アルバイトと忍術学園の段
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次の日。
恋歌が忍術学園に来てから4日目。
その日の仕事を終え何もすることがなかったため部屋に戻ろうとしたがその途中で小松田に話しかけられた。
「ほんとにすぐ戻ってくるのでぇー!!」
『わかりました』
小松田から渡された入門票と出門票が挟まれたバインダーを受け取り、今日の護衛である留三郎と一緒に門の前に立つ。
「しかし小松田さんも恋歌さんに頼まなくとも…」
『いいんだよ
ちょうど手が空いたところだったし』
いつもは門の前で掃除をしたり事務員の作業をしている小松田だが、いきなり腹の調子が悪くなってしまったとのことで、苦渋の決断で近くを通りかかった恋歌にしばらくの間門の前に立っていて欲しいと頼んできた。
『来た人に名前を書いてもらえばいいんだよね』
「はい
怪しいやつはわたしが追い返します」
『ふふ、よろしくね』
留三郎に日陰になる場所に誘導され背中を門に預けて会話をしていると潜戸がきぃ、と軽く音を立てて開いた。
「あれ?」
「利吉さん!!」
『お客様?』
「はい」
『では入門票にサインお願いします』
「あ、もう少し左です」
ずれた場所に差し出された入門票にぽかんとしていると留三郎が場所を修正したことで目の前に見慣れた入門票が差し出された。
「小松田くんは?」
「腹痛で厠へ行かれてます」
「…変なもの拾い食いでもしたんだろ
はい、書けました」
『ありがとうございます』
ぽん、と恋歌の手の上にバインダーを返し利吉は留三郎の方へ視線を向けた。
「こちらは?」
「今食堂のお手伝いをしていただいている恋歌さんです
恋歌さん、こちらは山田先生の息子さんの山田利吉さんです」
『はじめまして
普段は茶店をしております恋歌です』
「ご丁寧にありがとうございます
山田利吉です」
“よろしく”と恋歌から差し出された手を握り、今日は父親がいるかを留三郎に尋ねる。
「今日はいらっしゃるはずです」
恋歌のこともあり山田は学園内の警備をしているはず、ということは利吉に伝えることはできないが山田が話した方がいいと判断すれば話すだろうとここでは何も言わないことにした。
「ところで食堂の手伝いってことは食堂のおばちゃんどこか悪いの?」
「少し膝を痛めておられるらしいです
完治までの間恋歌さんがお手伝いをしていただいてるということです」
「なるほど…
ちなみにその…野暮なこと聞くかもしれないんですが…」
『はい』
「その目で…手伝いを?」
『お手伝いと言っても簡単なものなので
学園のみなさんもよくしていただいてますし』
「へ、へぇ…」
どこか納得がいっていなさそうな利吉だったが、留三郎に視線を向けると意味深な頷きが返ってきた。
「それじゃあわたしは父上のところへ行きます」
踵を返して職員室の方へ向かった利吉を見送り潜戸を閉めると、閉めた直後に扉を叩く音が聞こえた。
「今日は来客が多いな…
はーい…、って!お前!!」
「やぁ、今日は食満くんなんだね」
留三郎が潜戸を開けるとそこから入ってきたのはタソガレドキ忍軍組頭の雑渡昆奈門。
「今日はちゃんと門から入るんですね」
その側近の諸泉尊奈門の2人。
「こんにちは」
『こんにちは
こちら入門票です』
「はいはい」
「恋歌さん…こいつらは客では…」
本来であれば簡単に入らせていい相手ではないのだが入門票に素直にサインをしている2人に何も言うことができない。
いつもであれば勝負だと雑渡に飛び掛かるところだが今は恋歌のそばを離れて勝負に行くことはできないと奥歯を噛み締めて耐えた。
さらに今回に関しては昨日の話のこともあり追い出すこともできない。
「あ、この子うちの諸泉尊奈門ね
ほら、挨拶挨拶」
「え?あ、どうもこんにちは
タソガレドキ忍軍の諸泉尊奈門です」
雑渡に促されるままに恋歌に挨拶をした尊奈門に恋歌も簡単に挨拶を返し、手を差し出せば軽く手を握られた。
「お前が組頭の言っていた目の見えない女か…いたっ!!」
『え?』
「お前ねぇ…もう少し言い方あるでしょ
ごめんね」
『いえ、お気になさないでください』
初対面の女性に失礼だろうと雑渡に殴られた頭をさすりながら尊奈門は不服そうに頬を膨らませている。
「さてと、じゃあわたしは用事があるから」
「わたしも土井に会ってきます!!」
各々別の場所に向けて歩いて行ったところで遠くから小松田が戻ってくるのが見えた。
「すみませぇん
助かりましたぁ」
『いえ、医務室に行かれなくて大丈夫ですか?』
「さっき伊作くんに会って後で持ってきてくれるって言ってもらったんで大丈夫ですぅ
ありがとうございました」
ぺこり、と頭を下げて恋歌からバインダーを受け取る。
「あ、そうだ
恋歌さん、杖が出来上がったので今からわたしの部屋に来ていただいてもいいですか?
昨日出来上がったんですがお渡しするタイミングがなくて」
『本当に作ってくれたんだ…
これで十分なのに…ありがとう』
門番の仕事もあっさりと終わってしまい、もう部屋に戻ろうかとしたところで留三郎が思い出したように恋歌に話をすると申し訳なさそうな雰囲気を出しながらお礼を言われた。
「お気になさらず
さ、行きましょう」
杖を持っていない方の手をすっ、と握られ誘導される道をゆっくりと歩いていく。
「ここに座って待っていてください」
6年は組の部屋の前の廊下に座るように促され、すぐに留三郎は部屋から戻ってきた。
「2日前に塗ったのでニスも乾いてるかと思います
どうでしょう」
元々即席と言って作ってくれた杖も丁寧にやすりがかけられていたため手触りは良かったがニスを塗ってくれたことで違う手触りの良さがある。
『こんなに良いもの…ありがとう
大切に使うね』
「元は伊作の不運が原因ですから
喜んでいただけたならよかった」
『何かお礼を…』
「いえ!それはもういただいてます」
恋歌が忍術学園に来た初日にもらった団子は杖を作ってくれるお礼だと言われてもらったもの。
更にお礼をもらうわけにはいかないと断られてしまった。
仕方がないと諦めたところで笑いながら留三郎が恋歌の隣に腰を下ろした。
『でもまたわたしの作る甘味食べてね
人に美味しいって食べてもらうとすごく嬉しいから』
「もちろんです」
「あれ?留三郎、恋歌さんも
こんなところにいたんだ」
「おお、伊作か
小松田さんに薬は渡せたのか?」
「うん、胃薬渡してきたよ」
よいしょ、と恋歌を挟んで留三郎の反対に腰を下ろした伊作はじー、っと恋歌の顔を見つめ始めた。
「恋歌さん、僕にチャンスをくれるって話覚えてますか?」
『覚えてるよ』
「?」
「それはよかったです
今夜、それについてお時間いただけますか?」
伊作の言葉の意味を留三郎はわかっておらず2人の顔を交互に見ているが、昨夜話していた内容なのだろうと口を出すことはせず同室を信じることにした。
『もちろん
そういう約束だったしね』
「では夕食後にお迎えに行きます」
『うん』
恋歌が忍術学園に来てから4日目。
その日の仕事を終え何もすることがなかったため部屋に戻ろうとしたがその途中で小松田に話しかけられた。
「ほんとにすぐ戻ってくるのでぇー!!」
『わかりました』
小松田から渡された入門票と出門票が挟まれたバインダーを受け取り、今日の護衛である留三郎と一緒に門の前に立つ。
「しかし小松田さんも恋歌さんに頼まなくとも…」
『いいんだよ
ちょうど手が空いたところだったし』
いつもは門の前で掃除をしたり事務員の作業をしている小松田だが、いきなり腹の調子が悪くなってしまったとのことで、苦渋の決断で近くを通りかかった恋歌にしばらくの間門の前に立っていて欲しいと頼んできた。
『来た人に名前を書いてもらえばいいんだよね』
「はい
怪しいやつはわたしが追い返します」
『ふふ、よろしくね』
留三郎に日陰になる場所に誘導され背中を門に預けて会話をしていると潜戸がきぃ、と軽く音を立てて開いた。
「あれ?」
「利吉さん!!」
『お客様?』
「はい」
『では入門票にサインお願いします』
「あ、もう少し左です」
ずれた場所に差し出された入門票にぽかんとしていると留三郎が場所を修正したことで目の前に見慣れた入門票が差し出された。
「小松田くんは?」
「腹痛で厠へ行かれてます」
「…変なもの拾い食いでもしたんだろ
はい、書けました」
『ありがとうございます』
ぽん、と恋歌の手の上にバインダーを返し利吉は留三郎の方へ視線を向けた。
「こちらは?」
「今食堂のお手伝いをしていただいている恋歌さんです
恋歌さん、こちらは山田先生の息子さんの山田利吉さんです」
『はじめまして
普段は茶店をしております恋歌です』
「ご丁寧にありがとうございます
山田利吉です」
“よろしく”と恋歌から差し出された手を握り、今日は父親がいるかを留三郎に尋ねる。
「今日はいらっしゃるはずです」
恋歌のこともあり山田は学園内の警備をしているはず、ということは利吉に伝えることはできないが山田が話した方がいいと判断すれば話すだろうとここでは何も言わないことにした。
「ところで食堂の手伝いってことは食堂のおばちゃんどこか悪いの?」
「少し膝を痛めておられるらしいです
完治までの間恋歌さんがお手伝いをしていただいてるということです」
「なるほど…
ちなみにその…野暮なこと聞くかもしれないんですが…」
『はい』
「その目で…手伝いを?」
『お手伝いと言っても簡単なものなので
学園のみなさんもよくしていただいてますし』
「へ、へぇ…」
どこか納得がいっていなさそうな利吉だったが、留三郎に視線を向けると意味深な頷きが返ってきた。
「それじゃあわたしは父上のところへ行きます」
踵を返して職員室の方へ向かった利吉を見送り潜戸を閉めると、閉めた直後に扉を叩く音が聞こえた。
「今日は来客が多いな…
はーい…、って!お前!!」
「やぁ、今日は食満くんなんだね」
留三郎が潜戸を開けるとそこから入ってきたのはタソガレドキ忍軍組頭の雑渡昆奈門。
「今日はちゃんと門から入るんですね」
その側近の諸泉尊奈門の2人。
「こんにちは」
『こんにちは
こちら入門票です』
「はいはい」
「恋歌さん…こいつらは客では…」
本来であれば簡単に入らせていい相手ではないのだが入門票に素直にサインをしている2人に何も言うことができない。
いつもであれば勝負だと雑渡に飛び掛かるところだが今は恋歌のそばを離れて勝負に行くことはできないと奥歯を噛み締めて耐えた。
さらに今回に関しては昨日の話のこともあり追い出すこともできない。
「あ、この子うちの諸泉尊奈門ね
ほら、挨拶挨拶」
「え?あ、どうもこんにちは
タソガレドキ忍軍の諸泉尊奈門です」
雑渡に促されるままに恋歌に挨拶をした尊奈門に恋歌も簡単に挨拶を返し、手を差し出せば軽く手を握られた。
「お前が組頭の言っていた目の見えない女か…いたっ!!」
『え?』
「お前ねぇ…もう少し言い方あるでしょ
ごめんね」
『いえ、お気になさないでください』
初対面の女性に失礼だろうと雑渡に殴られた頭をさすりながら尊奈門は不服そうに頬を膨らませている。
「さてと、じゃあわたしは用事があるから」
「わたしも土井に会ってきます!!」
各々別の場所に向けて歩いて行ったところで遠くから小松田が戻ってくるのが見えた。
「すみませぇん
助かりましたぁ」
『いえ、医務室に行かれなくて大丈夫ですか?』
「さっき伊作くんに会って後で持ってきてくれるって言ってもらったんで大丈夫ですぅ
ありがとうございました」
ぺこり、と頭を下げて恋歌からバインダーを受け取る。
「あ、そうだ
恋歌さん、杖が出来上がったので今からわたしの部屋に来ていただいてもいいですか?
昨日出来上がったんですがお渡しするタイミングがなくて」
『本当に作ってくれたんだ…
これで十分なのに…ありがとう』
門番の仕事もあっさりと終わってしまい、もう部屋に戻ろうかとしたところで留三郎が思い出したように恋歌に話をすると申し訳なさそうな雰囲気を出しながらお礼を言われた。
「お気になさらず
さ、行きましょう」
杖を持っていない方の手をすっ、と握られ誘導される道をゆっくりと歩いていく。
「ここに座って待っていてください」
6年は組の部屋の前の廊下に座るように促され、すぐに留三郎は部屋から戻ってきた。
「2日前に塗ったのでニスも乾いてるかと思います
どうでしょう」
元々即席と言って作ってくれた杖も丁寧にやすりがかけられていたため手触りは良かったがニスを塗ってくれたことで違う手触りの良さがある。
『こんなに良いもの…ありがとう
大切に使うね』
「元は伊作の不運が原因ですから
喜んでいただけたならよかった」
『何かお礼を…』
「いえ!それはもういただいてます」
恋歌が忍術学園に来た初日にもらった団子は杖を作ってくれるお礼だと言われてもらったもの。
更にお礼をもらうわけにはいかないと断られてしまった。
仕方がないと諦めたところで笑いながら留三郎が恋歌の隣に腰を下ろした。
『でもまたわたしの作る甘味食べてね
人に美味しいって食べてもらうとすごく嬉しいから』
「もちろんです」
「あれ?留三郎、恋歌さんも
こんなところにいたんだ」
「おお、伊作か
小松田さんに薬は渡せたのか?」
「うん、胃薬渡してきたよ」
よいしょ、と恋歌を挟んで留三郎の反対に腰を下ろした伊作はじー、っと恋歌の顔を見つめ始めた。
「恋歌さん、僕にチャンスをくれるって話覚えてますか?」
『覚えてるよ』
「?」
「それはよかったです
今夜、それについてお時間いただけますか?」
伊作の言葉の意味を留三郎はわかっておらず2人の顔を交互に見ているが、昨夜話していた内容なのだろうと口を出すことはせず同室を信じることにした。
『もちろん
そういう約束だったしね』
「では夕食後にお迎えに行きます」
『うん』