店の秘密とお礼の段
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
お茶を飲み終えた後に店にあった大きめの風呂敷を用意し、何度も地下と店を行き来して本を全て板間へと並べた。
『こんなに一気に持って帰れる…?重たいよ…?』
「これも鍛錬です
それに新しい暗号の解読は久しぶりなので早く解読したいのです」
『みんながそれでいいならいいけど…』
3つに分けて全ての本を風呂敷に包み、帰りに持って帰ろうと隅の方へ置いておく。
「この地下への扉は閉めるのですか?」
『そうだね
当面必要そうなお金も持ったし』
忍術学園では学費、食券などでお金がかかる。
それらの支払いをするための資金と、生活していく上で必要そうなお金も本と一緒に隅へ置き、開ける時に最初に操作した数字を入力した板の近くにあるスイッチをかち、と押した。
開ける時は覚えていられないぐらいの手順を踏まなければいけなかったが、閉めるときはボタンひとつで元の板間へと戻った。
「これ…閉じ込められる場合もあるんでしょうか…?」
『中からも開けられるよ
元々この絡繰はわたしの逃げ場所として作ってくれたものだしね
簡単には開けられないし、外に出る抜け穴もあるから餓死するのを待ったりするのも意味ないんだよね』
「まさに恋歌さん専用の隠れ家、といったところですね」
開ける時は正しい手順を踏まなければ開かず、閉じ込めたとしても中からは開けられる上に抜け道もある。
しかしその抜け道も光ひとつ届かない地下では恋歌の特殊な目がなければ歩くこともままならない。
「しかし緊急時にはあの手順を踏んでいる時間も惜しいのでは…?」
『強制的に開ける方法はあるよ
それをすると中で絡繰を操作しないといけないんだけど、そっちの方が手順が多いんだよね』
「なるほど…」
『さて、じゃあもう冷めてるだろうし箱に…』
出来上がった甘味を持って帰るために箱に詰めようと提案しかけたところで、店の扉が軽くとんとん、と叩かれた。
「わたしが」
暖簾は出しておらず扉も閉め切っているが客でも来たのだろうかと文次郎が扉を開けると、そこにいた人物に顔を引き攣らせた。
「やぁ」
「曲者…!!」
「なに!?」
「忍術学園じゃないんだから曲者じゃないよー」
「お前たち組頭に向かって失礼だぞ!」
扉の前に立っていたのはいつもの忍び装束ではなく、侍の服装をしている雑渡昆奈門と諸泉尊奈門だった。
『こんにちは』
「はい、こんにちは
ちょっと話があるんだけど入ってもいい?」
『もちろんです
こちらもお話があったのでちょうど良かったです』
「君が…?
まぁいいや、お邪魔するよ」
今にも武器を出しそうな雰囲気で3人は雑渡と尊奈門を睨みつけているが、2人はそれを気にせず案内された板間へ腰を下ろした。
「ものすごく甘いいい匂いがするね
何か作ってたの?」
『はい』
器に粗熱を取っていた甘味を入れて、雑渡と尊奈門へと差し出す。
「へぇ、初めて見る甘味だな…」
『みんなも食べてみて』
せっかく一緒に作ってくれたのだからと手招きをすれば、渋々といった風に同じ器からひとつ手に取った。
「あ!組頭!毒味もなしに食べるのはダメですからね!」
「何言ってるの
わたしたちがここに来ることを知らなかった上に、同じお皿から取ってるんだし大丈夫だよ」
「食べたくなければ食べなければいいだろ」
「いや…これは…食べない方がいいかもしれん…」
「もそ…」
「は?」
作ってくれた恋歌を目の前にして毒味、などと失礼なことを言われて文次郎が文句を言ったが、先に食べた小平太と長次が食べた状態のまま固まっている。
「まさか毒なんてことはないだろうし…」
「美味い…!!!
文次郎!お前も早く食べろ!!
曲者たちには勿体無いからわたしが食べる!!」
「小平太独り占めはよくない」
「はぁ?」
真面目な顔をして器に盛られている甘味を雑渡の前から下げようとしたが、それより先に雑渡が反応しひょい、と器を上に持ち上げられた。
「へぇ…それならますます食べてみたくなった」
「あ」
一瞬で口布の中に甘味を入れた雑渡はそのままもぐもぐと咀嚼を繰り返してからごくん、と飲み込んだ。
「これもしかして異国の甘味?」
『はい、“くっきー”という名前だそうです』
「たしかに美味しいね
ちょっと口の中ぱさぱさするけど」
「組頭!わたしにもくださいよ!」
「独り占めは許さん!」
『お茶淹れてきます』
雑渡が次のくっきーを手にしたところで他の4人が器を奪おうと襲いかかったがひらりひらりとかわされている。
人数分のお茶を淹れた恋歌が湯呑を置くと、ぴたりと動きを止めて一息つこうと全員が湯呑を持った。
「濃いお茶が合うねー
でもこれ結構高級品でしょ?
砂糖がかなり使われてそう」
『そんなことはありませんよ
異国の甘味はあまり馴染みがないのでお店で出すことはないですが、わたしは好きな甘味です』
「これもおばあさま、から?」
『はい
わたしの甘味作りは全ておばあさまがわたしに作ってくださったものを模倣してます』
「便利だよね、模倣って」
「「「!!」」」
『え…』
こん、と湯呑を雑渡が置いた直後、ぶわりと冷たい空気が肌を撫でたような気がした。
それは恋歌に向けられた雑渡からの軽い殺気。
その殺気に反応した3人が恋歌を守るように間に入って武器を構えている。
ここまでが一瞬の出来事であったため、瞬きをしている間に3人の背中越しにしか雑渡が見えなくなった。
「曲者、貴様恋歌さんに話とはなんだ」
「のんびりと茶をしに来たわけではないのならさっさと話せ」
「まったく…ちょっとからかっただけでしょ…
尊奈門、あれ渡して」
「はい」
雑渡に促され尊奈門が風呂敷から出したのは一冊の本。
かなり古びていて取り扱いを気をつけなければ崩れてしまいそうなほどだった。
『これはなんでしょう』
「あの日、君たちと一緒に神埜家へ潜入した最後にちょっとね」
『なるほど
中が読めなかった、ということですか?』
「正解
話が早くて助かるよ」
今にも崩れそうな本に誰も触れることができず、目の前の本へと注がれていた視線は恋歌の言葉で拍手をした雑渡へと向けられた。
「どういうことだ」
「言葉そのままの意味だよ
一度中を見てみたけどおよそわたしたちには理解できない言葉が並べられていた
おそらく異国の言葉でもない
これは…」
『代々神の目を引き継いだ者のみ見ることのできる書物で、書かれている言葉は神の目を持つ者しか読めません』
「と、いうわけ」
わかった?、と視線を向けられてイラッとしたようで武器を持つ手に思わず力が入った。
『あの爆発の最中これを持って帰って来られるなんて…さすがですね』
「タソガレドキ忍者隊の組頭だぞ!」
「なんでお前が得意そうなの…」
胸を張っている尊奈門を見て、頬に手を当てながらため息をつく雑渡はもうひとつくっきーを口の中に入れた。
『こんなに一気に持って帰れる…?重たいよ…?』
「これも鍛錬です
それに新しい暗号の解読は久しぶりなので早く解読したいのです」
『みんながそれでいいならいいけど…』
3つに分けて全ての本を風呂敷に包み、帰りに持って帰ろうと隅の方へ置いておく。
「この地下への扉は閉めるのですか?」
『そうだね
当面必要そうなお金も持ったし』
忍術学園では学費、食券などでお金がかかる。
それらの支払いをするための資金と、生活していく上で必要そうなお金も本と一緒に隅へ置き、開ける時に最初に操作した数字を入力した板の近くにあるスイッチをかち、と押した。
開ける時は覚えていられないぐらいの手順を踏まなければいけなかったが、閉めるときはボタンひとつで元の板間へと戻った。
「これ…閉じ込められる場合もあるんでしょうか…?」
『中からも開けられるよ
元々この絡繰はわたしの逃げ場所として作ってくれたものだしね
簡単には開けられないし、外に出る抜け穴もあるから餓死するのを待ったりするのも意味ないんだよね』
「まさに恋歌さん専用の隠れ家、といったところですね」
開ける時は正しい手順を踏まなければ開かず、閉じ込めたとしても中からは開けられる上に抜け道もある。
しかしその抜け道も光ひとつ届かない地下では恋歌の特殊な目がなければ歩くこともままならない。
「しかし緊急時にはあの手順を踏んでいる時間も惜しいのでは…?」
『強制的に開ける方法はあるよ
それをすると中で絡繰を操作しないといけないんだけど、そっちの方が手順が多いんだよね』
「なるほど…」
『さて、じゃあもう冷めてるだろうし箱に…』
出来上がった甘味を持って帰るために箱に詰めようと提案しかけたところで、店の扉が軽くとんとん、と叩かれた。
「わたしが」
暖簾は出しておらず扉も閉め切っているが客でも来たのだろうかと文次郎が扉を開けると、そこにいた人物に顔を引き攣らせた。
「やぁ」
「曲者…!!」
「なに!?」
「忍術学園じゃないんだから曲者じゃないよー」
「お前たち組頭に向かって失礼だぞ!」
扉の前に立っていたのはいつもの忍び装束ではなく、侍の服装をしている雑渡昆奈門と諸泉尊奈門だった。
『こんにちは』
「はい、こんにちは
ちょっと話があるんだけど入ってもいい?」
『もちろんです
こちらもお話があったのでちょうど良かったです』
「君が…?
まぁいいや、お邪魔するよ」
今にも武器を出しそうな雰囲気で3人は雑渡と尊奈門を睨みつけているが、2人はそれを気にせず案内された板間へ腰を下ろした。
「ものすごく甘いいい匂いがするね
何か作ってたの?」
『はい』
器に粗熱を取っていた甘味を入れて、雑渡と尊奈門へと差し出す。
「へぇ、初めて見る甘味だな…」
『みんなも食べてみて』
せっかく一緒に作ってくれたのだからと手招きをすれば、渋々といった風に同じ器からひとつ手に取った。
「あ!組頭!毒味もなしに食べるのはダメですからね!」
「何言ってるの
わたしたちがここに来ることを知らなかった上に、同じお皿から取ってるんだし大丈夫だよ」
「食べたくなければ食べなければいいだろ」
「いや…これは…食べない方がいいかもしれん…」
「もそ…」
「は?」
作ってくれた恋歌を目の前にして毒味、などと失礼なことを言われて文次郎が文句を言ったが、先に食べた小平太と長次が食べた状態のまま固まっている。
「まさか毒なんてことはないだろうし…」
「美味い…!!!
文次郎!お前も早く食べろ!!
曲者たちには勿体無いからわたしが食べる!!」
「小平太独り占めはよくない」
「はぁ?」
真面目な顔をして器に盛られている甘味を雑渡の前から下げようとしたが、それより先に雑渡が反応しひょい、と器を上に持ち上げられた。
「へぇ…それならますます食べてみたくなった」
「あ」
一瞬で口布の中に甘味を入れた雑渡はそのままもぐもぐと咀嚼を繰り返してからごくん、と飲み込んだ。
「これもしかして異国の甘味?」
『はい、“くっきー”という名前だそうです』
「たしかに美味しいね
ちょっと口の中ぱさぱさするけど」
「組頭!わたしにもくださいよ!」
「独り占めは許さん!」
『お茶淹れてきます』
雑渡が次のくっきーを手にしたところで他の4人が器を奪おうと襲いかかったがひらりひらりとかわされている。
人数分のお茶を淹れた恋歌が湯呑を置くと、ぴたりと動きを止めて一息つこうと全員が湯呑を持った。
「濃いお茶が合うねー
でもこれ結構高級品でしょ?
砂糖がかなり使われてそう」
『そんなことはありませんよ
異国の甘味はあまり馴染みがないのでお店で出すことはないですが、わたしは好きな甘味です』
「これもおばあさま、から?」
『はい
わたしの甘味作りは全ておばあさまがわたしに作ってくださったものを模倣してます』
「便利だよね、模倣って」
「「「!!」」」
『え…』
こん、と湯呑を雑渡が置いた直後、ぶわりと冷たい空気が肌を撫でたような気がした。
それは恋歌に向けられた雑渡からの軽い殺気。
その殺気に反応した3人が恋歌を守るように間に入って武器を構えている。
ここまでが一瞬の出来事であったため、瞬きをしている間に3人の背中越しにしか雑渡が見えなくなった。
「曲者、貴様恋歌さんに話とはなんだ」
「のんびりと茶をしに来たわけではないのならさっさと話せ」
「まったく…ちょっとからかっただけでしょ…
尊奈門、あれ渡して」
「はい」
雑渡に促され尊奈門が風呂敷から出したのは一冊の本。
かなり古びていて取り扱いを気をつけなければ崩れてしまいそうなほどだった。
『これはなんでしょう』
「あの日、君たちと一緒に神埜家へ潜入した最後にちょっとね」
『なるほど
中が読めなかった、ということですか?』
「正解
話が早くて助かるよ」
今にも崩れそうな本に誰も触れることができず、目の前の本へと注がれていた視線は恋歌の言葉で拍手をした雑渡へと向けられた。
「どういうことだ」
「言葉そのままの意味だよ
一度中を見てみたけどおよそわたしたちには理解できない言葉が並べられていた
おそらく異国の言葉でもない
これは…」
『代々神の目を引き継いだ者のみ見ることのできる書物で、書かれている言葉は神の目を持つ者しか読めません』
「と、いうわけ」
わかった?、と視線を向けられてイラッとしたようで武器を持つ手に思わず力が入った。
『あの爆発の最中これを持って帰って来られるなんて…さすがですね』
「タソガレドキ忍者隊の組頭だぞ!」
「なんでお前が得意そうなの…」
胸を張っている尊奈門を見て、頬に手を当てながらため息をつく雑渡はもうひとつくっきーを口の中に入れた。