アルバイトと忍術学園の段
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『え?目を開いたところを見せてほしい?
それはやだ』
「えっ、そ、そこをなんとか…」
(やはりな…)
次の日の放課後、仕事を終えた恋歌に伊作が真っ向から目を見せてほしいと頼みに行ったがあっさりと断られてしまった。
本日の護衛担当のためそばにいて聞いていた仙蔵だったが、結果はわかっていたようで落ち込んでいる伊作を慰めている。
『その様子だと何か気になることがあるってこと?』
「はい…
恋歌さんの目を見れば何かわかる気がして…」
昨日小平太と長次と話した内容はすでに他の人には伝わっているんだろうなと予想した恋歌はなるほど、と小さく呟いた。
実際は全員直接その話を聞いていたのだが恋歌はその気配を感じ取ることまではできない。
「で、ではチャンスをくださいませんか?」
『チャンス?』
「はい、その目のことを僕たちが解き明かしたら見せていただきたいのです」
『…正解しても合ってないって嘘ついて見せないかもよ?』
「それは…そう、かもしれませんね
でも…僕は文次郎と小平太、そして長次が信じると言った貴女が、意味のない嘘はつかないと仰ったのならそれを信じます
だから貴女がその嘘をつくということは何か特別な理由があるのだと…僕も信じます」
『……忍者って良い子じゃないとなれない決まりでもあるの?』
まっすぐな言葉を向けてくる伊作に困ったように笑う恋歌。
それに返すように仙蔵がため息をつく。
「まさか
これは伊作の性格です」
『ふふ、それならしょうがないね
いいよ、正解なら嘘はつかない
でもその知りたいことはきっとつまらないことだよ』
「ありがとうございます
つまらないかどうかは全てがわかってから僕自身が決めます」
『そっか』
「ところで新しい塗り薬を作ってみたんですが試してみませんか?」
『塗り薬?』
「はい!お顔にも塗布できるように改良したものがありまして」
『この間もらったので十分だよ?』
「あれはその場にあった物をお渡ししただけなので!!
行きましょう!」
半ば強引に恋歌の手を取り医務室へ歩き出した。
「へ…」
「おまっ…!!」
『え?』
だが、伊作のいつもの不運が発動し恋歌と手を繋いだまま落とし穴を踏み抜いた。
焦ったように仙蔵が手を伸ばしたが一瞬で穴に落ちてしまい慌てて覗き込む。
「大丈夫ですか!?」
『わ、わたしは平気…だけど…』
「わー!ほんとにすみません…」
咄嗟に恋歌を庇った伊作は恋歌の下敷きになり、申し訳ないと謝っている。
『ご、ごめんね
重たいよね』
「いえ、そんなことは
お怪我はありませんか?」
恋歌の身体を診ようと目を凝らすと、腕の部分の小袖が破れそこから少し血が滲んでいるのが見えた。
「怪我を…!!」
『あ、えと大したことなさそうだしだいじょ…うぶ…』
「だめです!!こういうところから菌が入って悪化するんですから!!
仙蔵ー!ロープ投げてくれ!」
「ああ!」
「恋歌さん、背中に」
『え…』
肩の位置まで手を誘導され、背中に乗れと促してくる。
『善法寺くんが潰れちゃうよ』
「何を仰ってるんですか
さぁ早く」
おずおずと伊作の背中に体を預けるとふわっ、と身体が地面から離れた。
「仙蔵あげてくれ」
片方の腕でロープを掴み、もう片方の腕だけで恋歌の身体を支えながら穴を登っていく。
「まったく…お前は自分の体質を考慮して行動しろ」
「あはは…
あ、そうだ!恋歌さん早く医務室へ!」
『え、あ、いやほんとにかすり傷だし…』
「だめです!
仙蔵も恋歌さんの杖持って!
行くよ!」
『あの、下ろしてもらって…』
「諦めてください
伊作は怪我をするとうるさいので」
恋歌を背負ったまま医務室へと走り出した伊作を止めようとしたが仙蔵に諦めろと言われ、少し恥ずかしいながらも大人しくすることにした。
奇跡的に2度目の落とし穴に落ちることも他の不運に合うこともなく医務室に辿り着き、まずは腕の治療をしてもらった。
「はい、これで大丈夫です」
『ありがとう』
「いや、まぁ…これは僕の不運が原因なので…」
「まったくだ」
伊作の不運のせいで今日の護衛である仙蔵は護衛対象に怪我をさせてしまったと不服そうにしている。
「まぁまぁ立花先輩
伊作先輩の不運は今に始まったことじゃないですから」
「そうですよ
むしろ食満先輩のようにならなくてよかったです」
「恋歌さんが留三郎のような怪我を負って無事でいられるはずがないだろう…」
少し拗ねている仙蔵を慰めているのは医務室にいた乱太郎と伏木蔵。
2人で仲良く委員会の仕事をしていたところ伊作が恋歌を背負って現れたため、最初は恋歌が足に怪我をしたのではと思ったが腕の軽いかすり傷だと聞いてほっとした。
「そういえば僕恋歌さんとは初めましてですぅ〜」
『そうだね
伏木蔵くん、よろしくね』
「はい!」
「おや?お客さんかな?」
伏木蔵と軽く手を握り合い挨拶をしたところでがらりと医務室の襖が開けられた。
「曲者!!」
『曲者…?』
「保健委員さんたちにお土産持ってきただけだよ」
「ちょっとこなもんさーん
お久しぶりですぅ」
「うん、雑渡昆奈門だよ
久しぶりだね」
嬉しそうな伏木蔵の声と緊張した声の仙蔵という温度差がすごく、今現れた人物は一体誰なのだろうかと首を傾げる。
「あ、恋歌さん
彼はタソガレドキ忍軍組頭の雑渡昆奈門さんです」
「どうも初めまして」
『初めまして
しばらく学園にお世話になっております恋歌と申します』
「……恋歌さん、失礼します」
伊作に紹介された相手の方を見ようとしているのだろうが、雑渡の背が高すぎるせいもあり全く顔の位置があっていない。
乱太郎が恋歌の顔の位置を普通であれば目線が合う場所に調整した。
「君…目が…」
『お気になさらないでください』
「まぁ…人にはそれぞれ事情があるもんだしね」
よいしょ、と恋歌の横に腰を下ろした雑渡は土産の入った包みを伏木蔵へと手渡した。
「いつもありがとうございます
乱太郎、伏木蔵、お茶を淹れてきて」
「「はぁーい」」
ぱたぱたと2人でお茶を淹れにいくのを見送りと、雑渡はじーっと横に座る恋歌を見つめた。
「どうかしましたか?」
「いや…しばらくってことは雇われたってわけじゃないんだ」
「恋歌さんは普段は茶店をされてるんです
今は食堂のお手伝いをしていただいてます」
「ふぅーん…
その状態でお店してるんだ、すごいね」
『皆様に助けていただいてます
もし近くを通られる時は寄ってください』
「恋歌さんの作る甘味すごく美味しいんですよ
うちの学園でも取り合いになるぐらいで」
「へぇーそれは食べてみたいね」
「お茶が入りましたー」
(なぜ曲者と普通に会話をしているのだ…)
普通に始まったお茶会に仙蔵だけが居心地の悪さを感じながら乱太郎と伏木蔵が淹れてくれたお茶をすする。
それはやだ』
「えっ、そ、そこをなんとか…」
(やはりな…)
次の日の放課後、仕事を終えた恋歌に伊作が真っ向から目を見せてほしいと頼みに行ったがあっさりと断られてしまった。
本日の護衛担当のためそばにいて聞いていた仙蔵だったが、結果はわかっていたようで落ち込んでいる伊作を慰めている。
『その様子だと何か気になることがあるってこと?』
「はい…
恋歌さんの目を見れば何かわかる気がして…」
昨日小平太と長次と話した内容はすでに他の人には伝わっているんだろうなと予想した恋歌はなるほど、と小さく呟いた。
実際は全員直接その話を聞いていたのだが恋歌はその気配を感じ取ることまではできない。
「で、ではチャンスをくださいませんか?」
『チャンス?』
「はい、その目のことを僕たちが解き明かしたら見せていただきたいのです」
『…正解しても合ってないって嘘ついて見せないかもよ?』
「それは…そう、かもしれませんね
でも…僕は文次郎と小平太、そして長次が信じると言った貴女が、意味のない嘘はつかないと仰ったのならそれを信じます
だから貴女がその嘘をつくということは何か特別な理由があるのだと…僕も信じます」
『……忍者って良い子じゃないとなれない決まりでもあるの?』
まっすぐな言葉を向けてくる伊作に困ったように笑う恋歌。
それに返すように仙蔵がため息をつく。
「まさか
これは伊作の性格です」
『ふふ、それならしょうがないね
いいよ、正解なら嘘はつかない
でもその知りたいことはきっとつまらないことだよ』
「ありがとうございます
つまらないかどうかは全てがわかってから僕自身が決めます」
『そっか』
「ところで新しい塗り薬を作ってみたんですが試してみませんか?」
『塗り薬?』
「はい!お顔にも塗布できるように改良したものがありまして」
『この間もらったので十分だよ?』
「あれはその場にあった物をお渡ししただけなので!!
行きましょう!」
半ば強引に恋歌の手を取り医務室へ歩き出した。
「へ…」
「おまっ…!!」
『え?』
だが、伊作のいつもの不運が発動し恋歌と手を繋いだまま落とし穴を踏み抜いた。
焦ったように仙蔵が手を伸ばしたが一瞬で穴に落ちてしまい慌てて覗き込む。
「大丈夫ですか!?」
『わ、わたしは平気…だけど…』
「わー!ほんとにすみません…」
咄嗟に恋歌を庇った伊作は恋歌の下敷きになり、申し訳ないと謝っている。
『ご、ごめんね
重たいよね』
「いえ、そんなことは
お怪我はありませんか?」
恋歌の身体を診ようと目を凝らすと、腕の部分の小袖が破れそこから少し血が滲んでいるのが見えた。
「怪我を…!!」
『あ、えと大したことなさそうだしだいじょ…うぶ…』
「だめです!!こういうところから菌が入って悪化するんですから!!
仙蔵ー!ロープ投げてくれ!」
「ああ!」
「恋歌さん、背中に」
『え…』
肩の位置まで手を誘導され、背中に乗れと促してくる。
『善法寺くんが潰れちゃうよ』
「何を仰ってるんですか
さぁ早く」
おずおずと伊作の背中に体を預けるとふわっ、と身体が地面から離れた。
「仙蔵あげてくれ」
片方の腕でロープを掴み、もう片方の腕だけで恋歌の身体を支えながら穴を登っていく。
「まったく…お前は自分の体質を考慮して行動しろ」
「あはは…
あ、そうだ!恋歌さん早く医務室へ!」
『え、あ、いやほんとにかすり傷だし…』
「だめです!
仙蔵も恋歌さんの杖持って!
行くよ!」
『あの、下ろしてもらって…』
「諦めてください
伊作は怪我をするとうるさいので」
恋歌を背負ったまま医務室へと走り出した伊作を止めようとしたが仙蔵に諦めろと言われ、少し恥ずかしいながらも大人しくすることにした。
奇跡的に2度目の落とし穴に落ちることも他の不運に合うこともなく医務室に辿り着き、まずは腕の治療をしてもらった。
「はい、これで大丈夫です」
『ありがとう』
「いや、まぁ…これは僕の不運が原因なので…」
「まったくだ」
伊作の不運のせいで今日の護衛である仙蔵は護衛対象に怪我をさせてしまったと不服そうにしている。
「まぁまぁ立花先輩
伊作先輩の不運は今に始まったことじゃないですから」
「そうですよ
むしろ食満先輩のようにならなくてよかったです」
「恋歌さんが留三郎のような怪我を負って無事でいられるはずがないだろう…」
少し拗ねている仙蔵を慰めているのは医務室にいた乱太郎と伏木蔵。
2人で仲良く委員会の仕事をしていたところ伊作が恋歌を背負って現れたため、最初は恋歌が足に怪我をしたのではと思ったが腕の軽いかすり傷だと聞いてほっとした。
「そういえば僕恋歌さんとは初めましてですぅ〜」
『そうだね
伏木蔵くん、よろしくね』
「はい!」
「おや?お客さんかな?」
伏木蔵と軽く手を握り合い挨拶をしたところでがらりと医務室の襖が開けられた。
「曲者!!」
『曲者…?』
「保健委員さんたちにお土産持ってきただけだよ」
「ちょっとこなもんさーん
お久しぶりですぅ」
「うん、雑渡昆奈門だよ
久しぶりだね」
嬉しそうな伏木蔵の声と緊張した声の仙蔵という温度差がすごく、今現れた人物は一体誰なのだろうかと首を傾げる。
「あ、恋歌さん
彼はタソガレドキ忍軍組頭の雑渡昆奈門さんです」
「どうも初めまして」
『初めまして
しばらく学園にお世話になっております恋歌と申します』
「……恋歌さん、失礼します」
伊作に紹介された相手の方を見ようとしているのだろうが、雑渡の背が高すぎるせいもあり全く顔の位置があっていない。
乱太郎が恋歌の顔の位置を普通であれば目線が合う場所に調整した。
「君…目が…」
『お気になさらないでください』
「まぁ…人にはそれぞれ事情があるもんだしね」
よいしょ、と恋歌の横に腰を下ろした雑渡は土産の入った包みを伏木蔵へと手渡した。
「いつもありがとうございます
乱太郎、伏木蔵、お茶を淹れてきて」
「「はぁーい」」
ぱたぱたと2人でお茶を淹れにいくのを見送りと、雑渡はじーっと横に座る恋歌を見つめた。
「どうかしましたか?」
「いや…しばらくってことは雇われたってわけじゃないんだ」
「恋歌さんは普段は茶店をされてるんです
今は食堂のお手伝いをしていただいてます」
「ふぅーん…
その状態でお店してるんだ、すごいね」
『皆様に助けていただいてます
もし近くを通られる時は寄ってください』
「恋歌さんの作る甘味すごく美味しいんですよ
うちの学園でも取り合いになるぐらいで」
「へぇーそれは食べてみたいね」
「お茶が入りましたー」
(なぜ曲者と普通に会話をしているのだ…)
普通に始まったお茶会に仙蔵だけが居心地の悪さを感じながら乱太郎と伏木蔵が淹れてくれたお茶をすする。