店の秘密とお礼の段
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くっきーと煎餅を別々の箱に詰め、片付けを済ませてから本を担いで忍術学園への帰路へついた。
入門票を記入し門の前で手伝ってくれた3人へと礼を告げ、お礼にと今日作った甘味を渡してからそれぞれの長屋へと戻った。
まだ少し夕飯の時間には早く、目当ての人物たちは部屋にいるだろうかと自分の部屋には戻らず5年生の長屋へと向かう。
『こんにちは
尾浜くん、久々知くんお部屋にいますか?』
襖の外から声をかけると“え!?”という勘右衛門の驚いた声の後、すぐに襖が開いた。
「こ、こんにちは」
気配には気づいていたがまさか自分たちに用事があったとは思わず、慌てて出てきてくれたようだった。
『いきなり来てごめんね
少しだけ時間いい?』
「は、はい
どうぞ」
少しだけ身体をずらして部屋の中へと促してくれた中にはぽかんとした顔の兵助も座っていた。
襖を閉めてから戻ってきた勘右衛門はどうぞどうぞ、と座ることも促してから自身は正座で正面に座った。
「あ、兵助座布団あったかな」
「そ、そうだな」
『あ、いいよいいよ
これを渡しにきただけだし』
これ、と言われて差し出されたふたつの箱を勘右衛門が受け取り、中身が何がわからないので兵助と顔を見合わせて疑問符を浮かべている。
『遅くなっちゃったけど…あの時、色々と助けてくれたお礼です
変わり映えしない甘味で申し訳ないけど食べてくれると嬉しい』
「え、あ…おれたちはその…あの時は忍務で…」
「まぁまぁ兵助、せっかくお礼にって仰ってくれてるんだ
ありがとうございます」
正直お礼だと言われても、あの時は学園長からの忍務で関わっただけで、6年生とは違い恋歌のことを疑ってかかっていた自分たちにはお礼を受け取る資格などないのではと考えてしまう。
兵助がそういったことを気にする真面目な性格であるということを勘右衛門はよく理解しているため、ひとまずお礼は受け取る事にした。
『申し訳ないけどあの時来てくれた他の3人の子たちにも渡してもらえると嬉しい』
「それは構いませんが…なぜ、ですか?」
自分で渡せばいい、とは言えなかったが、話したことがないから渡しにくい、という性格ではないことはわかる。
『…1人、変装が得意な子がいるよね
鉢屋三郎くん』
「あ、はい
鉢屋三郎がどうしました?」
なぜここで同輩の名前が出てくるのかわからず首を傾げる。
悪戯はするタイプだが、親しくない女性に何かをするような奴ではないはず。
『6年生の子たちに鉢屋くんはこの忍術学園の誇る変装の達人、って聞いたの
でもたぶん…わたしが鉢屋くんを一度見てしまえば、きっとわたしはその変装に騙されることはない』
「…それはその目の能力ですか?」
ちらり、と一瞬視線を恋歌の後ろに向けた勘右衛門だったが、恋歌は気づいていない。
『大まかな能力は2人も知っての通りだけど、その他にも細々としたことがね
あとは…わたしは一度見たもの、聞いたものは忘れない
鉢屋くんだけじゃない
どんなに変装術に長けていたとしても一度会ったことがあればわかる』
「なるほど
それを三郎が嫌がるとお考えということですか?」
『この忍術学園にいさせてもらうからには今後絶対に会わない、なんてことはできないかもしれないけど…
できる限りは嫌がられそうなことは避けた方がいいかなって…』
「うーん…三郎はどう思う?」
『え?』
こめかみに人差し指を当てて唸っていた勘右衛門だったが、急に恋歌の後ろへと声をかけた。
驚いて振り向きそうになったが、三郎という名を聞いて動きを止めた。
「…ちなみに入ってもいいのか?」
「おれたちは問題ないよ
恋歌さん、三郎が部屋に入りたいそうなんですがいいですか?」
やっぱりこの学園の子たちは一筋縄ではいかないな、とどこか嬉しくなり“はい”と返事をした。
すらりと襖の開く音が聞こえ、3人が勘右衛門と兵助を挟んで恋歌の前に座った。
「初めまして…でいいのかな?
5年ろ組、不破雷蔵です」
「同じく竹谷八左ヱ門です」
「同じく…わたしが鉢屋三郎です」
『初めまして、恋歌です
お礼も遅くなった上にわたしの行動が空回りしちゃってるみたいで…ごめんね』
「そんなことはありませんよ
というより三郎は恋歌さんに会いたがってたんです!」
「「え?」」
「ら、雷蔵!それは言い方に語弊がある!!」
言われたくなかったことを雷蔵に言われた三郎は慌てて相棒の口を塞ごうとしたが、間に入った勘右衛門が面白そうだからと三郎を止めた。
「正直、三郎は恋歌さんの目に見られたら変装を見破られるということは予想していたんです
だからこそ、貴女の目を欺くことができれば…それは神の目すら欺く変装、ということになるでしょう?」
「ら、雷蔵…わたしはそこまで言ってない…」
三郎の項垂れ方を見ると多少話は盛っているのかもしれないが、三郎は恋歌に見られることを嫌がってはいないということは全員に伝わった。
「ちなみに今はどうですか?
違いはあります?」
『そうだね…いくつか…』
「いくつか!?
ど、どこですか!?」
今日も雷蔵の変装は完璧だと思っていた三郎だったが、まさか複数の指摘を受けるとは思わず身を乗り出して恋歌の目をじっと見つめた。
『じゃあ…えっと…』
最初は言いにくそうにしていた恋歌だったが、真剣に話を聞き、指摘されたところは納得してから素早く手直しをする三郎に、自分の心配事など杞憂であったことを…この忍術学園の生徒たちの心の深さに心から感謝した。
入門票を記入し門の前で手伝ってくれた3人へと礼を告げ、お礼にと今日作った甘味を渡してからそれぞれの長屋へと戻った。
まだ少し夕飯の時間には早く、目当ての人物たちは部屋にいるだろうかと自分の部屋には戻らず5年生の長屋へと向かう。
『こんにちは
尾浜くん、久々知くんお部屋にいますか?』
襖の外から声をかけると“え!?”という勘右衛門の驚いた声の後、すぐに襖が開いた。
「こ、こんにちは」
気配には気づいていたがまさか自分たちに用事があったとは思わず、慌てて出てきてくれたようだった。
『いきなり来てごめんね
少しだけ時間いい?』
「は、はい
どうぞ」
少しだけ身体をずらして部屋の中へと促してくれた中にはぽかんとした顔の兵助も座っていた。
襖を閉めてから戻ってきた勘右衛門はどうぞどうぞ、と座ることも促してから自身は正座で正面に座った。
「あ、兵助座布団あったかな」
「そ、そうだな」
『あ、いいよいいよ
これを渡しにきただけだし』
これ、と言われて差し出されたふたつの箱を勘右衛門が受け取り、中身が何がわからないので兵助と顔を見合わせて疑問符を浮かべている。
『遅くなっちゃったけど…あの時、色々と助けてくれたお礼です
変わり映えしない甘味で申し訳ないけど食べてくれると嬉しい』
「え、あ…おれたちはその…あの時は忍務で…」
「まぁまぁ兵助、せっかくお礼にって仰ってくれてるんだ
ありがとうございます」
正直お礼だと言われても、あの時は学園長からの忍務で関わっただけで、6年生とは違い恋歌のことを疑ってかかっていた自分たちにはお礼を受け取る資格などないのではと考えてしまう。
兵助がそういったことを気にする真面目な性格であるということを勘右衛門はよく理解しているため、ひとまずお礼は受け取る事にした。
『申し訳ないけどあの時来てくれた他の3人の子たちにも渡してもらえると嬉しい』
「それは構いませんが…なぜ、ですか?」
自分で渡せばいい、とは言えなかったが、話したことがないから渡しにくい、という性格ではないことはわかる。
『…1人、変装が得意な子がいるよね
鉢屋三郎くん』
「あ、はい
鉢屋三郎がどうしました?」
なぜここで同輩の名前が出てくるのかわからず首を傾げる。
悪戯はするタイプだが、親しくない女性に何かをするような奴ではないはず。
『6年生の子たちに鉢屋くんはこの忍術学園の誇る変装の達人、って聞いたの
でもたぶん…わたしが鉢屋くんを一度見てしまえば、きっとわたしはその変装に騙されることはない』
「…それはその目の能力ですか?」
ちらり、と一瞬視線を恋歌の後ろに向けた勘右衛門だったが、恋歌は気づいていない。
『大まかな能力は2人も知っての通りだけど、その他にも細々としたことがね
あとは…わたしは一度見たもの、聞いたものは忘れない
鉢屋くんだけじゃない
どんなに変装術に長けていたとしても一度会ったことがあればわかる』
「なるほど
それを三郎が嫌がるとお考えということですか?」
『この忍術学園にいさせてもらうからには今後絶対に会わない、なんてことはできないかもしれないけど…
できる限りは嫌がられそうなことは避けた方がいいかなって…』
「うーん…三郎はどう思う?」
『え?』
こめかみに人差し指を当てて唸っていた勘右衛門だったが、急に恋歌の後ろへと声をかけた。
驚いて振り向きそうになったが、三郎という名を聞いて動きを止めた。
「…ちなみに入ってもいいのか?」
「おれたちは問題ないよ
恋歌さん、三郎が部屋に入りたいそうなんですがいいですか?」
やっぱりこの学園の子たちは一筋縄ではいかないな、とどこか嬉しくなり“はい”と返事をした。
すらりと襖の開く音が聞こえ、3人が勘右衛門と兵助を挟んで恋歌の前に座った。
「初めまして…でいいのかな?
5年ろ組、不破雷蔵です」
「同じく竹谷八左ヱ門です」
「同じく…わたしが鉢屋三郎です」
『初めまして、恋歌です
お礼も遅くなった上にわたしの行動が空回りしちゃってるみたいで…ごめんね』
「そんなことはありませんよ
というより三郎は恋歌さんに会いたがってたんです!」
「「え?」」
「ら、雷蔵!それは言い方に語弊がある!!」
言われたくなかったことを雷蔵に言われた三郎は慌てて相棒の口を塞ごうとしたが、間に入った勘右衛門が面白そうだからと三郎を止めた。
「正直、三郎は恋歌さんの目に見られたら変装を見破られるということは予想していたんです
だからこそ、貴女の目を欺くことができれば…それは神の目すら欺く変装、ということになるでしょう?」
「ら、雷蔵…わたしはそこまで言ってない…」
三郎の項垂れ方を見ると多少話は盛っているのかもしれないが、三郎は恋歌に見られることを嫌がってはいないということは全員に伝わった。
「ちなみに今はどうですか?
違いはあります?」
『そうだね…いくつか…』
「いくつか!?
ど、どこですか!?」
今日も雷蔵の変装は完璧だと思っていた三郎だったが、まさか複数の指摘を受けるとは思わず身を乗り出して恋歌の目をじっと見つめた。
『じゃあ…えっと…』
最初は言いにくそうにしていた恋歌だったが、真剣に話を聞き、指摘されたところは納得してから素早く手直しをする三郎に、自分の心配事など杞憂であったことを…この忍術学園の生徒たちの心の深さに心から感謝した。