取り合えず二人で家の中に入った。

『お腹とか空いてる？』

首を横に振るエース。

『えっと、じゃあ眠たい？』

その問いにも首を横に振る。

『ガープさんが帰っちゃって寂しい？』

この問いには少しの間があったが首を横に振られた。

『何かしたいこととか私に聞きたいこととかは？』

今までで一番長い沈黙が流れた。

『何でも聞きたいことは言ってくれていいよ？

遠慮なんかしないでさ』

恋歌は優しく言ってエースが口を開くのを待つ。

エ「あんたは…

俺のこと何にも思わないのか？」

意を決したようにしかし、目線は合わせないまま小さな声で問いかける。

『エースに思うこと？

可愛いとか？
無口だなぁとか？』

恋歌は出会ってから今までのエースを見て思ったことを述べてみる。

エ「違うっ！

俺が言いたいのはそんなことじゃなくて…」

『あなたが海賊王の息子だからってこと？』

その言葉にエースはビクッと肩を震わせた。

どうやら当たりだったようだ。

『(そういえば海賊王の子どもってだけで色んな陰口を言われたりとかしてたんだっけ

まだ二歳なのに…)

私は別にあなたが誰の息子でも関係ないわ』

エ「えっ？」

恋歌の言葉が意外だったのかここに来てはじめて顔を上げた。

しかしその表情は恐怖、疑問、ちょっとした期待などが混ざったような何とも言えない顔をしていた。

『ガープさんも言っていたでしょ？

私は今日からあなたの母親がわりになるの

自分の息子になってくれる子のことを何故恐怖しなければならないの？

私には只の可愛い可愛い男の子にしか見えないけど？』

にっこり笑って恋歌はエースに告げた。

エ「俺何かが息子でいいのか？

だって、だって俺は…
あの悪党の息子で、この世界じゃ要らない存在だって大人たちが…っ!?」

途中まで言ってエースは言葉を切らざるをえなかった。

恋歌がエースを抱き締めたからだ。