アルバイトと忍術学園の段
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数刻後、食堂からは甘い匂いが漂い、それにつられてどんどんと食堂に人が集まり始めた。
「これ…売っちゃいけないんすよね…?」
『うん、今回はだめ』
「絶対いい稼ぎになるのにぃー!!」
目の前に積み上がっていく恋歌の甘味を売りたくてしょうがないきり丸だが、恋歌から今回はだめだと言われ歯を食いしばって耐えている。
『これは潮江くんに
七松くんと中在家くんにも渡してほしい』
「よろしいのですか?」
『もちろん
荷物を持ってもらったお礼』
「ありがとうございます」
実は自分の店から少しではあるが材料を持ち込んでおり、その材料は迎えに来てくれた6年生の3人が持ってくれていた。
そのお礼だと渡せば文次郎が受け取った皿を見下ろして少し言いにくそうに口を開いた。
「これをわたしの同室にも食べさせてやってもいいでしょうか?」
『もちろん
それならその子の分も持って行って』
「…ありがとうございます」
もらったものをどのようにしてもいいだろうに律儀に自分ではなく別の者にあげたいと言われれば恋歌が嫌な顔をするはずもなく、追加で皿の上に団子と饅頭が置かれた。
『こっちは今日お迎えに来てくれたお礼ね』
「「「わーい!!」」」
乱太郎、きり丸、しんべヱにも迎えに来てくれたお礼を渡し、渡したい人毎に甘味をお皿に割り振ってもらうようにきり丸にお願いする。
「あ、善法寺伊作先輩と食満留三郎先輩には潮江先輩に渡してもらえばいいですよ」
「はい、わたしから渡しておきます」
『じゃあお願いします』
包帯のお礼と、杖を作ってくれているお礼にと2人に割り振った皿を文次郎に渡し、残りを食堂のおばちゃん、山本シナ先生、学園長先生、出迎えに来てくれ夕食に招待してくれたは組のみんなの分に取り分ける。
「あら、わたしたちもいただいていいの?」
『もちろんです
お世話になりますので』
「嬉しいわ
この間は売り切れで買えなかったの」
それならお茶も用意しようと食堂のおばちゃんがお茶を用意し始め、恋歌は残りの分は誰に渡すべきかと今日挨拶をした面々を順番に思い出していた。
「恋歌さん恋歌さん」
『なぁに?』
くい、と軽く乱太郎に手を引かれて顔を向けると、乱太郎の困ったような声が聞こえた。
「実は…匂いにつられて今食堂にたくさんの人が来てまして…」
『そうなの?
じゃあ残った分は好きに…「いえ、そうしたいんですが…」』
欲しい人がいるなら渡してもらおうとすれば乱太郎に言葉を遮られ、はぁ、とため息が聞こえた。
「数が足りないんです…
みんなにはいき渡らないかと…」
『あら…それは…』
困った、と恋歌の呟きの後に乱太郎の困ったような声が続く。
「1年は組ばかりずるい!!」
「この間お小遣いが足りなくて買えなかったんだ!」
「少しぐらい分けてくれてもいいだろ!」
「先輩方もちゃっかりもらってるし!」
「こ、これは恋歌さんの好意でだな…」
「立花先輩の分は追加で貰ってたじゃないですか」
「ぐっ…」
じっと恋歌の作業を見ていたのであろう忍たまたちが自分たちは貰えないことに騒ぎ始め、1年は組と6年生全員が貰えることに文句を言い始めた。
『もっと材料持ってくればよかったね…』
「ですね…」
まさかこんなに欲しいと思ってくれる子たちが多いとは思わず、荷物は少ない方がいいだろうと最低限作れる分だけ持ってきたのが仇となった。
「恋歌さんの甘味美味しいっすもん
おれはこうなることは予想ついてましたけどね」
だからまた是非学園で売らせて欲しいと言うきり丸はいつも通りちゃっかりしている。
『んー…もう材料はないし…』
それであれば先日買えなかった子たちに食べてもらおうかとも思ったが、そうするとお金を払って買ってくれた子たちに申し訳ない。
「そういえば……あー!!!!!」
「「「あー!!!!」」」
「…ん?」
『え?』
こういった食べ物についての事についていつも参加するしんべヱが先ほどから一言も話していない事に気づいた乱太郎が、おそるおそる甘味を置いていた場所を見ると口に入るだけ甘味を詰め込んで頬を膨らませたしんべヱがくるりと振り返った。
「「「しんべヱー!!!」」」
「もうこれ以上はだめー!!
は組の分までなくなっちゃう!!」
「おれたちにはわけてくれるって言ってんのにー!!」
「だ、だって恋歌さんのお団子もお饅頭も美味しいんだもん」
渡さないと口に入れた団子を一気に飲み込み次に饅頭に手を伸ばそうとしたところで誰かに妨害され、しんべヱの後ろから手が伸びてきて饅頭を掴んだ手をとられまいとしたしんべヱが噛み付く。
「ぎゃー!!」
『な、なにがどうなって…』
なぜ急に騒がしくなり叫び声まで聞こえ始めたのかがわからない恋歌が一歩後ずさると、ぽん、と両肩に手が添えられた。
「気にしなくていいわ
それより食堂のおばちゃんがお茶を淹れてくれたから休憩しましょ」
『は、はい』
恋歌の肩に手を置いたのは山本シナでそのままくるりと身体を回転させて厨房から移動して椅子に座るように促した。
「さぁ、一緒に食べましょ」
「これ、熱いから気をつけてね」
『ありがとうございます』
食堂のおばちゃんが淹れてくれた湯呑みを渡され、厨房での言い争いをBGMに恋歌の作った甘味を食べ始める。
「あら!美味しい!!」
「ほんと!この味ならあの時買えなかったのも納得だわ」
『嬉しいです、ありがとうございます
おばさまのお茶もとても美味しいです』
「そうかい?でももう少し濃く淹れればよかったわね」
「たしかにそうですね」
文次郎の“いい加減にしろ!”という怒号が聞こえ、一気に食堂に静けさが戻るが食堂のおばちゃんも山本シナも何も気にせず黙々と甘味を食べすすめている。
「何を騒いでいるんだ
文次郎、お前が一番うるさいぞ」
「なっ…仙蔵貴様…」
「お、これが恋歌さんの甘味か
どれどれ
うん、美味い!」
いつの間に入ってきたのか仙蔵が文次郎の持つ皿から団子をひとつ取り口の中に放り込んで満足そうに微笑んだ。
「とにかく、お前たちは厨房を片付けろ
厨房は騒ぐ場所じゃない」
「「「はぁーい…」」」
その仙蔵の一言で争いが終わり、ぐちゃぐちゃにしてしまった厨房を争った面々で片付けを始める。
片付け始めたのを見届けてから食堂を見渡すと女性3人が座っている机を見つけ、仙蔵はそちらに足を向けた。
「ご挨拶をしても?」
「ええ、もちろん
恋歌さん、6年い組の立花仙蔵くんよ」
「はじめまして、潮江文次郎の同室の立花仙蔵です
いつも後輩や同輩がお世話になっているとか
ありがとうございます」
『はじめまして、恋歌です
こちらこそいつも助けてもらって何度お礼を言っても言い切れないぐらいだよ』
恋歌が差し出した手に仙蔵が手を重ね軽く握手をしてからすとん、と恋歌の前に腰掛けた。
「どうです?
夕飯はわたしたちと一緒にとられては」
『せっかくだけど今日は1年は組の子たちが夕飯に呼んでくれて…』
「それは残念です」
(仙蔵のやつ…何考えてやがる…)
見えないとわかっているはずなのににこにこと人当たりの良い笑みを浮かべながら夕飯に恋歌を誘っている同室を見て、あの笑みは何かを企んでいる時の顔だと気づきぶるりと身震いがした。
「ところでお前、厨房に何しにきたんだ?」
「…いや、通りがかったら騒がしいので入ってきたまでだ
わたしはやる事があるから部屋に戻る」
「お、おう…
あ、これ恋歌さんからだ」
「ありがとうございます
いただいていきます」
『いいえ』
意味ありげな視線を向けられた文次郎は一瞬たじろいだが、学園長の命で恋歌の近くにいる必要があるため一緒に部屋に戻ることはできず、食堂を出て行く同室の背中を見送った。
「じゃあ夕飯が終わったらくのたま長屋に案内するわね」
『はい、ありがとうございます』
厨房が片付くまでしばらく談笑をして過ごし、1年は組の夕飯ができたと呼びに来てくれた子たちに着いて行き、1年長屋に戻る事になった。
「これ…売っちゃいけないんすよね…?」
『うん、今回はだめ』
「絶対いい稼ぎになるのにぃー!!」
目の前に積み上がっていく恋歌の甘味を売りたくてしょうがないきり丸だが、恋歌から今回はだめだと言われ歯を食いしばって耐えている。
『これは潮江くんに
七松くんと中在家くんにも渡してほしい』
「よろしいのですか?」
『もちろん
荷物を持ってもらったお礼』
「ありがとうございます」
実は自分の店から少しではあるが材料を持ち込んでおり、その材料は迎えに来てくれた6年生の3人が持ってくれていた。
そのお礼だと渡せば文次郎が受け取った皿を見下ろして少し言いにくそうに口を開いた。
「これをわたしの同室にも食べさせてやってもいいでしょうか?」
『もちろん
それならその子の分も持って行って』
「…ありがとうございます」
もらったものをどのようにしてもいいだろうに律儀に自分ではなく別の者にあげたいと言われれば恋歌が嫌な顔をするはずもなく、追加で皿の上に団子と饅頭が置かれた。
『こっちは今日お迎えに来てくれたお礼ね』
「「「わーい!!」」」
乱太郎、きり丸、しんべヱにも迎えに来てくれたお礼を渡し、渡したい人毎に甘味をお皿に割り振ってもらうようにきり丸にお願いする。
「あ、善法寺伊作先輩と食満留三郎先輩には潮江先輩に渡してもらえばいいですよ」
「はい、わたしから渡しておきます」
『じゃあお願いします』
包帯のお礼と、杖を作ってくれているお礼にと2人に割り振った皿を文次郎に渡し、残りを食堂のおばちゃん、山本シナ先生、学園長先生、出迎えに来てくれ夕食に招待してくれたは組のみんなの分に取り分ける。
「あら、わたしたちもいただいていいの?」
『もちろんです
お世話になりますので』
「嬉しいわ
この間は売り切れで買えなかったの」
それならお茶も用意しようと食堂のおばちゃんがお茶を用意し始め、恋歌は残りの分は誰に渡すべきかと今日挨拶をした面々を順番に思い出していた。
「恋歌さん恋歌さん」
『なぁに?』
くい、と軽く乱太郎に手を引かれて顔を向けると、乱太郎の困ったような声が聞こえた。
「実は…匂いにつられて今食堂にたくさんの人が来てまして…」
『そうなの?
じゃあ残った分は好きに…「いえ、そうしたいんですが…」』
欲しい人がいるなら渡してもらおうとすれば乱太郎に言葉を遮られ、はぁ、とため息が聞こえた。
「数が足りないんです…
みんなにはいき渡らないかと…」
『あら…それは…』
困った、と恋歌の呟きの後に乱太郎の困ったような声が続く。
「1年は組ばかりずるい!!」
「この間お小遣いが足りなくて買えなかったんだ!」
「少しぐらい分けてくれてもいいだろ!」
「先輩方もちゃっかりもらってるし!」
「こ、これは恋歌さんの好意でだな…」
「立花先輩の分は追加で貰ってたじゃないですか」
「ぐっ…」
じっと恋歌の作業を見ていたのであろう忍たまたちが自分たちは貰えないことに騒ぎ始め、1年は組と6年生全員が貰えることに文句を言い始めた。
『もっと材料持ってくればよかったね…』
「ですね…」
まさかこんなに欲しいと思ってくれる子たちが多いとは思わず、荷物は少ない方がいいだろうと最低限作れる分だけ持ってきたのが仇となった。
「恋歌さんの甘味美味しいっすもん
おれはこうなることは予想ついてましたけどね」
だからまた是非学園で売らせて欲しいと言うきり丸はいつも通りちゃっかりしている。
『んー…もう材料はないし…』
それであれば先日買えなかった子たちに食べてもらおうかとも思ったが、そうするとお金を払って買ってくれた子たちに申し訳ない。
「そういえば……あー!!!!!」
「「「あー!!!!」」」
「…ん?」
『え?』
こういった食べ物についての事についていつも参加するしんべヱが先ほどから一言も話していない事に気づいた乱太郎が、おそるおそる甘味を置いていた場所を見ると口に入るだけ甘味を詰め込んで頬を膨らませたしんべヱがくるりと振り返った。
「「「しんべヱー!!!」」」
「もうこれ以上はだめー!!
は組の分までなくなっちゃう!!」
「おれたちにはわけてくれるって言ってんのにー!!」
「だ、だって恋歌さんのお団子もお饅頭も美味しいんだもん」
渡さないと口に入れた団子を一気に飲み込み次に饅頭に手を伸ばそうとしたところで誰かに妨害され、しんべヱの後ろから手が伸びてきて饅頭を掴んだ手をとられまいとしたしんべヱが噛み付く。
「ぎゃー!!」
『な、なにがどうなって…』
なぜ急に騒がしくなり叫び声まで聞こえ始めたのかがわからない恋歌が一歩後ずさると、ぽん、と両肩に手が添えられた。
「気にしなくていいわ
それより食堂のおばちゃんがお茶を淹れてくれたから休憩しましょ」
『は、はい』
恋歌の肩に手を置いたのは山本シナでそのままくるりと身体を回転させて厨房から移動して椅子に座るように促した。
「さぁ、一緒に食べましょ」
「これ、熱いから気をつけてね」
『ありがとうございます』
食堂のおばちゃんが淹れてくれた湯呑みを渡され、厨房での言い争いをBGMに恋歌の作った甘味を食べ始める。
「あら!美味しい!!」
「ほんと!この味ならあの時買えなかったのも納得だわ」
『嬉しいです、ありがとうございます
おばさまのお茶もとても美味しいです』
「そうかい?でももう少し濃く淹れればよかったわね」
「たしかにそうですね」
文次郎の“いい加減にしろ!”という怒号が聞こえ、一気に食堂に静けさが戻るが食堂のおばちゃんも山本シナも何も気にせず黙々と甘味を食べすすめている。
「何を騒いでいるんだ
文次郎、お前が一番うるさいぞ」
「なっ…仙蔵貴様…」
「お、これが恋歌さんの甘味か
どれどれ
うん、美味い!」
いつの間に入ってきたのか仙蔵が文次郎の持つ皿から団子をひとつ取り口の中に放り込んで満足そうに微笑んだ。
「とにかく、お前たちは厨房を片付けろ
厨房は騒ぐ場所じゃない」
「「「はぁーい…」」」
その仙蔵の一言で争いが終わり、ぐちゃぐちゃにしてしまった厨房を争った面々で片付けを始める。
片付け始めたのを見届けてから食堂を見渡すと女性3人が座っている机を見つけ、仙蔵はそちらに足を向けた。
「ご挨拶をしても?」
「ええ、もちろん
恋歌さん、6年い組の立花仙蔵くんよ」
「はじめまして、潮江文次郎の同室の立花仙蔵です
いつも後輩や同輩がお世話になっているとか
ありがとうございます」
『はじめまして、恋歌です
こちらこそいつも助けてもらって何度お礼を言っても言い切れないぐらいだよ』
恋歌が差し出した手に仙蔵が手を重ね軽く握手をしてからすとん、と恋歌の前に腰掛けた。
「どうです?
夕飯はわたしたちと一緒にとられては」
『せっかくだけど今日は1年は組の子たちが夕飯に呼んでくれて…』
「それは残念です」
(仙蔵のやつ…何考えてやがる…)
見えないとわかっているはずなのににこにこと人当たりの良い笑みを浮かべながら夕飯に恋歌を誘っている同室を見て、あの笑みは何かを企んでいる時の顔だと気づきぶるりと身震いがした。
「ところでお前、厨房に何しにきたんだ?」
「…いや、通りがかったら騒がしいので入ってきたまでだ
わたしはやる事があるから部屋に戻る」
「お、おう…
あ、これ恋歌さんからだ」
「ありがとうございます
いただいていきます」
『いいえ』
意味ありげな視線を向けられた文次郎は一瞬たじろいだが、学園長の命で恋歌の近くにいる必要があるため一緒に部屋に戻ることはできず、食堂を出て行く同室の背中を見送った。
「じゃあ夕飯が終わったらくのたま長屋に案内するわね」
『はい、ありがとうございます』
厨房が片付くまでしばらく談笑をして過ごし、1年は組の夕飯ができたと呼びに来てくれた子たちに着いて行き、1年長屋に戻る事になった。