パラレル番外

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恋歌の髪を直した後、ローはベポたちを助けに行くために家から出て行ってしまった。

珠は持って行ったようで居場所はわかる。

何かあったときはちゃんと使って欲しいと頼んだが、ローからの返事ははっきりとしたものではなかった。

ローにとって恋歌はまだ守るべき対象であり、危険な場所に恋歌を自ら呼ぶことはしたくないと考えている。

ローを見送った後、家の外に出て座ってぼーっと空を見ていると、ナミが家から出てきて横にストンと座った。

ナ「恋歌、あんたはこれからどうするの?」

『…気になることがあるからルフィのところかな』

ナ「そう」

『ナミもこれ持ってて』

自分を呼び出せる珠をナミに渡すと、しばらくそれを見つめてナミが小さくため息をついた。

ナ「あんたこれほぼ全員に渡してるみたいだけど、ちゃんと自分の気持ちを大事にしなさいよ」

『どういうこと?』

ナ「いつもルフィとわたしたちを優先してくれるけど、今回はトラ男もこれ持ってるんでしょ?」

『う、うん』

ナ「だったら今回恋歌が一番気にしなきゃいけないのはトラ男よ

ルフィもわたしたちも恋歌のことを理解してここぞっていう時に使わせてもらうわ

けど、あいつはまだ恋歌のことを桜姫として見れてない

さっきの感じじゃピンチの時でも恋歌を呼ばないわ」

別れ際に何かあれば呼んで欲しいとは伝えたが、ちゃんとした返事がもらえなかったことが心に引っかかってはいた。

ナミにそう言われて引っかかっていたことは解決できたが、どうしてもローを優先するということができないことは自分が一番わかっている。

ナ「恋歌!」

『!!』

俯いてぐるぐると思考を巡らせていると、いきなりナミに両頬をぱちんと挟まれ視線を合わせられた。

ナ「ちゃんと上を向いて、大事な人を守ることを考えなさい

あんたは…世界最強の桜姫でしょ

なんだってできるわ」

『ナミ…』

恋歌ならできることはもっとあるはずなのに自分の力の制限をつけているのは恋歌自身。

力の制限をなくした時、世界最強の名に相応しい力が発揮できることは頂上戦争の時の結果を見れば明らか。

カイドウを倒してはいけないという制限で恋歌が動きにくくなっていることがわかっているナミは、恋歌が大事な人を守るために動けるようにと背中を押してくれる。

『うん…そう、だね…

今わたしにできること…ちゃんとやる』

カイドウを倒すことはしないが、倒す手伝いはすると元から決めていた。

そしてその最大の手伝いは集まった戦力を無事に鬼ヶ島へ送り届けること。

『ナミ、わたし持ってる力ちゃんと使う

この力は…守るためにもらった力なんだから』

ナ「そうなのね

あ、でもわたしはちゃんとこれ割ったら助けに来てよね」

『もちろん

あ、じゃあちょっとそれ貸して』

ナミに渡した珠を一度受け取り、ぎゅっと握りしめると一瞬光りを発しすぐにおさまった。

『はい、これ持ってて』

ナ「?

なにしたの?」

『ちょっとね

みんなにもしてくる』

笑顔で走っていく恋歌を見送って、恋歌からもう一度受け取った珠をまじまじと見てみるがなにが変わったのかわからない。

ナ「ったく、あの子はなんでもできるのに変なとこ頭固いんだから…」







麦わらの一味に渡していた分全てをナミにしたように細工をした恋歌は、ルフィのところへ行くと言ってえびす町から歩いて出て行った。

ウ「恋歌のやつなんで歩いて行ったんだ?」

いつもなら空を飛んで行くはずなのにと、まだ背中が見える恋歌の行動が気になったウソップは、横に座るナミに尋ねる。

ナ「たぶん…恋歌が自分の正体を明かしてない人が近くにたくさんいるからだと思うけど…」

カン十郎にトの康、そしてえびす町の町人たちは恋歌の正体を知らない。

カン十郎はともかく、トの康を含むえびす町の町人たちは恋歌のことを不思議な力が使える女としか認識していない。

しかもえびす町で使ったのは風呂を作るために必要な力のみ。

念の為普通に出て行った様に見せているのだとナミは考えているが、それが違う理由とわかるのはもう少し先の話。
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