初授業とサングラスの段
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ごちそうさまでした、と全員が食べ終わったところで食器類を回収し、食堂に戻ろうとすると文次郎が立ち上がって手伝うと言い食堂まで着いてきてくれることになった。
何かを察した三木ヱ門が自分たちが手伝うと立ち上がった団蔵と左吉を押さえ、お願いしますと見送られた。
「遅い時間になってしまいました
片付けはわたしが…」
『ううん、いいよ
これぐらいならすぐだし会計室に戻ってあげて』
いつもであれば湯浴みも済んでいるであろう時間になってしまい、文次郎が片付けを申し出たが平気だと恋歌が譲ってくれない。
「し、しかし…」
『いいんだよ
わたしは…いろんな景色が見られることが今とても楽しいから…
この場所をくれたお礼をさせてほしい』
「そんな…お礼だなんて…」
自分の作ったものを食べてくれる人の顔を見られることが恋歌にとって初めてのことで、みんなが笑顔で食べてくれている。
それを見ることのできる場所を作ってくれたことを感謝しているが、文次郎にとってはお礼を言われるほどのことではないと感じているため申し訳ないような気持ちになる。
『潮江くんは優しい良い子だから色々考えてくれてるんだろうけど、わたしはわたしのやりたいことをやってるだけだから気にしないで』
「わかりました」
『気にかけてくれてありがとう』
そういえばこの人は結構頑固な性格だったなと、忍術学園へ数年間来なかったことを思い出して納得してしまった。
『あとは…おせっかいついでだけど』
洗い物が終わり手を拭いてから文次郎の目の下にある隈へと手を伸ばした。
水で少し冷えた指が心地よく感じ、隈を軽く撫でてくる指先をそのまま好きにさせてくれている。
『忍者のお仕事っていうのがどんなものかは詳しくは知らないし、わたしが口を出すことではないのもわかってる
でも…昔、あそこで話をしていた人たちは、みんな…隈を作って…元気がなさそうだった…
潮江くんは元気だけど…眠れる時は眠って…もっと元気でいてほしい』
昔、というのはあの家で神の目を頼りに来ていた人たちのことをさすのだろう。
おそらくあの閉鎖的な場所に辿り着くのは限界を迎えた者たちか、金を持っている者のどちらかなのだろうと予想はできる。
『おせっかいなのはわかってるよ
でも…好きな人が元気でいてほしいと思うことは許してほしい』
忍術学園の誰に対しても“好きな人”と言ってくることに対して、勘違いしてしまう輩もいそうだからと注意しようかと思ったが、そうなると自分にも言ってくれなくなるのでは、とひとまず注意することは止め隈を撫でている恋歌の手を軽く握った。
「わたしのことを想っての言葉をおせっかいとは思いません
許しを請う必要もありません」
『うん、ありがとう』
「それよりは…その…」
『ん?』
「わたしのことを…良い子、というのは…」
『ふふ、それは事実だから止められないかな』
心配されることに何の抵抗もないが、良い子と言われることだけはどうしても慣れない。
握っていた恋歌の手を離すと、その手は文次郎の頭の上に乗せられた。
『潮江くんは思っていたより大きいね』
「え?わたしは小平太や長次と比べると背は低いですが…」
『七松くんも中在家くんも思っていたより大きかったよ』
「?」
どういう意味で言われているのかわからず、少し背伸びをして撫でられていることに気づいて頭を下げると楽しそうに笑う声が聞こえてきた。
『ほらね
みんな頭を下げてくれてたから実際見た時少しびっくりしたんだよ』
「あ…」
おそらく3人とも無意識にしていた行動で撫でる頭の位置から身長を予想していたようだが、実際に立っている姿を見て恋歌1人で驚いていたということらしい。
ふ、と頭の上から恋歌の手が離れ、しっかりと立てば今度は目の前に手が差し出される。
『これを良い子、と言わなくてなんと言うのか教えてほしいぐらいだよ』
「ぐ…」
何も言い返す言葉が見つからない文次郎は、眉間に皺を寄せて目の前に差し出された手を下から優しく握った。
「あ」
『ふふ、ほらね』
「……部屋までお送りします」
『うん、ありがとう』
恋歌が盲目だと思っていた頃の癖で、やってしまったと気づいた時にはもう遅く、赤くなった顔を見られないように顔を背け、恋歌の部屋へと送るために軽く手を引いて歩き始めた。
「その…先程の話ですが…」
『さっきの話?』
「はい
先程わたしたちとした話であれば次の休みにはあの店に戻られる、ということですよね?」
『ああ、その話
うん、そうだね
あとは…しんべヱくんと団蔵くんにお願いすることがあるかな』
「なるほど…それわたしも着いて行っても…?」
『手伝ってくれるなら嬉しいけど…』
「では次の休み、外出届を出しておきます」
『うん、ありがとう』
先程4人に聞いた話は早くやらなければならない事であると恋歌は考えていたため、次の休みにでも自分の店に戻るつもりだった。
誰かについてきてもらうつもりはなかったが、ついてきてくれるというのであれば心強いと快諾する。
『じゃあ送ってくれてありがとう』
「いえ、こちらこそ夕飯ありがとうございました
あと…その…」
『?』
恋歌の部屋の前で握った手をいつもより強く握り、ほんのりと頬と耳を赤くした文次郎は恋歌の目を見て口を開いた。
「お綺麗…!!です!
で、では失礼します!!」
言いたかった言葉を伝えた瞬間、ぱっと手を離して全速力で立ち去ってしまった文次郎の背中を見送り、思わず吹き出してしまった。
そのまますぐにくのたま長屋の風呂へ向かい、戻ってから土井から出された宿題を済ませた。
『さて、あとはしんべヱくんのお父様と団蔵くんのお父様へお手紙書いて、と』
急なお願いになってしまうが大丈夫だろうかと思ったが、もし難しければ日程を変更すればいいかと2人に手紙を書き、明日小松田に出してもらおうと机の上に置いて布団に入って目を閉じた。
何かを察した三木ヱ門が自分たちが手伝うと立ち上がった団蔵と左吉を押さえ、お願いしますと見送られた。
「遅い時間になってしまいました
片付けはわたしが…」
『ううん、いいよ
これぐらいならすぐだし会計室に戻ってあげて』
いつもであれば湯浴みも済んでいるであろう時間になってしまい、文次郎が片付けを申し出たが平気だと恋歌が譲ってくれない。
「し、しかし…」
『いいんだよ
わたしは…いろんな景色が見られることが今とても楽しいから…
この場所をくれたお礼をさせてほしい』
「そんな…お礼だなんて…」
自分の作ったものを食べてくれる人の顔を見られることが恋歌にとって初めてのことで、みんなが笑顔で食べてくれている。
それを見ることのできる場所を作ってくれたことを感謝しているが、文次郎にとってはお礼を言われるほどのことではないと感じているため申し訳ないような気持ちになる。
『潮江くんは優しい良い子だから色々考えてくれてるんだろうけど、わたしはわたしのやりたいことをやってるだけだから気にしないで』
「わかりました」
『気にかけてくれてありがとう』
そういえばこの人は結構頑固な性格だったなと、忍術学園へ数年間来なかったことを思い出して納得してしまった。
『あとは…おせっかいついでだけど』
洗い物が終わり手を拭いてから文次郎の目の下にある隈へと手を伸ばした。
水で少し冷えた指が心地よく感じ、隈を軽く撫でてくる指先をそのまま好きにさせてくれている。
『忍者のお仕事っていうのがどんなものかは詳しくは知らないし、わたしが口を出すことではないのもわかってる
でも…昔、あそこで話をしていた人たちは、みんな…隈を作って…元気がなさそうだった…
潮江くんは元気だけど…眠れる時は眠って…もっと元気でいてほしい』
昔、というのはあの家で神の目を頼りに来ていた人たちのことをさすのだろう。
おそらくあの閉鎖的な場所に辿り着くのは限界を迎えた者たちか、金を持っている者のどちらかなのだろうと予想はできる。
『おせっかいなのはわかってるよ
でも…好きな人が元気でいてほしいと思うことは許してほしい』
忍術学園の誰に対しても“好きな人”と言ってくることに対して、勘違いしてしまう輩もいそうだからと注意しようかと思ったが、そうなると自分にも言ってくれなくなるのでは、とひとまず注意することは止め隈を撫でている恋歌の手を軽く握った。
「わたしのことを想っての言葉をおせっかいとは思いません
許しを請う必要もありません」
『うん、ありがとう』
「それよりは…その…」
『ん?』
「わたしのことを…良い子、というのは…」
『ふふ、それは事実だから止められないかな』
心配されることに何の抵抗もないが、良い子と言われることだけはどうしても慣れない。
握っていた恋歌の手を離すと、その手は文次郎の頭の上に乗せられた。
『潮江くんは思っていたより大きいね』
「え?わたしは小平太や長次と比べると背は低いですが…」
『七松くんも中在家くんも思っていたより大きかったよ』
「?」
どういう意味で言われているのかわからず、少し背伸びをして撫でられていることに気づいて頭を下げると楽しそうに笑う声が聞こえてきた。
『ほらね
みんな頭を下げてくれてたから実際見た時少しびっくりしたんだよ』
「あ…」
おそらく3人とも無意識にしていた行動で撫でる頭の位置から身長を予想していたようだが、実際に立っている姿を見て恋歌1人で驚いていたということらしい。
ふ、と頭の上から恋歌の手が離れ、しっかりと立てば今度は目の前に手が差し出される。
『これを良い子、と言わなくてなんと言うのか教えてほしいぐらいだよ』
「ぐ…」
何も言い返す言葉が見つからない文次郎は、眉間に皺を寄せて目の前に差し出された手を下から優しく握った。
「あ」
『ふふ、ほらね』
「……部屋までお送りします」
『うん、ありがとう』
恋歌が盲目だと思っていた頃の癖で、やってしまったと気づいた時にはもう遅く、赤くなった顔を見られないように顔を背け、恋歌の部屋へと送るために軽く手を引いて歩き始めた。
「その…先程の話ですが…」
『さっきの話?』
「はい
先程わたしたちとした話であれば次の休みにはあの店に戻られる、ということですよね?」
『ああ、その話
うん、そうだね
あとは…しんべヱくんと団蔵くんにお願いすることがあるかな』
「なるほど…それわたしも着いて行っても…?」
『手伝ってくれるなら嬉しいけど…』
「では次の休み、外出届を出しておきます」
『うん、ありがとう』
先程4人に聞いた話は早くやらなければならない事であると恋歌は考えていたため、次の休みにでも自分の店に戻るつもりだった。
誰かについてきてもらうつもりはなかったが、ついてきてくれるというのであれば心強いと快諾する。
『じゃあ送ってくれてありがとう』
「いえ、こちらこそ夕飯ありがとうございました
あと…その…」
『?』
恋歌の部屋の前で握った手をいつもより強く握り、ほんのりと頬と耳を赤くした文次郎は恋歌の目を見て口を開いた。
「お綺麗…!!です!
で、では失礼します!!」
言いたかった言葉を伝えた瞬間、ぱっと手を離して全速力で立ち去ってしまった文次郎の背中を見送り、思わず吹き出してしまった。
そのまますぐにくのたま長屋の風呂へ向かい、戻ってから土井から出された宿題を済ませた。
『さて、あとはしんべヱくんのお父様と団蔵くんのお父様へお手紙書いて、と』
急なお願いになってしまうが大丈夫だろうかと思ったが、もし難しければ日程を変更すればいいかと2人に手紙を書き、明日小松田に出してもらおうと机の上に置いて布団に入って目を閉じた。