大恩人の形見

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?開始時間になったため、呼ばれたAグループの戦士たちはぞろぞろと闘技場へ向かっていく。

ここのコロシアムの形状は円形で中心に闘技場、闘技場の周りには少しの溝。

観客は数万人が収まるだろう規模で満員。

至る所に海軍が配置されており、実況席と1番高い場所には王族と思われる風貌の男女が4人。

おそらく国王夫妻と王子と、ジェシカの婚約者に求婚したお姫様。

金髪縦ロールで口元を扇子で覆って薄ら笑いを浮かべている王女は確かに美人ではあるが、性格が悪そうでわがままそうだと雰囲気でわかる。

『……ジェシカの婚約者はどれ?』

ジ「えっと…」

Aグループの出場者が全員揃ったようなので、ジェシカに話しかけると目を細めながら闘技場を見渡す。

ジ「あ!いた!

恋歌!あそこ!」

ぐいぐいと腕を引っ張られてジェシカが指差す先を見ると、端の方に震えながら立っている男がいた。

『……ちなみにあの人戦闘経験は?』

ジ「あるわけないじゃない」

『…そっか』

恋歌が尋ねたのは一応の確認ではあったが、予想通りの返答で特に驚きはしなかったが心配にはなった。

普段から白髭海賊団で鍛えた男たちを見ている所為か、ジェシカの婚約者はかなり普通より弱そうに見える。

ジ「あの守ってあげたくなる感じが可愛いんだけどね」

『ふーん』

可愛いかどうかはわからないが、この場面で可愛さを発揮されても生き残ることはできない。

予選は自分の力だけで生き残ってもらう必要がある。

ジ「たぶん予選は大丈夫だと思う…」

『どうして?』

ジ「あの人ね…逃げ足だけは早いのよ」

『逃げ足…』

それは大丈夫と言っていいのかとさらに不安になったが、ジェシカに見ていればわかると言われ、大人しく観戦することにした。

「今年も始まりました我がセウム王国主催!

コロシアム!!」

Aグループが全員揃ったところで実況がマイクを通して開催を告げる。

「今年の賞品はなんと!

超人系悪魔の実ナギナギの実!!

売れば数億!食べれば能力者!

このお宝を手にするのは誰なのか!!」

実況の声にコロシアム全体が揺れるほど観客から歓声が上がる。

『悪魔の実ってそんなに食べたいもの?』

ジ「…まぁこの海で生きていくならあった方がいいのは確かね

すでに能力者だったとしても売れば相当な額になるはずだし、みんな欲しがるよね」

『……そっか』

実況の言葉を聞くと名のある海賊や、賞金稼ぎ、別の国の王族までもが参加をしているらしい。

『(どうするのが1番うまくいくんだろう)』

いくら殺し合いをする場とはいえ、恋歌はあまり無駄な殺傷はしない。

できれば平和的な勝利をしたいと思っているが、周りから狙われている視線を感じる為、それは難しそうだと小さくため息をついた。

「それでは皆さまお待ちかね!

開戦の…ゴング!!」

かぁん!という音が聞こえAグループの試合が始まった。
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