アルバイトと忍術学園の段
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忍術学園に来て2日目の夕飯は小平太と長次が誘ってくれ、1年は組が悔しがっていたが早い者勝ちだと恋歌を6年長屋のろ組の部屋の前に連れてきた。
「今日はわたしたちが獲った焼き魚です!」
「朝獲ってきたので新鮮です」
『お魚も獲れるんだね
2人ともすごい』
自慢げな声に恋歌はすごいと拍手をし、純粋に褒められたことが嬉しい2人。
どうぞどうぞ、と上機嫌に恋歌を部屋の中に案内し、お盆に1人分の食事の準備をして部屋の中でいただきますと3人で手を合わせる。
『忍術学園の子はみんなお料理が上手だね』
「忍者に必要な素養でもあります」
「でもやっぱり食堂のおばちゃんの料理が一番だ!」
『おばさまの料理も美味しいけどみんなの…2人が作ってくれるご飯も美味しいよ
ありがとう』
「それならよかったです!
今度一緒に釣りにも行きましょう
自分で獲った魚はまた格別ですよ」
『わたしに釣りできるかな?』
「できます
わたしたちがついていれば何でも釣れます」
『ふふ、それは楽しみだね』
「またきり丸と一緒にアルバイトも行きます」
『うん、ありがとう』
「恋歌さんにおすすめの本があります
それを今度読みます」
『…うん、楽しみにしてる』
“また”と“今度”と未来の言葉を口にしていることに気づいた恋歌だったが、その意図がわからず返事はするがどういう表情で2人が話しているのかもわからない。
「わたしは体育委員会委員長もしています
後輩も紹介したいです
一緒に裏山も裏裏山も登りたいです」
『うん、それも楽しみ』
「わたしはぼうろ作りが得意です
是非…食べてほしい
一緒に作ったりもしたいです…」
『忍術学園の子は料理上手だから楽しみだよ』
未来の約束をすれば少しでも自ら命を断つという可能性を減らせないかと口から出た言葉は2人とも止まらなくなってしまった。
「全部必ずやりましょう
約束です!」
『うん、約束』
恋歌がしっかりと頷いたことでひとまずは満足したのか、今までの雰囲気を吹き飛ばすように小平太はものすごいスピードで夕飯をかきこんだ。
『それじゃあごちそうさまでした』
「またお誘いします!」
『うん、ありがとう』
「お部屋までお送りします」
杖を持っている手とは反対の手を長次が軽く引き、1年長屋までゆっくりと歩いて行く。
「そういえば恋歌さん、ご出身はどちらですか?」
『…どうして?』
ふと長次が道すがら問うた何気ない問いに一瞬繋いだ手に力が入ったのを長次は見逃すはずがなかった。
「いえ、実は書物で読んで郷土料理にも興味がありまして、恋歌さんがどこか遠方のご出身であればその地域の郷土料理など調べてみようかと」
「長次は本をたくさん読んでいるので物知りですよ!
沈黙の生き字引、なんて呼ばれてるぐらいで」
『沈黙…?
よくお話ししてくれるのに?』
「なはは!わたしもそう思います!」
長次の声を聞き返さずとも拾えるのは学園でも小平太やきり丸ぐらいだということを恋歌は知らない。
「それで恋歌さんはどこのご出身なのですか?
言葉遣いはわたしたちと変わらないので遠方ではなさそうですが」
『んー…それは内緒』
「えー!」
不服そうな声を出して抗議をする小平太の声に“ごめんね”と返す恋歌の声に何を思ったのか長次は足を止めた。
「長次?」
「恋歌さん、我々は…貴女にとってどんな存在ですか…」
『どんな…って…
お店を手伝ってくれる良い子で…それ以上は…』
言葉に詰まっている様子の恋歌に長次が繋いでいる手に少し力を入れた。
「良い子、と思ってくれているのは知ってます
でも…だからといってわたしたちは子どもではありません」
「長次…」
「恋歌さんより背も高いです
力も強いです
この学園で色んなことを学んで、わたしたちは忍者を育てる学園の最高学年です」
『…うん
そう、だね…』
「何を隠されていたとしても…絶対に明かしてみせます」
『…ふふ、さすが忍者のたまごさんだね
それを明かした結果が拍子抜けするぐらいつまらないものでも調べるの?』
「はい」
『そっか…』
口元に笑みを浮かべた恋歌はどこかおかしいような、呆れたような笑い方をしている。
「わたしからもひとついいですか?」
『なに?』
見えてはいないだろうに挙手をして恋歌と長次の会話に割り込んだ小平太は今がチャンスとばかりに言葉を選んでから口を開いた。
「今までわたしたちに嘘をついたことはありますか?」
『ないよ
つく必要のない嘘は言わない』
即答された答えに満足そうに笑った小平太はこんな廊下で話を続けるのは野暮だと、長次から恋歌の手を奪い転ばない程度のスピードで恋歌の部屋へと向かった。
「では今から質問をします」
『…唐突だね』
恋歌の部屋に入り向き合う形で膝を突き合わせ、少し機嫌が良さそうに見える小平太。
長次も小平太のことを止める必要がないので黙って小平太が話し始めるのを待っている。
「ご出身は内緒ということだったので…うーん…
あ!好きな食べ物はなんですか?」
『好きな…食べ物…?』
「はい!」
一体どんな質問がくるのかと身構えていたが、思っていたよりも普通の質問に拍子抜けした。
『こんなこと言うのも変なんだけど…わたしはわたしが作る甘味が一番好き』
「恋歌さんの甘味は美味しいので変とは思いません
あの甘味はどなたかに作り方を教わったのですか?」
『…それは内緒』
「えー!!
それなら…今までで一番楽しかった思い出はなんですか?
わたしは体育委員会の後輩たちとマラソンしたり、長次と文次郎と鍛錬したり、長次と本を読んだり…あ!あと恋歌さんのところでアルバイトするのも楽しくて…」
「小平太、それは一番とは言わない」
「細かいことは気にするな!」
“一番”を聞いているのに指折り話し始めた小平太に長次が口を挟む。
『一番…か
わたしもみんなと働くのは楽しいよ
あとは…そうだな
この学園のみんなと過ごさせてもらえてる今が、一番楽しいかもしれないね』
「まだまだ楽しいことたくさんしましょう!」
「もそ、わたしも聞きたいことが
恋歌さんが良い子と思わない行動はなんでしょうか」
『む、難しいこと聞くね』
「なんだ長次、その質問は」
「恋歌さんには良い子と思っていてほしい
線引きははっきりしておかないといけない」
「それは確かにそうだ!!
良い質問だ!」
長次の質問の意図に納得した小平太は回答に悩んでいる恋歌が唸っているのを笑顔で見ながら長次にも目配せをすると長次からは頷きが返ってきた。
『そうだね…
相手のことを…考えられないことかな
人の嫌がることとか平気でやっちゃうのは良い子じゃない
まぁそれも年齢もあるだろうし、理由があるかもしれないから…何とも言えないね…』
「気をつけます」
『あなたたちはみんな良い子だよ
…理由があってわたしを忍術学園に連れてきてくれて…学園でもみんながそばに居てくれるんだもんね』
「気づいておられたのですか」
『ここが忍術学園というのはさすがに学園長先生の言葉で気づいたけど、目が不自由なわたしを食堂の手伝いとして選択肢にあがるのはおかしい
まぁ“目が見えない”と思っているなら学園長先生の言葉がなければ隠し通せると思ったのかもしれないけど』
「学園長先生が何をお考えなのかはわたしたちにもわかりません
ここが忍術学園ということを明かしたのもわざとなのかうっかりなのかも」
『ふふ、さすが忍術学園の学園長先生だね』
恋歌の纏う雰囲気はいつも通りではあるが、先ほどの会話の中で気になった部分があり、少し乾いた喉を潤すために唾を飲み込んだ。
「恋歌さん、こんなことを聞くのは失礼かもしれませんが…
その目は…本当に見えていないのですか…?」
『……』
先ほど恋歌は“目が見えないと思っているなら”と言った。
それに引っかかりを覚えたのはここにいる2人だけではない。
『それは内緒』
「それはまた…」
口元に笑みを浮かべて人差し指を唇に当てた恋歌の言葉に冷や汗が流れる。
ここまでの話で恋歌は今まで自分たちに嘘をついたことはないと言っていた。
その言葉を信じるとなると恋歌は自ら“盲目である”と告げたことはあっただろうか。
きり丸からの事前情報と、目に巻かれた包帯、持っている杖、目が見えないであろう人の歩き方で勝手に盲目であると思い込んでいたのではと。
「恋歌さんも忍に向いておられるかもしれませんね」
『まさか
…怪しいから追い出す?』
「…そんなことはしません」
「たとえ目のことが嘘だったとしても恋歌さんは良い人です」
『…やっぱり2人とも良い子だね
変な大人を信じちゃだめだよ?』
伸ばされた両手を小平太と長次が握ると、それを頼りに2人の首に手を回して軽く恋歌に抱きしめられた。
『忍術学園の迷惑になるとわかったら…殺してね』
「「!!」」
ばっ、と顔をあげた小平太と長次だったが恋歌は両手をあげて“なんてね”と笑っている。
「冗談でも…そんな…」
「殺したくありません」
「小平太…」
「わたしたちの敵となろうと、恋歌さんのいう迷惑がかかろうと
わたしは恋歌さんを殺したくありません
そんな簡単に死なせません
共に生きて行く道を最後まで探します」
『……それでもダメだったら?』
「諦めません」
『…ふふ、良い子すぎて困っちゃうね』
質問の回答とは少しずれているがはっきりとした回答に恋歌も思わず笑みが漏れる。
『じゃあ…わたしも簡単に死なないようにしなきゃね』
「死なせませんってば」
『うん、ありがとう』
「今日はわたしたちが獲った焼き魚です!」
「朝獲ってきたので新鮮です」
『お魚も獲れるんだね
2人ともすごい』
自慢げな声に恋歌はすごいと拍手をし、純粋に褒められたことが嬉しい2人。
どうぞどうぞ、と上機嫌に恋歌を部屋の中に案内し、お盆に1人分の食事の準備をして部屋の中でいただきますと3人で手を合わせる。
『忍術学園の子はみんなお料理が上手だね』
「忍者に必要な素養でもあります」
「でもやっぱり食堂のおばちゃんの料理が一番だ!」
『おばさまの料理も美味しいけどみんなの…2人が作ってくれるご飯も美味しいよ
ありがとう』
「それならよかったです!
今度一緒に釣りにも行きましょう
自分で獲った魚はまた格別ですよ」
『わたしに釣りできるかな?』
「できます
わたしたちがついていれば何でも釣れます」
『ふふ、それは楽しみだね』
「またきり丸と一緒にアルバイトも行きます」
『うん、ありがとう』
「恋歌さんにおすすめの本があります
それを今度読みます」
『…うん、楽しみにしてる』
“また”と“今度”と未来の言葉を口にしていることに気づいた恋歌だったが、その意図がわからず返事はするがどういう表情で2人が話しているのかもわからない。
「わたしは体育委員会委員長もしています
後輩も紹介したいです
一緒に裏山も裏裏山も登りたいです」
『うん、それも楽しみ』
「わたしはぼうろ作りが得意です
是非…食べてほしい
一緒に作ったりもしたいです…」
『忍術学園の子は料理上手だから楽しみだよ』
未来の約束をすれば少しでも自ら命を断つという可能性を減らせないかと口から出た言葉は2人とも止まらなくなってしまった。
「全部必ずやりましょう
約束です!」
『うん、約束』
恋歌がしっかりと頷いたことでひとまずは満足したのか、今までの雰囲気を吹き飛ばすように小平太はものすごいスピードで夕飯をかきこんだ。
『それじゃあごちそうさまでした』
「またお誘いします!」
『うん、ありがとう』
「お部屋までお送りします」
杖を持っている手とは反対の手を長次が軽く引き、1年長屋までゆっくりと歩いて行く。
「そういえば恋歌さん、ご出身はどちらですか?」
『…どうして?』
ふと長次が道すがら問うた何気ない問いに一瞬繋いだ手に力が入ったのを長次は見逃すはずがなかった。
「いえ、実は書物で読んで郷土料理にも興味がありまして、恋歌さんがどこか遠方のご出身であればその地域の郷土料理など調べてみようかと」
「長次は本をたくさん読んでいるので物知りですよ!
沈黙の生き字引、なんて呼ばれてるぐらいで」
『沈黙…?
よくお話ししてくれるのに?』
「なはは!わたしもそう思います!」
長次の声を聞き返さずとも拾えるのは学園でも小平太やきり丸ぐらいだということを恋歌は知らない。
「それで恋歌さんはどこのご出身なのですか?
言葉遣いはわたしたちと変わらないので遠方ではなさそうですが」
『んー…それは内緒』
「えー!」
不服そうな声を出して抗議をする小平太の声に“ごめんね”と返す恋歌の声に何を思ったのか長次は足を止めた。
「長次?」
「恋歌さん、我々は…貴女にとってどんな存在ですか…」
『どんな…って…
お店を手伝ってくれる良い子で…それ以上は…』
言葉に詰まっている様子の恋歌に長次が繋いでいる手に少し力を入れた。
「良い子、と思ってくれているのは知ってます
でも…だからといってわたしたちは子どもではありません」
「長次…」
「恋歌さんより背も高いです
力も強いです
この学園で色んなことを学んで、わたしたちは忍者を育てる学園の最高学年です」
『…うん
そう、だね…』
「何を隠されていたとしても…絶対に明かしてみせます」
『…ふふ、さすが忍者のたまごさんだね
それを明かした結果が拍子抜けするぐらいつまらないものでも調べるの?』
「はい」
『そっか…』
口元に笑みを浮かべた恋歌はどこかおかしいような、呆れたような笑い方をしている。
「わたしからもひとついいですか?」
『なに?』
見えてはいないだろうに挙手をして恋歌と長次の会話に割り込んだ小平太は今がチャンスとばかりに言葉を選んでから口を開いた。
「今までわたしたちに嘘をついたことはありますか?」
『ないよ
つく必要のない嘘は言わない』
即答された答えに満足そうに笑った小平太はこんな廊下で話を続けるのは野暮だと、長次から恋歌の手を奪い転ばない程度のスピードで恋歌の部屋へと向かった。
「では今から質問をします」
『…唐突だね』
恋歌の部屋に入り向き合う形で膝を突き合わせ、少し機嫌が良さそうに見える小平太。
長次も小平太のことを止める必要がないので黙って小平太が話し始めるのを待っている。
「ご出身は内緒ということだったので…うーん…
あ!好きな食べ物はなんですか?」
『好きな…食べ物…?』
「はい!」
一体どんな質問がくるのかと身構えていたが、思っていたよりも普通の質問に拍子抜けした。
『こんなこと言うのも変なんだけど…わたしはわたしが作る甘味が一番好き』
「恋歌さんの甘味は美味しいので変とは思いません
あの甘味はどなたかに作り方を教わったのですか?」
『…それは内緒』
「えー!!
それなら…今までで一番楽しかった思い出はなんですか?
わたしは体育委員会の後輩たちとマラソンしたり、長次と文次郎と鍛錬したり、長次と本を読んだり…あ!あと恋歌さんのところでアルバイトするのも楽しくて…」
「小平太、それは一番とは言わない」
「細かいことは気にするな!」
“一番”を聞いているのに指折り話し始めた小平太に長次が口を挟む。
『一番…か
わたしもみんなと働くのは楽しいよ
あとは…そうだな
この学園のみんなと過ごさせてもらえてる今が、一番楽しいかもしれないね』
「まだまだ楽しいことたくさんしましょう!」
「もそ、わたしも聞きたいことが
恋歌さんが良い子と思わない行動はなんでしょうか」
『む、難しいこと聞くね』
「なんだ長次、その質問は」
「恋歌さんには良い子と思っていてほしい
線引きははっきりしておかないといけない」
「それは確かにそうだ!!
良い質問だ!」
長次の質問の意図に納得した小平太は回答に悩んでいる恋歌が唸っているのを笑顔で見ながら長次にも目配せをすると長次からは頷きが返ってきた。
『そうだね…
相手のことを…考えられないことかな
人の嫌がることとか平気でやっちゃうのは良い子じゃない
まぁそれも年齢もあるだろうし、理由があるかもしれないから…何とも言えないね…』
「気をつけます」
『あなたたちはみんな良い子だよ
…理由があってわたしを忍術学園に連れてきてくれて…学園でもみんながそばに居てくれるんだもんね』
「気づいておられたのですか」
『ここが忍術学園というのはさすがに学園長先生の言葉で気づいたけど、目が不自由なわたしを食堂の手伝いとして選択肢にあがるのはおかしい
まぁ“目が見えない”と思っているなら学園長先生の言葉がなければ隠し通せると思ったのかもしれないけど』
「学園長先生が何をお考えなのかはわたしたちにもわかりません
ここが忍術学園ということを明かしたのもわざとなのかうっかりなのかも」
『ふふ、さすが忍術学園の学園長先生だね』
恋歌の纏う雰囲気はいつも通りではあるが、先ほどの会話の中で気になった部分があり、少し乾いた喉を潤すために唾を飲み込んだ。
「恋歌さん、こんなことを聞くのは失礼かもしれませんが…
その目は…本当に見えていないのですか…?」
『……』
先ほど恋歌は“目が見えないと思っているなら”と言った。
それに引っかかりを覚えたのはここにいる2人だけではない。
『それは内緒』
「それはまた…」
口元に笑みを浮かべて人差し指を唇に当てた恋歌の言葉に冷や汗が流れる。
ここまでの話で恋歌は今まで自分たちに嘘をついたことはないと言っていた。
その言葉を信じるとなると恋歌は自ら“盲目である”と告げたことはあっただろうか。
きり丸からの事前情報と、目に巻かれた包帯、持っている杖、目が見えないであろう人の歩き方で勝手に盲目であると思い込んでいたのではと。
「恋歌さんも忍に向いておられるかもしれませんね」
『まさか
…怪しいから追い出す?』
「…そんなことはしません」
「たとえ目のことが嘘だったとしても恋歌さんは良い人です」
『…やっぱり2人とも良い子だね
変な大人を信じちゃだめだよ?』
伸ばされた両手を小平太と長次が握ると、それを頼りに2人の首に手を回して軽く恋歌に抱きしめられた。
『忍術学園の迷惑になるとわかったら…殺してね』
「「!!」」
ばっ、と顔をあげた小平太と長次だったが恋歌は両手をあげて“なんてね”と笑っている。
「冗談でも…そんな…」
「殺したくありません」
「小平太…」
「わたしたちの敵となろうと、恋歌さんのいう迷惑がかかろうと
わたしは恋歌さんを殺したくありません
そんな簡単に死なせません
共に生きて行く道を最後まで探します」
『……それでもダメだったら?』
「諦めません」
『…ふふ、良い子すぎて困っちゃうね』
質問の回答とは少しずれているがはっきりとした回答に恋歌も思わず笑みが漏れる。
『じゃあ…わたしも簡単に死なないようにしなきゃね』
「死なせませんってば」
『うん、ありがとう』