しばらくしてレベッカとレオが落ち着きを取り戻し、城内も何事もないとわかると元の騒がしさを取り戻した。

『ごめんなさい

そんなに驚くと思ってなくて…』

ビ「仕方ないわ

恋歌さんの正体はほとんどの人が知らないし」

騒ぎを起こしてしまった事を謝る。

レベ「ま、まさかこんなところで会えるなんて…」

レオ「やっぱりぼくらの親分はすごいんれすね！」

まだまだ興奮した様子のレベッカの後ろから、数人の小人が顔をのぞかせているが、恋歌は出てこないのであれば無理に出てきてもらう必要はないと軽く手を振るだけにとどめておく。

『(みんな可愛いからあいさつしたかったけど…)』

本来小人族はあまり人前には出ないと聞いていたので、無理強いはしたくない。

し「恋歌様、ルフィ様の小さいころのお話もっと聞きたいです！」

レベ「え！？

なにそれ！！聞きたい！！」

『はい、喜んで』

お姫様たちがルフィの話を聞きたいということで、何から話そうかと思っていると、遠くからレベッカを呼ぶ声が聞こえた。

サ「おい！そこにいるのはドレスローザのレベッカかやいっ！！」

レベ「あ、あの人」

話を聞けば八宝水軍の棟梁であり、ルフィと子分杯を交わしたレオの兄弟とのこと。

ワ「まーはっはっはっ！！

これはこれは！！ビビ王女！！」

ビ「ワポル！？なぜあなたがここに！？」

特徴的な笑い声に振り向けば過去にルフィが倒したワポルの姿があった。

ビビの父であるコブラを馬鹿にしたような発言をビビにする為、ビビの肩を叩いたが首を横に振られ何もしなくていいと弱く笑顔を見せた。

ド「ワポル！！つまらんひやかしはやめろ！！」

『(あの人…)』

恋歌がしたことだとバレずになんとかする方法はないかと考えた直後、またしても聞きなれた声が聞こえてきた。

ド「おや、君は…！！」

『こんにちは

お久しぶりですね』

恋歌の正体を知っているドルトンとくれはは驚いたような反応をするが、悪い人物ではないとわかっている為、何かの理由でここにいるのだと自己完結した。

く「あんたたしか腹に穴開いたって聞いたけどねぇ…」

『はい、けどこの通り元気になりました』

新聞で恋歌の傷の事を知っているくれはは元気そうな姿の恋歌を見て、愉快そうに笑った。

く「ヒッヒッヒッ、そりゃあ何よりだね！」

ぽん、と恋歌のお腹を触ったくれはは141歳だというのに元気そうだ。

『くれはさんもお変わりなく』

く「若さの秘訣かい？」

『ぜひ聞いてみたいです』

上機嫌なくれはは持っていたお酒を飲みながら恋歌に若さの秘訣を教えてくれた。










王女たちとお喋りを楽しんでいると、一瞬にして会場が静かになった。

レベ「なに？」

『(あれは…)』

チ「むっふふふふーん」

上機嫌でこちらに向かってくるのは奴隷を引き連れた天竜人。

道を開けてしらほしに一直線に向かってくる。

し「な、なにか…？」

天竜人の恐ろしさも、奴隷というものもわからないしらほしは目の前に来た大柄な男に首を傾げる。

チ「奴隷3号その人魚捕まえるえ！！

ペットにしてやるえー」

「「「！！」」」

天竜人の命令に奴隷は無言でしらほしに手を伸ばす。

しらほしが危険であるとわかったビビとレベッカは助けに向かおうとするが、護衛達に止められている。

し「きゃ…！！」

ぎゅっと目を瞑ったしらほしは頭を抱えて震えている。

チ「な…！」








『こりませんね、あなた方は』

「「「あ、あいつは…！」」」

しらほしに手が届く寸前、恋歌は一瞬で桜姫に変わり、奴隷の手を弾き飛ばした。

弾き飛ばしたのが桜姫とわかると、守る為に護衛達が一誠意動き出す。

天竜人と会うのは二度目。

高額な賞金をつけたのも天竜人だ。

し「恋歌様…」

涙を浮かべながらそっと恋歌の名を呼ぶが、恋歌に言ってはいけないと言われていた事を思い出し、咄嗟に口を閉じる。

ネ「(恋歌…)」

チ「貴様…！なぜここにいるえ！！

海軍は何をしておるんだえ！！」

『わたしがどこにいようと自由でしょう』

チ「奴隷3号なにをしてるえ！

はやくそいつを捕らえるえ！」

腕を弾き飛ばしたとはいえ、全力で蹴ったわけではなく、酷くて骨折程度。

まだ動ける奴隷の男は命令通り、標的を恋歌へと変更した。

『…あまりこの人たちには攻撃したくないんですけど』

天竜人がいなければ奴隷になることもなかっただろう。

奴隷たちにはあまり手荒な事はしたくない。