アルバイトと忍術学園の段
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1年長屋の廊下に座り、恋歌に手渡された茶碗には作られたばかりの雑炊が入っており、1年は組が採ってきたいろんな種類のきのこがふんだんに使われている。
『いただきます』
「「「いただきまーす!!」」」
全員で手を合わせて1年は組と恋歌、文次郎といういつもとは変わったメンバーでの食事。
「潮江先輩は食べないんですか?」
「忍者たるものいつでも温かい飯が食えるとは限らんからな」
「さすが忍術学園一ギンギンに忍者してる潮江先輩…」
せっかく美味しくできたのに…と落ち込む後輩たちを見て少し良心が痛んだが、これも立派な忍者になるためだと今すぐに雑炊には手をつけず廊下に茶碗を置いたまま。
「恋歌さん、お味はいかがですか?」
『とっても美味しいよ』
「よかったぁ」
ほっとしたように息をはいた1年は組の良い子たちは、しんべヱに全部食べられる前におかわりを確保しに鍋へと走った。
『ここの学園のみんなは…良い子たちばかりだね』
「後輩は皆、良い子ですよ」
『潮江くんも良い子だよ』
「…この歳で良い子、と言われるのは些か照れますが…ありがとうございます」
アルバイトをしている時に恋歌より年下だからか、文次郎の顔を見ていないせいなのかはわからないが頭を撫でたり、良い子だと言って誉めてもらう事がある。
それは1年は組の良い子たちも、小平太も長次も同様の扱いだった。
「あの…答えにくければ…いいのですが…」
『うん』
「その目は…生まれつきですか?」
『…ううん、後天的なものだね』
「そう、ですか
原因は…」
『…それは内緒』
なんの脈絡もなく突然文次郎が言いにくそうにした問いに、少し間を空けて簡単な返答があった。
「…新野先生か、伊作に診てもらえば…少しでも…!!
いや…余計な事を言いました…すみません」
『ううん、気遣ってくれてるんだから気にしないよ
ありがとう』
原因は教えてもらえなくとも、校医の新野や保健委員である伊作に診せればもしかすると回復の兆しが見えるのではと提案をしようとしたが、それも恋歌が決める事だとすぐに謝罪の言葉を口にした。
原因は言いたくないということは診察も嫌がるだろうと。
『やっぱり潮江くんも良い子だね』
「…後輩の前ではしめしがつきません」
『ふふ、残念』
恋歌が文次郎の頭を撫でようと手を伸ばしてきたが、1年は組の目の前で頭を撫でられるなど恥ずかしい事この上ないと、その手を軽く握ってそっと廊下に下ろされた。
楽しそうな1年は組の声を聞きながら雑炊を食べ終わると、おかわりを聞きに来てくれたがそれには断りを入れ、そろそろ山本シナのいるくのたま長屋に行こうかと考えた時、1年は組以外の声が近くで聞こえた。
「お、お前たち恋歌さんどこにいるか知ってるか?」
「あれ?食満先輩、伊作先輩どうされたんですか?」
「恋歌さんならあそこに」
あそこ、と指をさされた先には恋歌と文次郎が廊下に座って話をしていた。
「恋歌さん」
『この声は善法寺くんかな?』
「はい、そうです」
「何しに来やがった」
「さっきも言ったがお前になんざ用はねぇよ!」
「留三郎!
文次郎と喧嘩しに来たんじゃないだろう?」
「あ、ああそうだった」
目当ての人物の横にいた文次郎とお約束のように喧嘩が始まるところだったが、伊作に止められ本来の目的を思い出し留三郎と伊作は恋歌の前に膝をついた。
「これ、今日伊作が壊してしまった杖の代わりです」
「握ってみてください」
伊作が恋歌の手に留三郎が削った杖を握らせると、感触を確かめるように杖を撫で両手で握った。
『すごいね
太さも長さも今までのとほとんど同じだ』
「これは即席で作ったものなのでお帰りになるまでにはしっかりとしたものをお渡しします」
『これでも十分だよ
ありがとう』
即席、と言う割にしっかりとやすりまでかけてくれており、木の棘が刺さる心配もなさそうなほど丁寧に作られている。
「そういえばこれ恋歌さんからお前たちにだ」
先ほど恋歌が作った甘味を留三郎の手に乗せると、え?という顔をして2人が顔を見合わせた。
『包帯と薬のお礼と、杖をもらう方が先になっちゃったけど、杖のお礼』
「え!?いやいや、これは僕の不運で…!!
それに包帯も薬も僕が保健委員なだけで…
お礼を言われるようなことは何もしていません」
「そ、そうです
それに杖もまだ完全なものではないですし…」
「黙ってもらっとけ
恋歌さんの好意だ」
ごちゃごちゃうるさい、と甘味の入った包みを文次郎が伊作へと押し付けると、“ありがとうございます”と笑顔でお礼を述べた。
「長屋に戻るならこれを長次と小平太に渡してくれ」
「わかった」
「文次郎はまだここにいるのかい?」
「ああ」
長次と小平太の分の甘味も2人に渡し、長屋に戻る背中を見送った。
『ごめんね
潮江くんも同級生の子と一緒にご飯食べたいよね』
「え!?
い、いえ!そんなことは!!」
『でもわたしの所為で6年生のみんなと一緒にご飯食べられないんだよね?』
申し訳なさそうに手に持っている杖を指でなぞる恋歌に文次郎は苦笑した。
「わたしはこの忍術学園の最高学年です
そんなことでは落ち込みません」
『学園では最高学年かもしれないけど、15歳はまだまだ子どもだよ』
「そう言われてしまうと…まぁ…」
年上である恋歌にそう言われてしまうと間違いではない上に、文次郎の顔を見た事のない恋歌には文次郎が普段は先生と間違えられたりと年相応の顔に見られることが少ない事がわからない。
それをどう説明すればいいのかと悩んだが、自分を子ども扱いしないでほしいと伝えることが子どもだと証明してしまいそうでその言葉は言えなかった。
(まぁたしかにおれと恋歌さんは5つ違い…
1年生とおれたちも5つ歳が離れている…
そういうことか…?)
たしかに5つ下の1年生はまだまだ子ども。
恋歌からみた自分もその感覚なのだろうと無理やり結論づけた。
「恋歌さん」
「山本シナ先生」
無理やり結論づけはしたがまだ納得のいっていない文次郎が唸っているとぽん、と恋歌の肩を山本シナが軽く叩き、食事が終わっているなら風呂に行こうと誘いに来てくれた。
『すみません、お待たせしてしまいました』
「気にしないで
ささっ、行きましょ
部屋までわたしが送り届けるから潮江くんは迎えに来なくていいわ」
「わかりました」
『潮江くん、一緒にご飯食べてくれてありがとう
また明日…かな?』
「はい、また明日」
食べ終わったお椀を1年は組に渡し、ごちそうさまと伝えて山本シナに連れられてくのたま長屋に向かった。
「文次郎、行くぞ
学園長先生がお呼びだ」
「ああ」
『いただきます』
「「「いただきまーす!!」」」
全員で手を合わせて1年は組と恋歌、文次郎といういつもとは変わったメンバーでの食事。
「潮江先輩は食べないんですか?」
「忍者たるものいつでも温かい飯が食えるとは限らんからな」
「さすが忍術学園一ギンギンに忍者してる潮江先輩…」
せっかく美味しくできたのに…と落ち込む後輩たちを見て少し良心が痛んだが、これも立派な忍者になるためだと今すぐに雑炊には手をつけず廊下に茶碗を置いたまま。
「恋歌さん、お味はいかがですか?」
『とっても美味しいよ』
「よかったぁ」
ほっとしたように息をはいた1年は組の良い子たちは、しんべヱに全部食べられる前におかわりを確保しに鍋へと走った。
『ここの学園のみんなは…良い子たちばかりだね』
「後輩は皆、良い子ですよ」
『潮江くんも良い子だよ』
「…この歳で良い子、と言われるのは些か照れますが…ありがとうございます」
アルバイトをしている時に恋歌より年下だからか、文次郎の顔を見ていないせいなのかはわからないが頭を撫でたり、良い子だと言って誉めてもらう事がある。
それは1年は組の良い子たちも、小平太も長次も同様の扱いだった。
「あの…答えにくければ…いいのですが…」
『うん』
「その目は…生まれつきですか?」
『…ううん、後天的なものだね』
「そう、ですか
原因は…」
『…それは内緒』
なんの脈絡もなく突然文次郎が言いにくそうにした問いに、少し間を空けて簡単な返答があった。
「…新野先生か、伊作に診てもらえば…少しでも…!!
いや…余計な事を言いました…すみません」
『ううん、気遣ってくれてるんだから気にしないよ
ありがとう』
原因は教えてもらえなくとも、校医の新野や保健委員である伊作に診せればもしかすると回復の兆しが見えるのではと提案をしようとしたが、それも恋歌が決める事だとすぐに謝罪の言葉を口にした。
原因は言いたくないということは診察も嫌がるだろうと。
『やっぱり潮江くんも良い子だね』
「…後輩の前ではしめしがつきません」
『ふふ、残念』
恋歌が文次郎の頭を撫でようと手を伸ばしてきたが、1年は組の目の前で頭を撫でられるなど恥ずかしい事この上ないと、その手を軽く握ってそっと廊下に下ろされた。
楽しそうな1年は組の声を聞きながら雑炊を食べ終わると、おかわりを聞きに来てくれたがそれには断りを入れ、そろそろ山本シナのいるくのたま長屋に行こうかと考えた時、1年は組以外の声が近くで聞こえた。
「お、お前たち恋歌さんどこにいるか知ってるか?」
「あれ?食満先輩、伊作先輩どうされたんですか?」
「恋歌さんならあそこに」
あそこ、と指をさされた先には恋歌と文次郎が廊下に座って話をしていた。
「恋歌さん」
『この声は善法寺くんかな?』
「はい、そうです」
「何しに来やがった」
「さっきも言ったがお前になんざ用はねぇよ!」
「留三郎!
文次郎と喧嘩しに来たんじゃないだろう?」
「あ、ああそうだった」
目当ての人物の横にいた文次郎とお約束のように喧嘩が始まるところだったが、伊作に止められ本来の目的を思い出し留三郎と伊作は恋歌の前に膝をついた。
「これ、今日伊作が壊してしまった杖の代わりです」
「握ってみてください」
伊作が恋歌の手に留三郎が削った杖を握らせると、感触を確かめるように杖を撫で両手で握った。
『すごいね
太さも長さも今までのとほとんど同じだ』
「これは即席で作ったものなのでお帰りになるまでにはしっかりとしたものをお渡しします」
『これでも十分だよ
ありがとう』
即席、と言う割にしっかりとやすりまでかけてくれており、木の棘が刺さる心配もなさそうなほど丁寧に作られている。
「そういえばこれ恋歌さんからお前たちにだ」
先ほど恋歌が作った甘味を留三郎の手に乗せると、え?という顔をして2人が顔を見合わせた。
『包帯と薬のお礼と、杖をもらう方が先になっちゃったけど、杖のお礼』
「え!?いやいや、これは僕の不運で…!!
それに包帯も薬も僕が保健委員なだけで…
お礼を言われるようなことは何もしていません」
「そ、そうです
それに杖もまだ完全なものではないですし…」
「黙ってもらっとけ
恋歌さんの好意だ」
ごちゃごちゃうるさい、と甘味の入った包みを文次郎が伊作へと押し付けると、“ありがとうございます”と笑顔でお礼を述べた。
「長屋に戻るならこれを長次と小平太に渡してくれ」
「わかった」
「文次郎はまだここにいるのかい?」
「ああ」
長次と小平太の分の甘味も2人に渡し、長屋に戻る背中を見送った。
『ごめんね
潮江くんも同級生の子と一緒にご飯食べたいよね』
「え!?
い、いえ!そんなことは!!」
『でもわたしの所為で6年生のみんなと一緒にご飯食べられないんだよね?』
申し訳なさそうに手に持っている杖を指でなぞる恋歌に文次郎は苦笑した。
「わたしはこの忍術学園の最高学年です
そんなことでは落ち込みません」
『学園では最高学年かもしれないけど、15歳はまだまだ子どもだよ』
「そう言われてしまうと…まぁ…」
年上である恋歌にそう言われてしまうと間違いではない上に、文次郎の顔を見た事のない恋歌には文次郎が普段は先生と間違えられたりと年相応の顔に見られることが少ない事がわからない。
それをどう説明すればいいのかと悩んだが、自分を子ども扱いしないでほしいと伝えることが子どもだと証明してしまいそうでその言葉は言えなかった。
(まぁたしかにおれと恋歌さんは5つ違い…
1年生とおれたちも5つ歳が離れている…
そういうことか…?)
たしかに5つ下の1年生はまだまだ子ども。
恋歌からみた自分もその感覚なのだろうと無理やり結論づけた。
「恋歌さん」
「山本シナ先生」
無理やり結論づけはしたがまだ納得のいっていない文次郎が唸っているとぽん、と恋歌の肩を山本シナが軽く叩き、食事が終わっているなら風呂に行こうと誘いに来てくれた。
『すみません、お待たせしてしまいました』
「気にしないで
ささっ、行きましょ
部屋までわたしが送り届けるから潮江くんは迎えに来なくていいわ」
「わかりました」
『潮江くん、一緒にご飯食べてくれてありがとう
また明日…かな?』
「はい、また明日」
食べ終わったお椀を1年は組に渡し、ごちそうさまと伝えて山本シナに連れられてくのたま長屋に向かった。
「文次郎、行くぞ
学園長先生がお呼びだ」
「ああ」