ロ「……ベポ、行くぞ」

ベ「え？

あ、キャプテン待ってよ！」

恋歌とベポが話しているのをしばらく黙って見ていたローだったが、唐突に恋歌の横を横切って歩き出す。

それを慌ててベポが追う。

『あら、もう帰るんですか？』

ロ「ああ、海軍もこの島に来ているようだし長居は無用だ」

『…でしたら最初から尾行などしなければよかったんじゃありませんか？

それともまた私から離れて尾行を再開するつもりですか？』

ロ「！！」

すたすたと歩いていくローの背中に恋歌がそう言えば驚いたように勢いよく振り向いた。

ローの横で戦闘体制に入ったベポを手で制す。

ロ「……なんのことだ」

『白を切るおつもりですか

この島に入った瞬間からずっと

ナースさんたちと別行動をしてからは私にあなたたちが

ナースさんたちにはあと数人の部下が着いて行ったのを知っています』

ロ「（なんだこの女…）」

ベ「キャ、キャプテン…」

どうするんだ、と言わんばかりのベポの視線を横目で見てはぁ、とため息をついた。

ロ「なぜわかった」

どうやらローは降参したようだ。

踵を返してまた恋歌の方に歩いてくる。

『どうしてと言われましても…

自分に向けられる視線、敵意、殺意、興味…こういうのって敏感になりません？』

困ったように笑う恋歌の言葉に嘘偽りがないとわかりローはさらに深いため息をはいた。

ロ「そうだな、聞いた俺がばかだったようだ」

『でも1度あなたに会ってみたかったんです』

ロ「俺に？」

『はい、どんな人なのかなって』

ロ「どうし…「見つけたぞ！！トラファルガー・ローだ！！」

ちっ、」

ベ「キャプテン！海軍だよ！」

タイミングの悪いところに海軍がローを見つけてしまった。

応援も呼ばれ、かなりの人数が集まってくる。

ロ「ああ！わかってる！

（この女はどうするか…

まだ気になることが…）」

ベ「キャプテン！早く逃げないと！」

ロ「くそっ、おい！」

『はい？』

能天気な返事を返す恋歌を見てローは一瞬同盟を組んでいる向こうの船長のことを思い出したが、そんな場合ではないと打ち消す。

ロ「悪いがまだ聞きたいことがある！

一緒に来い！

ベポ！そいつ担いで連れて来い！」

ベ「へ？あ、アイアイサー！！

恋歌ごめんね！」

『わっ、』

ローの指示によりベポが恋歌を肩に担ぎ上げて走る。

「人質とりやがった！

スモヤンと大佐ちゃんに連絡を！」

ロ「スモヤン？大佐ちゃん？

ってことは…

めんどくさい奴らがいるってことか…」

心底嫌そうな顔をするローに恋歌は不思議そうな顔をして大人しくベポに担がれている。

途中で連絡をとったローの仲間と合流し、船のある港に集合となった。