初授業とサングラスの段
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そのあとは甘味処に入り、4人でお団子を食べ、陽が落ちてきたところで忍術学園への帰路に着く。
門をくぐり入門票へのサイン後、ついてきたくれた3人に礼を言って別れ、恋歌はそのまま自室として使っていいと言われた1年長屋へと戻ってきた。
文机の上にサングラス、紅、櫛を並べ、その横ににんたまの友を置いた。
『1日でこんなに増えちゃった…』
大切にしたいと思える物が一気に増えたことに口元が緩んでしまう。
今までは自分の店だけが自分の居場所であり、大切なものも特にはなかった。
恩人と過ごした記憶や、甘味の作り方は記憶であり物ではない。
しかし忍術学園にいれば簡単に居場所も、思い出も、物も、たくさんできてしまった。
『おばあさまはこうなるってわかってたのかな…』
忍術学園へ行け、という最期の言葉を意地を張って実行せずにいたことは、いつか“向こう”で会えた時に怒られてしまうかもしれないと一人で笑みを浮かべながらしばらくぼーっと文机の上を眺めていると、襖の外から声がかかった。
「恋歌さん、お戻りになったと聞いたのですが入ってもよろしいですか?」
『うん、大丈夫』
「失礼します」
からり、と襖を開けて入ってきたのは留三郎と伊作。
「さ、タカ丸自己紹介を」
「初めまして
4年は組の斉藤タカ丸です」
『初めまして
恋歌です』
癖で手を出してしまったがタカ丸は迷うことなくその手を握り返した。
「タカ丸は元髪結いなので恋歌さんの髪も整えてもらおうかと思って呼びました」
『わざわざありがとう』
昨日恋歌が自分で髪を切ろうとした時に伊作がうってつけの人物がいると言っていた。
その時のことを言っているのだろうとわざわざ来てくれたことに頭を下げると、タカ丸が慌て出した。
「そんなに畏まらないでください
どんな髪型にしたいですか?」
「変な髪型にはするなよ…?」
「わかってるよー」
『えっと…要望は前髪を短くしたいぐらいなんだけど…』
「ふむふむ
ちょっと失礼しますね」
さらりと正面から前髪を触り、後ろ髪も何度か持ち上げるように手で梳く。
「傷んでるのでトリートメントしますね
長さは僕のお任せでいいですか?」
『うん、それでお願いします』
「では!!」
何度か鋏がちょきちょきと音を立て、櫛が髪を梳いたと思った直後、タカ丸に鏡を渡された。
「どうですか?」
『え、も、もうできたの?』
まさに神業と言えるようなスピードで仕上がったため、おそるおそる鏡を覗き込む。
「わぁっ!僕はすごくいいと思います!
ね?留三郎」
「ああ、さすがはタカ丸だ」
「へへへ」
長かった前髪は目と眉の間で切り揃えられ、トリートメントされた髪は艶を出している。
前髪が短くなったことでサングラスを外している恋歌の目がよく見えるようになった。
「聞いてはいたんですけど、とっても綺麗な瞳ですね」
『ありがとう
髪、こんなに綺麗にしてもらったの初めて…』
感動するほどさらさらになった髪を手で触り、短くなった前髪にちょん、と触れた。
『嬉しい…
本当にありがとう』
「いえいえー、良ければ髪結いもしましょうか?」
『でももう外に出る用事はないよ?』
「僕がやりたいので」
『じゃあお願いします』
「はーい」
せっかく髪結いをしてもらっても後の予定は夕飯とお風呂だけ。
もったいないのでは?と思ったがタカ丸は気にしていないようで嬉々として髪に櫛を通す。
「どんな髪型が似合うかなー」
「お、やってるな」
「仙蔵
どうしたんだい?」
どんな髪型が似合うかをかみを梳きながら考えてくれていると制服に着替えた仙蔵がひょこ、と顔を出した。
「いや、ちょっとな」
どこか含みのある笑みを浮かべながら腰をおろした仙蔵に、何をしにきたんだと伊作と留三郎が視線を向けるが微笑んでいるだけで理由は話さない。
「はい、できました
こういうのはどうでしょう?」
『わぁ…すごい…
でもこのお花はどこから…』
渡された鏡を覗きこめばサイドの髪を三つ編みに編まれ、いつの間にか髪にはウェーブがかかっている。
不思議なのは髪につけてくれた花はどこから出てきたのか。
「あまりタカ丸の技術についてはお気になさらず
よくお似合いです」
「せっかくです
先ほど購入した紅もつけてみませんか?」
『え…?もうお出かけしないのに…?』
「試してみるのも良いではないですか」
『う、うん…』
なぜこんなに仙蔵がわくわくとした顔をしているのかは誰にもわからずだったが、出かける予定は終わったのに紅までつけてみようと勧めてくるため、その圧に負け仙蔵に任せることにした。
「では失礼して…」
これまたどこから出したのか化粧筆で丁寧に紅を引いていく。
女装が得意なだけあり綺麗に引き終えた仙蔵は満足そうに恋歌へ鏡を差し出した。
「本当に良くお似合いです」
『ほ、ほんと…?
変じゃない?』
「とてもお綺麗ですよ」
「もしかして仙蔵…お前…」
「ん?なんだ?」
「すごく綺麗ですよ
さすが立花仙蔵くん!」
「ふふふ、わたしの見立ては完璧なのだ」
何かを察した伊作と留三郎は満足そうに胸を張っている仙蔵の姿にため息をついたが、似合っているというのは本当であり、仙蔵の見立てた紅は恋歌によく合っている。
「さぁ!行きましょう」
『え?どこに…』
大袈裟なほど膝をついて紳士的に差し出された手に思わず手を乗せてしまい、軽い力で立ち上がらせられた。
「もちろん、あやつらに見せつけにです!」
「「はぁ…」」
門をくぐり入門票へのサイン後、ついてきたくれた3人に礼を言って別れ、恋歌はそのまま自室として使っていいと言われた1年長屋へと戻ってきた。
文机の上にサングラス、紅、櫛を並べ、その横ににんたまの友を置いた。
『1日でこんなに増えちゃった…』
大切にしたいと思える物が一気に増えたことに口元が緩んでしまう。
今までは自分の店だけが自分の居場所であり、大切なものも特にはなかった。
恩人と過ごした記憶や、甘味の作り方は記憶であり物ではない。
しかし忍術学園にいれば簡単に居場所も、思い出も、物も、たくさんできてしまった。
『おばあさまはこうなるってわかってたのかな…』
忍術学園へ行け、という最期の言葉を意地を張って実行せずにいたことは、いつか“向こう”で会えた時に怒られてしまうかもしれないと一人で笑みを浮かべながらしばらくぼーっと文机の上を眺めていると、襖の外から声がかかった。
「恋歌さん、お戻りになったと聞いたのですが入ってもよろしいですか?」
『うん、大丈夫』
「失礼します」
からり、と襖を開けて入ってきたのは留三郎と伊作。
「さ、タカ丸自己紹介を」
「初めまして
4年は組の斉藤タカ丸です」
『初めまして
恋歌です』
癖で手を出してしまったがタカ丸は迷うことなくその手を握り返した。
「タカ丸は元髪結いなので恋歌さんの髪も整えてもらおうかと思って呼びました」
『わざわざありがとう』
昨日恋歌が自分で髪を切ろうとした時に伊作がうってつけの人物がいると言っていた。
その時のことを言っているのだろうとわざわざ来てくれたことに頭を下げると、タカ丸が慌て出した。
「そんなに畏まらないでください
どんな髪型にしたいですか?」
「変な髪型にはするなよ…?」
「わかってるよー」
『えっと…要望は前髪を短くしたいぐらいなんだけど…』
「ふむふむ
ちょっと失礼しますね」
さらりと正面から前髪を触り、後ろ髪も何度か持ち上げるように手で梳く。
「傷んでるのでトリートメントしますね
長さは僕のお任せでいいですか?」
『うん、それでお願いします』
「では!!」
何度か鋏がちょきちょきと音を立て、櫛が髪を梳いたと思った直後、タカ丸に鏡を渡された。
「どうですか?」
『え、も、もうできたの?』
まさに神業と言えるようなスピードで仕上がったため、おそるおそる鏡を覗き込む。
「わぁっ!僕はすごくいいと思います!
ね?留三郎」
「ああ、さすがはタカ丸だ」
「へへへ」
長かった前髪は目と眉の間で切り揃えられ、トリートメントされた髪は艶を出している。
前髪が短くなったことでサングラスを外している恋歌の目がよく見えるようになった。
「聞いてはいたんですけど、とっても綺麗な瞳ですね」
『ありがとう
髪、こんなに綺麗にしてもらったの初めて…』
感動するほどさらさらになった髪を手で触り、短くなった前髪にちょん、と触れた。
『嬉しい…
本当にありがとう』
「いえいえー、良ければ髪結いもしましょうか?」
『でももう外に出る用事はないよ?』
「僕がやりたいので」
『じゃあお願いします』
「はーい」
せっかく髪結いをしてもらっても後の予定は夕飯とお風呂だけ。
もったいないのでは?と思ったがタカ丸は気にしていないようで嬉々として髪に櫛を通す。
「どんな髪型が似合うかなー」
「お、やってるな」
「仙蔵
どうしたんだい?」
どんな髪型が似合うかをかみを梳きながら考えてくれていると制服に着替えた仙蔵がひょこ、と顔を出した。
「いや、ちょっとな」
どこか含みのある笑みを浮かべながら腰をおろした仙蔵に、何をしにきたんだと伊作と留三郎が視線を向けるが微笑んでいるだけで理由は話さない。
「はい、できました
こういうのはどうでしょう?」
『わぁ…すごい…
でもこのお花はどこから…』
渡された鏡を覗きこめばサイドの髪を三つ編みに編まれ、いつの間にか髪にはウェーブがかかっている。
不思議なのは髪につけてくれた花はどこから出てきたのか。
「あまりタカ丸の技術についてはお気になさらず
よくお似合いです」
「せっかくです
先ほど購入した紅もつけてみませんか?」
『え…?もうお出かけしないのに…?』
「試してみるのも良いではないですか」
『う、うん…』
なぜこんなに仙蔵がわくわくとした顔をしているのかは誰にもわからずだったが、出かける予定は終わったのに紅までつけてみようと勧めてくるため、その圧に負け仙蔵に任せることにした。
「では失礼して…」
これまたどこから出したのか化粧筆で丁寧に紅を引いていく。
女装が得意なだけあり綺麗に引き終えた仙蔵は満足そうに恋歌へ鏡を差し出した。
「本当に良くお似合いです」
『ほ、ほんと…?
変じゃない?』
「とてもお綺麗ですよ」
「もしかして仙蔵…お前…」
「ん?なんだ?」
「すごく綺麗ですよ
さすが立花仙蔵くん!」
「ふふふ、わたしの見立ては完璧なのだ」
何かを察した伊作と留三郎は満足そうに胸を張っている仙蔵の姿にため息をついたが、似合っているというのは本当であり、仙蔵の見立てた紅は恋歌によく合っている。
「さぁ!行きましょう」
『え?どこに…』
大袈裟なほど膝をついて紳士的に差し出された手に思わず手を乗せてしまい、軽い力で立ち上がらせられた。
「もちろん、あやつらに見せつけにです!」
「「はぁ…」」