カミラとの訓練の後、部屋に帰った恋歌は扉の近くにあった椅子にすとんと腰掛けた。

エ「どうだった？」

部屋にいたエースは考え事をしている様子の恋歌に、事務作業をしている手を止めて視線を向ける。

『んー…今日もうまくできなかったんだけど…

原因がわかったんだ…』

エ「原因？」

近頃はどうすればカミラが力をちゃんとコントロールできるようになるのかをずっと考えていたのを知っているため、今日の訓練はどうだったのかずっと気にはなっていた。

『カミラさんはこのままじゃ…ずっと攻撃に力を使えないままなんだよね…』

エ「それの原因がわかったってことか？」

『うん

直す方法はあるけど…できればしたくない…』

エ「そっか…」

恋歌がカミラに力を使えるようになってほしいと、心から思っているのは知っている。

けれど、使えるようにできるようにしたくないということは、何かカミラにとって良くないことなのだろうとわかる。

『なにか他の方法を考えないと…』

エ「俺は霊力ってのがないからわからねぇけど、力になれることならするからな」

『ありがと

じゃあ…

エースならどうするか聞きたいんだけど』

エ「おう」

『エースなら……攻撃か防御、鍛えるならどっち？』

エ「んー…そうだな…」

これはカミラにも聞いたこと。

今日わかった力がうまく使えない原因と併せてエースがなんと答えるかを聞いておきたかった。

エ「俺なら防御だな」

『どうして？』

エ「いくら攻撃力が高い攻撃ができても、先に倒れた方の負けだ

けど、どんなに強い攻撃も耐えられるならいつか反撃のチャンスができるかもしれねぇ

相手の体力だって無限じゃねぇんだし、持久戦になったら疲れるのが早いのは攻撃してる方

だから俺はどっちかって言われたら防御を鍛えるかな

まぁどっちも鍛えるってのが1番いいけど、それができねぇならって話なら俺の考えはこんなとこかな」

『（……さすが、白髭海賊団2番隊隊長）』

エースに言われた言葉が不思議と恋歌の悩みを解決に導いてくれた。

『そっか…

ありがとう、エースはやっぱりすごいね』

エ「なんか参考になったか？」

『うん

明日カミラさんに私の考えを伝えてみる』

エ「おう」

恋歌の悩みを解消できたのならよかったと、エースは残りの書類に目を通し始めた。