もうすぐ港に到着するというとき、ローが急に止まりベポも止まらせる。

ロ「ちっ、船の場所を知られていたのか」

軽い舌打ちをして背後から迫ってくる海軍と目の前のガタイのいい葉巻をくわえている男を交互に見る。

ベ「キャプテン…はさまれちゃったよ…」

不安そうにきょろきょろするベポに恋歌を降ろせと指示する。

ロ「悪いがしばらく大人しくしていてくれ」

『？』

小声でそう言われるとローに背後から首に鞘をしたままの刀を当てられた。

ロ「白猟屋…こいつの首を折られたくなかったら部下に止まれと言え」

『白猟屋？』

「ちっ、おい！お前ら止まれ！！」

盛大な舌打ちが聞こえた後、迫ってくる海軍は歩みを止めた。

「人質を取るなんて卑怯ですよ！

トラファルガー！」

白猟屋と呼ばれた男の一歩前にいる女海兵が刀を抜いて構えながら叫ぶ。

ロ「海賊に卑怯という言葉は褒め言葉にすぎない

お前らもこいつの命が欲しければ道を開けろ」

『白猟屋…白猟屋…』

ベ「恋歌？さっきからどうしたの？」

人質でありながら考え事をしている恋歌にベポが声をかける。

『あの白猟屋って人名前は何ていうのですか？』

ベ「えーと、スモーカーだったかな

モクモクの実を食べた煙人間って聞いたことある」

『煙…どこかで…』

うーん、と悩み出した恋歌にベポが？を浮かべる。

ス「おいたしぎ、お前は下がっていろ」

た「スモーカーさん！しかし…」

たしぎと呼ばれた女海兵はスモーカーに目で制され渋々下がった。

ロ「この女を無事に返して欲しかったらそいつだけじゃなくお前も退け

さもなくば本当にこいつを…『ああ！思い出した！！』

あ？」

ス「？」

急に大きな声を出して満足気に笑う恋歌に全員が視線を向けた。

『ケムリン！』

ス「あ？」

この世界で自分のことをそう呼ぶのはただ一人。

しかし、その名を発したのは見たこともない女。

眉間に皺が寄るが頭を回転させて、十手を抜いた。

ス「そのいけすかねぇ呼び方を知ってるってことは女、お前麦わらと繋がってるのか？」

ロ「おい！お前急に何を！」

『ルフィから冒険の話を聞いた時に聞いたことがあるなーって思ったんですよ

あー、すっきりした』

ロ「麦わら屋の冒険の話だと？」

この女、本当に何者なんだ…と思った瞬間殺気が正面から迫ってくるのを見て恋歌をベポの方へ突き飛ばした。

スモーカーの十手を避けたローはまたしても小さく舌打ちをした。

ス「海賊と繋がってるとあっちゃ人質としての価値はねぇ

お前と同様捕まえて洗いざらいはいてもらう」