『さぁ、まだ向かってきますか？』

「く、っそ…！」

皇「(これが…桜姫か…)」

圧倒的な力の前に兵士たちは目の前の女が桜姫という事を認めざるをえなかった。

『え、えっと…

しょ、所詮男なんて私の足元にも及ばないんですから、女を蔑むのは止めて他の島と同じように共生してください』

「くっ…」

どうあがいても勝てないという事はすでに全員がわかっている。

エ「ぷっ…」

『え！？』

電伝虫から指示された言葉を復唱しただけのつもりだったが、兵士たちとは違う方から笑い声が聞こえてきた。

しかも複数。

声のした方に振り向けば白ひげのクルーたちが笑いを堪えるように口元をおさえたり、肩を震わせたりしている。

『み、みんな…』

「し、白ひげ！？」

エ「強気な恋歌もなかなかいいな」

こらえきれていない笑いを隠す事もなく、恋歌に近寄り肩を抱き寄せる。

エ「ここにいるやつら全員よぉ、この世に生まれる前は母親の腹の中で守られて、無事に産んでもらったからこそここまででかくなったんだろ

男だけじゃ生きてはいけねぇ

自分たちが蔑んできた女に負けたことでわかっただろ

女はな、お前らが思ってるより強い

あんま侮らねぇ方がいいぜ」

『エース…』

エースは父親が海賊王ということもあり、産まれてくる前から命は危険にさらされていた。

それを乗り越え無事にこの世に産まれてくることができたのは母親であるルージュの愛。

それに感謝しているからこそ母親の姓であるポートガスを名乗っている。

エ「一度でいいから大事な女を作ってみろよ

きっと…それがお前たちの力になる」

皇「…そうか

その言葉心に刻もう

私が責任をもって国民の心を変えよう」

その言葉に兵士たちが何を思ったかわからないが、次々と武器を落としていく。

マ「お、なんだ

もう終わりかよい」

サボ「わかってくれたならいいんじゃないか？」

「おい！桜姫！！」

船に戻るかと引き上げようとすると、一人の兵士が恋歌を引き止めた。

「陛下がこう仰るからには…女を今までのように扱わないと誓おう

だから…俺たちの身体に埋めた…爆弾を取り除いてくれないか！？」

「「「ば、爆弾！？」」」

まさかそこまでしていたのかといつもの恋歌を知っている白ひげのクルーたちは驚いたように恋歌を見るが、仮面をしている為表情がわかりにくい。

『…誓えるのであればそれを取り除く必要などないでしょう』

「そ、それは…」

『あなたたちがその誓いを違えないのであれば怯える必要などありませんよ』

口元に弧を描いていた事で笑っているという事はわかったが、うなだれている兵士たちはそれに気づくことはないだろう。

『その誓いを守れなかった時、この島が地図上からなくなるかもしれませんよ

それと私の事もあんまり言いふらさないでくださいね』

皇「は？」

最後にウィリアムに物騒な言葉を残して、恋歌は白ひげ海賊団と一緒に船に帰って行った。