アルバイトと忍術学園の段
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『はじめ、まして…?で、いい、の、かな…?』
じー、っと見つめてくる小平太の顔が思ったよりも近くにあり、目を開けたが視界に広がるのは小平太のまんまるな目だった。
『えと…七松くん…?』
ぱちぱちと瞬きを繰り返してはいるが何も言葉を発さず固まっている様子に、やはり見せなければよかったと顔を背けようとしたが、なぜか徐々に小平太の目がきらきらと輝きはじめた。
「ちょーじ!!長次!
すごく綺麗だ!早く見てくれ!!」
「もそ」
「おれたちにも見せろ」
興奮した様子で長次を呼ぶ小平太の声につられ、文次郎も仙蔵も小平太を押しのけて恋歌の瞳を覗き込む。
『こ、これはこれで恥ずかしい…』
生徒たちの後ろからは土井、山田、雑渡、尊奈門も遠巻きに見ており、久しぶりに開いた視界で自分が注目されているのが恥ずかしいと顔を背けてしまう。
「すごく綺麗なのに!!」
「もそ、わたしももっとちゃんと見たいです」
「おい、仙蔵押すな!」
「なるほど…あれが“神”の目、ってわけね」
6年生4人に目を見せてと詰め寄られている恋歌が助けてほしいと視線を向けてくるが、女性に無茶なことはしないだろうと止めることはしない。
「この国では珍しい金の眼か…
神埜家でなくとも1人で生きているなら隠していて正解でしたね」
「ああ…あれじゃ人攫いにも遭う可能性が高い」
小平太に綺麗だと言われた恋歌の瞳の色は金。
正確にはもう少し金よりは柔らかい色で、きつい印象もなく優しい色をしている。
「あ!わたし七松小平太です!!」
「中在家長次です」
「潮江文次郎です」
「立花仙蔵です」
『…改めまして恋歌です
みんなの顔が見られて…やっぱり嬉しい』
小平太の改めての挨拶をはじまりに、他の3人も続けて挨拶をする。
「少し失礼します」
はらりと顔にかかる長い前髪が恋歌の瞳を隠してしまうので、仙蔵が器用に前髪を頭の上で三つ編みにして結んでくれた。
「おおー、さすが仙蔵」
「ふっ、わたしの手にかかればこのぐらい造作もない」
『変じゃない…?10年以上目を開けてなくて…自分の顔も見てないから…』
「とてもお綺麗です」
「長次の言う通りです!!
これから色んなものを一緒に見ましょう!」
「そのためには…まずケジメをつけにいきましょう」
『え?』
「貴女が家から追い出された、と仰ったんじゃないですか
それに名を捨てた、ということは視界を閉ざした理由も家と関係あるのでは?」
文次郎の言葉に一瞬ぽかんとした恋歌だったが、すぐにおかしそうに笑った。
『わたしの問題だから気にしないで、と言っても助けてくれるんだよね』
「もちろんです」
『…ありがとう
わたしがあの茶店にいないとわかったなら戻る先は心当たりがあります
そこまで一緒に来てくれますか?』
「「「はい!」」」
すぐに出発しようと準備をしていた留三郎と伊作と合流し、恋歌の瞳をじっくりと観察したい伊作を抑えて、先ほどまで医務室にいた全員と矢羽音を飛ばしてきた兵助という面々で5年生の後を追いかけ学園を出た。
「しっかり掴まっていてくださいね」
『う、うん…』
「小平太!後で交代だからな!」
「もそ、わたしも」
「なはは!疲れたらな!」
「緊張感のない…」
学園から出発するにあたり5年生に追いつくためには全力で向かわねばならないが恋歌がついて来られるはずもなく誰が抱えて走るか、となった時文次郎、長次、小平太の3人が名乗りを上げじゃんけんで勝った小平太が現在恋歌を横抱きにして走っている。
木の上を駆け抜けていることに恋歌の身体が若干強張っていると気づき、抱えている手に力を入れれば恋歌から優しい笑顔が返ってきた。
「……あまり微笑まない方が良いかもしれませんね」
『え、あ…ごめん…
こっち向いてるね』
「あー!違うのです!!
そうではなくて…!!」
「あいつうるさいな」
「もそ、恋歌さんが綺麗だから照れている」
周りに見知った気配しかないことで少し気が緩んでいるのか、小平太の声がうるさいことに周りからは呆れたような笑いが起こる。
「…ここが恋歌さんの茶店だ」
あっという間に恋歌の茶店に辿り着き、外から様子を伺うが外からは荒らされた形跡はないように見える。
「一応中を確認しておくか?」
『いえ、何か盗られていたとしてもあそこには盗られて困るものは何もありません
ここからずっと北に山を登ってもらえますか?』
「勘右衛門たちもたしかに北に向かいました
この先からは目印があるはずです」
「よし、その目印と恋歌さんの指示に合わせて目的地に向かうとしよう」
ほとんど足音を立てずまた木の上を駆け、時折見かける5年生の目印を頼りに北へ進んでいくと半刻ほど進んだ先である岩の前で5年生4人の後ろ姿が見えた。
「みんな、どうしたんだ?」
「兵助
先輩方に先生に…タソガレドキ忍者まで…
ん…?あれ?」
次々に木の上から降りてくる人物たちを見ていると、小平太に抱えられている恋歌の目に包帯が巻かれていないことに気づいた勘右衛門が何度か目を擦った。
ゆっくりと地面に降ろされてから視線が合った勘右衛門は、反射的にぺこりと頭を下げた。
『尾浜くん…?』
「あ、はいそうです
えと…包帯は…どうされた…というかその目…」
「質問は後だ
そんなことよりお前たち、追跡はどうした」
勘右衛門の後ろで雷蔵、三郎、八左ヱ門が目線で会話をしているが、先輩たちの手前今は何も言わないでおこうと口を閉じる。
「それが…ここから姿が消えたのです」
「消えた…?」
『ここに隠し通路があるんだよ
きっとそこに入ったんだと思う』
ここに、と恋歌が指差したのは岩壁。
『やり方が変わってなければ…』
近くの蔓を引くとレバーが現れ、それを回すと次は小さな扉、その中には絡繰箱、その中には小さな鍵、と迷いなく順序立てて進めていくと最後に岩壁が動き、地下へと続く階段が現れた。
「組頭…これ…」
「どうりでうちのが調べても神埜家の場所がわからないはずだ
こんなのわかんないもん」
「うむ…中は薄暗いがなんとか進めそうだな」
中には松明が焚かれ道は確保されているようで足場は悪くなさそう。
『行きましょう』
「半数は外にいた方がいいだろう
恋歌さん他に入り口は?」
『それでしたら…』
全員がこの細い地下への道を通って何かあった場合一気に全滅となる。
別の入り口、というわけではないが逃げる先が予想できるという恋歌の言葉を信じ、山田率いる5年生5人、伊作、留三郎、仙蔵、雑渡は別地下へは入らず恋歌の予想した先へ。
土井率いる文次郎、小平太、長次、尊奈門は恋歌と共に地下へ向かうことになった。
「なぜわたしが組頭と別行動なのだ…」
「だってわたしの身体じゃあの地下窮屈そうなんだもの
しっかり偵察よろしくね」
じー、っと見つめてくる小平太の顔が思ったよりも近くにあり、目を開けたが視界に広がるのは小平太のまんまるな目だった。
『えと…七松くん…?』
ぱちぱちと瞬きを繰り返してはいるが何も言葉を発さず固まっている様子に、やはり見せなければよかったと顔を背けようとしたが、なぜか徐々に小平太の目がきらきらと輝きはじめた。
「ちょーじ!!長次!
すごく綺麗だ!早く見てくれ!!」
「もそ」
「おれたちにも見せろ」
興奮した様子で長次を呼ぶ小平太の声につられ、文次郎も仙蔵も小平太を押しのけて恋歌の瞳を覗き込む。
『こ、これはこれで恥ずかしい…』
生徒たちの後ろからは土井、山田、雑渡、尊奈門も遠巻きに見ており、久しぶりに開いた視界で自分が注目されているのが恥ずかしいと顔を背けてしまう。
「すごく綺麗なのに!!」
「もそ、わたしももっとちゃんと見たいです」
「おい、仙蔵押すな!」
「なるほど…あれが“神”の目、ってわけね」
6年生4人に目を見せてと詰め寄られている恋歌が助けてほしいと視線を向けてくるが、女性に無茶なことはしないだろうと止めることはしない。
「この国では珍しい金の眼か…
神埜家でなくとも1人で生きているなら隠していて正解でしたね」
「ああ…あれじゃ人攫いにも遭う可能性が高い」
小平太に綺麗だと言われた恋歌の瞳の色は金。
正確にはもう少し金よりは柔らかい色で、きつい印象もなく優しい色をしている。
「あ!わたし七松小平太です!!」
「中在家長次です」
「潮江文次郎です」
「立花仙蔵です」
『…改めまして恋歌です
みんなの顔が見られて…やっぱり嬉しい』
小平太の改めての挨拶をはじまりに、他の3人も続けて挨拶をする。
「少し失礼します」
はらりと顔にかかる長い前髪が恋歌の瞳を隠してしまうので、仙蔵が器用に前髪を頭の上で三つ編みにして結んでくれた。
「おおー、さすが仙蔵」
「ふっ、わたしの手にかかればこのぐらい造作もない」
『変じゃない…?10年以上目を開けてなくて…自分の顔も見てないから…』
「とてもお綺麗です」
「長次の言う通りです!!
これから色んなものを一緒に見ましょう!」
「そのためには…まずケジメをつけにいきましょう」
『え?』
「貴女が家から追い出された、と仰ったんじゃないですか
それに名を捨てた、ということは視界を閉ざした理由も家と関係あるのでは?」
文次郎の言葉に一瞬ぽかんとした恋歌だったが、すぐにおかしそうに笑った。
『わたしの問題だから気にしないで、と言っても助けてくれるんだよね』
「もちろんです」
『…ありがとう
わたしがあの茶店にいないとわかったなら戻る先は心当たりがあります
そこまで一緒に来てくれますか?』
「「「はい!」」」
すぐに出発しようと準備をしていた留三郎と伊作と合流し、恋歌の瞳をじっくりと観察したい伊作を抑えて、先ほどまで医務室にいた全員と矢羽音を飛ばしてきた兵助という面々で5年生の後を追いかけ学園を出た。
「しっかり掴まっていてくださいね」
『う、うん…』
「小平太!後で交代だからな!」
「もそ、わたしも」
「なはは!疲れたらな!」
「緊張感のない…」
学園から出発するにあたり5年生に追いつくためには全力で向かわねばならないが恋歌がついて来られるはずもなく誰が抱えて走るか、となった時文次郎、長次、小平太の3人が名乗りを上げじゃんけんで勝った小平太が現在恋歌を横抱きにして走っている。
木の上を駆け抜けていることに恋歌の身体が若干強張っていると気づき、抱えている手に力を入れれば恋歌から優しい笑顔が返ってきた。
「……あまり微笑まない方が良いかもしれませんね」
『え、あ…ごめん…
こっち向いてるね』
「あー!違うのです!!
そうではなくて…!!」
「あいつうるさいな」
「もそ、恋歌さんが綺麗だから照れている」
周りに見知った気配しかないことで少し気が緩んでいるのか、小平太の声がうるさいことに周りからは呆れたような笑いが起こる。
「…ここが恋歌さんの茶店だ」
あっという間に恋歌の茶店に辿り着き、外から様子を伺うが外からは荒らされた形跡はないように見える。
「一応中を確認しておくか?」
『いえ、何か盗られていたとしてもあそこには盗られて困るものは何もありません
ここからずっと北に山を登ってもらえますか?』
「勘右衛門たちもたしかに北に向かいました
この先からは目印があるはずです」
「よし、その目印と恋歌さんの指示に合わせて目的地に向かうとしよう」
ほとんど足音を立てずまた木の上を駆け、時折見かける5年生の目印を頼りに北へ進んでいくと半刻ほど進んだ先である岩の前で5年生4人の後ろ姿が見えた。
「みんな、どうしたんだ?」
「兵助
先輩方に先生に…タソガレドキ忍者まで…
ん…?あれ?」
次々に木の上から降りてくる人物たちを見ていると、小平太に抱えられている恋歌の目に包帯が巻かれていないことに気づいた勘右衛門が何度か目を擦った。
ゆっくりと地面に降ろされてから視線が合った勘右衛門は、反射的にぺこりと頭を下げた。
『尾浜くん…?』
「あ、はいそうです
えと…包帯は…どうされた…というかその目…」
「質問は後だ
そんなことよりお前たち、追跡はどうした」
勘右衛門の後ろで雷蔵、三郎、八左ヱ門が目線で会話をしているが、先輩たちの手前今は何も言わないでおこうと口を閉じる。
「それが…ここから姿が消えたのです」
「消えた…?」
『ここに隠し通路があるんだよ
きっとそこに入ったんだと思う』
ここに、と恋歌が指差したのは岩壁。
『やり方が変わってなければ…』
近くの蔓を引くとレバーが現れ、それを回すと次は小さな扉、その中には絡繰箱、その中には小さな鍵、と迷いなく順序立てて進めていくと最後に岩壁が動き、地下へと続く階段が現れた。
「組頭…これ…」
「どうりでうちのが調べても神埜家の場所がわからないはずだ
こんなのわかんないもん」
「うむ…中は薄暗いがなんとか進めそうだな」
中には松明が焚かれ道は確保されているようで足場は悪くなさそう。
『行きましょう』
「半数は外にいた方がいいだろう
恋歌さん他に入り口は?」
『それでしたら…』
全員がこの細い地下への道を通って何かあった場合一気に全滅となる。
別の入り口、というわけではないが逃げる先が予想できるという恋歌の言葉を信じ、山田率いる5年生5人、伊作、留三郎、仙蔵、雑渡は別地下へは入らず恋歌の予想した先へ。
土井率いる文次郎、小平太、長次、尊奈門は恋歌と共に地下へ向かうことになった。
「なぜわたしが組頭と別行動なのだ…」
「だってわたしの身体じゃあの地下窮屈そうなんだもの
しっかり偵察よろしくね」