『一人いなくなっただけで家が広く感じる…』

エースが幼かった頃も二人で暮らしてその後暫く一人になったときも感じたことだ。

そんなに広い家ではないはずなのにやけに寂しい感じがするのだ。

『大丈夫

今回のことが終わればまたみんなでいられるんだから』

恋歌は自分に気合いを入れて作業をすることにした。











次の日には予想通り新聞に二人の処刑の日時が発表された。

『あと一週間後

十分間に合うね』

恋歌は出来上がったものを見ながらさてやりますか、と呟いた。

恋歌の側には刀が何本も転がっていた。











処刑まであと六日という日の夜、ルフィから呼ばれた。

『……このタイミングってことは』

恋歌は作業を中断して家を出た。







着いた先は女ヶ島。

女しかいないはずの土地だ。

ル「おーい!!」

大きく手を振って迎えてくれるルフィの横に長身の美女が一緒に立っていた。

「ほんとに来た…」

ル「な？言った通りだろ？」

『何の話？』

ルフィの横に着地すれば美女が目を見開いてこちらを見ていることに気づいた。

『？何か？』

「ほんとに本物の桜姫なのじゃな？」

『はい』

そう答えれば美女は目に涙を浮かべて恋歌に抱きついた。

だが身長差で美女の胸に顔が埋まってしまう。

「お会いしとうございました!!

桜姫様！」

『へ？』

ル「こいつ桜姫に会いたかったんだって」

『私に？』

ル「理由も詳しく教えてくれねぇんだ

けど一応悪いやつじゃないから呼んだんだ」

『なんでだろ』

全く心当たりのない恋歌は美女が離してくれるまで首を捻っていた。

「申し訳ありませぬ

わらわの部屋にお入り下さいまし」

美女が離してくれたのはルフィの腹減った発言だった。

『お邪魔します』

今まで立っていたのは美女の部屋のベランダらしきところだったらしく中に入ると豪華な部屋があった。

中には大きな女が二人と小さな老婆が一人。

「ほんとに連れてきた…」

「本物のよね？」

ぼそぼそと何か言われているが恋歌は特別気にした風もなく美女と向き合う。

『まずお名前教えていただいてもよろしいですか？』

ハ「あ、失礼しました

わらわこの女ヶ島の皇帝をしておりますボア・ハンコックと申します」

『七武海の女帝さん？』

ハ「わらわをご存じで!?

嬉しゅうございます」

頬を染めて嬉しそうにするハンコックは普通の男なら倒れる表情をしている。

『お会いしたことありましたか？』

ハ「そんな畏まった話し方をせずともよろしいのです

ルフィに話していたように普通にお話しください」

『は、じゃないや、うん

じゃあ改めてどこかで会ったことある？』

ハ「いいえ、残念ながら今回がはじめてです

しかしわれら三姉妹、ずっと桜姫様に憧れておったのです」

『私に？』

そんなことを言われても…と思いルフィに助けを求めて視線をやったが、運ばれてきた料理を食べていて話を聞いていないようだ。

『説明してもらってもいいかな？』

ハ「………われら三姉妹は元天竜人の奴隷でした」

するすると着ていたものを脱いで、背中を見せられるとそこには依然ニーナにもあったのと同じ竜の蹄の烙印。

ハ「これは天竜人の奴隷であり、人間以下の証

地獄でした

こうして天竜人から解放され生きていてもあの時の記憶とこの烙印がわらわを、わらわたちを自由にはさせてくれませぬ

しかしあるとき一人の女性が天竜人に逆らったと聞き、そんな命知らずの者がおったのかと耳を疑いました

それがあなたです、桜姫様」

『あー、まぁ天竜人の話には身に覚えがあるね…』

ハ「わらわはそれが嬉しかった

まだそんな無謀なことをする人間がいたんだと

ルフィもそうなのです」

『ルフィも天竜人殴ったの？』

ル「だってムカついたんだもんよ

友だちばかにするし、サボとニーナのこともあるしさ

俺天竜人嫌いだし」

思い出してもムカつくのか少し怒った顔をしながら言うルフィに恋歌は苦笑する。

ハ「あなたがたのような存在がわらわはほしかったのです

だから桜姫様に一度お会いしたかった

われらの憧れでわらわの強さの見本であるあなたに」

「まさか姉さまの蹴り技が多いのって…」

ハ「むろん桜姫様の蹴り技がすごいと聞いての

真似たまでじゃ」

「やっぱり」

『……大体の事情はわかった

それと私を呼んだこと何か理由はあるの？

まさか女帝さんに会わせるためだけに呼んだわけじゃないんでしょう？』

その言葉にルフィは口に詰めていたものを全て飲み込んで立ち上がる。

ル「聞きてぇことがある」