恋歌に連れられ城に帰ってきたウィリアムは、途中で聞いた作戦が本当にうまくいくのだろうかと考えるために無言で玉座に座った。

皇「（しかし…さすが白髭海賊団

私でも聞いたことのある名前ばかり飛び交っていた…

本当にこの国を変えることができるかもしれん）」

火拳のエースに神剣のサボ、海の麗人ニーナなど手配書でしか顔を見たことのないメンツの声が恋歌の持つ電伝虫から聞こえてくる。

エ「…ってことは、俺たちは適当に暴れたらいいってことだよな？」

『うん、目的は仲間を連れ去られた報復って感じで』

サボ「りょーかい

そういやこの国の兵士たちってどのぐらいの強さなんだ？」

皇「能力者が数人とあとは訓練された兵士たち

白髭海賊には到底及ばない戦力だ」

『一番強いのは？』

皇「一応私がこの国で一番強い

私は能力者ではないが、剣の腕だけは負けたことはない」

自慢するように語るウィリアムを恋歌はじっと見つめ、その言葉が嘘ではないことがわかった。

『じゃあウィリアムさんはわたしが捕まえた方が良さそう

この国で一番強い人が女に捕まったってなったらちょっとは動揺するだろうし』

ニ「恋歌、あまり無茶はなさらないでくださいね」

『大丈夫大丈夫

もう少ししたらこのお城破壊するからそれに合わせて作戦通りにお願いね』

「「「りょーかい」」」

3人の声が揃ったあと受話器を置いて通話を終了させた。

皇「私はお前に捕まる役目だけか？」

『そうですね

抵抗する演技でもしてください

あなた以外の人たちが戦意喪失すれば私たちの勝ちです』

皇「一応聞くが…貴様も賞金首か？」

『一応、そうですね』

一番得体の知れない恋歌に対して、ウィリアムの中で剣士として危険信号を放っている。

賞金首という割に名前は聞いたことはないし、顔写真も見たことはない。

だが、白髭海賊団の有名なクルーたちが恋歌の作戦を実行するために動いているのは事実。

皇「賞金額は？」

『先日100億になったところです』

皇「…………は？」

『そろそろ始めますね』

嘘か本当かわからない金額を言われ、呆然としているといつの間にか城の天井が破壊され作戦が開始された。