アルバイトと忍術学園の段
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「潮江、立花まいりました」
「入りなさい」
庵に入ればすでに他の6年生の4人は揃っており、その他に山田、土井の2人の教師も学園長の横に揃っていた。
「恋歌さんは?」
「山本シナ先生と風呂へ行かれた」
襖を閉め中に入り居住まいを正せばごほん、と学園長が咳をしそちらへと視線が集まる。
「実際会ってみた皆の感想が聞きたい」
「…ではわたしから
挨拶を交わしただけではありますが武術も忍術も素人でしょうな」
「ええ、わたしもそう思います
足の運び方、言動からして昔に何かをしていたということもなさそうです
手を握った時も何か武器を扱っているような感じもなかったですし」
「ふむ…
6年生はどう思う?」
山田と土井が今日恋歌と挨拶を交わした時の話をすれば、学園長は何かを考えるように次は6年生へと視線を向け同じ問いをする。
「目が見えない、もしくは弱視であるということは嘘ではないはずです
一朝一夕で普段見えている世界を遮断してあの動きができるとは到底思えません」
「わたしもそれについては文次郎と同意見です
あとは耳が良いかと
長次の言葉を聞き返した事が今までありません」
「もそ…あとは手で顔を触れられていると嘘をついたときバレます」
アルバイトで何度か恋歌に会い、関わってきた3人の報告にまた学園長は何かを考えており、続きをと話していない3人へ視線を向けた。
「完全に目が見えない、ということを前提とするのであれば顔にそれの原因となる傷は見当たりませんでした
弱視という事であれば話は変わってくるのですが…
太陽の光が苦手ということは少なくとも光は感じ取れているはずです」
「わたしも挨拶のみではありますが、山田先生、土井先生と同意見です
目が見えていないことを除けば普通の町娘かと」
「わたしもそう思います
伊作の不運に巻き込まれても嫌な顔をされることもありませんでしたし、1年は組も懐いています
何かに対してお怒りになることもなかったので“優しい”という評価にも嘘はないかと」
「なるほどのぉ…」
この場にいる全員の恋歌に対する印象を頭の中で整理し、はぁと小さくため息をついた。
「であれば益々恋歌さんが“狙われて”おる理由がわからん」
「本人に自覚がなさそうだということで食堂のおばちゃんにも協力してもらって学園内に“保護”することはできましたが…
何が原因で狙われているかわからない以上対策のしようがないですね」
「ただの人攫い、というわけではないのでしょうか?」
「人攫いならフリーの足のつかない忍者を雇ったりせんだろうな」
恋歌本人には伝えていないが今回の食堂の手伝いは嘘であり、本当の目的は恋歌を忍術学園の中で保護することだった。
ここを忍術学園であるということは内密にするということは元々話し合っていたのだが、それを学園長自ら暴露してしまったためそちらの作戦はなかったことにはなってしまったが。
保護する、と決まったのは実習帰りの小平太と長次が、もし恋歌の茶店がやっていれば休憩して帰ろうと立ち寄った時に恋歌の茶店の様子を伺っている忍者を見つけたためだった。
茶店は営業してはいなかったが中から恋歌の気配がしたため狙いは恋歌なのだとわかり、忍者を捕らえ忍術学園へ連れ帰ってなぜあの茶店を狙ったのか、と尋問をした。
だが捕らえた忍者たちは恋歌を攫ってくるようにとしか指示を出されておらず、依頼主の名前も顔もわからず、人を1人攫ってくるだけにしては高額な報酬に飛びついただけの城仕えではない駆け出しの忍者だった。
攫った後連れてこいと言われた場所に山田と土井が向かったものの、向かった時にはすでにそこはもぬけの殻で結局狙われている理由も、狙った人物も何もわからないまま。
「あれから二度恋歌さんの茶店に忍者が現れましたが、そのいずれも最初の忍者と同じく何の情報も持っておらず、落ち合うはずの場所を聞き出してそこに向かっても誰もいない、ということが続きました」
「うむ、それで一度ここに恋歌さんを保護しようという話になったんじゃったな」
「しかしいまだになぜ狙われているのかがわからず、というのは困りましたね」
直接会い言葉を交わせば何か原因がわかるかもしれないとは思ったが、関わりを持てば持つほどなぜ忍者に狙われているのかわからなくなってしまった。
「……あくまでも…ひとつの可能性の話ですが」
「良い、話してみよ」
ぼそりと仙蔵の呟きが静かな室内に響き、言葉の続きを促すように全員の視線が向けられる。
「恋歌さんは家名を名乗りませんでした
家名のない平民、という可能性もありますが、もしそれを意図的に隠しているとしたら…」
「元は身分の高い家紋のご息女で、家族が連れ戻そうとしている…ということか」
「あくまでもひとつの可能性です」
「でも失礼かもしれないけどそういう感じには見えなかったなぁ」
だが今のところこの仙蔵の可能性が一番納得のいく理由となってしまった。
高額な報酬、フリーの忍者、依頼主の秘匿、すべてが公にできない身分の息女を連れ戻そうとしている、と言われれば辻褄があってしまう。
「あいわかった
引き続き6年生は必ず1人以上恋歌さんの側に
残りの6年生および5年生は恋歌さんの茶店を見張る者と忍術学園の警護にわかれ、忍術学園に侵入者がいれば即刻捕らえよ
先生方は他の下級生たちのことも頼みました
無理はしなくとも良い
何かわかれば各自報告を」
「「「はっ」」」
「入りなさい」
庵に入ればすでに他の6年生の4人は揃っており、その他に山田、土井の2人の教師も学園長の横に揃っていた。
「恋歌さんは?」
「山本シナ先生と風呂へ行かれた」
襖を閉め中に入り居住まいを正せばごほん、と学園長が咳をしそちらへと視線が集まる。
「実際会ってみた皆の感想が聞きたい」
「…ではわたしから
挨拶を交わしただけではありますが武術も忍術も素人でしょうな」
「ええ、わたしもそう思います
足の運び方、言動からして昔に何かをしていたということもなさそうです
手を握った時も何か武器を扱っているような感じもなかったですし」
「ふむ…
6年生はどう思う?」
山田と土井が今日恋歌と挨拶を交わした時の話をすれば、学園長は何かを考えるように次は6年生へと視線を向け同じ問いをする。
「目が見えない、もしくは弱視であるということは嘘ではないはずです
一朝一夕で普段見えている世界を遮断してあの動きができるとは到底思えません」
「わたしもそれについては文次郎と同意見です
あとは耳が良いかと
長次の言葉を聞き返した事が今までありません」
「もそ…あとは手で顔を触れられていると嘘をついたときバレます」
アルバイトで何度か恋歌に会い、関わってきた3人の報告にまた学園長は何かを考えており、続きをと話していない3人へ視線を向けた。
「完全に目が見えない、ということを前提とするのであれば顔にそれの原因となる傷は見当たりませんでした
弱視という事であれば話は変わってくるのですが…
太陽の光が苦手ということは少なくとも光は感じ取れているはずです」
「わたしも挨拶のみではありますが、山田先生、土井先生と同意見です
目が見えていないことを除けば普通の町娘かと」
「わたしもそう思います
伊作の不運に巻き込まれても嫌な顔をされることもありませんでしたし、1年は組も懐いています
何かに対してお怒りになることもなかったので“優しい”という評価にも嘘はないかと」
「なるほどのぉ…」
この場にいる全員の恋歌に対する印象を頭の中で整理し、はぁと小さくため息をついた。
「であれば益々恋歌さんが“狙われて”おる理由がわからん」
「本人に自覚がなさそうだということで食堂のおばちゃんにも協力してもらって学園内に“保護”することはできましたが…
何が原因で狙われているかわからない以上対策のしようがないですね」
「ただの人攫い、というわけではないのでしょうか?」
「人攫いならフリーの足のつかない忍者を雇ったりせんだろうな」
恋歌本人には伝えていないが今回の食堂の手伝いは嘘であり、本当の目的は恋歌を忍術学園の中で保護することだった。
ここを忍術学園であるということは内密にするということは元々話し合っていたのだが、それを学園長自ら暴露してしまったためそちらの作戦はなかったことにはなってしまったが。
保護する、と決まったのは実習帰りの小平太と長次が、もし恋歌の茶店がやっていれば休憩して帰ろうと立ち寄った時に恋歌の茶店の様子を伺っている忍者を見つけたためだった。
茶店は営業してはいなかったが中から恋歌の気配がしたため狙いは恋歌なのだとわかり、忍者を捕らえ忍術学園へ連れ帰ってなぜあの茶店を狙ったのか、と尋問をした。
だが捕らえた忍者たちは恋歌を攫ってくるようにとしか指示を出されておらず、依頼主の名前も顔もわからず、人を1人攫ってくるだけにしては高額な報酬に飛びついただけの城仕えではない駆け出しの忍者だった。
攫った後連れてこいと言われた場所に山田と土井が向かったものの、向かった時にはすでにそこはもぬけの殻で結局狙われている理由も、狙った人物も何もわからないまま。
「あれから二度恋歌さんの茶店に忍者が現れましたが、そのいずれも最初の忍者と同じく何の情報も持っておらず、落ち合うはずの場所を聞き出してそこに向かっても誰もいない、ということが続きました」
「うむ、それで一度ここに恋歌さんを保護しようという話になったんじゃったな」
「しかしいまだになぜ狙われているのかがわからず、というのは困りましたね」
直接会い言葉を交わせば何か原因がわかるかもしれないとは思ったが、関わりを持てば持つほどなぜ忍者に狙われているのかわからなくなってしまった。
「……あくまでも…ひとつの可能性の話ですが」
「良い、話してみよ」
ぼそりと仙蔵の呟きが静かな室内に響き、言葉の続きを促すように全員の視線が向けられる。
「恋歌さんは家名を名乗りませんでした
家名のない平民、という可能性もありますが、もしそれを意図的に隠しているとしたら…」
「元は身分の高い家紋のご息女で、家族が連れ戻そうとしている…ということか」
「あくまでもひとつの可能性です」
「でも失礼かもしれないけどそういう感じには見えなかったなぁ」
だが今のところこの仙蔵の可能性が一番納得のいく理由となってしまった。
高額な報酬、フリーの忍者、依頼主の秘匿、すべてが公にできない身分の息女を連れ戻そうとしている、と言われれば辻褄があってしまう。
「あいわかった
引き続き6年生は必ず1人以上恋歌さんの側に
残りの6年生および5年生は恋歌さんの茶店を見張る者と忍術学園の警護にわかれ、忍術学園に侵入者がいれば即刻捕らえよ
先生方は他の下級生たちのことも頼みました
無理はしなくとも良い
何かわかれば各自報告を」
「「「はっ」」」