エ「…たぶん 恋歌が考えてることは間違ってねぇ

けど、それでも助けに行きたいんだな？ 」

『うん、これは私が任された事だから』

エ「…わかった」

エースとしては恋歌に女が酷い目に遭わされているのを見せたくはない。

だが、恋歌も譲ってくれなさそうだ。

エ「サボとか呼んで聞き込みしてくる

わかったら呼ぶから船に戻ってくれるか」

『…わたしもバレないように島を回ってみる』

エ「恋歌…」

たしかに恋歌なら誰にもバレずに島を回る事は出来るだろう。

それでも心配なものは心配なのだ。

エ「…いいか、この島は女ってだけで危険な島だ

恋歌の事は信じてる

けど、何かあったら逃げる事に全力を注いでくれ、約束だ」

『わかった、約束する』

額を軽く合わせて手をぎゅっと握りしめ、数秒間じっとした後すっと離れた。

エ「じゃあ後でな」

『うん』

路地裏から全力で走って船に戻って行った。

『(さて、と)』

先ずはどこに向かえばいいのかを考える為に、島を上空から見渡す事にした。



『(結構広い島だったんだ)』

上空から見下ろしてみると、島の中心に立派なお城のような建物があり、周りは一般的な住居。

『(あのお城…たぶんこの国の皇帝が住んでいるはず)』

この島の皇帝に近づけばこの島の秘密がわかるのではと思い、城に侵入する事にした。



『(警備はまぁまぁ厳重か…

この人数にばれたら倒すのめんどうだね)』

恋歌から見れば大したことのない兵士たちだが、人数が多すぎる。

『(身分の高そうな人がいそうな場所は、っと)』

こそこそと城を徘徊し、皇帝がいる部屋にたどり着いた。

『(ここか…)』

扉の向こう側に人の気配がある事がわかっているが、タイミングよく誰かが出てきたため、その扉が閉まる前に部屋に侵入した。

『(この人がこの国の皇帝…)』

「はぁ…」

玉座に座りながら重いため息をつき、頭痛を耐えるかのようにこめかみをおさえている。

『(この国の皇帝ってこんなに若かったんだ…)』

皇帝の見た目は金髪碧眼のまさしく王子様という容貌。

だが、年齢は15歳程度でまだ美青年というより美少年という雰囲気だ。

『(あ、また誰か入ってくる)』

こんこん、と扉がノックされ皇帝の”入れ”という声の後に扉が開いた。