事務の仕事の段
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どうぞ、と渡された壺を受け取り、蓋を開ければふんわりと甘い花の蜜のような匂いがした。
「お好きな匂いですか?」
『うん、いい匂いだね』
「よかった
ではよければもらっていただけませんか?」
『え?』
「こちらは香油です
普段はこれを売っている店のあまり香りのしないものを使っているのですが、忍者としてあまり香りの強いものは使えずでして…
効果はわたしの髪をみていただければと」
自慢のさらさらストレートヘアをふわりと靡かせ得意げに笑っている仙蔵を見れば、効果を信じるには十分すぎる結果だった。
『たしかに立花くんの髪を見ればこれがいいものだってわかるけど…いただいてもいいの?』
「もちろんです
何度も美味しい甘味をいただいたお礼と思ってください」
『ありがとう』
「良ければ使い方をお教えしますよ、文次郎が」
「はぁ?」
にまにまと笑っている仙蔵の顔を見て文次郎のこめかみがぴく、と反応した。
だが意外と子どもっぽいところもある仙蔵がこの顔をしている時は後には引かないとわかっているため、諦めたように小さくため息をついた。
「ちなみにこの香油の匂いは文次郎が選んだものです」
「なっ…!!仙蔵!!」
『潮江くんが?』
恋歌の後ろに回ろうと腰を上げた瞬間に内緒にしてほしいと話していた内容をさらりと告げられ、焦ったように声をあげたが時すでに遅し。
「はい
恋歌さんの雰囲気にぴったりな香油だ、と文次郎が選びました」
「……そこまでは言ってねぇよ」
「嘘ではなかろう」
香料の強いものは忍者である仙蔵は使わない、ということであればなぜこの香油がここにあるのだろうと疑問に思っていたが、わざわざ自分のために買ってくれたとわかった。
『ありがとう
大切に使わせてもらうね』
「…はい」
『立花くんも一緒に買いに行ってくれたんだよね?
ありがとう』
「いえ、たいしたことではありません
もし無くなれば文次郎かわたしが店までご案内します」
最後にもう一度礼を告げて腰あたりで結っていた髪紐を解き、“お願いします”と背中を向けた。
「…失礼します」
恋歌の後ろに座った文次郎はそっと髪に触れ、髪に櫛を通していく。
たまに手入れをさせられる同室の髪質とは違い、ふんわりと柔らかい髪質の恋歌の髪に香油を塗ってからまた何度も櫛を通す。
「お、何だかいい匂いがするな」
「お前は…もう少し静かに開けられんのか…」
先ほどと同じくすぱぁん、と音を立てて入ってくる小平太に仙蔵が注意をしたが、いつものように細かいことは気にするなと流されてしまった。
「香油か!」
「ああ、わたしの行きつけの店で購入したものだ」
「へぇ………
なぁ文次郎」
「…なんだ」
じぃ、っと恋歌の髪を梳く様子を黙って見ていた小平太が何を言いたいのか察知した文次郎は、わからないふりをして覗き込んでくる小平太の方へ視線を向けなかった。
「わたしもやりたい!」
「……」
予想した通りの言葉が小平太の口から発せられ、文次郎が動きをぴたりと止めた。
「……お前は力加減ができんだろう
恋歌さんの髪を引きちぎりかねん」
「文次郎はわたしを何だと思ってるんだ!
恋歌さん、わたしもやってもいいですか?」
もっともらしい言葉を視線も合わせず告げられ、むぅと頬を膨らませた小平太は直接恋歌へ交渉を試みた。
『もちろん
七松くんの手間でなければ』
「手間などではありません!わたしがやりたいのです
文次郎、交代だ」
恋歌からの許可が出てしまっては拒むことができない文次郎は渋々小平太に持っていた櫛を渡し、恋歌の後ろから移動した。
「では…」
素早く恋歌の後ろに移動した小平太はそっと恋歌の髪に櫛を通し、香油が満遍なく広がるようにゆっくりと櫛を動かす。
「恋歌さんの髪は柔らかいですね」
『そうかな?
あまり人の髪を触ったことがないからわからないけど…
七松くんはよく髪を梳いてあげるの?』
「わたしには弟妹がいるのですが、たまに妹たちの髪を梳いてやるのです」
『良いお兄さんだね』
「恋歌さんの髪もいつでも梳きます」
「……馬鹿者が」
楽しそうに話している2人を見ながら、仙蔵はあっさりとその場を譲った文次郎の脇腹を小突いた。
「…いてぇよ」
それからしばらくして長次が戻ってきたことで、小松田が追いかけていった反応しなかった侵入者はタソガレドキ忍軍忍組頭雑渡昆奈門だったということがわかった。
「曲者のやつ何しにきたんだ?」
「もそ…学園長先生に用事があったらしい」
「人騒がせなやつだ
あいつなら小松田さんに見られると言うヘマもしないだろうに」
「…さ、もう遅い時間です
侵入者がタソガレドキの曲者であったのであれば今すぐの脅威ではないでしょう
部屋までお送りします」
『ありがとう』
小平太から差し出された手を取り、一緒についてきてくれるのであろう長次も立ち上がり、部屋に残る4人におやすみと告げて手を振って立ち去った。
「お好きな匂いですか?」
『うん、いい匂いだね』
「よかった
ではよければもらっていただけませんか?」
『え?』
「こちらは香油です
普段はこれを売っている店のあまり香りのしないものを使っているのですが、忍者としてあまり香りの強いものは使えずでして…
効果はわたしの髪をみていただければと」
自慢のさらさらストレートヘアをふわりと靡かせ得意げに笑っている仙蔵を見れば、効果を信じるには十分すぎる結果だった。
『たしかに立花くんの髪を見ればこれがいいものだってわかるけど…いただいてもいいの?』
「もちろんです
何度も美味しい甘味をいただいたお礼と思ってください」
『ありがとう』
「良ければ使い方をお教えしますよ、文次郎が」
「はぁ?」
にまにまと笑っている仙蔵の顔を見て文次郎のこめかみがぴく、と反応した。
だが意外と子どもっぽいところもある仙蔵がこの顔をしている時は後には引かないとわかっているため、諦めたように小さくため息をついた。
「ちなみにこの香油の匂いは文次郎が選んだものです」
「なっ…!!仙蔵!!」
『潮江くんが?』
恋歌の後ろに回ろうと腰を上げた瞬間に内緒にしてほしいと話していた内容をさらりと告げられ、焦ったように声をあげたが時すでに遅し。
「はい
恋歌さんの雰囲気にぴったりな香油だ、と文次郎が選びました」
「……そこまでは言ってねぇよ」
「嘘ではなかろう」
香料の強いものは忍者である仙蔵は使わない、ということであればなぜこの香油がここにあるのだろうと疑問に思っていたが、わざわざ自分のために買ってくれたとわかった。
『ありがとう
大切に使わせてもらうね』
「…はい」
『立花くんも一緒に買いに行ってくれたんだよね?
ありがとう』
「いえ、たいしたことではありません
もし無くなれば文次郎かわたしが店までご案内します」
最後にもう一度礼を告げて腰あたりで結っていた髪紐を解き、“お願いします”と背中を向けた。
「…失礼します」
恋歌の後ろに座った文次郎はそっと髪に触れ、髪に櫛を通していく。
たまに手入れをさせられる同室の髪質とは違い、ふんわりと柔らかい髪質の恋歌の髪に香油を塗ってからまた何度も櫛を通す。
「お、何だかいい匂いがするな」
「お前は…もう少し静かに開けられんのか…」
先ほどと同じくすぱぁん、と音を立てて入ってくる小平太に仙蔵が注意をしたが、いつものように細かいことは気にするなと流されてしまった。
「香油か!」
「ああ、わたしの行きつけの店で購入したものだ」
「へぇ………
なぁ文次郎」
「…なんだ」
じぃ、っと恋歌の髪を梳く様子を黙って見ていた小平太が何を言いたいのか察知した文次郎は、わからないふりをして覗き込んでくる小平太の方へ視線を向けなかった。
「わたしもやりたい!」
「……」
予想した通りの言葉が小平太の口から発せられ、文次郎が動きをぴたりと止めた。
「……お前は力加減ができんだろう
恋歌さんの髪を引きちぎりかねん」
「文次郎はわたしを何だと思ってるんだ!
恋歌さん、わたしもやってもいいですか?」
もっともらしい言葉を視線も合わせず告げられ、むぅと頬を膨らませた小平太は直接恋歌へ交渉を試みた。
『もちろん
七松くんの手間でなければ』
「手間などではありません!わたしがやりたいのです
文次郎、交代だ」
恋歌からの許可が出てしまっては拒むことができない文次郎は渋々小平太に持っていた櫛を渡し、恋歌の後ろから移動した。
「では…」
素早く恋歌の後ろに移動した小平太はそっと恋歌の髪に櫛を通し、香油が満遍なく広がるようにゆっくりと櫛を動かす。
「恋歌さんの髪は柔らかいですね」
『そうかな?
あまり人の髪を触ったことがないからわからないけど…
七松くんはよく髪を梳いてあげるの?』
「わたしには弟妹がいるのですが、たまに妹たちの髪を梳いてやるのです」
『良いお兄さんだね』
「恋歌さんの髪もいつでも梳きます」
「……馬鹿者が」
楽しそうに話している2人を見ながら、仙蔵はあっさりとその場を譲った文次郎の脇腹を小突いた。
「…いてぇよ」
それからしばらくして長次が戻ってきたことで、小松田が追いかけていった反応しなかった侵入者はタソガレドキ忍軍忍組頭雑渡昆奈門だったということがわかった。
「曲者のやつ何しにきたんだ?」
「もそ…学園長先生に用事があったらしい」
「人騒がせなやつだ
あいつなら小松田さんに見られると言うヘマもしないだろうに」
「…さ、もう遅い時間です
侵入者がタソガレドキの曲者であったのであれば今すぐの脅威ではないでしょう
部屋までお送りします」
『ありがとう』
小平太から差し出された手を取り、一緒についてきてくれるのであろう長次も立ち上がり、部屋に残る4人におやすみと告げて手を振って立ち去った。
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