

カ「貴女の過去のことはあの頂上戦争の時に知りました

顔だけは手配書でそれより前に知ってはいたんです

懸賞金五億のALIVE指定された海の麗人」

ニ「だから？」

警戒の体勢を解かないニーナの目をカムイは意を決したようにまっすぐに見つめた。



カ「俺は…

貴女が、ニーナさんが…好きなんです」

ニ「え？」