アルバイトと忍術学園の段
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ!戻ってきた!」
盗賊を解放した後店に戻れば、きり丸が3人の姿を確認すると店の前で大きく手を振った。
「先輩達どこまで行ってたんすかー
恋歌さんの饅頭も団子もできましたよ」
「お、そりゃ楽しみだ」
『みんなの口に合うかはわからないけどね』
しんべヱ一推しの茶店で不定期にしか開かれない店の商品であれば期待してしまうのも無理はない。
今日のアルバイトのお礼だと詰まれた団子と饅頭に全員が手を伸ばした。
「こ、これは…!!」
「うまーい!!!」
「………」
「中在家先輩、無言でがっつかないでください」
『ふふふ、気に入ってもらえてよかった』
一口食べた瞬間体に衝撃が走り、今まで食べたどの饅頭、団子よりも美味いと年長者3人で取り合いが始まった。
「小平太取りすぎだぞ!!」
「そういう文次郎こそ!
長次は口に詰めすぎだ!!」
「味わえよ!!」
「もそ…」
「先輩達、喧嘩しないでくださいよぉー」
『まだあるよ』
「ええー!!あんまり先輩達に出すと売る物が少なく…」
『わたしは別に気にしないよ』
「気にしてくださいぃいいいい」
タダで売れるはずだったものを渡していることにきり丸が涙を浮かべているが、恋歌は全く気にしていないようで追加を持ってこようとしている。
「いえ!これ以上は我らもお金をきっちり払います!!」
『手伝ってくれたお礼だからいいのに』
「充分にいただきました
ほれきり丸、これは恋歌さんの売上に入れておいてくれ」
「まいどぉおお」
目を銭にしたきり丸は文次郎から受け取ったお金を恋歌がいつも売り上げを入れている袋にきっちりと入れ、小平太と長次からもそれぞれお金を受け取っていた。
「それじゃあまた来ます」
『うん、今日はありがとう
よろしくね』
4人ともの背に恋歌の作った饅頭や団子を詰めた風呂敷が背負われており、それを忍術学園の生徒や先生にきり丸が売ってくれる手筈となっている。
『潮江くんも、七松くんも、中在家くんも今日はありがとう
また遊びにきてね』
「「「はい!」」」
ひらひらと手を振りながら見送ってくれる恋歌に見えないとわかってはいるが全員で手を振りかえして忍術学園へ歩き出した。
忍術学園に持って帰った商品は、アルバイトから帰ってきた次の日には全て完売し、きり丸は一時的にでも自分の手元に大量の銭があることに涎を垂らしていた。
「さっすが恋歌さんのお饅頭にお団子だね
怒涛の勢いで売れちゃった」
「僕もっと食べたかったのにきり丸が個数制限なんてつけるから…」
「なーに言ってんだ
個数制限つけなかったらぜーんぶしんべヱに食べられて終わりだろ
先輩達もかなり気に入ってたから全部買い占められる可能性もあったしな」
きり丸の狙いは顧客を増やすこと。
多くの人に恋歌の店の味を知ってもらえば開店する日はきり丸がいち早く情報を入手できるため、先日のように3人に手伝ってもらってたくさん材料を仕入れることができれば売上アップにつながると考えた。
「恋歌さんだって売り方はおれに任せるって言ってたしな」
「恋歌さんはきりちゃんを信用しすぎな気もするけどね」
しかし今回個数制限をつけたのは正解だったようで、学園長までもが気に入ってしまい制限された個数以上によこせときり丸に襲いかかっていたが、まだ買えていない者たちや制限をきっちり守って購入した物たちの反撃にあい撃沈していた。
「ま、次呼ばれたら好評だったって伝えてもっと儲ける方法を一緒に考えないとだな!!」
「あんまり無理させちゃダメだよ?」
「わーってるって
恋歌さんが倒れたんじゃ意味ないからな」
そしてそれから2週間後、次の休みにアルバイトに来てほしいと恋歌から手紙が届いた。
「恋歌さんって僕たちのこと忍たまって知らないよね?」
「ああ、言ってないしな」
「なのにどうして忍術学園に手紙が届くの?」
「忍術学園ってことは伝えてないけど、ここの住所は伝えてるからさ」
「「なるほど…」」
きり丸の持つ手紙を後ろから覗き込めば簡素な内容ではあるが美しい字で文字が書かれていた。
「これ…わたしたちより字が上手だね…」
「目が見えてないのにすげぇよな」
内容を確認したきり丸は折り目に合わせて手紙を戻し箪笥にしまった。
「次の休みかー
乱太郎としんべヱ予定は?」
「わたしは保健委員の仕事が…」
「僕も用具委員の仕事があるんだよね…」
「そっかぁ
今回は売り子して欲しいみたいだし先輩達に頼むより他のは組のやつらに声かけるか」
そしてその次の休みは委員会活動がなかった庄左ヱ門と2人で売り子に向かい、その次に呼ばれた時は兵太夫や喜三太を連れて売り子に向かい、買い出しを手伝って欲しいと言われた時は文次郎、小平太、長次の3人を連れて行ったりとは組と上級生3人と恋歌の交流が増えてきた。
アルバイトに来てくれる人数が増えたため、今までより店を開ける頻度を高くすることができ、売上も上々なためきり丸はお礼にと特別手当をもらえて嬉しそうにしていた。
今日は以前のように文次郎、小平太、長次を連れて買い出しのためにきてくれていたが、2回目以降からは同じものを買うのであれば店の場所も購入する量も覚えているからとその中の2人が買い出し、残りの3人で準備と役割分担をしている。
『きり丸くんのお友だちも先輩もみんないい子で助かるよ
今日もありがとう
これまたよろしくね』
「いつもありがとうございまぁすっ!」
(((おれ(わたし)たちもいい子…)))
6年生になってからいい子だと言われることはほぼなくなったが、たまに言われるといいものだと3人は照れくさそうに笑っている。
最初のアルバイトでは小平太が頭を撫でられていたが慣れてきたのか今では3人とも恋歌に一度は頭を撫でられている。
他のは組のメンバーがアルバイトに来た時は、何か褒めることがあれば頭を撫でてもらえるためいい子たちはそれも目当てに頑張って仕事をしていた。
「あ、そうだ」
忍術学園で売る商品を背中に担いだ直後、きり丸が思い出したように恋歌に駆け寄って手を握った。
「恋歌さんって普通の料理はできます?」
『んー…この家でならまぁ…
どうして?』
材料がどこにあるのかを完全に把握している家であれば簡単なものなら作れると思ったがそれ以外の場所でとなると話は変わってくる。
「いえ!ちょっとした確認です!」
『そう?』
それじゃあまた、と声をかけてきたきり丸に手を振り恋歌は質問の意図がわからず首を傾げた。
「最後に恋歌さんに聞いたのはなんだったんだ?」
恋歌が店の中に入ったのを確認してから、どういった意図があったのかをきり丸に文次郎が問うときり丸は実は…と話し始めた。
「食堂のおばちゃんが膝を痛めたらしくて、誰かしばらく手伝いにでも来てくれないかなって言ってたんすよ
黒古毛先生にも聞いてみたらしいんですが、今すぐには来れないみたいで」
「なるほど
それで恋歌さんに手伝いを頼めないか、というわけだな」
「そうっす
ただ問題は恋歌さんはおれたちが忍術学園の生徒とは知らないところなんですよね」
忍術学園は看板こそ表に出してはいるが、自分たちがそこの生徒だということを簡単に漏らしていいわけではない。
「わたしは問題ないと思うぞ?」
「え?なんでですか?」
「わたしの勘だ!!」
「ええー…」
「おれもそう思う」
「もそ」
「ええー!潮江先輩も!?
中在家先輩も頷いてる!?」
「と、いうわけで助っ人に来てくれないですか?」
『わたしがきり丸くんたちが通ってる学園に…?』
あの日学園に戻ってきた3人は食堂のおばちゃんの膝のことも考えて早い方がいいだろうと着替えてすぐに学園長部屋でもある庵へと向かい、恋歌のことを助っ人として呼んではどうかと話をした。
学園長はしばらく唸ってはいたがあの甘味を作っている人物であること、6年生の3人のお墨付きならと最終的には快く承諾をした。
「もちろんお給金は出ます!!」
『あ、いやそこは別にいいんだけど…』
「よくないですよ!!」
学園長の許可が出た次の日、すぐにきり丸が恋歌に学園にしばらく来て欲しいと依頼をしにやってきた。
『でもわたしは…ほら…こんなだし…』
ここにアルバイトに来てくれている子たちは恋歌の姿に慣れているだろうが学園に行くとなればもっとたくさんの子どもたちがいて、自分の姿を怖がってしまう子もいるかもしれない。
それに慣れていない場所では何がどこにあるのかもわからず迷惑になるのでは、と手助けはしたいが了承できずにいる。
「おれもは組のみんなも、もちろん先輩達もいます!
それにほとんど全員恋歌さんの甘味の虜なんですぐに慣れると思いますよ」
『…わかった
そのお話引き受けます』
きり丸がここまで言ってくれているならと恋歌も最終的には承諾し、明日また改めて迎えに来ると早々に立ち去った。
盗賊を解放した後店に戻れば、きり丸が3人の姿を確認すると店の前で大きく手を振った。
「先輩達どこまで行ってたんすかー
恋歌さんの饅頭も団子もできましたよ」
「お、そりゃ楽しみだ」
『みんなの口に合うかはわからないけどね』
しんべヱ一推しの茶店で不定期にしか開かれない店の商品であれば期待してしまうのも無理はない。
今日のアルバイトのお礼だと詰まれた団子と饅頭に全員が手を伸ばした。
「こ、これは…!!」
「うまーい!!!」
「………」
「中在家先輩、無言でがっつかないでください」
『ふふふ、気に入ってもらえてよかった』
一口食べた瞬間体に衝撃が走り、今まで食べたどの饅頭、団子よりも美味いと年長者3人で取り合いが始まった。
「小平太取りすぎだぞ!!」
「そういう文次郎こそ!
長次は口に詰めすぎだ!!」
「味わえよ!!」
「もそ…」
「先輩達、喧嘩しないでくださいよぉー」
『まだあるよ』
「ええー!!あんまり先輩達に出すと売る物が少なく…」
『わたしは別に気にしないよ』
「気にしてくださいぃいいいい」
タダで売れるはずだったものを渡していることにきり丸が涙を浮かべているが、恋歌は全く気にしていないようで追加を持ってこようとしている。
「いえ!これ以上は我らもお金をきっちり払います!!」
『手伝ってくれたお礼だからいいのに』
「充分にいただきました
ほれきり丸、これは恋歌さんの売上に入れておいてくれ」
「まいどぉおお」
目を銭にしたきり丸は文次郎から受け取ったお金を恋歌がいつも売り上げを入れている袋にきっちりと入れ、小平太と長次からもそれぞれお金を受け取っていた。
「それじゃあまた来ます」
『うん、今日はありがとう
よろしくね』
4人ともの背に恋歌の作った饅頭や団子を詰めた風呂敷が背負われており、それを忍術学園の生徒や先生にきり丸が売ってくれる手筈となっている。
『潮江くんも、七松くんも、中在家くんも今日はありがとう
また遊びにきてね』
「「「はい!」」」
ひらひらと手を振りながら見送ってくれる恋歌に見えないとわかってはいるが全員で手を振りかえして忍術学園へ歩き出した。
忍術学園に持って帰った商品は、アルバイトから帰ってきた次の日には全て完売し、きり丸は一時的にでも自分の手元に大量の銭があることに涎を垂らしていた。
「さっすが恋歌さんのお饅頭にお団子だね
怒涛の勢いで売れちゃった」
「僕もっと食べたかったのにきり丸が個数制限なんてつけるから…」
「なーに言ってんだ
個数制限つけなかったらぜーんぶしんべヱに食べられて終わりだろ
先輩達もかなり気に入ってたから全部買い占められる可能性もあったしな」
きり丸の狙いは顧客を増やすこと。
多くの人に恋歌の店の味を知ってもらえば開店する日はきり丸がいち早く情報を入手できるため、先日のように3人に手伝ってもらってたくさん材料を仕入れることができれば売上アップにつながると考えた。
「恋歌さんだって売り方はおれに任せるって言ってたしな」
「恋歌さんはきりちゃんを信用しすぎな気もするけどね」
しかし今回個数制限をつけたのは正解だったようで、学園長までもが気に入ってしまい制限された個数以上によこせときり丸に襲いかかっていたが、まだ買えていない者たちや制限をきっちり守って購入した物たちの反撃にあい撃沈していた。
「ま、次呼ばれたら好評だったって伝えてもっと儲ける方法を一緒に考えないとだな!!」
「あんまり無理させちゃダメだよ?」
「わーってるって
恋歌さんが倒れたんじゃ意味ないからな」
そしてそれから2週間後、次の休みにアルバイトに来てほしいと恋歌から手紙が届いた。
「恋歌さんって僕たちのこと忍たまって知らないよね?」
「ああ、言ってないしな」
「なのにどうして忍術学園に手紙が届くの?」
「忍術学園ってことは伝えてないけど、ここの住所は伝えてるからさ」
「「なるほど…」」
きり丸の持つ手紙を後ろから覗き込めば簡素な内容ではあるが美しい字で文字が書かれていた。
「これ…わたしたちより字が上手だね…」
「目が見えてないのにすげぇよな」
内容を確認したきり丸は折り目に合わせて手紙を戻し箪笥にしまった。
「次の休みかー
乱太郎としんべヱ予定は?」
「わたしは保健委員の仕事が…」
「僕も用具委員の仕事があるんだよね…」
「そっかぁ
今回は売り子して欲しいみたいだし先輩達に頼むより他のは組のやつらに声かけるか」
そしてその次の休みは委員会活動がなかった庄左ヱ門と2人で売り子に向かい、その次に呼ばれた時は兵太夫や喜三太を連れて売り子に向かい、買い出しを手伝って欲しいと言われた時は文次郎、小平太、長次の3人を連れて行ったりとは組と上級生3人と恋歌の交流が増えてきた。
アルバイトに来てくれる人数が増えたため、今までより店を開ける頻度を高くすることができ、売上も上々なためきり丸はお礼にと特別手当をもらえて嬉しそうにしていた。
今日は以前のように文次郎、小平太、長次を連れて買い出しのためにきてくれていたが、2回目以降からは同じものを買うのであれば店の場所も購入する量も覚えているからとその中の2人が買い出し、残りの3人で準備と役割分担をしている。
『きり丸くんのお友だちも先輩もみんないい子で助かるよ
今日もありがとう
これまたよろしくね』
「いつもありがとうございまぁすっ!」
(((おれ(わたし)たちもいい子…)))
6年生になってからいい子だと言われることはほぼなくなったが、たまに言われるといいものだと3人は照れくさそうに笑っている。
最初のアルバイトでは小平太が頭を撫でられていたが慣れてきたのか今では3人とも恋歌に一度は頭を撫でられている。
他のは組のメンバーがアルバイトに来た時は、何か褒めることがあれば頭を撫でてもらえるためいい子たちはそれも目当てに頑張って仕事をしていた。
「あ、そうだ」
忍術学園で売る商品を背中に担いだ直後、きり丸が思い出したように恋歌に駆け寄って手を握った。
「恋歌さんって普通の料理はできます?」
『んー…この家でならまぁ…
どうして?』
材料がどこにあるのかを完全に把握している家であれば簡単なものなら作れると思ったがそれ以外の場所でとなると話は変わってくる。
「いえ!ちょっとした確認です!」
『そう?』
それじゃあまた、と声をかけてきたきり丸に手を振り恋歌は質問の意図がわからず首を傾げた。
「最後に恋歌さんに聞いたのはなんだったんだ?」
恋歌が店の中に入ったのを確認してから、どういった意図があったのかをきり丸に文次郎が問うときり丸は実は…と話し始めた。
「食堂のおばちゃんが膝を痛めたらしくて、誰かしばらく手伝いにでも来てくれないかなって言ってたんすよ
黒古毛先生にも聞いてみたらしいんですが、今すぐには来れないみたいで」
「なるほど
それで恋歌さんに手伝いを頼めないか、というわけだな」
「そうっす
ただ問題は恋歌さんはおれたちが忍術学園の生徒とは知らないところなんですよね」
忍術学園は看板こそ表に出してはいるが、自分たちがそこの生徒だということを簡単に漏らしていいわけではない。
「わたしは問題ないと思うぞ?」
「え?なんでですか?」
「わたしの勘だ!!」
「ええー…」
「おれもそう思う」
「もそ」
「ええー!潮江先輩も!?
中在家先輩も頷いてる!?」
「と、いうわけで助っ人に来てくれないですか?」
『わたしがきり丸くんたちが通ってる学園に…?』
あの日学園に戻ってきた3人は食堂のおばちゃんの膝のことも考えて早い方がいいだろうと着替えてすぐに学園長部屋でもある庵へと向かい、恋歌のことを助っ人として呼んではどうかと話をした。
学園長はしばらく唸ってはいたがあの甘味を作っている人物であること、6年生の3人のお墨付きならと最終的には快く承諾をした。
「もちろんお給金は出ます!!」
『あ、いやそこは別にいいんだけど…』
「よくないですよ!!」
学園長の許可が出た次の日、すぐにきり丸が恋歌に学園にしばらく来て欲しいと依頼をしにやってきた。
『でもわたしは…ほら…こんなだし…』
ここにアルバイトに来てくれている子たちは恋歌の姿に慣れているだろうが学園に行くとなればもっとたくさんの子どもたちがいて、自分の姿を怖がってしまう子もいるかもしれない。
それに慣れていない場所では何がどこにあるのかもわからず迷惑になるのでは、と手助けはしたいが了承できずにいる。
「おれもは組のみんなも、もちろん先輩達もいます!
それにほとんど全員恋歌さんの甘味の虜なんですぐに慣れると思いますよ」
『…わかった
そのお話引き受けます』
きり丸がここまで言ってくれているならと恋歌も最終的には承諾し、明日また改めて迎えに来ると早々に立ち去った。