ローラの場合

ロ（尾行なんかあたしに向いてないんだけど…

今回ばかりは仕方ないわね…）

普段は第一線で戦うのが２番隊。

諜報活動などの隠密行動はマルコ率いる1番隊が秀でている。

というよりマルコが諜報活動に向いているのだ。

ロ（んー、怪しそうなやつはいっぱいいるんだけど誰に絞ればいいのか…）

今回の目的は領主の家を見つけること。

怪しいからといってついていくだけでは領主の家にたどり着けないかもしれない。

領主の仲間で且つ領主の家を知っていそうな人物に尾行をしなければまた振り出しに戻ってしまう。

ロ（ん？あいつは…）

今日も壊された後の店を見つけるとそこには見覚えのある男が片付けを手伝っていた。

少し考えを巡らしてから声をかけることにした。









「悪いねぇいつも手伝ってもらっちゃって」

「いえ、元は俺たちが悪いですから

？」

店主と片付けをしていた男は自分の背後に気配を感じて振り向いた。

「あ、あなたは…」

ロ「あんたこんなとこでなにしてるの？」

「あ、いや…俺は…その…」

男がしゃがみ、ローラが立っているのでローラが見下ろす形になっているのも影響してか男が小さく見える。

ロ「あのさ、あたし前にも言ったよね？

男ならもっとシャキッとしなさい

そんなおどおどした話し方しないで自分の言いたいことは相手に伝えるの」

「は、はい…」

ローラの威圧感に圧されたのかさらに小さくなってしまった男にローラは深いため息をついた。

「カミラくん、この子は知り合いかね？

この島では見かけたことはないが…」

そう、見覚えのある男とは昨日出会ったカミラ。

カミラは領主の仲間だったはずなのだがなぜ自分たちが壊した店の片付けを手伝っているのか。

カ「あ、はい！

昨日たまたま出会ったと言いますか…その…」

言いづらそうにしているカミラはほっておいてローラも一緒に片付けを手伝う。

ロ「こいつとは出会っただけよ

それで今もたまたま見かけたから声かけてみただけ」

カ「え、あ、あの…ここは俺が片付けますから…」

ロ「なによ

あたしが手伝ったらダメだっていうの？」

カ「いえ…そういうわけでは…」

相変わらず歯切れの悪いカミラにはぁ、っとため息をついて片付けを再開する。

片付けが終わるまでの間痛いくらいの沈黙が続き、1番居場所がなかったのは店主だったことにあとの二人は気づいていなかった。