夕食は食堂で食べることになった。

恋歌が歩けば隊員たちは気遣ってくれて道を開けてくれる。

エースも恋歌の手を握ってもしもの時のために誘導していてくれる。

『(こんな優しい人たちを巻き込みたくないんだけどなぁ…)』

ローラのことも片付けたいがこの優しい人たちを巻き込まない方法はないものかと考える。

エ「恋歌、ここに座ってろ」

エースに促されてひとつの椅子に座る。

隣が空いているところをみると恐らくエースが座ると思ってみんな遠慮しているようだ。

イ「よう姫さん

もう歩けるようになったんだって？」

向かいに座ったのはイゾウだった。

続いて他の隊長たちも恋歌の近くに座る。

ジ「元気になったのならなによりだ」

『ありがとうございます

もうこの通り元気ですよ』

恋歌が力瘤を作って見せると隊長たちは大声で笑いだした。

イ「姫さんそれじゃあ誰も納得しねぇって！」

ジ「そんな細腕で元気だと言われてもなぁ！」

『元気なんですってば…』

サッチ「盛り上がってんじゃん

なんの話？」

両手に大量の料理が入った皿を持っているサッチが恋歌たちのいる机にそれを置いていく。

イ「いや、姫さんがな

こんな細っこい腕で元気だなんて言うもんだからさ」

サッチ「ははっ、そりゃ元気じゃねぇよ

俺の料理食って前の体重に戻ったら元気になったってことだよ」

『でもサッチさんの料理美味しいから逆に太っちゃいますよ』

サッチ「恋歌ちゃんはもう少し太った方がいいよ

そっちの方がエースも抱き心地がよくなるからさ
…いった！」

エ「余計なこと言うな！」

サッチが急に頭を押さえたかと思ったら後ろにはエースがいて拳を握りしめているところを見るとサッチを殴ったようだ。

サッチ「事実じゃんよ」

『抱き心地ですか…』

エ「あ、いや、今の恋歌に不満があるとかじゃなくてだな…！」

真剣に悩みだした恋歌に勘違いされては困ると慌てて弁解する。

『エースはどっちがいいの？』

悩んだ末本人に聞くことにしたようだ。

エ「俺は…その…」

サッチ「言えよ

恋歌ちゃんが聞いてんだよ」

エ「その…もうちょっとだけ肉があった方が…

今はその…細すぎて抱き締めたらおっちまいそうだからさ…」

『そっか

大丈夫、そんな簡単に折れないよ

でも体力つけるためにも食べないとね』

エースの答えを聞いた恋歌は気合いを入れてサッチの用意してくれた料理を食べた。




またあの視線を背中に感じながら。