全員が威圧感に動かないでいる中、恋歌はあたりを見渡して裾が破けて短くなっている浴衣を見つけて広げた。

『とりあえずこれでいいか』

汚れを簡単にはらってから、敵に背中を向けて浴衣を着ていく。

セ「敵に背中を見せるバカがいるとはな！！」

好機とばかりに尻尾で恋歌に向かって攻撃をしたが、まだ解かれていなかった三天結盾に止められる。

セ「な…！？」

ヒビ１つ入らない盾にセルパラは驚くが、恋歌は気にせず浴衣をきっちり着て、バスタオルを投げ捨てた。

『懸賞金が高い海賊を探しているのですよね？』

ア「ああ？

だったらなんだってんだよ

懸賞首ですらないお前なんか無価値なんだよ！！

そこの海の麗人を海軍に差し出せばしばらくは遊んで暮らせる金が手に入るんだ！」

『それはニーナを手に入れられたらの話でしょう？

白髭海賊団（わたし達）から……いえ、わたしからニーナを奪えると思わないことです

ニーナ、みなさんもわたしより後ろに下がってください』


断れない雰囲気があるため全員が大人しく恋歌の後ろに下がる。

『これ、一度返してもらいますね』

非戦闘員を守るために使っていた神の道化を一度解く。

そのかわりの結界を作って守りを固める。

レ「恋歌…

もう大丈夫なの？」

結界の中から心配そうな顔を向けられそれに笑顔で大丈夫と返す。

ア「なんの能力者か知らないが、そんな箱でいくら囲ってもお前を倒せばどうせ消えるんだろ？」

恋歌の作った結界を見て嘲笑うような笑みを向けてくるが、恋歌は背中を向けているため見えたいない。

『それはまた…夢物語もいいところですね』

ア「ああ！？

何言ってんだ懸賞首でもないただの雑魚が！！」

『……寝言は寝て言え、ということですよ』

ニ「え？」

聞いたこともないような暴言が恋歌から聞こえ、一番驚いているのはニーナだった。

『【イノセンス発動】』

いつも通り。

いつも通りに世界が一番よく知る女の格好に一瞬で変わる。

ア「さ、くら姫…」

『ほんとはもうあんまりこの格好するつもりないんですけど、顔写真だけでもお金もらえるって聞いてますしあなた達にお金が入るのは嫌なので』

くるっと振り向けば恋歌は仮面まできっちりつけていた。

『えっと…なんでしたっけ？

さっきわたしに言った言葉』

ア「はっ…！

まさかこんな伝説級のお宝が目の前にいるとはな」

若干興奮しているのか冷や汗をかいて引きつった笑みを浮かべている。

『懸賞首でもない雑魚？でした？

小物の懸賞金稼ぎごときが戯言を』

ニ「（え、こわ…）」

本能が逃げろと、身体に危険信号を送っている。

セ「おい…こいつはやばいぞ」

ア「うるせぇ！お宝が目の前にあるってのに引き下がれっかよ！」

『勇気と無謀は違いますよ

力の差もわからないのであればそれまで』

恋歌は破壊された風呂場の天井を見つめ"まぁいいか"と呟いた。

『【七つの星に裁かれよ】』

ア「セルパラ！」

セ「…っち」

ニーナの力で一時的に力が抜けているとはいえ、攻撃ができないわけではない。

アンフィの声に反応して恋歌に向かって尻尾を叩きつけるように振り下ろした。

『【七星剣（グランシャリオン）】』