アルバイトと忍術学園の段
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学園では朝食の準備が始まる頃、5年生たちは学園長の命で恋歌の茶店の周りを交代で見張っていた。
「よ、お疲れ」
「あー、やっと交代の時間?」
茶店の程よく距離をとった木の上で座って見張っていた兵助と勘右衛門に声をかけたのは八左ヱ門で、その後ろには雷蔵と三郎が手を振っている。
「誰か不審なやつはいた?」
「いんや、店も閉まってるから客も来ないし暇で暇で」
「あはは…」
数日前から交代で見張りを続けている5人は昨日恋歌が忍術学園に向かう時も近くにいた。
「きり丸や6年生が世話になってる人とはいえ、学園長先生はなぜここまでされるのだろうか…」
「さぁな」
「いつもの突然の思いつきのようなものだろう
おれたちは指示されたことをこなすだけさ」
「それはそうなんだけどさー」
退屈なんだ、と口を尖らせる勘右衛門に苦笑いをしながら雷蔵が勘右衛門に包みを渡す。
「これ、昨日恋歌さんが作ってくれたお団子なんだって
潮江先輩がおれたちにってくれた」
「えー!いいのか!?
さすが潮江先輩!」
「勘右衛門…」
先ほどまでぶーたれていた顔はお団子を見るとぱっと明るくなり、嬉しそうに雷蔵から包みを受け取った。
「しかしまぁ盲目なのにこんな美味しい甘味が作れるのは純粋にすごいよな」
「もう食べてる…」
「狙われてる理由わかんないって聞いてるけど案外これがその原因だったりして」
「どういうことだ?」
「こういうの好きな殿様っているじゃん?
有名な髪結を側仕えにしたいとか、有名な忍者を側に置きたいとかさ
それで美味しい甘味を作れて、しかも作っているのは盲目の女性
それなら城で独り占めしたいとか、見せ物に…なんてのはない話じゃない」
「そういうのだったら嫌だなぁ…
目が見えないのはあの人のせいじゃないだろうに…」
勘右衛門が何気なく言った言葉に雷蔵が悲しそうな顔をするとばちん、と三郎が勘右衛門の頭を軽く殴った。
「雷蔵、勘右衛門の言葉は気にするな
だからこそわたしたちがこうして忍務に当たっているんだ
6年生より先に理由を突き止めてやろうじゃないか」
「うん、そうだね」
「冗談だってのにさー
三郎は雷蔵の事になると手加減してくんないんだから」
三郎に叩かれた後頭部をさすりながら木の上で立ち上がった勘右衛門だが、フォローしてくれる者は誰もおらず、今回は勘右衛門が悪いと兵助ですら苦笑いをしている。
「でもまぁ…6年生より先に理由を突き止めるってのは楽しそうだ」
「それには賛成だけどおれたちはここと学園の往復しか命じられてないのにどうするんだ?」
今回5年生に命じられた忍務は恋歌の茶店の周りに忍者が現れた場合捕らえる、もしくは追跡のみ。
交代制のため交代後は学園に戻ることを許されている。
そのため恋歌の茶店と学園との往復しか許されていない状況。
「今からおれたちは学園に一度帰るだろ
そこで恋歌さんに接触するんだよ」
「そうか
恋歌さん本人に少し話を聞けば!!」
「ああ、おれたちは6年生に比べて恋歌さんのことを知らなさすぎる」
「なるほど…
…今日の護衛誰なんだろうな」
「…伊作先輩だといいなぁ
せめて食満先輩!!」
本人に知られないように調査している理由も、6年生が交代で護衛をしている理由も知っている。
だが特に文次郎、小平太、長次の3人はきり丸と一緒にアルバイトをしていた関係もあり、今回の恋歌のことについて敏感に反応してくる。
だが調査対象のことを知らなさすぎるのは不公平だと勘右衛門と兵助は学園に戻れば恋歌に接触しようと決めて5年ろ組の3人と見張りを交代した。
「まぁ…そんなことだろうと思いましたよ…」
「んぁ?なんのことだ?」
朝食より少し早い時間に戻ってきた勘右衛門と兵助は食堂に行けば会えるだろうと食堂に向かえば、すでに席について朝食をとっている小平太と長次を見て項垂れた。
一番いてほしくなかった人物、しかも2人ともなれば恋歌と一体何の話ができるだろうかと、食べながら考えようと朝食を持って席についた。
朝食の時間になれば徐々に席が埋まり、邪魔になると思ったのか小平太と長次は食堂からは出ており、勝手口側から覗いているが見えている。
1年は組の子たちは元気に恋歌にも挨拶をし、他の下級生たちは少し恋歌のことを気にしてはいるものの直接声をかけるようなことはない。
「さてと…」
授業が始まる直前にもなれば食堂には勘右衛門と兵助だけが残り、食器を下げるために立ち上がった。
「ごちそうさまー」
「ごちそうさまでした」
「あら、2人とも早い時間に来たのに最後までいたのね
何か嫌いなものが入ってた?」
「今日はゆっくり食べたい気分だったんです」
「あとは恋歌さんにお礼を言いたくて」
にっこりと笑いながら食堂のおばちゃんの後ろで洗い物をしている恋歌に向けて声をかければ、自分の名前を呼ばれたことに気づいた恋歌が顔を上げた。
『お礼…?』
「はい、昨日潮江先輩から恋歌さんのお団子をいただきまして、とっても美味しかったです
ありがとうございます」
『そう言ってもらえると嬉しい
こちらこそ食べてくれてありがとう』
「あ、おれ5年い組の尾浜勘右衛門です」
「同じく5年い組の久々知兵助です」
『恋歌です
よろしくね』
軽く挨拶を交わし、わざわざ手を拭って差し出してくれた手を無碍にはできず、2人とも恋歌と手を握り合う。
「ところで恋歌さん、あとで少しお話ししませんか?」
『お話し?
わたしでよければお手伝いが終われば喜んで』
「……それじゃあまたあとで!」
一瞬恋歌の背後から身震いがするほどの視線が飛んできたが、約束は取り付けたと兵助を連れて食堂を後にした。
「よ、お疲れ」
「あー、やっと交代の時間?」
茶店の程よく距離をとった木の上で座って見張っていた兵助と勘右衛門に声をかけたのは八左ヱ門で、その後ろには雷蔵と三郎が手を振っている。
「誰か不審なやつはいた?」
「いんや、店も閉まってるから客も来ないし暇で暇で」
「あはは…」
数日前から交代で見張りを続けている5人は昨日恋歌が忍術学園に向かう時も近くにいた。
「きり丸や6年生が世話になってる人とはいえ、学園長先生はなぜここまでされるのだろうか…」
「さぁな」
「いつもの突然の思いつきのようなものだろう
おれたちは指示されたことをこなすだけさ」
「それはそうなんだけどさー」
退屈なんだ、と口を尖らせる勘右衛門に苦笑いをしながら雷蔵が勘右衛門に包みを渡す。
「これ、昨日恋歌さんが作ってくれたお団子なんだって
潮江先輩がおれたちにってくれた」
「えー!いいのか!?
さすが潮江先輩!」
「勘右衛門…」
先ほどまでぶーたれていた顔はお団子を見るとぱっと明るくなり、嬉しそうに雷蔵から包みを受け取った。
「しかしまぁ盲目なのにこんな美味しい甘味が作れるのは純粋にすごいよな」
「もう食べてる…」
「狙われてる理由わかんないって聞いてるけど案外これがその原因だったりして」
「どういうことだ?」
「こういうの好きな殿様っているじゃん?
有名な髪結を側仕えにしたいとか、有名な忍者を側に置きたいとかさ
それで美味しい甘味を作れて、しかも作っているのは盲目の女性
それなら城で独り占めしたいとか、見せ物に…なんてのはない話じゃない」
「そういうのだったら嫌だなぁ…
目が見えないのはあの人のせいじゃないだろうに…」
勘右衛門が何気なく言った言葉に雷蔵が悲しそうな顔をするとばちん、と三郎が勘右衛門の頭を軽く殴った。
「雷蔵、勘右衛門の言葉は気にするな
だからこそわたしたちがこうして忍務に当たっているんだ
6年生より先に理由を突き止めてやろうじゃないか」
「うん、そうだね」
「冗談だってのにさー
三郎は雷蔵の事になると手加減してくんないんだから」
三郎に叩かれた後頭部をさすりながら木の上で立ち上がった勘右衛門だが、フォローしてくれる者は誰もおらず、今回は勘右衛門が悪いと兵助ですら苦笑いをしている。
「でもまぁ…6年生より先に理由を突き止めるってのは楽しそうだ」
「それには賛成だけどおれたちはここと学園の往復しか命じられてないのにどうするんだ?」
今回5年生に命じられた忍務は恋歌の茶店の周りに忍者が現れた場合捕らえる、もしくは追跡のみ。
交代制のため交代後は学園に戻ることを許されている。
そのため恋歌の茶店と学園との往復しか許されていない状況。
「今からおれたちは学園に一度帰るだろ
そこで恋歌さんに接触するんだよ」
「そうか
恋歌さん本人に少し話を聞けば!!」
「ああ、おれたちは6年生に比べて恋歌さんのことを知らなさすぎる」
「なるほど…
…今日の護衛誰なんだろうな」
「…伊作先輩だといいなぁ
せめて食満先輩!!」
本人に知られないように調査している理由も、6年生が交代で護衛をしている理由も知っている。
だが特に文次郎、小平太、長次の3人はきり丸と一緒にアルバイトをしていた関係もあり、今回の恋歌のことについて敏感に反応してくる。
だが調査対象のことを知らなさすぎるのは不公平だと勘右衛門と兵助は学園に戻れば恋歌に接触しようと決めて5年ろ組の3人と見張りを交代した。
「まぁ…そんなことだろうと思いましたよ…」
「んぁ?なんのことだ?」
朝食より少し早い時間に戻ってきた勘右衛門と兵助は食堂に行けば会えるだろうと食堂に向かえば、すでに席について朝食をとっている小平太と長次を見て項垂れた。
一番いてほしくなかった人物、しかも2人ともなれば恋歌と一体何の話ができるだろうかと、食べながら考えようと朝食を持って席についた。
朝食の時間になれば徐々に席が埋まり、邪魔になると思ったのか小平太と長次は食堂からは出ており、勝手口側から覗いているが見えている。
1年は組の子たちは元気に恋歌にも挨拶をし、他の下級生たちは少し恋歌のことを気にしてはいるものの直接声をかけるようなことはない。
「さてと…」
授業が始まる直前にもなれば食堂には勘右衛門と兵助だけが残り、食器を下げるために立ち上がった。
「ごちそうさまー」
「ごちそうさまでした」
「あら、2人とも早い時間に来たのに最後までいたのね
何か嫌いなものが入ってた?」
「今日はゆっくり食べたい気分だったんです」
「あとは恋歌さんにお礼を言いたくて」
にっこりと笑いながら食堂のおばちゃんの後ろで洗い物をしている恋歌に向けて声をかければ、自分の名前を呼ばれたことに気づいた恋歌が顔を上げた。
『お礼…?』
「はい、昨日潮江先輩から恋歌さんのお団子をいただきまして、とっても美味しかったです
ありがとうございます」
『そう言ってもらえると嬉しい
こちらこそ食べてくれてありがとう』
「あ、おれ5年い組の尾浜勘右衛門です」
「同じく5年い組の久々知兵助です」
『恋歌です
よろしくね』
軽く挨拶を交わし、わざわざ手を拭って差し出してくれた手を無碍にはできず、2人とも恋歌と手を握り合う。
「ところで恋歌さん、あとで少しお話ししませんか?」
『お話し?
わたしでよければお手伝いが終われば喜んで』
「……それじゃあまたあとで!」
一瞬恋歌の背後から身震いがするほどの視線が飛んできたが、約束は取り付けたと兵助を連れて食堂を後にした。