アルバイトと忍術学園の段
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
たまたま拾ってくれたと思っていた恩人が実は神埜家当主が存在を知っていたということは、何か知らない間に危険な目に遭わせていたのではないかと心臓が早く脈打ち始めた。
「あやつは昔凄腕のくのいちであり、あの忍術学園学園長大川の旧知の仲であった
お前を拾ったのは偶然であろうが…あやつの家の周りには大量に罠が仕掛けられており、いつからか周りを忍者たちが囲い始めた
あれも大川の仕業であろうな
そのおかげで居場所こそわかってはいたがお前を連れ戻す事ができずにおった」
『そんな…昔から…』
「だが3年前、やっとあやつがくたばりようやくお前はあの家から出てくるかと思いきや、周りには忍者が常にそばに控えてお前に近づくこともできん
くだらん茶店を始めたときもあの大川が邪魔をしよって…!!」
だんだんと怒りが込み上げてきたのか拳を畳に叩きつけて肩で息をしている。
「あなた、落ち着いてくださいな」
「これが落ち着いていられるか!!
神の目を持つお前を15年も失い!
神埜家の信用は失墜した!お前が!!役目を放棄したばかりに!!」
『役目とは…助けを求めにきた人に嘘をつくことですか?』
「ああそうだ!!
神の目を持つお前が“見えた”と一言そう言えば嘘でも真になる!!
お前のせいで次の神の目を持つ子も産まれず…挙句こちらが手を下せば次の神の目を持つ者は産まれないときた!!」
『ご存知だったのですね』
「ああ知っていたさ!!
知っていたからこそお前を殺せず15年も経ってしまった!!
お前など神の目を持つ赤子が産まれず仕方なしに抱いた女の子どもだったのだ
お前が持つべきものではない」
『…それならお話は早いです
わたしはここに戻ってくるつもりはありません
神埜家との縁を切らせてください』
「そうか
それならばその目、返してもらおう」
膝に置いていた手で小袖を握りしめることであくまでも冷静に済ませようと、ここにきた理由を伝えれば後ろに控えていた武士から刀を取り、それを恋歌の目の前へと投げつけた。
「それで自害せよ」
その言葉に天井裏から物音がしたが恋歌以外には気づいていない。
『…わたしを殺すことができない以上、おとなしく自害するとでもお思いですか?』
「そ、そんなの餓死させりゃいいってさっき言ったろ!」
『…それは間接的に殺したことになります』
「なっ…」
「だったら早く腹でも首でも切りなさいな
その目がなけりゃお前の価値などないに等しいのだからね
それで15年間逃げおおせた罪は許してあげなくもなくてよ」
「そうだ!早くしろ!」
『…あんたまだ“あのこと”根に持ってるの?』
今は恋歌が1人だからなのか、周りに味方がいるからなのかはわからないが、1人の武士を盾にその後ろで喚き散らしている天陽に恋歌が呆れたような視線を向けると天陽が固まった。
「あ、あ、あのことってなんだよ!!」
『あ、言っちゃっていいんだ
わたしが3つの時にその時8つだったあんたがおねしょした布団を神託の間に埋めようと持ってきたこと
それをわたしに見られたからその時から神託以外の時は目隠しをして過ごせと言われたこと
わたしが5つの時にわたしが洗顔のために目隠しをとった時にたまたま同じ事が起きて…ふふっ…
あの時のあんた顔忘れた事ないよ
それで恥ずかしくてわたしを追い出すなんてね
今となってはこんなことしか言えない血のつながりがあるだけの人の元を離れられて“ありがとう”とでも言うべきかなと思ってるぐらいだけど』
「あー!!お前それは忘れろってあれだけ言っただろう!!」
『忘れてなんかやるもんですか
あの時の顔の似顔絵でも描いてやりましょうか?』
「お、前っ…!!」
恋歌が口にした言葉を震えて顔を赤くしながら聞いていた天陽だったが、じとりと両側から向けられる両親の視線に耐えきれなくなったのか、盾にしていた武士から刀を奪い取った。
「天陽!!殺してはならん!!」
「鞘からは抜きません…
ですが…これで口がきけなくなるぐらい叩きのめすことはお許しください!」
「よせ、お前にそんな技量などあるはずもないのだ」
「父上!!」
頭に血が上っている天陽から刀を奪った当主は何かいい案はないかと一瞬目を閉じ、次に目を開けた時にはにたりと禍々しい笑みを浮かべていた。
「では天陽、恋歌との子を作れ」
『…は?』
「自害もできん、役目も果たせんお前ができることなどそれだけだ
お前ももう20だ
昔と違い子を成す事ができよう」
『…神の目を持つ者は同じ時に2人いたことはありません
わたしがいる以上わたしが子を産んだとしてもその子は決して神の目を持って産まれることはありません』
「ああ、そうだろうな
だが、お前の枷にはなる」
『枷…』
「これでもお前の父親だ
お前の性格上自分の子であれば、父親が誰であれ見捨てることなどできん」
なぜこんな時だけ、と思ったが恋歌は口元にふっ、と笑みを浮かべた。
『嫌です』
「お前…!!天陽を拒否するとは何事じゃ!!」
『奥様、我が子が可愛いのはわかりますが天陽ももう25の立派な大人です
少々過保護すぎるのではないのでしょうか』
「お前など…!!
お前など!!愛されたこともない小娘の分際で!!」
『なぜ、わたしがこの15年間連れ戻されることもなく、今こうしているか
先ほどの話をお忘れになったわけではありませんよね?
血縁でもないわたしを守ってくれたおばあさまの愛情を疑ったことなど、一度もありません!』
「生意気な…」
何を言っても強く恋歌に言い返された事なかった天陽の母は一瞬怯んだように肩を震わせた。
『自らの力ではないもので権威など示して何になるのです
神の目を持つものを殺すことで次の継承者が産まれない理由を考えたことはありますか?
ここ何代も神の目を持つ者が産まれにくくなった原因を考えたことは?
わたしたちは神の力を私利私欲に使いすぎたのです
次はきっと…神の目を持つ者は産まれません
わたしにはそれがわかるのです』
「そ、そんなわけがあるわけないだろ!
お前の妄言だ!!」
『持たぬ者にはわからない事だよ』
「ぐっ…」
返す言葉がない天陽は助けを求めるように両親を交互に見るが視線は交わらず、恋歌に視線が注がれている。
「ならば尚更お前を手放すわけにはいかなくなった、ということだな」
『…そうですか
この力に頼らず生きていくという選択肢はないのですか?』
「我らは神に選ばれた一族だ!
なぜ今さらそんなことを考えねばならん
お前が帰ってくれば全て丸くおさまる話だ」
もう何を言っても無駄なのだと、そう理解し、近づいてくる足音にため息をついて目の前に放られた刀に手を伸ばした直後、目の前から刀が消えた。
「あやつは昔凄腕のくのいちであり、あの忍術学園学園長大川の旧知の仲であった
お前を拾ったのは偶然であろうが…あやつの家の周りには大量に罠が仕掛けられており、いつからか周りを忍者たちが囲い始めた
あれも大川の仕業であろうな
そのおかげで居場所こそわかってはいたがお前を連れ戻す事ができずにおった」
『そんな…昔から…』
「だが3年前、やっとあやつがくたばりようやくお前はあの家から出てくるかと思いきや、周りには忍者が常にそばに控えてお前に近づくこともできん
くだらん茶店を始めたときもあの大川が邪魔をしよって…!!」
だんだんと怒りが込み上げてきたのか拳を畳に叩きつけて肩で息をしている。
「あなた、落ち着いてくださいな」
「これが落ち着いていられるか!!
神の目を持つお前を15年も失い!
神埜家の信用は失墜した!お前が!!役目を放棄したばかりに!!」
『役目とは…助けを求めにきた人に嘘をつくことですか?』
「ああそうだ!!
神の目を持つお前が“見えた”と一言そう言えば嘘でも真になる!!
お前のせいで次の神の目を持つ子も産まれず…挙句こちらが手を下せば次の神の目を持つ者は産まれないときた!!」
『ご存知だったのですね』
「ああ知っていたさ!!
知っていたからこそお前を殺せず15年も経ってしまった!!
お前など神の目を持つ赤子が産まれず仕方なしに抱いた女の子どもだったのだ
お前が持つべきものではない」
『…それならお話は早いです
わたしはここに戻ってくるつもりはありません
神埜家との縁を切らせてください』
「そうか
それならばその目、返してもらおう」
膝に置いていた手で小袖を握りしめることであくまでも冷静に済ませようと、ここにきた理由を伝えれば後ろに控えていた武士から刀を取り、それを恋歌の目の前へと投げつけた。
「それで自害せよ」
その言葉に天井裏から物音がしたが恋歌以外には気づいていない。
『…わたしを殺すことができない以上、おとなしく自害するとでもお思いですか?』
「そ、そんなの餓死させりゃいいってさっき言ったろ!」
『…それは間接的に殺したことになります』
「なっ…」
「だったら早く腹でも首でも切りなさいな
その目がなけりゃお前の価値などないに等しいのだからね
それで15年間逃げおおせた罪は許してあげなくもなくてよ」
「そうだ!早くしろ!」
『…あんたまだ“あのこと”根に持ってるの?』
今は恋歌が1人だからなのか、周りに味方がいるからなのかはわからないが、1人の武士を盾にその後ろで喚き散らしている天陽に恋歌が呆れたような視線を向けると天陽が固まった。
「あ、あ、あのことってなんだよ!!」
『あ、言っちゃっていいんだ
わたしが3つの時にその時8つだったあんたがおねしょした布団を神託の間に埋めようと持ってきたこと
それをわたしに見られたからその時から神託以外の時は目隠しをして過ごせと言われたこと
わたしが5つの時にわたしが洗顔のために目隠しをとった時にたまたま同じ事が起きて…ふふっ…
あの時のあんた顔忘れた事ないよ
それで恥ずかしくてわたしを追い出すなんてね
今となってはこんなことしか言えない血のつながりがあるだけの人の元を離れられて“ありがとう”とでも言うべきかなと思ってるぐらいだけど』
「あー!!お前それは忘れろってあれだけ言っただろう!!」
『忘れてなんかやるもんですか
あの時の顔の似顔絵でも描いてやりましょうか?』
「お、前っ…!!」
恋歌が口にした言葉を震えて顔を赤くしながら聞いていた天陽だったが、じとりと両側から向けられる両親の視線に耐えきれなくなったのか、盾にしていた武士から刀を奪い取った。
「天陽!!殺してはならん!!」
「鞘からは抜きません…
ですが…これで口がきけなくなるぐらい叩きのめすことはお許しください!」
「よせ、お前にそんな技量などあるはずもないのだ」
「父上!!」
頭に血が上っている天陽から刀を奪った当主は何かいい案はないかと一瞬目を閉じ、次に目を開けた時にはにたりと禍々しい笑みを浮かべていた。
「では天陽、恋歌との子を作れ」
『…は?』
「自害もできん、役目も果たせんお前ができることなどそれだけだ
お前ももう20だ
昔と違い子を成す事ができよう」
『…神の目を持つ者は同じ時に2人いたことはありません
わたしがいる以上わたしが子を産んだとしてもその子は決して神の目を持って産まれることはありません』
「ああ、そうだろうな
だが、お前の枷にはなる」
『枷…』
「これでもお前の父親だ
お前の性格上自分の子であれば、父親が誰であれ見捨てることなどできん」
なぜこんな時だけ、と思ったが恋歌は口元にふっ、と笑みを浮かべた。
『嫌です』
「お前…!!天陽を拒否するとは何事じゃ!!」
『奥様、我が子が可愛いのはわかりますが天陽ももう25の立派な大人です
少々過保護すぎるのではないのでしょうか』
「お前など…!!
お前など!!愛されたこともない小娘の分際で!!」
『なぜ、わたしがこの15年間連れ戻されることもなく、今こうしているか
先ほどの話をお忘れになったわけではありませんよね?
血縁でもないわたしを守ってくれたおばあさまの愛情を疑ったことなど、一度もありません!』
「生意気な…」
何を言っても強く恋歌に言い返された事なかった天陽の母は一瞬怯んだように肩を震わせた。
『自らの力ではないもので権威など示して何になるのです
神の目を持つものを殺すことで次の継承者が産まれない理由を考えたことはありますか?
ここ何代も神の目を持つ者が産まれにくくなった原因を考えたことは?
わたしたちは神の力を私利私欲に使いすぎたのです
次はきっと…神の目を持つ者は産まれません
わたしにはそれがわかるのです』
「そ、そんなわけがあるわけないだろ!
お前の妄言だ!!」
『持たぬ者にはわからない事だよ』
「ぐっ…」
返す言葉がない天陽は助けを求めるように両親を交互に見るが視線は交わらず、恋歌に視線が注がれている。
「ならば尚更お前を手放すわけにはいかなくなった、ということだな」
『…そうですか
この力に頼らず生きていくという選択肢はないのですか?』
「我らは神に選ばれた一族だ!
なぜ今さらそんなことを考えねばならん
お前が帰ってくれば全て丸くおさまる話だ」
もう何を言っても無駄なのだと、そう理解し、近づいてくる足音にため息をついて目の前に放られた刀に手を伸ばした直後、目の前から刀が消えた。