アルバイトと忍術学園の段
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あとで話を、と約束したはいいが恋歌の手が空くのは昼食以降。
それまでに風呂に入ったり武器の手入れをしようと長屋に戻ろうとしたが、その足を止めた。
「こんにちは、七松先輩、中在家先輩」
長屋に向けた足を止めたのは目の前に小平太と長次が立っていたからだった。
無視すると後からうるさそうだと、声をかけない選択肢がなく、面倒だという感情を取り繕うように笑顔で挨拶をする。
「お前たち、恋歌さんに何の用だ」
「そんなに怖い顔しないでください
ただの世間話です」
「お前たちが?恋歌さんと?」
世間話をするような間柄か?とでも言いたそうな顔をされ、視線を逸らしながら無理矢理笑みを浮かべると仕方がないと小平太が息をはいた。
「約束をしてしまったのだからな
その代わり余計なことは言うんじゃないぞ」
「もちろんです」
「もそ、わかっているとは思うがわたしたちは今日は恋歌さんの護衛
目の届く範囲にはいさせてもらう」
「それも承知の上です」
ならば良いとまだ食堂で作業をしている恋歌の元へ向かう6年生の背中を見送って、大きく息をはいた。
「ぷはぁー…おっかないなー」
「命がかかってるから神経質になるのはわかるけどさ
6年生も護衛じゃない先輩方は手がかりがないかの調査に出てるんだろ?
それでもすぐに理由がわからないなんて…ほんとに…」
敵なのでは…?という言葉は飲み込んだが、5年生の中では敵かもしれないという可能性も捨てていなかった。
「6年生も先生方も騙せるような凄腕の忍者なら可能性あるぞ?」
「そんなのおれたちにだって見抜けないよー…」
昼食が終わり恋歌の仕事が終わったのは放課後の時間。
勘右衛門と兵助が食堂に入ると、食堂のおばちゃんと恋歌が向かい合ってお茶を飲んでいるところだった。
「隣失礼しまーす」
「あら、尾浜くんに久々知くん」
『お話しに来てくれたんだね』
「はい!」
食堂の勝手口の方からぎりぎり勘右衛門と兵助が感じ取れる気配を出している小平太と長次。
その気配に少し身震いがしたが、勘右衛門が部屋から持ってきた包みを机の上に置いた。
「恋歌さんの甘味も美味しいんですが、ここのも美味しいんですよ!
昨日のお礼にぜひ食べてみてください!」
『いいの?』
「学園長先生もおすすめのお店の物なのでぜひ」
『ありがとう』
勘右衛門が恋歌の手に団子の串を握らせ食べる姿をじっと見つめているが、普通なら食べにくくなる視線も気づいていないようで一番上の団子を口の中に入れた。
『わ、美味しい』
「でしょう?
恋歌さんのとはまた違ってこれも美味しいんです」
自分が作るものとは食感がまるで違うと、すぐに一串食べ終えた様子を見て勘右衛門は満足そうにしている。
「恋歌さん、お豆腐は好きですか?」
「げっ…」
『お豆腐?
好きだよ』
「ほんとですか!?」
「あー!!
ま、まて兵助、それは今じゃない!!」
『?』
何やら勘右衛門が慌てている声が聞こえるが、兵助からは嬉しそうな声が聞こえ、何がどうなっているのだろうと首を傾げる。
「どのお豆腐が一番好きですか?」
『んー…そんなに種類を知ってるわけじゃないけど…
田楽豆腐かなぁ…』
「田楽豆腐!!
ここにおれが作った田楽豆腐があるんですが、」
「なんであるの!?てかどこから出したの!?」
「あ、口を開けていただけますか?」
「気遣いは満点!!さすが兵助!!
けどほんとに今じゃない!!」
お団子の串を持っていること、盲目であるため向かいに座っている兵助から物を受け取るのは難しいだろうと、兵助が気遣って所謂“あーん”をしようとしているのはわかる。
わかるが今ここに恋歌といる理由を考えてほしいと勘右衛門が悶えている。
『あー』
「恋歌さんも素直!!
なんで!?おれがおかしいの!?」
「尾浜くん…大丈夫…?」
素直に口を開けている恋歌に田楽豆腐と偽って何を入れられるかわからないのになぜだ、と叫んでいる勘右衛門に食堂のおばちゃんが声をかけるが、ツッコミ疲れたのか机に突っ伏してしまった。
「どうですか?」
『わー、美味しい
これは甘めの田楽豆腐だね』
「わかりますか!?
下級生たちにも喜んでもらえるように少し甘めにしてみたんです
それにこれならおやつとしても食べられるかなと思いまして
あ、ちなみに別のもあるんですが…」
「あーあ、始まっちゃった…」
一度豆腐のことを語り出したら止まらない兵助は、本当にどこから出しているのかわからないほどの量の豆腐を皿に盛り付け恋歌の前に並べ始めている。
「久々知くん、お豆腐食べてほしい気持ちはわかるけど恋歌さんは女の子よ
夕飯前にそんなに食べられないわよ」
「はっ、それもそうですね
じゃあこれは自信作なので恋歌さんに
残りは勘右衛門へ」
「なんっでだよ!!」
『自信作ってことはこれ久々知くんが自分で作ってるの?』
「そうなんです!!
豆腐は奥が深くて究極のお豆腐を作るのが難しいんですよ」
『これでも十分美味しいよ
たくさん食べられなくてごめんね』
「明日も明後日もありますから気にしないでください」
(兵助のやつ明日も明後日も食べさせるつもりなのか…
忍務のこと忘れてないよな?)
『楽しみにしてる』
「はい!!」
結局本当に世間話をしただけで終わってしまい、このままではダメだと夕飯を誘おうとした勘右衛門だったが、食堂の勝手口からの視線の圧と、兵助の豆腐地獄から抜け出すことができず夕飯は別々に取る事になってしまった。
それまでに風呂に入ったり武器の手入れをしようと長屋に戻ろうとしたが、その足を止めた。
「こんにちは、七松先輩、中在家先輩」
長屋に向けた足を止めたのは目の前に小平太と長次が立っていたからだった。
無視すると後からうるさそうだと、声をかけない選択肢がなく、面倒だという感情を取り繕うように笑顔で挨拶をする。
「お前たち、恋歌さんに何の用だ」
「そんなに怖い顔しないでください
ただの世間話です」
「お前たちが?恋歌さんと?」
世間話をするような間柄か?とでも言いたそうな顔をされ、視線を逸らしながら無理矢理笑みを浮かべると仕方がないと小平太が息をはいた。
「約束をしてしまったのだからな
その代わり余計なことは言うんじゃないぞ」
「もちろんです」
「もそ、わかっているとは思うがわたしたちは今日は恋歌さんの護衛
目の届く範囲にはいさせてもらう」
「それも承知の上です」
ならば良いとまだ食堂で作業をしている恋歌の元へ向かう6年生の背中を見送って、大きく息をはいた。
「ぷはぁー…おっかないなー」
「命がかかってるから神経質になるのはわかるけどさ
6年生も護衛じゃない先輩方は手がかりがないかの調査に出てるんだろ?
それでもすぐに理由がわからないなんて…ほんとに…」
敵なのでは…?という言葉は飲み込んだが、5年生の中では敵かもしれないという可能性も捨てていなかった。
「6年生も先生方も騙せるような凄腕の忍者なら可能性あるぞ?」
「そんなのおれたちにだって見抜けないよー…」
昼食が終わり恋歌の仕事が終わったのは放課後の時間。
勘右衛門と兵助が食堂に入ると、食堂のおばちゃんと恋歌が向かい合ってお茶を飲んでいるところだった。
「隣失礼しまーす」
「あら、尾浜くんに久々知くん」
『お話しに来てくれたんだね』
「はい!」
食堂の勝手口の方からぎりぎり勘右衛門と兵助が感じ取れる気配を出している小平太と長次。
その気配に少し身震いがしたが、勘右衛門が部屋から持ってきた包みを机の上に置いた。
「恋歌さんの甘味も美味しいんですが、ここのも美味しいんですよ!
昨日のお礼にぜひ食べてみてください!」
『いいの?』
「学園長先生もおすすめのお店の物なのでぜひ」
『ありがとう』
勘右衛門が恋歌の手に団子の串を握らせ食べる姿をじっと見つめているが、普通なら食べにくくなる視線も気づいていないようで一番上の団子を口の中に入れた。
『わ、美味しい』
「でしょう?
恋歌さんのとはまた違ってこれも美味しいんです」
自分が作るものとは食感がまるで違うと、すぐに一串食べ終えた様子を見て勘右衛門は満足そうにしている。
「恋歌さん、お豆腐は好きですか?」
「げっ…」
『お豆腐?
好きだよ』
「ほんとですか!?」
「あー!!
ま、まて兵助、それは今じゃない!!」
『?』
何やら勘右衛門が慌てている声が聞こえるが、兵助からは嬉しそうな声が聞こえ、何がどうなっているのだろうと首を傾げる。
「どのお豆腐が一番好きですか?」
『んー…そんなに種類を知ってるわけじゃないけど…
田楽豆腐かなぁ…』
「田楽豆腐!!
ここにおれが作った田楽豆腐があるんですが、」
「なんであるの!?てかどこから出したの!?」
「あ、口を開けていただけますか?」
「気遣いは満点!!さすが兵助!!
けどほんとに今じゃない!!」
お団子の串を持っていること、盲目であるため向かいに座っている兵助から物を受け取るのは難しいだろうと、兵助が気遣って所謂“あーん”をしようとしているのはわかる。
わかるが今ここに恋歌といる理由を考えてほしいと勘右衛門が悶えている。
『あー』
「恋歌さんも素直!!
なんで!?おれがおかしいの!?」
「尾浜くん…大丈夫…?」
素直に口を開けている恋歌に田楽豆腐と偽って何を入れられるかわからないのになぜだ、と叫んでいる勘右衛門に食堂のおばちゃんが声をかけるが、ツッコミ疲れたのか机に突っ伏してしまった。
「どうですか?」
『わー、美味しい
これは甘めの田楽豆腐だね』
「わかりますか!?
下級生たちにも喜んでもらえるように少し甘めにしてみたんです
それにこれならおやつとしても食べられるかなと思いまして
あ、ちなみに別のもあるんですが…」
「あーあ、始まっちゃった…」
一度豆腐のことを語り出したら止まらない兵助は、本当にどこから出しているのかわからないほどの量の豆腐を皿に盛り付け恋歌の前に並べ始めている。
「久々知くん、お豆腐食べてほしい気持ちはわかるけど恋歌さんは女の子よ
夕飯前にそんなに食べられないわよ」
「はっ、それもそうですね
じゃあこれは自信作なので恋歌さんに
残りは勘右衛門へ」
「なんっでだよ!!」
『自信作ってことはこれ久々知くんが自分で作ってるの?』
「そうなんです!!
豆腐は奥が深くて究極のお豆腐を作るのが難しいんですよ」
『これでも十分美味しいよ
たくさん食べられなくてごめんね』
「明日も明後日もありますから気にしないでください」
(兵助のやつ明日も明後日も食べさせるつもりなのか…
忍務のこと忘れてないよな?)
『楽しみにしてる』
「はい!!」
結局本当に世間話をしただけで終わってしまい、このままではダメだと夕飯を誘おうとした勘右衛門だったが、食堂の勝手口からの視線の圧と、兵助の豆腐地獄から抜け出すことができず夕飯は別々に取る事になってしまった。