店の秘密とお礼の段
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手紙の返事はすぐにきたため次の休みに店に戻ることが決まり、色々と準備をしている間にあっという間に休みの日となった。
『あれ?2人も着いてきてくれるの?』
「はい!何でもお手伝いします!」
「わたしは興味もあります、もそ」
早朝に文次郎と門の前で待ち合わせをしていたはずだったが、文次郎の他に小平太と長次も門の前で待っていてくれた。
「どこに行くのかと2人に捕まりまして…」
『そうなの?
お手伝いしてくれるなら嬉しい、ありがとう』
抜けがけは許さん、と小平太と長次から視線を向けられている文次郎はその視線から逃げるように2人とは視線を合わさずに門を開けた。
まだほんのりと暗い恋歌の店までの道のりを歩き、何事もなく恋歌の店にたどり着くことができた。
『思ったより荒れてないみたい』
「そのようですね」
先日の騒動の前にフリーの忍者がこの店の中に入ったということは報告を受けて知っているが、本当に恋歌がいるかを確認しただけのようで思ったより荒らされている様子もなくほっとした。
「掃除から始めるのですか?」
『それも必要だけど先に頼んでた荷物を受け取るためにお金を準備しないと』
「お金…」
今日陽も昇らない早朝から店に来たのはしんべヱの父親に頼んだ荷物を、団蔵の実家の馬借便で店に運んでもらうためだった。
その荷物を受け取るためにお金を準備すると言うが、そういえばいつも恋歌の店の売上や、買い物に行っていた時のお金はどこに保管していたのだろうと3人で顔を見合わせた。
『目が見えない女がやってる店の売上なんかは盗みやすかったと思うよね?』
「それはまぁ…その…そう、ですね」
『でもね、わたし一度もお金を盗まれたことないんだよ』
ふふふ、と得意げに笑っている恋歌に手招きされ、ついていけばそこは同じ建物の中ではあるが店の裏側、つまり居住空間の板間があった。
何もない殺風景な板間でとても誰かが生活をしているようには見えない。
「普段はここで生活を?」
『試食ぐらいはここでやってたけど生活はここじゃなくて…』
隅の方へ歩いて行きよく見ないとわからない程度のへこみに指を引っ掛けてから指を引くと、簡単に板が1枚剥がれ板の下には数字のボタンがついていた。
「まさかこれも絡繰なのですか…」
『うん、ここにある数字を順番に押して…
この紐を引いて…
こっちにちいさな隙間ができるからそこにも数字を…』
説明しながら複数の絡繰を解いていくのを黙って見ていたが、その工程が10を超えたあたりから何をしていたのか正確には覚えていられなかった。
『最後にここを引けば…』
もはやどこから出てきたのかもわからない木の棒を下に引くとがこん、と一際大きな音を立てて床の板が外れた。
よいしょ、とその板を持ち上げるのを慌てて3人が手伝い、外れた板の下を覗き込めば急勾配な階段が続いており、中は真っ暗でその階段の先に何があるのか全く見えない。
『入ってみる?結構暗いけど』
「お許しいただけるのであれば」
高度な絡繰にどきどきと興奮した表情を隠しきれていない3人は、恋歌の許可があっさりと出たため4人で階段を降りていく。
「本当に真っ暗だな…」
「ああ…」
体感でおよそ5mほど降りたところで階段は終わり足を床につけたが、恋歌の言うように真っ暗で灯りが一つもなく、入り口から入ってくる僅かな光でさえもほとんど届いていない。
きょろ、とあたりを見渡すが夜目の効く3人でもまだぼんやりとしか見えない。
『お金とってくるね』
しかし恋歌は何の迷いもなく目的の場所へと進み、自身の半分ほどの大きさもある壺から小銭をじゃらじゃらと袋に詰めている。
「もしかしてそこにある壺全てにお金を…?」
『うん、ここなら盗られる心配はないしね』
ぼんやりと見える視界でも壺が複数あるのが見え、壺にはいっぱいまで小銭に詰まっているのがわかる。
「きり丸には見せられんな」
「たしかに」
きり丸が見てしまえばいろんな感情がぐちゃぐちゃになって倒れてしまいそうだと想像がついた。
「ここにあるのは本ですか?」
『そうだよ
おばあさまの家から持ってきたんだ』
目が慣れてきた長次が近くの壁に目を凝らすと壁が一面本棚のようになっており、そこにはびっしりと本が詰まっているのがわかった。
『気になる本があれば持っていってくれて良いよ』
「ありがとうございます」
「わたしにも見せてくれ!」
大事な人との思い出であろう物を貸し出してくれることに嬉しくなった長次は、いくつか本をそっと抜いて入り口から僅かに漏れる光の下で本を開いた。
『お金これでよし…あとは…』
用意したお金を袂に入れ、少し奥の方に進んで置いてある籠を開けた。
『これと、これと…』
「よ、よくこの暗闇で必要な物がわかりますね」
かちゃかちゃと何かを準備しているのまではわかるが、奥に入ってしまっては近寄ってもほとんど何も見えない。
『わたしの目、暗くても普通に見えるんだよね
灯りがなくても昼と同じように見えるし、今までは目を開けてなかったから物の配置は全部覚えてるんだよ』
「そうですか…」
『だから今潮江くんがどんな顔してるかもちゃんと見えてるよ』
「え…」
つん、と俯いていた額に指を当てられ、表情はわからないが笑われているのがわかる。
『荷物、持ってくれる?』
「はい」
一体自分はどんな表情をしてしたのだろう、と考えてみたが確認する術はない。
荷物を持って欲しい、という言葉にとりあえず手を出した文次郎の手の上に軽い何かが乗せられた。
『うん、これでいいはず
よいしょ』
「重たい物であれば持ちます!」
『ありがとう
じゃあこれをお願いします』
小平太にも荷物を渡してから、気になった書物を数冊持った長次と全員で上に戻った。
『あれ?2人も着いてきてくれるの?』
「はい!何でもお手伝いします!」
「わたしは興味もあります、もそ」
早朝に文次郎と門の前で待ち合わせをしていたはずだったが、文次郎の他に小平太と長次も門の前で待っていてくれた。
「どこに行くのかと2人に捕まりまして…」
『そうなの?
お手伝いしてくれるなら嬉しい、ありがとう』
抜けがけは許さん、と小平太と長次から視線を向けられている文次郎はその視線から逃げるように2人とは視線を合わさずに門を開けた。
まだほんのりと暗い恋歌の店までの道のりを歩き、何事もなく恋歌の店にたどり着くことができた。
『思ったより荒れてないみたい』
「そのようですね」
先日の騒動の前にフリーの忍者がこの店の中に入ったということは報告を受けて知っているが、本当に恋歌がいるかを確認しただけのようで思ったより荒らされている様子もなくほっとした。
「掃除から始めるのですか?」
『それも必要だけど先に頼んでた荷物を受け取るためにお金を準備しないと』
「お金…」
今日陽も昇らない早朝から店に来たのはしんべヱの父親に頼んだ荷物を、団蔵の実家の馬借便で店に運んでもらうためだった。
その荷物を受け取るためにお金を準備すると言うが、そういえばいつも恋歌の店の売上や、買い物に行っていた時のお金はどこに保管していたのだろうと3人で顔を見合わせた。
『目が見えない女がやってる店の売上なんかは盗みやすかったと思うよね?』
「それはまぁ…その…そう、ですね」
『でもね、わたし一度もお金を盗まれたことないんだよ』
ふふふ、と得意げに笑っている恋歌に手招きされ、ついていけばそこは同じ建物の中ではあるが店の裏側、つまり居住空間の板間があった。
何もない殺風景な板間でとても誰かが生活をしているようには見えない。
「普段はここで生活を?」
『試食ぐらいはここでやってたけど生活はここじゃなくて…』
隅の方へ歩いて行きよく見ないとわからない程度のへこみに指を引っ掛けてから指を引くと、簡単に板が1枚剥がれ板の下には数字のボタンがついていた。
「まさかこれも絡繰なのですか…」
『うん、ここにある数字を順番に押して…
この紐を引いて…
こっちにちいさな隙間ができるからそこにも数字を…』
説明しながら複数の絡繰を解いていくのを黙って見ていたが、その工程が10を超えたあたりから何をしていたのか正確には覚えていられなかった。
『最後にここを引けば…』
もはやどこから出てきたのかもわからない木の棒を下に引くとがこん、と一際大きな音を立てて床の板が外れた。
よいしょ、とその板を持ち上げるのを慌てて3人が手伝い、外れた板の下を覗き込めば急勾配な階段が続いており、中は真っ暗でその階段の先に何があるのか全く見えない。
『入ってみる?結構暗いけど』
「お許しいただけるのであれば」
高度な絡繰にどきどきと興奮した表情を隠しきれていない3人は、恋歌の許可があっさりと出たため4人で階段を降りていく。
「本当に真っ暗だな…」
「ああ…」
体感でおよそ5mほど降りたところで階段は終わり足を床につけたが、恋歌の言うように真っ暗で灯りが一つもなく、入り口から入ってくる僅かな光でさえもほとんど届いていない。
きょろ、とあたりを見渡すが夜目の効く3人でもまだぼんやりとしか見えない。
『お金とってくるね』
しかし恋歌は何の迷いもなく目的の場所へと進み、自身の半分ほどの大きさもある壺から小銭をじゃらじゃらと袋に詰めている。
「もしかしてそこにある壺全てにお金を…?」
『うん、ここなら盗られる心配はないしね』
ぼんやりと見える視界でも壺が複数あるのが見え、壺にはいっぱいまで小銭に詰まっているのがわかる。
「きり丸には見せられんな」
「たしかに」
きり丸が見てしまえばいろんな感情がぐちゃぐちゃになって倒れてしまいそうだと想像がついた。
「ここにあるのは本ですか?」
『そうだよ
おばあさまの家から持ってきたんだ』
目が慣れてきた長次が近くの壁に目を凝らすと壁が一面本棚のようになっており、そこにはびっしりと本が詰まっているのがわかった。
『気になる本があれば持っていってくれて良いよ』
「ありがとうございます」
「わたしにも見せてくれ!」
大事な人との思い出であろう物を貸し出してくれることに嬉しくなった長次は、いくつか本をそっと抜いて入り口から僅かに漏れる光の下で本を開いた。
『お金これでよし…あとは…』
用意したお金を袂に入れ、少し奥の方に進んで置いてある籠を開けた。
『これと、これと…』
「よ、よくこの暗闇で必要な物がわかりますね」
かちゃかちゃと何かを準備しているのまではわかるが、奥に入ってしまっては近寄ってもほとんど何も見えない。
『わたしの目、暗くても普通に見えるんだよね
灯りがなくても昼と同じように見えるし、今までは目を開けてなかったから物の配置は全部覚えてるんだよ』
「そうですか…」
『だから今潮江くんがどんな顔してるかもちゃんと見えてるよ』
「え…」
つん、と俯いていた額に指を当てられ、表情はわからないが笑われているのがわかる。
『荷物、持ってくれる?』
「はい」
一体自分はどんな表情をしてしたのだろう、と考えてみたが確認する術はない。
荷物を持って欲しい、という言葉にとりあえず手を出した文次郎の手の上に軽い何かが乗せられた。
『うん、これでいいはず
よいしょ』
「重たい物であれば持ちます!」
『ありがとう
じゃあこれをお願いします』
小平太にも荷物を渡してから、気になった書物を数冊持った長次と全員で上に戻った。