アルバイトと忍術学園の段
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少しの間話をした後さて、と伊作が湯呑みを置いて薬の入った容れ物を取り出した。
「これが新しく調合した薬です
今回も僕が塗ってもいいですか?」
『うん、お願いします』
「では失礼します」
するすると恋歌の目の包帯を外し、長い前髪を分けて耳にかけてから患部に薬を軽く塗り込んでいく。
「滲みてないですか?」
『うん、なんともないよ』
最初に見た時より綺麗にはなっていたが完治しているわけではないので、新しい薬を風呂上がりにも塗ってほしいと仙蔵に薬の入った容れ物を渡した。
「ほぇー…乱太郎から聞いてたんですが、恋歌さんお綺麗ですぅ」
『ありがとう』
「ね、こなもんさんもそう思いますよね?」
「え!?
あ、うん、そうだね
大丈夫?セクハラにならない…?」
まさか自分に同意を得ようとするとは思っていなかったのか、じっと伊作の処置を見ていた雑渡は同意をした上で最後の言葉を恋歌へと向けた。
『ふふ、なりませんよ』
そんなに焦ることではないだろうにと思わず笑ってしまったが、伏木蔵は“せくはら?”と首を傾げている。
「恋歌さんはとても優しいと僕たちの間で有名なので大丈夫ですよぅ」
「そうなんだ」
そういう事ではないと伝えようかと思ったが伏木蔵には伝わりそうにないので優しい人でよかったね、と頭を撫でてやる。
「でもね伏木蔵
優しい人に何を言っても良いってわけじゃないのは覚えておかないとね
優しいからこそ表面上ではわからないこともある
それが伏木蔵にとっては褒め言葉だったとしても」
「はぁい
恋歌さん、優しいと言われるのは嫌でしたか…?」
『ううん、そんなことないよ
悪い印象じゃないのなら嬉しい』
「へへ、それならよかったです」
伊作の言葉にたしかに、と思った伏木蔵だったが笑って頭を撫でてくれる恋歌の言葉にも笑顔にも嘘はないとわかった。
「さ、できました
包帯きつくはないですか?」
『ありがとう
うん、ちょうどいいよ』
きつすぎない程度にしっかり巻かれた包帯をなぞり、髪を元に戻すと“それじゃあわたしはもう行くよ”と雑渡が急に立ち上がった。
「もう行かれてしまうんですか?」
「うん、学園長先生にも用事があってね」
「そうでしたか
また立ち寄ってください
お土産ありがとうございました」
「うん、それじゃあね
こちらこそお茶ごちそうさま」
すらりと襖を開けて医務室から出ていった雑渡を見送り、恋歌も立ち上がった。
「あ、恋歌さん
今日の夕飯はどうされるんですかぁ?」
「あ!!」
『今日は自分で作ろうかなって思ってるけど…』
「だったら僕たちと一緒にどうですかぁ?」
『伏木蔵くんたちと?
いいの?』
「もちろんですぅ〜」
「先を越されたー!!」
伏木蔵のお誘いに笑顔で返答すれば乱太郎がショックを受けたように項垂れた。
「立花先輩もご一緒にー」
「ん?ああ、ありがとう」
恋歌の護衛をしているため夕飯は後でも良いと思っていたが、思いがけず誘ってもらえたため仙蔵も1年ろ組の夕飯に参加することになった。
(1年は組には福富しんべヱと山村喜三太がいる
乱太郎に先に誘われていたら危なかった…)
「わたしたちもお誘いしたかったのにー!!」
「早い者勝ちだよー」
『それならみんなで食べるのはどう?』
「え…」
「なんで立花先輩がそんなに絶望した表情をされているのですか?」
「い、いや、なんでもない」
「1年は組は初日に一緒に夕飯食べてたじゃないか
僕たちだって恋歌さんと一緒に夕飯食べたいんだよ」
「うぅー…仕方ない…」
(一緒に食べる選択肢はないってことかな?)
1年生同士なのだから一緒に食べれば良いのにと提案したつもりだったがそういうわけにはいかないらしい。
『そういえば今日は自分で夕飯作ろうと思ってたんだけど、多めに作ったら食べてくれる?
それとも自分たちで準備した夕飯があるかな?』
「恋歌さんの作るご飯がいいですぅ
もちろんお手伝いします!」
「いいなぁ…」
『乱太郎くんたちはまた今度一緒に食べようね』
「約束ですよ!」
『…うん、約束』
乱太郎が握ってきた手で指切りをし、夕飯の準備をしようと伊作へ包帯と薬の礼を伝え、材料のある蔵へと向かう。
伏木蔵は手伝いをするためにろ組に声をかけてから食堂へ来てくれることになっている。
「夕飯は何にされるのですか?」
『自分だけならうどんでもいいかなって思ってたんだけど、子どもたちも食べるなら…ハンバーグか…カレー…とか?
立花くんは何が食べたい?』
「わたしのことはお気になさらず
しかしそうですね…あの子たちであればハンバーグの方が喜ぶのではないでしょうか
しばらくランチにも出ていませんし」
『それじゃあ夕飯はハンバーグで決定』
夕飯のメニューが決まったので材料を取ってから食堂に戻るとすでに1年ろ組の子たちが揃っていた。
「ほ、ほんとに僕たちと一緒に夕飯食べてくださるんですか…?」
『わたしの台詞だよ
一緒に食べてくれる?』
「も、もちろんです!」
「こら、お前たち先にちゃんと挨拶をするんだぞ」
「「「はーい」」」
関わることの多い1年は組とは違い、1年ろ組はまだ初対面の者も多い。
仙蔵に促され順番に自己紹介を済ませ、夕飯の準備に取り掛かろうと声をかけて調理場へ入った。
「これが新しく調合した薬です
今回も僕が塗ってもいいですか?」
『うん、お願いします』
「では失礼します」
するすると恋歌の目の包帯を外し、長い前髪を分けて耳にかけてから患部に薬を軽く塗り込んでいく。
「滲みてないですか?」
『うん、なんともないよ』
最初に見た時より綺麗にはなっていたが完治しているわけではないので、新しい薬を風呂上がりにも塗ってほしいと仙蔵に薬の入った容れ物を渡した。
「ほぇー…乱太郎から聞いてたんですが、恋歌さんお綺麗ですぅ」
『ありがとう』
「ね、こなもんさんもそう思いますよね?」
「え!?
あ、うん、そうだね
大丈夫?セクハラにならない…?」
まさか自分に同意を得ようとするとは思っていなかったのか、じっと伊作の処置を見ていた雑渡は同意をした上で最後の言葉を恋歌へと向けた。
『ふふ、なりませんよ』
そんなに焦ることではないだろうにと思わず笑ってしまったが、伏木蔵は“せくはら?”と首を傾げている。
「恋歌さんはとても優しいと僕たちの間で有名なので大丈夫ですよぅ」
「そうなんだ」
そういう事ではないと伝えようかと思ったが伏木蔵には伝わりそうにないので優しい人でよかったね、と頭を撫でてやる。
「でもね伏木蔵
優しい人に何を言っても良いってわけじゃないのは覚えておかないとね
優しいからこそ表面上ではわからないこともある
それが伏木蔵にとっては褒め言葉だったとしても」
「はぁい
恋歌さん、優しいと言われるのは嫌でしたか…?」
『ううん、そんなことないよ
悪い印象じゃないのなら嬉しい』
「へへ、それならよかったです」
伊作の言葉にたしかに、と思った伏木蔵だったが笑って頭を撫でてくれる恋歌の言葉にも笑顔にも嘘はないとわかった。
「さ、できました
包帯きつくはないですか?」
『ありがとう
うん、ちょうどいいよ』
きつすぎない程度にしっかり巻かれた包帯をなぞり、髪を元に戻すと“それじゃあわたしはもう行くよ”と雑渡が急に立ち上がった。
「もう行かれてしまうんですか?」
「うん、学園長先生にも用事があってね」
「そうでしたか
また立ち寄ってください
お土産ありがとうございました」
「うん、それじゃあね
こちらこそお茶ごちそうさま」
すらりと襖を開けて医務室から出ていった雑渡を見送り、恋歌も立ち上がった。
「あ、恋歌さん
今日の夕飯はどうされるんですかぁ?」
「あ!!」
『今日は自分で作ろうかなって思ってるけど…』
「だったら僕たちと一緒にどうですかぁ?」
『伏木蔵くんたちと?
いいの?』
「もちろんですぅ〜」
「先を越されたー!!」
伏木蔵のお誘いに笑顔で返答すれば乱太郎がショックを受けたように項垂れた。
「立花先輩もご一緒にー」
「ん?ああ、ありがとう」
恋歌の護衛をしているため夕飯は後でも良いと思っていたが、思いがけず誘ってもらえたため仙蔵も1年ろ組の夕飯に参加することになった。
(1年は組には福富しんべヱと山村喜三太がいる
乱太郎に先に誘われていたら危なかった…)
「わたしたちもお誘いしたかったのにー!!」
「早い者勝ちだよー」
『それならみんなで食べるのはどう?』
「え…」
「なんで立花先輩がそんなに絶望した表情をされているのですか?」
「い、いや、なんでもない」
「1年は組は初日に一緒に夕飯食べてたじゃないか
僕たちだって恋歌さんと一緒に夕飯食べたいんだよ」
「うぅー…仕方ない…」
(一緒に食べる選択肢はないってことかな?)
1年生同士なのだから一緒に食べれば良いのにと提案したつもりだったがそういうわけにはいかないらしい。
『そういえば今日は自分で夕飯作ろうと思ってたんだけど、多めに作ったら食べてくれる?
それとも自分たちで準備した夕飯があるかな?』
「恋歌さんの作るご飯がいいですぅ
もちろんお手伝いします!」
「いいなぁ…」
『乱太郎くんたちはまた今度一緒に食べようね』
「約束ですよ!」
『…うん、約束』
乱太郎が握ってきた手で指切りをし、夕飯の準備をしようと伊作へ包帯と薬の礼を伝え、材料のある蔵へと向かう。
伏木蔵は手伝いをするためにろ組に声をかけてから食堂へ来てくれることになっている。
「夕飯は何にされるのですか?」
『自分だけならうどんでもいいかなって思ってたんだけど、子どもたちも食べるなら…ハンバーグか…カレー…とか?
立花くんは何が食べたい?』
「わたしのことはお気になさらず
しかしそうですね…あの子たちであればハンバーグの方が喜ぶのではないでしょうか
しばらくランチにも出ていませんし」
『それじゃあ夕飯はハンバーグで決定』
夕飯のメニューが決まったので材料を取ってから食堂に戻るとすでに1年ろ組の子たちが揃っていた。
「ほ、ほんとに僕たちと一緒に夕飯食べてくださるんですか…?」
『わたしの台詞だよ
一緒に食べてくれる?』
「も、もちろんです!」
「こら、お前たち先にちゃんと挨拶をするんだぞ」
「「「はーい」」」
関わることの多い1年は組とは違い、1年ろ組はまだ初対面の者も多い。
仙蔵に促され順番に自己紹介を済ませ、夕飯の準備に取り掛かろうと声をかけて調理場へ入った。