アルバイトと忍術学園の段
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
恋歌が再び眠りについてから一刻後、まだ陽は昇っていながったがある事を思い立ち、蝋燭に火を灯してから引き出しを開けた。
「?
恋歌さん…目が覚めて…」
『善法寺くん…』
「あー!!!」
『!!』
蝋燭に火が灯ったことで恋歌の目が覚めたのかと、様子を見にきた伊作がそっと襖を開けると、鋏を持った恋歌が振り向いた。
その姿に驚いた伊作は大声で叫んでしまい、それに驚いた恋歌は持っていた鋏を床に落とした。
「伊作!どうした!」
すぐさま駆けつけた留三郎に伊作が恋歌を指さすと、恋歌が起きただけかとほっと胸を撫で下ろした。
「恋歌さんが鋏を持ってて…それで…!!」
「な、なに!?」
『あ、もしかして…これで死ぬかもって思った…?』
床に落とした鋏を拾い上げながら笑顔を見せると、その言葉が図星だったようでうっ、と言葉に詰まっている。
『死なないよ
ちょっと…髪を切ろうかなって思っただけ』
「髪を…?」
『うん、学園長先生が…もう目を隠して生活しなくていいって…仰ってくださったから』
「それならうってつけの人物がいますよ!!」
今まで目を隠してきた前髪を切ろうとしていたとわかり、まだ朝早い時間のため後で呼んできてくれると約束し、その前に伊作が診察をさせて欲しいと頼んできたためもう一度布団に戻った。
「留三郎、水と手拭いを持ってきてくれるかい?」
「ああ、すぐに持ってくる」
伊作の頼みにすぐに部屋から出ていった留三郎の気配がなくなったところで、伊作が恋歌の前に腰を下ろした。
「さて、元々目に外傷があって血が流れていたわけではないですが、今はなんともありませんか?」
『うん』
「口元と額の傷はもう少しですね」
『そういえばここまで誰かが運んでくれたんだよね
寝ちゃってごめんね…ありがとう』
「あんなことがあったんですから気になさらないでください
恋歌さんをここに運んだのは長次です
お礼は直接長次に言ってやってください」
『うん、そうだね
ちなみにわたしどれぐらい寝てたの?』
「今日であれから3日目です
薬も塗りますね」
口元の傷に軟膏を塗り込まれながらもう3日も経ってしまったのかと、実感がわかず少しぼぅっと一点を見つめてしまった。
「僕たちさっき学園長先生に呼ばれたんです
この3日間で学園長先生が知っておられたことと…僕たちが遭遇した神埜家の人たちのことも…あの場で恋歌さんがお話ししてくださったことも全部報告し合いました
そしてさっきは恋歌さんが学園長先生とどんなお話をされたのかを…いいえ、貴女がやりたいことを聞きました」
だらん、と意味もなく力を抜いていた手を伊作に握られ、視線を合わせるように覗き込んでにっこりと優しい笑みを向けられた。
「僕たちとお話をしましょう
たくさん、たくさん…」
『…うん』
「月見亭に行きましょう!!」
「あ、おい!小平太!!」
「もそ、おかゆを作ってきました」
「団子もあるんだろうな」
「お前…こんな夜中に団子食う気か…」
桶に水を入れて手拭いを持って戻ってきた留三郎と一緒に6年生全員が恋歌のいる部屋に入ってきた。
「もう…恋歌さんはさっき起きたところなんだぞ」
「細かいことは気にするな!
初めての満月、わたしたちと一緒に見に行きましょう!」
満面の笑みで差し出された小平太の手にゆっくりと手を重ねれば優しい力で立ち上がらせてくれる。
「月見亭までいけいけどんど…!!いたい!!」
「バカタレ
さっき起きたとこだって言われただろうが」
「では抱えて行こう!
どうぞ!」
ばっ、と両腕を広げてくる小平太の腕に抱えてくれる、という意味なのだろうが、恋歌は一度離された手をもう一度軽く握った。
『歩ける距離なら、みんなと歩いて行きたい
ちゃんと景色を…みんなの表情を見たいの』
だめかな?と首を傾げて問われた言葉に小平太は一瞬きょとん、とした顔をした後、ぱぁっと顔を輝かせた。
「疲れたらいつでも抱っこでもおんぶでも何でもします!
行きましょう!」
『ありがとう』
ゆっくりとどんどーん、と言いながら部屋から恋歌の手を引いて月見亭へと7人で歩く。
「恋歌さん、こちらを羽織ってください」
『ありがとう』
寝巻きで連れ出してしまっており、季節的には寒くはないだろうが女性を寝巻き姿でうろうろさせるわけにはいかないと仙蔵が後ろから恋歌の肩に羽織をかける。
『これは誰の羽織…?
女性の…?』
「お気になさらず
我々が女装する時のものです」
『みんな女装するんだ』
「忍者に必要な技術ですので」
『ふふ、きっとみんな可愛いんだろうね』
「わたしの女装は可愛いです!」
『また今度見せてね』
「もちろんです!」
(((あの自信はどこから…)))
女装の演習の時に必ずと言っていいほど補習になるうちの1人である小平太が自信満々に自分を可愛いと評価しているが、誰もフォローすることができない。
「あそこが月見亭です」
あそこ、と指さされた先には椅子などはない簡易的な東屋があり、池に映った満月がよく見られそうな位置にある。
どうぞと促されて1番池に近い場所に座り、円になるように全員が腰を下ろした。
「ところで伊作、この水と手拭いはどうするんだ?」
「あ、そうだった」
留三郎から水の入った桶と手拭いを受け取ると、手拭いに水を含ませ硬く絞ったものを恋歌に渡した。
「少し目が腫れています
これで冷やしてください」
『ありがとう』
目の周りに包帯を巻いていたときは目が腫れているなど気にしたこともなかった。
(泣いたのは…いつぶりだろう…)
育ててくれた祖母が亡くなったときは悲しみこそあれ、老衰だったからか覚悟はしていた。
1人で埋葬もする必要があったためないている場合ではないと自分を奮い立たせたことを覚えている。
「恋歌さん、おかゆです」
「お水もお茶もあります!」
胃に優しいものを、と考えて作ってくれたおかゆはまだ湯気が立ち上っており、出汁の優しい香りがして小さくお腹がなってしまった。
『美味しそうだからお腹鳴っちゃった…』
「…それが生きている、ということです
美味しいものもたくさん食べましょう」
「料理は見た目も大事、もそ」
『うん…そうだね
いただきます』
手を合わせておかゆを口に入れた瞬間、優しい味に涙が流れそうになったがぐっと堪え、長次へ礼を伝えることができた。
「?
恋歌さん…目が覚めて…」
『善法寺くん…』
「あー!!!」
『!!』
蝋燭に火が灯ったことで恋歌の目が覚めたのかと、様子を見にきた伊作がそっと襖を開けると、鋏を持った恋歌が振り向いた。
その姿に驚いた伊作は大声で叫んでしまい、それに驚いた恋歌は持っていた鋏を床に落とした。
「伊作!どうした!」
すぐさま駆けつけた留三郎に伊作が恋歌を指さすと、恋歌が起きただけかとほっと胸を撫で下ろした。
「恋歌さんが鋏を持ってて…それで…!!」
「な、なに!?」
『あ、もしかして…これで死ぬかもって思った…?』
床に落とした鋏を拾い上げながら笑顔を見せると、その言葉が図星だったようでうっ、と言葉に詰まっている。
『死なないよ
ちょっと…髪を切ろうかなって思っただけ』
「髪を…?」
『うん、学園長先生が…もう目を隠して生活しなくていいって…仰ってくださったから』
「それならうってつけの人物がいますよ!!」
今まで目を隠してきた前髪を切ろうとしていたとわかり、まだ朝早い時間のため後で呼んできてくれると約束し、その前に伊作が診察をさせて欲しいと頼んできたためもう一度布団に戻った。
「留三郎、水と手拭いを持ってきてくれるかい?」
「ああ、すぐに持ってくる」
伊作の頼みにすぐに部屋から出ていった留三郎の気配がなくなったところで、伊作が恋歌の前に腰を下ろした。
「さて、元々目に外傷があって血が流れていたわけではないですが、今はなんともありませんか?」
『うん』
「口元と額の傷はもう少しですね」
『そういえばここまで誰かが運んでくれたんだよね
寝ちゃってごめんね…ありがとう』
「あんなことがあったんですから気になさらないでください
恋歌さんをここに運んだのは長次です
お礼は直接長次に言ってやってください」
『うん、そうだね
ちなみにわたしどれぐらい寝てたの?』
「今日であれから3日目です
薬も塗りますね」
口元の傷に軟膏を塗り込まれながらもう3日も経ってしまったのかと、実感がわかず少しぼぅっと一点を見つめてしまった。
「僕たちさっき学園長先生に呼ばれたんです
この3日間で学園長先生が知っておられたことと…僕たちが遭遇した神埜家の人たちのことも…あの場で恋歌さんがお話ししてくださったことも全部報告し合いました
そしてさっきは恋歌さんが学園長先生とどんなお話をされたのかを…いいえ、貴女がやりたいことを聞きました」
だらん、と意味もなく力を抜いていた手を伊作に握られ、視線を合わせるように覗き込んでにっこりと優しい笑みを向けられた。
「僕たちとお話をしましょう
たくさん、たくさん…」
『…うん』
「月見亭に行きましょう!!」
「あ、おい!小平太!!」
「もそ、おかゆを作ってきました」
「団子もあるんだろうな」
「お前…こんな夜中に団子食う気か…」
桶に水を入れて手拭いを持って戻ってきた留三郎と一緒に6年生全員が恋歌のいる部屋に入ってきた。
「もう…恋歌さんはさっき起きたところなんだぞ」
「細かいことは気にするな!
初めての満月、わたしたちと一緒に見に行きましょう!」
満面の笑みで差し出された小平太の手にゆっくりと手を重ねれば優しい力で立ち上がらせてくれる。
「月見亭までいけいけどんど…!!いたい!!」
「バカタレ
さっき起きたとこだって言われただろうが」
「では抱えて行こう!
どうぞ!」
ばっ、と両腕を広げてくる小平太の腕に抱えてくれる、という意味なのだろうが、恋歌は一度離された手をもう一度軽く握った。
『歩ける距離なら、みんなと歩いて行きたい
ちゃんと景色を…みんなの表情を見たいの』
だめかな?と首を傾げて問われた言葉に小平太は一瞬きょとん、とした顔をした後、ぱぁっと顔を輝かせた。
「疲れたらいつでも抱っこでもおんぶでも何でもします!
行きましょう!」
『ありがとう』
ゆっくりとどんどーん、と言いながら部屋から恋歌の手を引いて月見亭へと7人で歩く。
「恋歌さん、こちらを羽織ってください」
『ありがとう』
寝巻きで連れ出してしまっており、季節的には寒くはないだろうが女性を寝巻き姿でうろうろさせるわけにはいかないと仙蔵が後ろから恋歌の肩に羽織をかける。
『これは誰の羽織…?
女性の…?』
「お気になさらず
我々が女装する時のものです」
『みんな女装するんだ』
「忍者に必要な技術ですので」
『ふふ、きっとみんな可愛いんだろうね』
「わたしの女装は可愛いです!」
『また今度見せてね』
「もちろんです!」
(((あの自信はどこから…)))
女装の演習の時に必ずと言っていいほど補習になるうちの1人である小平太が自信満々に自分を可愛いと評価しているが、誰もフォローすることができない。
「あそこが月見亭です」
あそこ、と指さされた先には椅子などはない簡易的な東屋があり、池に映った満月がよく見られそうな位置にある。
どうぞと促されて1番池に近い場所に座り、円になるように全員が腰を下ろした。
「ところで伊作、この水と手拭いはどうするんだ?」
「あ、そうだった」
留三郎から水の入った桶と手拭いを受け取ると、手拭いに水を含ませ硬く絞ったものを恋歌に渡した。
「少し目が腫れています
これで冷やしてください」
『ありがとう』
目の周りに包帯を巻いていたときは目が腫れているなど気にしたこともなかった。
(泣いたのは…いつぶりだろう…)
育ててくれた祖母が亡くなったときは悲しみこそあれ、老衰だったからか覚悟はしていた。
1人で埋葬もする必要があったためないている場合ではないと自分を奮い立たせたことを覚えている。
「恋歌さん、おかゆです」
「お水もお茶もあります!」
胃に優しいものを、と考えて作ってくれたおかゆはまだ湯気が立ち上っており、出汁の優しい香りがして小さくお腹がなってしまった。
『美味しそうだからお腹鳴っちゃった…』
「…それが生きている、ということです
美味しいものもたくさん食べましょう」
「料理は見た目も大事、もそ」
『うん…そうだね
いただきます』
手を合わせておかゆを口に入れた瞬間、優しい味に涙が流れそうになったがぐっと堪え、長次へ礼を伝えることができた。