『【縛道の八十一 断空】』

唱え終わった直後。

恋歌とカミラの間には透明な障壁が築かれた。

カ「…すごい」

『これなら大体の攻撃は防げるはずです』

恋歌が作った障壁は曇り１つない強固なものだった。

霊力の使えるカミラはそれがどれほど強固で洗練されたものかがわかってしまった。

カ「これを…俺が…」

『できるはずです

それだけの霊力を持っていれば銃弾でも大砲でも防げるものを作れます』

恋歌の言葉は夢物語を聞いているかのよう。

しかしそれを現実にしなければならない。

カ「…わかりました

どうすればいいんでしょうか」

それから数日間は日中は腕輪で霊力を制限されながら働き、夜は防御壁を作る練習に費やした。







実際数日間練習をしているが、壁を作るだけであれば初日にできた。

それの強度が恋歌のデコピン一発で崩れ落ちる出来だったので、霊力を込めて強度を上げる練習をしている。

『…うーん

もうちょっといけると思いますよ』

ぱりーん、という音を立てて今日もカミラの防御壁は恋歌のデコピン一発で崩れ落ちた。

カ「はぁっ、はぁっ、」

すでに今日だけで何十回と防御壁を作っているカミラは霊力切れで息切れをしている。

何度作っても恋歌に簡単に壊されているカミラは息を整える間どうすれば霊力を強く込めることができるのかを考える。

カ「俺は…やっぱり…才能ないんでしょうか…」

『え！？』

俯いたまま顔を上げないカミラに恋歌は驚いた声を上げる。

カ「こんな…恋歌さんに何日も付き合ってもらってるのに…一向に上達しないなんて…」

悔しそうな声を出すカミラに恋歌は納得がいったように苦笑をした。

『ちょっと待っててください』

俯いたままのカミラを残して恋歌はどこかへ行ってしまった。






しばらくして恋歌はエースを連れて戻ってきた。

エ「んで、俺は何すりゃいいんだ？」

『カミラさんが作る防御壁を壊してほしい』

よっしゃ、と言いながら腕を回しているエースにカミラはどうすればいいのかわからず恋歌を見る。

『いつも通りで大丈夫です

カミラさんのイメージする通りに作ってください』

カ「わかりました」

恋歌が何をさせたいのかはわからないが、いつものように唱えて自身の目の前に壁を作る。

エ「うし、これを壊せばいいんだな」

大きく振りかぶったエースはカミラが作った壁に拳を思い切り叩き込んだ。