アルバイトと忍術学園の段
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少食である恋歌のために少なめに作ってくれたであろうおかゆを食べ終え、6年生は団子をつまみながら月を眺めて各自お月見を楽しんでいる。
『そうだ
中在家くん、わたしをあの部屋まで運んでくれたって聞いた
お礼が遅くなってごめんね、ありがとう』
「…帰り道はじゃんけんにわたしが勝ったので」
『じゃんけん…?』
「また誰が恋歌さんを運ぶかのじゃんけんをしたのです
わたしは負けてしまいました…」
『負けたから…運んでくれたわけじゃないんだ』
「なぜですか?
恋歌さんを運べて鍛錬にもなる!
これは勝った者の特権です」
普通は人1人を運ぶ、というのは負けた方がするのでは、と思ったが本気で悔しそうな他の5人を見ていると自然に口元に笑みが浮かんだ。
「そういえば、先ほどから思っていたのですが」
『うん』
笑った恋歌の顔を見て、長次の目元が優しく緩んだ。
「恋歌さんの瞳の色は、月の色をしています」
『…月、ってあれ?』
「はい」
「あー!!それだそれだ!!
わたしもどこかで見た色だと思っていた!
さすが長次だ!」
「え!?長次はなんだって?」
『月の色…』
小平太が長次の言葉を全員に伝え、月と恋歌の瞳を交互に見て、全員が本当だとなぜか興奮したように盛り上がっている。
『あんなに綺麗な色してないと思うけど…』
「いえ、あの色です
とても優しい色です」
『…嬉しい
ありがとう』
本当に嬉しそうに笑う恋歌に長次の表情もいつもよりさらに柔らかくなる。
その2人の表情に小平太が満面の笑みを浮かべてどんどーん!とどこかに走っていってしまった。
「あ、あいつどこに行ったんだ…?」
「さぁ…?」
誰も小平太がどこに行ったのか見当もつかず首を傾げているとすぐに小平太が戻ってきた。
「飲もう!!」
「「「はぁ?」」」
戻ってきた小平太は片手に酒瓶を持ち、人数分のお猪口まで持っている。
「なんでこのタイミングで…」
「満月で団子もある!
月見酒があってもいいだろう」
「それはそうだが…」
「恋歌さんも長次も笑顔なのだ
こんないい日に飲まんでどうする」
「…なんだその理由は」
わかるようでわからない小平太の押しに負け、少しだけならと全員がお猪口に酒を淹れた。
「恋歌さんお酒は…?」
『飲んだことないね』
「美味しいと感じなければ無理はなさらず」
『うん、ありがとう』
「あ、でも飲み過ぎはだめですよ
さきほどおかゆを食べられたばかりで、その後にお酒となると胃が荒れてしまうかも…」
先ほどまで胃が空っぽの状態であったため、伊作が胃が荒れてしまうことを心配してくれている。
それにわかったと頷いて返し、“乾杯!!”と大きな声で小平太が音頭を取りかちん、とお猪口を合わせ6年生は全員一気に飲みきった。
「なかなか辛口の物を持ってきたな」
「団子が甘いのでな
恋歌さん、どうですか?」
『美味しい…
たしかにお茶とは違った美味しさがあるね』
「わかりますか!
さっ、もう一杯「小平太!!」
うっ…わかってるよ…」
恋歌にもう一杯、と勧めようと酒瓶を傾けたところで伊作からお叱りを受け、渋々自分のお猪口に次を注いだ。
『次は…わたしの作ったお団子でお月見してくれる?』
「「「もちろんです!」」」
こちら側から一方的にした約束ではなく、恋歌からの“次”の約束に全員が笑顔で返答をしてくれた。
「…明日、改めて学園長先生からお話があるとは思いますが」
ひとしきり笑った後、文次郎がお猪口を床に置いて恋歌の方へ身体を向けた。
「この学園で…過ごされることを打診されると思います
強制するつもりはありません
恋歌さんには恋歌さんの人生がある
わかっているつもりではありますが…この学園で共に過ごして欲しいです
何があっても我らが守ってみせます」
「お店もお手伝いします!」
「毎日いろいろなことが起こって楽しいですよ」
「たくさんした約束も果たしましょう」
「可愛い後輩もたくさんいます」
『……ふふっ』
元より学園長からの話を聞いた後ここを去るつもりはなかった。
目を隠して生きていかなくとも良いと、初めて言ってもらえた恩人の友人の言葉を信じてみたいと思ったから。
『優しいね…
わたしには…もったいない言葉だよ
でも…ありがとう』
「ではこれが最後の質問です」
『質問?』
「はい、かいいえで答える質問のことです
わたしはまだ質問してません」
『そういえばそうだね
どんな質問かな?』
3日前、1人につきひとつずつの質問で文次郎だけはまだ質問をしていなかった。
まだ有効であることを確認して、真剣な表情を恋歌へと向ける。
「この学園で…共に過ごしていただけますか?」
去るつもりはない、と告げる前に笑ってしまったのが悪かったのか、こんなことで不安そうな顔をさせてしまったのかとぽすん、と文次郎の頭の上に手を置いて軽く撫でる。
『明日学園長先生からお許しが出たらそうさせてもらうよ
だから返事は…“はい”だね』
「やったー!!
明日早速釣りに行きましょう!!」
「本を読むのが先、もそ」
「釣り!それかマラソン!!」
「本」
「ろ組うるさいぞ」
「今日起きたばかりの人に何をさせようとしてるのさ…」
喧嘩が始まりそうな雰囲気だが、いつものことだと誰も止めない。
「はっ、文次てめぇいつまで撫でられてんだよ」
「ああ!?」
「あっちもこっちも…うるさい…」
「ははは…」
いつもの2人も喧嘩が始まり避難させようと仙蔵が恋歌を文次郎から引き離す。
『そうだよね…
あんまり撫でない方がいいよね…』
「いえ、それはお気になさらず
文次郎のやつも満更でもない顔をしていました」
「きっと留三郎が羨ましくて突っかかっただけです」
「伊作!違うからな!!」
「はん、お前も撫でてもらえ」
「なにおぅっ!?」
本格的に武器を取り出して月見亭から出ていって喧嘩を始めた2人のことも、もちろんいつものことだと止めない。
「すみません…うるさくて」
『ううん、こんなに賑やかなのは初めて』
「これからずっとこうですよ」
『うん…
みんなの可愛い姿をちゃんと見られるようになって…よかった』
「…」
「…」
今のこの目の前で繰り広げられているいつもの喧嘩を“可愛い”と言われ、伊作と仙蔵は顔を見合わせてしばらくして吹き出した。
『そうだ
中在家くん、わたしをあの部屋まで運んでくれたって聞いた
お礼が遅くなってごめんね、ありがとう』
「…帰り道はじゃんけんにわたしが勝ったので」
『じゃんけん…?』
「また誰が恋歌さんを運ぶかのじゃんけんをしたのです
わたしは負けてしまいました…」
『負けたから…運んでくれたわけじゃないんだ』
「なぜですか?
恋歌さんを運べて鍛錬にもなる!
これは勝った者の特権です」
普通は人1人を運ぶ、というのは負けた方がするのでは、と思ったが本気で悔しそうな他の5人を見ていると自然に口元に笑みが浮かんだ。
「そういえば、先ほどから思っていたのですが」
『うん』
笑った恋歌の顔を見て、長次の目元が優しく緩んだ。
「恋歌さんの瞳の色は、月の色をしています」
『…月、ってあれ?』
「はい」
「あー!!それだそれだ!!
わたしもどこかで見た色だと思っていた!
さすが長次だ!」
「え!?長次はなんだって?」
『月の色…』
小平太が長次の言葉を全員に伝え、月と恋歌の瞳を交互に見て、全員が本当だとなぜか興奮したように盛り上がっている。
『あんなに綺麗な色してないと思うけど…』
「いえ、あの色です
とても優しい色です」
『…嬉しい
ありがとう』
本当に嬉しそうに笑う恋歌に長次の表情もいつもよりさらに柔らかくなる。
その2人の表情に小平太が満面の笑みを浮かべてどんどーん!とどこかに走っていってしまった。
「あ、あいつどこに行ったんだ…?」
「さぁ…?」
誰も小平太がどこに行ったのか見当もつかず首を傾げているとすぐに小平太が戻ってきた。
「飲もう!!」
「「「はぁ?」」」
戻ってきた小平太は片手に酒瓶を持ち、人数分のお猪口まで持っている。
「なんでこのタイミングで…」
「満月で団子もある!
月見酒があってもいいだろう」
「それはそうだが…」
「恋歌さんも長次も笑顔なのだ
こんないい日に飲まんでどうする」
「…なんだその理由は」
わかるようでわからない小平太の押しに負け、少しだけならと全員がお猪口に酒を淹れた。
「恋歌さんお酒は…?」
『飲んだことないね』
「美味しいと感じなければ無理はなさらず」
『うん、ありがとう』
「あ、でも飲み過ぎはだめですよ
さきほどおかゆを食べられたばかりで、その後にお酒となると胃が荒れてしまうかも…」
先ほどまで胃が空っぽの状態であったため、伊作が胃が荒れてしまうことを心配してくれている。
それにわかったと頷いて返し、“乾杯!!”と大きな声で小平太が音頭を取りかちん、とお猪口を合わせ6年生は全員一気に飲みきった。
「なかなか辛口の物を持ってきたな」
「団子が甘いのでな
恋歌さん、どうですか?」
『美味しい…
たしかにお茶とは違った美味しさがあるね』
「わかりますか!
さっ、もう一杯「小平太!!」
うっ…わかってるよ…」
恋歌にもう一杯、と勧めようと酒瓶を傾けたところで伊作からお叱りを受け、渋々自分のお猪口に次を注いだ。
『次は…わたしの作ったお団子でお月見してくれる?』
「「「もちろんです!」」」
こちら側から一方的にした約束ではなく、恋歌からの“次”の約束に全員が笑顔で返答をしてくれた。
「…明日、改めて学園長先生からお話があるとは思いますが」
ひとしきり笑った後、文次郎がお猪口を床に置いて恋歌の方へ身体を向けた。
「この学園で…過ごされることを打診されると思います
強制するつもりはありません
恋歌さんには恋歌さんの人生がある
わかっているつもりではありますが…この学園で共に過ごして欲しいです
何があっても我らが守ってみせます」
「お店もお手伝いします!」
「毎日いろいろなことが起こって楽しいですよ」
「たくさんした約束も果たしましょう」
「可愛い後輩もたくさんいます」
『……ふふっ』
元より学園長からの話を聞いた後ここを去るつもりはなかった。
目を隠して生きていかなくとも良いと、初めて言ってもらえた恩人の友人の言葉を信じてみたいと思ったから。
『優しいね…
わたしには…もったいない言葉だよ
でも…ありがとう』
「ではこれが最後の質問です」
『質問?』
「はい、かいいえで答える質問のことです
わたしはまだ質問してません」
『そういえばそうだね
どんな質問かな?』
3日前、1人につきひとつずつの質問で文次郎だけはまだ質問をしていなかった。
まだ有効であることを確認して、真剣な表情を恋歌へと向ける。
「この学園で…共に過ごしていただけますか?」
去るつもりはない、と告げる前に笑ってしまったのが悪かったのか、こんなことで不安そうな顔をさせてしまったのかとぽすん、と文次郎の頭の上に手を置いて軽く撫でる。
『明日学園長先生からお許しが出たらそうさせてもらうよ
だから返事は…“はい”だね』
「やったー!!
明日早速釣りに行きましょう!!」
「本を読むのが先、もそ」
「釣り!それかマラソン!!」
「本」
「ろ組うるさいぞ」
「今日起きたばかりの人に何をさせようとしてるのさ…」
喧嘩が始まりそうな雰囲気だが、いつものことだと誰も止めない。
「はっ、文次てめぇいつまで撫でられてんだよ」
「ああ!?」
「あっちもこっちも…うるさい…」
「ははは…」
いつもの2人も喧嘩が始まり避難させようと仙蔵が恋歌を文次郎から引き離す。
『そうだよね…
あんまり撫でない方がいいよね…』
「いえ、それはお気になさらず
文次郎のやつも満更でもない顔をしていました」
「きっと留三郎が羨ましくて突っかかっただけです」
「伊作!違うからな!!」
「はん、お前も撫でてもらえ」
「なにおぅっ!?」
本格的に武器を取り出して月見亭から出ていって喧嘩を始めた2人のことも、もちろんいつものことだと止めない。
「すみません…うるさくて」
『ううん、こんなに賑やかなのは初めて』
「これからずっとこうですよ」
『うん…
みんなの可愛い姿をちゃんと見られるようになって…よかった』
「…」
「…」
今のこの目の前で繰り広げられているいつもの喧嘩を“可愛い”と言われ、伊作と仙蔵は顔を見合わせてしばらくして吹き出した。