アルバイトと忍術学園の段
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背中を壁につけ肩越しに全員で重なるように奥を覗けば、ぽつんと置かれたぼろぼろの畳の上に男が1人、そして周りには忍者が複数人。
(あれ?あの忍者…)
『一応あそこは御神座なので今代ではわたしが座っていた場所です
おそらくわたしがいないので座る人も、お世話をする人も、神の声を聞きに来る人もいなくなってしまったみたいですね』
「ちなみにあの男は誰ですか?」
『異母兄にあたる人です
わたしをここから追い出した張本人ですね』
「それはまた…」
恋歌をここから追い出した張本人が目の前にいるとわかり、6年生3人の機嫌がわかりやすいほどに悪くなった。
だが人数的には圧倒的にこちらが不利な上にここは地下。
崩れでもすれば相手もろとも全滅してしまうため迂闊に飛び出すことはできない。
まずは何を話しているのだろうと男と忍者たちの会話に耳を傾けた。
「ったく…あいつはいつまで忍術学園にいるつもりなんだ…」
「…あの店に戻った形跡もないので忍術学園にいる間は諦めるべきかと」
「いつ出てくるかもわからんものを待つつもりはない!
忍術学園といえど子どもばかりではないか
お前たちもプロならさっさと侵入して誘拐でもなんでもしてこい」
「そうは仰いますが…」
「忍術学園は簡単に侵入できるものではなく…」
「高い金を払ってやってるのに役立たずなことだ」
話している内容は恋歌のことだった。
やはり恋歌の誘拐及び暗殺を依頼していたのはこの男のようで、なかなか恋歌が捕まらないことに苛立っているらしい。
「生きて捕らえ目の前で殺してやりたいところだがあいつはわたしに捕まえるぐらいなら自死を選ぶような女だ
だがしぶとく生きているのはわたしたち一族への嫌がらせ
あいつが死なんことには次の神の目を持つ者が産まれん」
「…なぜ今の神の目を持つ者を葬ってまで次の神の目を持つ者が欲しいのですか?」
「そりゃわたしも後継を、と言われているからな
今のままじゃ神の目を持つ赤子が産まれてくる可能性はゼロだ」
『…なるほど
それでずっと放置してたわたしを狙ったわけね』
疎まれていることは知っていたがここ最近急に顕著に命まで狙われ始めた理由がわかり、恋歌は1人でどこかすっきりしたような顔をしている。
「納得している場合ではないですよ
あの人をなんとかしない限りずっと狙われ続けるということでしょう」
『そうですね…
ケジメ…か…』
「?」
ここに来る前にケジメをつけましょう、と言ってくれた文次郎に視線を向けると何か?と首を傾げられた。
『ケジメつけてくるよ、ちゃんと』
「…何かあればギンギンに我らが助けに出ます」
「安心して決着つけてきてください!」
『うん、ありがとう』
その言葉に何かを察したのか笑顔を向けてくれ、土井に目配せをしてから1人男の視界に入るように足を踏み出した。
「何奴!!」
「お前…」
『また会うとは思ってなかったけど…久しぶりだね“天陽”』
周りの忍者たちが一瞬警戒したが天陽(てんよう)と呼ばれた男に手で制され、攻撃体勢は緩めたが警戒の眼差しで見つめてくる。
「あの女…目の色が…」
「気味の悪い…」
「お前が自らここに帰ってくるとはな…
どういう風のふきまわしだ?」
『…いい加減ちゃんとあなたと向き合わないといけないなって思っただけだよ』
「向き合う?わたしとお前が?」
『わたしをここで殺さず追い出したのはあなたが臆病だったからでしょ
当時5つのわたしをここから追い出せばそのうち野垂れ死ぬとでも思ったんでしょうけど…残念だったね』
「ふん…まぁでも今から殺すのなら同じことだ
おい、あいつを捕えろ」
軽く手をひらひらさせた天陽の指示に従い、近くにいた1人の忍者が恋歌の手を後ろでまとめて掴んできた。
『(この人…)』
そのまま手を縄で縛られ背中を押されて天陽の前に歩みを進める。
「…おい、わたしを見ろすな
不愉快だ」
その一言で軽く肩を抑えられ膝を折って天陽の前に膝まづいた。
「ところでお前1人か?」
『どういうこと?』
「お前忍術学園にいただろ
あそこから抜け出してきたのか?」
『…だったらなに?』
「はっ、自分から安全な場所から出てくるなんてお前は相変わらず“出来損ない”だな」
『…それは自己紹介?
この目に選ばれもしなかったくせに』
「お前…!!」
「「「!!」」」
「お前たち!落ち着け!」
地下に響いたのは天陽が恋歌の頬を殴りつけた音。
思わず飛び出しそうになったのを土井と尊奈門が止め、倒れ込んだ恋歌が天陽によって髪を掴まれながら起こされ、至近距離で視線が交わる。
「大層な口を叩けるようにはなったみたいだな」
『ええ、だってわたしはあなたが欲しくて欲しくてたまらないこの目に選ばれて生まれてきた
優劣なんてつけるつもりはないけど…わたしがあなたに劣っているところなんてひとつもない
大体ね、わたしが死んでもあなたの…あんたの子どもを神様が選ぶわけない!』
「なっ…」
『元々この力は後世に正しく神楽を伝えるために授かったものなのに…いつのまにか権力の誇示に使われて…
授かった力で自分の力でもないのに…ばかみたい
それにあんた知らないの?神の目を持つ依代を殺したら…次は二度と神の目を持つ依代が産まれないって』
「は、はぁっ!?」
『老衰や事故なんかは別だけど、この力をめぐって依代の子が殺されるのは神が許してない
だからこんな地下に閉じ込めてるんじゃない』
「そ、そんなこと母上は一言も…」
狼狽えている天陽に意地の悪い笑みを向けた恋歌は、いい加減離せとばかりに頭突きをかましてやった。
「いっ…!!」
『だからあんたはわたしを殺すことはできない
残念だったね』
べー、っと舌を出した恋歌は言いたいことを言い切ったのか肩で息をして、俯いたままの天陽が動くのを待つ。
「だったら…」
『え?』
「だったら!!
ここに閉じ込めて餓死するまで放置すりゃいいんだろ!?」
『そうきたか…!』
「押さえつけろ!」
周りの忍者に指示を出し伸びてきた手から身体を引いた直後、腕を掴まれぐん、と後ろに引かれた。
(あれ?あの忍者…)
『一応あそこは御神座なので今代ではわたしが座っていた場所です
おそらくわたしがいないので座る人も、お世話をする人も、神の声を聞きに来る人もいなくなってしまったみたいですね』
「ちなみにあの男は誰ですか?」
『異母兄にあたる人です
わたしをここから追い出した張本人ですね』
「それはまた…」
恋歌をここから追い出した張本人が目の前にいるとわかり、6年生3人の機嫌がわかりやすいほどに悪くなった。
だが人数的には圧倒的にこちらが不利な上にここは地下。
崩れでもすれば相手もろとも全滅してしまうため迂闊に飛び出すことはできない。
まずは何を話しているのだろうと男と忍者たちの会話に耳を傾けた。
「ったく…あいつはいつまで忍術学園にいるつもりなんだ…」
「…あの店に戻った形跡もないので忍術学園にいる間は諦めるべきかと」
「いつ出てくるかもわからんものを待つつもりはない!
忍術学園といえど子どもばかりではないか
お前たちもプロならさっさと侵入して誘拐でもなんでもしてこい」
「そうは仰いますが…」
「忍術学園は簡単に侵入できるものではなく…」
「高い金を払ってやってるのに役立たずなことだ」
話している内容は恋歌のことだった。
やはり恋歌の誘拐及び暗殺を依頼していたのはこの男のようで、なかなか恋歌が捕まらないことに苛立っているらしい。
「生きて捕らえ目の前で殺してやりたいところだがあいつはわたしに捕まえるぐらいなら自死を選ぶような女だ
だがしぶとく生きているのはわたしたち一族への嫌がらせ
あいつが死なんことには次の神の目を持つ者が産まれん」
「…なぜ今の神の目を持つ者を葬ってまで次の神の目を持つ者が欲しいのですか?」
「そりゃわたしも後継を、と言われているからな
今のままじゃ神の目を持つ赤子が産まれてくる可能性はゼロだ」
『…なるほど
それでずっと放置してたわたしを狙ったわけね』
疎まれていることは知っていたがここ最近急に顕著に命まで狙われ始めた理由がわかり、恋歌は1人でどこかすっきりしたような顔をしている。
「納得している場合ではないですよ
あの人をなんとかしない限りずっと狙われ続けるということでしょう」
『そうですね…
ケジメ…か…』
「?」
ここに来る前にケジメをつけましょう、と言ってくれた文次郎に視線を向けると何か?と首を傾げられた。
『ケジメつけてくるよ、ちゃんと』
「…何かあればギンギンに我らが助けに出ます」
「安心して決着つけてきてください!」
『うん、ありがとう』
その言葉に何かを察したのか笑顔を向けてくれ、土井に目配せをしてから1人男の視界に入るように足を踏み出した。
「何奴!!」
「お前…」
『また会うとは思ってなかったけど…久しぶりだね“天陽”』
周りの忍者たちが一瞬警戒したが天陽(てんよう)と呼ばれた男に手で制され、攻撃体勢は緩めたが警戒の眼差しで見つめてくる。
「あの女…目の色が…」
「気味の悪い…」
「お前が自らここに帰ってくるとはな…
どういう風のふきまわしだ?」
『…いい加減ちゃんとあなたと向き合わないといけないなって思っただけだよ』
「向き合う?わたしとお前が?」
『わたしをここで殺さず追い出したのはあなたが臆病だったからでしょ
当時5つのわたしをここから追い出せばそのうち野垂れ死ぬとでも思ったんでしょうけど…残念だったね』
「ふん…まぁでも今から殺すのなら同じことだ
おい、あいつを捕えろ」
軽く手をひらひらさせた天陽の指示に従い、近くにいた1人の忍者が恋歌の手を後ろでまとめて掴んできた。
『(この人…)』
そのまま手を縄で縛られ背中を押されて天陽の前に歩みを進める。
「…おい、わたしを見ろすな
不愉快だ」
その一言で軽く肩を抑えられ膝を折って天陽の前に膝まづいた。
「ところでお前1人か?」
『どういうこと?』
「お前忍術学園にいただろ
あそこから抜け出してきたのか?」
『…だったらなに?』
「はっ、自分から安全な場所から出てくるなんてお前は相変わらず“出来損ない”だな」
『…それは自己紹介?
この目に選ばれもしなかったくせに』
「お前…!!」
「「「!!」」」
「お前たち!落ち着け!」
地下に響いたのは天陽が恋歌の頬を殴りつけた音。
思わず飛び出しそうになったのを土井と尊奈門が止め、倒れ込んだ恋歌が天陽によって髪を掴まれながら起こされ、至近距離で視線が交わる。
「大層な口を叩けるようにはなったみたいだな」
『ええ、だってわたしはあなたが欲しくて欲しくてたまらないこの目に選ばれて生まれてきた
優劣なんてつけるつもりはないけど…わたしがあなたに劣っているところなんてひとつもない
大体ね、わたしが死んでもあなたの…あんたの子どもを神様が選ぶわけない!』
「なっ…」
『元々この力は後世に正しく神楽を伝えるために授かったものなのに…いつのまにか権力の誇示に使われて…
授かった力で自分の力でもないのに…ばかみたい
それにあんた知らないの?神の目を持つ依代を殺したら…次は二度と神の目を持つ依代が産まれないって』
「は、はぁっ!?」
『老衰や事故なんかは別だけど、この力をめぐって依代の子が殺されるのは神が許してない
だからこんな地下に閉じ込めてるんじゃない』
「そ、そんなこと母上は一言も…」
狼狽えている天陽に意地の悪い笑みを向けた恋歌は、いい加減離せとばかりに頭突きをかましてやった。
「いっ…!!」
『だからあんたはわたしを殺すことはできない
残念だったね』
べー、っと舌を出した恋歌は言いたいことを言い切ったのか肩で息をして、俯いたままの天陽が動くのを待つ。
「だったら…」
『え?』
「だったら!!
ここに閉じ込めて餓死するまで放置すりゃいいんだろ!?」
『そうきたか…!』
「押さえつけろ!」
周りの忍者に指示を出し伸びてきた手から身体を引いた直後、腕を掴まれぐん、と後ろに引かれた。