黄「さすが桜姫だねぇ

あんな簡単に防がれるとは思ってなかったよ」

『それはどうも』

黄「実は天竜人に麦わらと桜姫を殺すように、海の麗人は多少の傷はつけてもいいから回収するように言われてるんだよねぇ～」

その黄猿の言葉に恋歌は仮面の下で眉間に皺を寄せた。

『回収？』

黄「そう

天竜人が言うにはあの子実験の成功例らしいじゃない

貴重な存在で、ある人のお気に入りのペットだったらしいから

回収するようにってねぇ」

『誰があんな人たちにあの子を渡すものですか

奪いたいなら私を倒さないと無理ですよ』

黄「だろうねぇ…

一番の障害はあんただ

君、なかなかすばしっこいみたいだけどどれぐらい速いのかな？」

そう言った直後に黄猿は恋歌の前から一瞬で姿を消した。

『!?』

咄嗟にその場から離れたあとにはビームが放たれていた。

黄「避けなきゃ当たってたのになぁ～」

『(速い…)』

黄「いい勘はしてるみたいだねぇ」

ビームには覇気が纏ってあるため、避けなければ貫かれてしまう。

マントがあるところは大丈夫なのだが、マントは全身に纏っているわけではないのだ。

黄「でもたとえ君がどんなに速く動こうと…」

そしてまた恋歌の視界から黄猿が消える。

黄「光には勝てないよねぇ？」

『(速っ…)』

後ろから声がしたかと思ったら、背中に衝撃がはしった。

その衝撃を受けて恋歌は地面に叩きつけられた。

一瞬息が詰まったため、咳き込んでしまう。

『ごほっ…

(そうか、わかった)』

地面がへこみ、土煙が舞う中から恋歌が出てくると、周りが信じられないといった目で見てくる。

「あの桜姫が押されてる…」

「嘘だろ…」

「さすが黄猿さんだ！」

エ「恋歌!!」

処刑台からも見えていたらしくエースの心配そうな声が聞こえた。

今まで恋歌がやられているところなど自分たちのためにわざと怪我をしたところしか知らない。

黄「へぇ…

今ので死なないなんてねぇ～」

『…あの二人を助けるまでは死ねません

(相手はピカピカの実を食べた光人間

つまり光速移動ができる

私のダークブーツは音速

瞬歩を合わせたとしても速さは遠く及ばないか…

どうする…？)』