店の秘密とお礼の段
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『それじゃあ夕飯前に長居しちゃってごめんね
わたしもそろそろ1年は組の良い子たちが夕飯の準備をする時間だから行かないと』
「わざわざありがとうございました
何か困ったことがあればおれたちも頼ってください」
『ありがとう
頼りにしてるよ』
それじゃあ、と手を振って部屋を出ていく恋歌に5人が手を振り、足音が聞こえなくなったところで勘右衛門と三郎以外の3人が息をはいた。
「律儀な人だなぁ…あの場にいた僕たちにまでこんな高級なお菓子…」
「まぁ特殊な生い立ちに能力
もう身寄りもいないとなれば…ここが最後、なんだろう」
「本人は良い人なのにな…」
また1人で生きていくこともできるかもしれないが、恩人が残してくれた居場所を大事にしたい気持ちもあるのだろうと生い立ちに少し同情したが、本人は全く気にしていなさそうでどこまで気を遣えばいいのかわからない。
「そんなに気を遣う必要もなさそうだけどな
あの人、おれはなかなかに強い人だと思う」
「強くならなきゃ生きていけなかったんだろうけどな
さて、勘右衛門が全て食べ切る前にろ組の分はわけさせてもらうぞ」
「えぇー!!」
「勘右衛門と三郎は名前の呼び方で何かあれば責任取ってよね」
「「えぇー!!」」
長屋に戻ってから1年は組の良い子たちと夕飯を食べ、その後にいくつかの荷物を持って職員室へと向かった。
『遅い時間にすみません
山田先生、土井先生、いらっしゃいますか?』
「恋歌さん?入っていいよ」
土井からの入室の許可を得てから部屋に入って2人が見える位置に腰を下ろした。
「何かあった?」
『いえ、山本シナ先生にお会いしてもいいかを…ご相談に』
「山本シナ先生に?」
首を傾げて目を見合わせる2人に変装の達人である山本シナにお礼の品を渡したいが、三郎と同じく一度見てしまえば変装に騙されることはなくなってしまうことを説明し、それでも山本シナに会っても良いかを相談に来たと伝えた。
「なるほど…それで鉢屋の方はなんて?」
『…わたしが見破れないほどの変装技術を身につければ、それはすなわち神の目を欺くことのできる変装になる、と』
「あはは、鉢屋らしいね
でもまぁ…きっと山本シナ先生も同じようなことを仰る気がするなぁ…
山田先生はどう思いますか?」
「わたしもそう思いますよ
気にしすぎだと思うがね」
『忍術学園のみなさんは…優しい方ばかりです
こうやってわたしがいろんなことを考えていても、それを全て包み込んで、予想を超えたことを言ってくれます』
「恋歌さん、あんたが言った言葉をまた忘れたわけじゃあるまい?」
『…優しくしてくれた人に、優しくする…ですか?』
「わかっとるじゃないか」
この言葉は自分に優しくしてくれた人に対して使っていた言葉だったはず。
目が見えない事を考慮してくれ、それでもなお優しくしてくれる人に自分も優しくありたいと、そう思っていただけだった言葉が、忍術学園ではそれが自分にも返ってくる。
「気を遣うということと、人に優しくあるということは似ているようで違う事だ
あんたはその線引きをもう少し学んだほうがいいね」
『はい、わかりました
一度山本シナ先生にはわたしの方からお声がけしてみます』
「うん、それがいいよ」
女性として色々と気遣ってくれた山本シナにお礼の言葉を伝えることも、甘味を渡すこともできていないことを気にしていたが山本シナは変装の達人。
自分の目のことを考えて会いにいく選択肢をなくし、目を塞いでから会いにいくのもこの学園内では目を隠さずとも過ごして良い、という学園長の心遣いを無碍にしてしまうのではと行動できなかった。
『それからこれは…遅くなりましたがお礼です
いつもと変わり映えしない甘味で申し訳ないですが…』
「ああ…これを作って帰ってきたからしんべヱがずっとよだれを垂らしていたのか…」
実は夕飯の時に服に染みついた甘味の匂いにしんべヱが反応し、1年は組の良い子たちの分の用意はなかったため返答を濁していた。
しんべヱがまとわりついているのをきり丸と乱太郎が懸命に剥がしてくれ、通りがかった土井も手を貸してくれていた。
『しんべヱくんにはまた何か作ります』
「あまりしんべヱに食べ物を与えると太ってしまうので…ほどほどにお願いするよ」
『わかりました』
「それで?その中身はなんだ?
しんべヱが反応したということはそれも美味いんだろ?」
「あ、ちょっと待ってください」
ぱか、と渡された箱を開ければ中はくっきーと煎餅の詰め合わせ。
だがくっきーを見たことがない2人はこれはなんだろうと首を傾げた。
『異国の甘味でくっきーというそうです
おばあさまが昔作ってくださいました』
「ほぅ…どれひとつ…」
「わたしも」
異国の甘味に興味が湧いたのか、ひとつ手に取って口の中に放り込む。
「かなり甘いけど美味しい!」
「たしかに…
だがわたしにはちと甘すぎるかもしれんな」
『渋めに入れたお茶と合うかもしれない、と今日話していたので、もし甘すぎるのが苦手であれば試してみてください』
「おお!それなら何枚でも食べられそうだ!」
「しかしこれ…砂糖に醤油…海苔…全部いいものですよ…」
『滅多に作りませんし店でなければ作れないのでお気になさらず
それにお礼なのですから』
「…それもそうだね
いつも美味しい甘味をありがとう」
「これ…また作ってくれんか…?
利吉に持たせて家内にも食べさせてやりたくてな」
「奥様は甘いものお好きですもんね
お金はわたしも払いますよ」
『いえ、お代は結構…「恋歌さん、価値のあるものには対価を払う
それは当然のことだ」
はい』
「君の甘味を作る腕前も知識も大事なおばあさまとの思い出だろう?」
『はい、ありがとうございます』
こちらこそ、と笑う2人に部屋に戻って休みなさいと言われぺこりと頭を下げ、次の日の放課後に食堂のおばちゃんと山本シナを誘って食堂でお茶に誘おうと決意をしながら部屋へと戻った。
わたしもそろそろ1年は組の良い子たちが夕飯の準備をする時間だから行かないと』
「わざわざありがとうございました
何か困ったことがあればおれたちも頼ってください」
『ありがとう
頼りにしてるよ』
それじゃあ、と手を振って部屋を出ていく恋歌に5人が手を振り、足音が聞こえなくなったところで勘右衛門と三郎以外の3人が息をはいた。
「律儀な人だなぁ…あの場にいた僕たちにまでこんな高級なお菓子…」
「まぁ特殊な生い立ちに能力
もう身寄りもいないとなれば…ここが最後、なんだろう」
「本人は良い人なのにな…」
また1人で生きていくこともできるかもしれないが、恩人が残してくれた居場所を大事にしたい気持ちもあるのだろうと生い立ちに少し同情したが、本人は全く気にしていなさそうでどこまで気を遣えばいいのかわからない。
「そんなに気を遣う必要もなさそうだけどな
あの人、おれはなかなかに強い人だと思う」
「強くならなきゃ生きていけなかったんだろうけどな
さて、勘右衛門が全て食べ切る前にろ組の分はわけさせてもらうぞ」
「えぇー!!」
「勘右衛門と三郎は名前の呼び方で何かあれば責任取ってよね」
「「えぇー!!」」
長屋に戻ってから1年は組の良い子たちと夕飯を食べ、その後にいくつかの荷物を持って職員室へと向かった。
『遅い時間にすみません
山田先生、土井先生、いらっしゃいますか?』
「恋歌さん?入っていいよ」
土井からの入室の許可を得てから部屋に入って2人が見える位置に腰を下ろした。
「何かあった?」
『いえ、山本シナ先生にお会いしてもいいかを…ご相談に』
「山本シナ先生に?」
首を傾げて目を見合わせる2人に変装の達人である山本シナにお礼の品を渡したいが、三郎と同じく一度見てしまえば変装に騙されることはなくなってしまうことを説明し、それでも山本シナに会っても良いかを相談に来たと伝えた。
「なるほど…それで鉢屋の方はなんて?」
『…わたしが見破れないほどの変装技術を身につければ、それはすなわち神の目を欺くことのできる変装になる、と』
「あはは、鉢屋らしいね
でもまぁ…きっと山本シナ先生も同じようなことを仰る気がするなぁ…
山田先生はどう思いますか?」
「わたしもそう思いますよ
気にしすぎだと思うがね」
『忍術学園のみなさんは…優しい方ばかりです
こうやってわたしがいろんなことを考えていても、それを全て包み込んで、予想を超えたことを言ってくれます』
「恋歌さん、あんたが言った言葉をまた忘れたわけじゃあるまい?」
『…優しくしてくれた人に、優しくする…ですか?』
「わかっとるじゃないか」
この言葉は自分に優しくしてくれた人に対して使っていた言葉だったはず。
目が見えない事を考慮してくれ、それでもなお優しくしてくれる人に自分も優しくありたいと、そう思っていただけだった言葉が、忍術学園ではそれが自分にも返ってくる。
「気を遣うということと、人に優しくあるということは似ているようで違う事だ
あんたはその線引きをもう少し学んだほうがいいね」
『はい、わかりました
一度山本シナ先生にはわたしの方からお声がけしてみます』
「うん、それがいいよ」
女性として色々と気遣ってくれた山本シナにお礼の言葉を伝えることも、甘味を渡すこともできていないことを気にしていたが山本シナは変装の達人。
自分の目のことを考えて会いにいく選択肢をなくし、目を塞いでから会いにいくのもこの学園内では目を隠さずとも過ごして良い、という学園長の心遣いを無碍にしてしまうのではと行動できなかった。
『それからこれは…遅くなりましたがお礼です
いつもと変わり映えしない甘味で申し訳ないですが…』
「ああ…これを作って帰ってきたからしんべヱがずっとよだれを垂らしていたのか…」
実は夕飯の時に服に染みついた甘味の匂いにしんべヱが反応し、1年は組の良い子たちの分の用意はなかったため返答を濁していた。
しんべヱがまとわりついているのをきり丸と乱太郎が懸命に剥がしてくれ、通りがかった土井も手を貸してくれていた。
『しんべヱくんにはまた何か作ります』
「あまりしんべヱに食べ物を与えると太ってしまうので…ほどほどにお願いするよ」
『わかりました』
「それで?その中身はなんだ?
しんべヱが反応したということはそれも美味いんだろ?」
「あ、ちょっと待ってください」
ぱか、と渡された箱を開ければ中はくっきーと煎餅の詰め合わせ。
だがくっきーを見たことがない2人はこれはなんだろうと首を傾げた。
『異国の甘味でくっきーというそうです
おばあさまが昔作ってくださいました』
「ほぅ…どれひとつ…」
「わたしも」
異国の甘味に興味が湧いたのか、ひとつ手に取って口の中に放り込む。
「かなり甘いけど美味しい!」
「たしかに…
だがわたしにはちと甘すぎるかもしれんな」
『渋めに入れたお茶と合うかもしれない、と今日話していたので、もし甘すぎるのが苦手であれば試してみてください』
「おお!それなら何枚でも食べられそうだ!」
「しかしこれ…砂糖に醤油…海苔…全部いいものですよ…」
『滅多に作りませんし店でなければ作れないのでお気になさらず
それにお礼なのですから』
「…それもそうだね
いつも美味しい甘味をありがとう」
「これ…また作ってくれんか…?
利吉に持たせて家内にも食べさせてやりたくてな」
「奥様は甘いものお好きですもんね
お金はわたしも払いますよ」
『いえ、お代は結構…「恋歌さん、価値のあるものには対価を払う
それは当然のことだ」
はい』
「君の甘味を作る腕前も知識も大事なおばあさまとの思い出だろう?」
『はい、ありがとうございます』
こちらこそ、と笑う2人に部屋に戻って休みなさいと言われぺこりと頭を下げ、次の日の放課後に食堂のおばちゃんと山本シナを誘って食堂でお茶に誘おうと決意をしながら部屋へと戻った。